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Trademark Appeal Case

商標の類似性と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−685030(T2017−685030/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1309470号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第1309470号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第9類、第18類、第25類及び第28類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2016年(平成28年)1月29日にヨーロッパユニオンにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し(以下、ヨーロッパユニオンにおける出願の日を「優先日」という。)、同年4月15日に国際商標登録出願され、原審における平成29年3月28日付け手続補正書により、第9類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品(別掲5)として、同年6月5日に登録査定、同年7月14日に設定登録されたものである。

なお、本件商標の商標権は、2018年(平成30年)5月24日に領域指定の放棄がなされ、同年6月27日に登録の抹消がされているところ、本件商標の商標登録に対する登録異議の申立ては、申立日を、同29年9月22日とするものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

(1) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

ア 国際登録第1141206号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様:別掲2のとおり

国際登録日:2012年(平成24年)6月19日

設定登録日:平成26年2月14日

指定商品及び指定役務:第9類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務(別掲6)

イ 国際登録第1207028号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様:別掲2のとおり

国際登録日:2013年(平成25年)10月4日

事後指定日:2014年(平成26年) 7月23日

設定登録日:平成27年10月16日

指定商品 :第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(別掲7)

以下、「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめていうときは、「引用商標」という。

(2) また、申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標(以下「引用商標3」ないし「引用商標4」という。)は次のとおりであり、いずれも申立人が1973年頃から1990年頃まで、主に「clothing(被服)」などに使用し、我が国の需要者の間に広く認識されていたとするものである。

ア 引用商標3及び引用商標4

商標の構成:別掲3ないし4のとおりの構成からなり、申立人による1952年から2002年のブランドヒストリーをまとめたパンフレットに記載された申立人旧ロゴマークの商標(甲4)。

以下、「引用商標3」及び「引用商標4」をまとめていうときは、「引用旧ロゴ商標」という。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録された違法なものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1) 申立人について

申立人は、1952年フランスグルノーブル郊外の「モネスティエ・ドゥ・クレルモン(Monestier de Clerment)」で創業された世界的に著名なファッションブランドである。「モンクレール」は、1968年にグルノーブルオリンピックでフランス・ナショナルチームの公式ウェアに採用されて以降、1980年から1990年頃にかけてヨーロッパに限らず全世界的に著名なファッションブランドへと成長し、我が国においても、申立人及び引用商標が付されたダウンジャケット等の被服は、一般需要者において急速にその名が知られることとなった。

(2) 引用商標の周知性

申立人による我が国における宣伝広告費は、2011年及び2012年に約1.2億円、2013年に約1.7億円、2014年に約1.8億円、2015年に約2.6億円、2016年に約3億円である(甲5)。

我が国における引用商標が付された商品は、今日においてもファッション雑誌等において数多く取り上げられている(甲6)。

2016年6月から12月のインターネットのニュース記事等において、申立人及び引用商標が取り上げられており、引用商標に関する情報は、各種メディアにその動向が報じられる(甲7)。

申立人による2017年上半期の売上高は、全世界において約525億8000万円に達し、我が国においてもその売上高は年々増加しており、約数百億円に達するとも言われている(甲8)。

申立人の直営店は、札幌、東京、横浜、千葉、名古屋、京都、大阪、広島、神戸、福岡などに所在しており、その商品は日本全国において販売されている。

我が国における申立人ウェブサイトの2016年における訪問件数は200万件に近く、代表的なソーシャルメディアサイトにおいても非常に多くのユーザーが申立人のページを訪問している(甲9)。

以上のとおり、引用商標は、遅くとも本件商標の国際登録日である2016年4月15日において、取引者、需要者の間に広く知られているものとなっていることは明らかであり、それは本件商標の国内登録時である2017年7月14日においても変わらない。

(3) 商標法第4条第1項第11号の該当性について

ア 外観上の類否について

本件商標及び引用商標は、ともに左側に向いた雄鶏の側面のシルエットを表したイラストと4本の線が組み合わさった構成からなる点において同一であり、両者において共通する4本の線は、先端下部が中心部から内側に向かって折れ曲がったような形状になっている点で共通する。

