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Trademark Appeal Case

ダンボールパークの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−19055(T2017−19055/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「ダンボールパーク」の文字を標準文字で表してなり,第41類「ダンボールを用いた作品・遊具・展示物に関するイベントの企画・運営又は開催,ダンボールを用いたイベントの企画・運営又は開催に関する情報の提供,ダンボールを用いた工作の教授,ダンボールを用いた作品・遊具・展示物の貸与,娯楽施設の提供」を指定役務として,平成28年6月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,『ダンボールパーク』の文字を標準文字で表してなるところ,新聞記事情報やインターネット記事の記載によれば,当該文字は,『段ボールでできた公園』程の意味合いを看取させる語として広く用いられている実情がうかがえることから,本願商標をその指定役務中『段ボールを用いた娯楽施設の提供』に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,その役務が『段ボールでできた公園を内容とするものであること』を表示したものと理解するにすぎず,本願商標は,単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で書したものといえる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,平成30年9月26日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し,相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)

請求人は,上記3の証拠調べ通知に対し,以下のように述べるとともに,証拠方法として,第15号証ないし第22号証を提出した。

(1)本願商標構成中の「パーク」の文字が,「遊び場」を示す場合があるとすれば,「パーク」はより広い意味合いを有していることになり,なおさら本願商標「ダンボールパーク」の「パーク」は,どの「パーク」を意味するのか一義的に特定し難くなると考えられる。

(2)我が国における段ボール関連企業は160社以上存在すると予測されるところ,特許庁が開示した「ダンボールパーク」の使用例の開催企業数は,2011年から2018年の約7年間で、当業者たる関連企業全体の1割にも満たないわずか10社にすぎず,これらの使用例によって,「ダンボールパーク」が具体的な役務の質を表示するものとして直ちに理解され得るとは考えられない。「ダンボールパーク」の内容は,一義的ではなく,「ダンボールパーク」なる語が本願指定役務の性質等を,暗示的間接的には意味するとしても,直接的具体的に意味するものでない。

(3)請求人は,2009年より,本願商標を用いて,当該役務を提供しており,加工機製作会社によるインタビューや,同社の加工機普及に貢献した旨の証明書(第22号証)があり,請求人は,本願商標「ダンボールパーク」に対する一定の使用実績があり,本願商標に自他役務識別力がないとはいえない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

商標法3条1項3号に関して,商品との関係については,「商標法3条1項3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によつて,当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」(最高裁昭和60年(行ツ)68号)旨判示されており,これを受けて,役務との関係については,「『役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには,指定役務に関する需要者又は取引者が当該商標に接した場合,これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから,需要者又は取引者が,役務の質,すなわち,役務の内容を表示したものと一般に認識することをもって足り,それ以上に,現実にその役務が実施されていることまで必要ということはできない。」(知財高裁平成21(行ケ)第10351号)旨判示されているところである。

そこで,上記の観点から,本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について判断する。

(2)本願商標の同法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,「ダンボールパーク」の文字からなるところ,その構成中の「ダンボール」の文字は,「包装用・運送用板紙の一つ。波状に成形した紙の片面または両面に厚紙を貼り合わせたもの。」(岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を,「パーク」の文字は,「公園,遊園地」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典第四版」)の意味を有するものであって,いずれも一般に親しまれ,よく知られる語からなるものである。

そして,別掲1のとおり,「パーク」の文字は,例えば「キッズパーク」,「こどもパーク」のように,「遊び場」を表すものとして一般に使用されている実情がある。

また,本願の指定役務中「娯楽施設の提供」の分野において,本願商標を構成する「ダンボールパーク」の文字が,別掲2に示したとおり,例えば「段ボールでできた迷路や滑り台を使って遊べる『ダンボールパーク』」(別掲2(4)),「ダンボールでできた迷路や平均台など、体を動かしたり、頭を使ったり、いろいろな遊びが体験できるそうですよ。/みんなの遊び場!ダンボールパーク登場!」(同(10))のように使用されており,「ダンボールで作成された遊具で遊べる遊び場」を表すものとして用いられている実情がある。

加えて,近年,「ダンボールで作成した遊具で遊べる遊び場」について,「ダンボールパーク」の文字を使用する者が増えていることがうかがえる(第15号証)。

以上のような実情と,本願商標を構成する各語の有する意味からすれば,「ダンボールパーク」の文字からなる本願商標は,「ダンボールで作成された遊具で遊べる遊び場」の意味合いを容易に理解させるというのが相当である。

そうすると,本願商標を,その指定役務中「娯楽施設の提供」について使用するときは,これに接する需要者又は取引者は,その役務が「ダンボールで作成された遊具で遊べる娯楽施設の提供」であること,すなわち役務の質(内容)を表示したものと理解するというべきであり,自他役務の識別標識として認識し得ないものである。

してみれば,本願商標は,役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3項に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は,わずか10社による「ダンボールパーク」の語の使用例が,役務の内容を表示しているといえるほど,広く当業者間に浸透しているものとはいえず,「ダンボールパーク」が具体的な役務の質を表示するものとして直ちに理解され得るとは考えられない旨,及び「ダンボールパーク」の内容は一義的ではなく,「ダンボールパーク」なる語が本願指定役務の質等を暗示的間接的に意味するとしても,直接的具体的に表示するものではなく,本願商標に自他役務識別力がないとはいえない旨主張している。

しかしながら,上記(1)に照らせば,商標法第3条第1項第3号にいう役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するというためには,指定役務に関する需要者又は取引者が当該商標に接した場合,これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから,需要者又は取引者が,当該商標は,当該指定役務の質を表したものと一般に認識することをもって足りると解されるものである。

そして,上記(2)のとおり,「ダンボールパーク」の文字の使用状況と本願商標を構成する各語の有する意味からすれば,本願商標は,「ダンボールで作成された遊具で遊べる遊び場」の意味合いを容易に理解させるものであり,その指定役務中の「娯楽施設の提供」との関係においては,需要者又は取引者は,当該役務の質を表示したものであろうと一般に認識するといえるものであるから,本願商標は,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。

イ 請求人は,自らの本願商標の使用状況として,遅くとも2009年以来,継続して本願商標を用いて役務の提供を行ってきているとして,その間の宣伝広告等の実績及び売上高について述べるとともに,本願商標は請求人の提供する役務の取引者,需要者である百貨店やショッピングモール等の業者間では一定程度認識されていること,また,加工機製作会社の加工機普及に貢献したことの証明を受けている旨を述べ,請求人には,本願商標「ダンボールパーク」に対する一定の使用実績がある旨主張し,証拠方法として第7号証ないし第22号証(枝番号を含む。)を提出している。

しかしながら,取引書類と認められる見積書(第8号証の1ないし第8号証の19)及び提案書の一部(第9号証の5)においては,請求人の名称を確認することができるものの,広告(第10号証の1ないし第10号