雄鶏の図案化について、本件商標及び引用商標は、全体シルエット以外のあらゆる箇所を捨象するとともに、とさかの形状、くちばしの形状、尻尾の形状、頚部のくびれ等が、いずれも丸みを帯びたシンプルな一本の線で描かれ、形状において類似しており、看者における外観上の印象が極めて近似するものになる。

外観上の印象が両者を子細に観察すれば、細かい表現方法において若干の差異は見られるものの、本件商標と引用商標とは、看者に与える印象が近似したものになり、時と処を異にして両者に接するときは互いに紛れやすいというべきであるから、本件商標と引用商標とは、外観において類似する。

イ 観念上、称呼上の類否について

本件商標と引用商標が上述のとおり、ともに左側に向いた雄鶏の側面のシルエットを表したイラストと4本の線が組み合わさった構成からなるものであることから、両者からは共通の観念及び称呼が生じる。

ウ 取引の実情について

本件商標及び引用商標の指定商品のうち、特に第25類の指定商品「clothing(被服)」については、商標がいわゆるワンポイントマークとして使用される場合、細部における表現方法の差異は曖昧なものとなり、印象が希薄なものとなる。

また、引用商標は、我が国の需要者において広く知られ、左肩部分に縫い付けられたワンポイントマークは、申立人による商品の出所識別標識として極めて周知である。

このような使用態様において、本件商標と引用商標が第25類の指定商品「clothing(被服)」に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある。

エ 小活

本件商標と引用商標とは、類似の商標であり、かつ、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とは類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4) 商標法第4条第1項第10号の該当性について

申立人による1952年から2002年のブランドヒストリーをまとめたパンフレットから確認できるとおり、引用旧ロゴ商標は、本件商標と極めて類似したものであった(甲4)。

本件商標は周知商標たる申立人による引用旧ロゴ商標と同一又は類似する商標であって、本件商標の指定商品には、申立人が引用商標及び引用旧ロゴ商標を主に使用している商品「clothing(被服)」が含まれることから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について

上記(2)のとおり、引用商標は、遅くとも、本件商標の国際登録日及び本件商標の国内登録時において、我が国の取引者・需要者の間で周知・著名であった。

仮に引用商標及び引用ロゴ商標と本件商標が類似しないものと判断された場合であっても、本件商標と引用商標とが並存して登録した場合、需要者において品質混同の生じるおそれがあり、本件商標権者が経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1) 引用商標の周知著名性について

申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

ア 申立人による我が国における宣伝広告費は、2011年及び2012年に約1.2億円、2013年に約1.7億円、2014年に約1.8億円、2015年に約2.6億円、2016年に約3億円である旨主張し,その証拠として「MONCLER MEDIA PLANS 2011−2016 JAPAN」(甲5)を提出しているが、そこには引用商標に係る商品以外の商品の広告費用も含まれていることも否定できず、引用商標に係る商品に関する具体的な広告費用は明らかでないし、かつ、その金額も自己申告によるものであってその事実を裏付ける客観的な証拠の提出もない。

イ 日本国内において、申立人の商品に関する雑誌掲載事例(甲6)及びインターネットのニュース記事等において申立人の商品が取り上げられた事例(甲7)によれば、申立人の業務に係る商品「ダウンブルゾン、ダウンコート、ダウンベスト、コート、ジャケット、ポロシャツ、スキーウェア」等の被服(以下「申立人使用商品」という。)が、我が国のファッション雑誌やインターネット記事に掲載されている。

しかしながら,当該記事は、いずれも本件商標の優先日後のものである。また、それら掲載内容は「MONCLER」、「Moncler」又は「モンクレール」等の記載はあるものの、商品に付された商標(以下「使用商標」という。)については、画像が判然とせず、さらに辛うじて視認できる申立人使用商品に付された使用商標についても、引用商標に係る図形が丸みを帯びた不規則な輪郭内に「MONCLER」の欧文字とともに表されており、結局、引用商標と同一の商標が明瞭に確認できるものは、ほとんどない。

ウ インターネットウェブサイト「WWDデジタルデイリー」における申立人に関するニュースによれば、申立人による2017年上半期の売上高は、全世界において4億760万ユーロ(約525億8000万円)に達する旨の記載がある(甲8)が、これを裏付ける証拠の提出はない。

エ 申立人の直営店は、札幌、東京、横浜、千葉、名古屋、京都、大阪、広島、神戸、福岡など日本全国に所在しており、その商品は日本全国において販売されている。しかしながら、これら販売される商品に引用商標が付されているかは明らかでない。

オ 申立人によるウェブサイト及びSNSのユーザー訪問実績について、我が国における申立人ウェブサイトの2016年における訪問件数は200万件に近く、非常に多くのユーザーが申立人のページを訪問している(甲9)。

カ 上記アないしオからすると、申立人は、申立人使用商品に使用商標を使用し、我が国において事業展開し、また、雑誌やインターネット記事には、申立人使用商品の広告宣伝等の掲載があるとしても、使用商標が引用商標と同一であると認めることはできず、仮に認められるとしても、我が国における申立人の業務に係る引用商標が使用されている商品の売上高や市場シェアなどの販売実績、事業規模、雑誌やインターネットを通じた広告宣伝の程度(発行部数、販売地域、販売数量、アクセス数等)を具体的に示しておらず、引用商標が日本国内においてどの程度知られているのか客観的に把握することができない。

よって、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時(優先日時。以下同じ。)及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。

そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人使用商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2) 商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、別掲1に示すとおり、左向きの鶏の側面と思われる輪郭を表し、その胴体中央を縦断するように垂直のやや太い実線を書し、その実線の左右に実線と平行するように、鶏の背と腹部分から垂直方向に伸びる直線を配し、その先端は丸みをおびて上端部は外側に下端部は内側にえん曲し、鶏のとさかと尾羽に当たる部分には、切れ込みを有してなる構成からなるものである。

そして、本件商標は、特定の事物を表す物として親しまれているとみるべき事情もなく、その構成態様から、直ちに特定の称呼や観念が生じるものではない。

イ 引用商標

引用商標は、別掲2に示すとおり、左向きの鶏の側面と思われる輪郭を表し、その前面に4本の斜線が引かれ、左側の2本は下から右上に、右側の2本は下から左上方向に伸び,上端では2本の線が交差して2つの頂点を作るように描かれ、下端は2本の線を水平に結ぶ直線が引かれ,中央の2本は交叉してなる構成からなるところ、これら4本の斜線は、底辺の一部を欠いた二等辺三角形状の図形を2つ組み合わせた図形のように視認されるものであり、鶏のとさかと尾羽に当たる部分には,切れ込みを有してなるものである。

そして、引用商標は、特定の事物を表す物として親しまれているとみるべき事情もなく、その構成態様から、直ちに特定の称呼や観念が生じるものではない。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標は、それぞれ、上記アとイに示したとおりの構成よりなるところ、両者はともにその構成中に左向きの鶏の側面と思われる輪郭を有している。しかしながら、これら鶏状の輪郭については、本件商標は鶏の横向きの側面全体が視認できるのに対し、引用商標は鶏の側面の半分以上が前面の線図形に隠されており、頭部と尾部のみが視認できる点、両者のとさか、尾羽及び頸部の形状の差異を有する点において相違し、全体の印象が異なるといえる。

また、中央に配された直線についてみると、本件商標は鶏の胴体の中央を縦断するように太い実線が垂直に配されており、その実線の左右に平行するように配された2本の直線は、胴体の下部においては鶏の脚部を看取させるように構成されている。一方、引用商標は、鶏の胴体部分前面に部分的に切れ込みがある4本の斜線が配されてなるところ、一定の斜度をもって描かれた直線の組合せからは、全体として二等辺三角形状の図形を2つ組み合わせた図形が印象形成されるものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、その構成態様及び描写方法の相違により、時と所を異にして離隔的に観察した場合であっても外観上明確に区別し得るものである。

そして、称呼及び観念については、本件商標及び引用商標は、特定の称呼及び観念は生じないことから、それらを比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用商標は、称呼及び観念においては比較することができず、外観において明らかに区別できるものであるから、これらを総合的に考察すると、両商標は類似するということはできない。

その他、本願商標と引用商標とが類似する商標であるとみるべき事情は、見いだせない。

エ 小活

したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知性について

上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務又は申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとはいえないものである。

イ 本件商標と引用商標との類似性の程度

上記(2)ウにおいて検討したとおり、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較することはできず、外観において相違し、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

よって、両者の類似性の程度は高いということはできない。

ウ 引用商標の独創性等について

引用商標は、左向きの鶏の側面と思われる輪郭と4本の斜線を基調とした構成からなる図形を表してなり、特徴的なデザインで顕著に表されていることから、十分に商品の識別標識として認識され得るものであり、その独創性が低いということはできない。

エ 出所の混同のおそれについて

上記アないしウのとおり、引用商標は、独創性が低いということはできないとしても、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえず、また、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、本件商標の指定商品と申立人使用商品の関連性や需要者の共通性について考慮しても、その需要者、取引者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人を連想又は想起するものということはできない。

オ 小活

以上のとおり、本件商標は、その取引者、需要者をして、当該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 引用旧ロゴ商標の周知著名性について

申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、申立人による1952年から2002年のブランドヒストリーをまとめたフランス語で表されたパンフレット(甲4)の3頁の画像の中に、1973の数字と併せて引用商標3が表示され、同4頁の画像の中に、1990の数字と併せて引用商標4の表示がある。

しかしながら、申立人は、上記パンフレットの作成部数や頒布先等を明らかにしていないばかりでなく、引用旧ロゴ商標を付した申立人の商品に関して、申立人が、本件商標の優先日前より、我が国において、その主たる需要者といえる一般の消費者に向け、各種メディアを通じて積極的に広告をしたという事実が明らかでなく、さらに、本件商標の優先日前において、引用旧ロゴ商標を付した申立人の商品が我が国でどの程度の販売数量・売上高があったのかも明らかではない。

その他、引用旧ロゴ商標の我が国における周知著名性を客観的に示す具体的な証拠は、なんら提示されていない。

上記のとおり、申立人の引用旧ロゴ商標について、その周知著名性を具体的に示す証拠がないことから、申立人の提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の引用旧ロゴ商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

イ 本件商標と引用旧ロゴ商標との比較

本件商標は、上記(2)アのとおり、左向きの鶏の側面と思われる輪郭と直線から構成され、特定の称呼及び観念は生じない。

これに対して、引用旧ロゴ商標は、別掲3及び別掲4のとおり、丸みをおびた不規則な輪郭の中に、前方を青色、後方を赤色にした左向きの鶏と思われる図形とその胴体中央部を縦断する2本の直線状の図形、及び当該図形の下には「MONCLER」の欧文字を配してなるところ、これら図形と文字は、丸みを帯びた不規則な輪郭の中にまとまり良く一体に表されているものである。

そして、その構成中、輪郭内上段の図形部分は特定の称呼及び観念を生じないが、輪郭内下段の「MONCLER」の殴文字は、特定の事物を表すものとして我が国において一般に親しまれているとみるべき事情もなく、一種の造語と認識されるものであるから、該欧文字を英語風に読んだ「モンクレール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。

また、引用旧ロゴ商標は、その構成態様等から、その輪郭内の図形部分のみが取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情、又は、該図形以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足りる事情は、いずれも見いだせないから、該図形部分を分離抽出し他の商標と比較検討することが許されないものといわなければならない。

そうすると、引用旧ロゴ商標は、「モンクレール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。

してみると、本件商標と引用旧ロゴ商標とは、それぞれの構成よりみて外観上明らかに相違し、特定の称呼が生じない本件商標と、「モンクレール」の称呼を生ずる引用旧ロゴ商標とは、称呼上相紛れるおそれはない。

また、本件商標と引用旧ロゴ商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、観念上比較することができず、観念において類似するということはできない。

したがって、本件商標と引用旧ロゴ商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

以上によると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきである。

ウ 小活

したがって、本件商標の指定商品には、申立人が引用旧ロゴ商標を主に使用していると主張する商品「clothing(被服)」が含まれるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(5) まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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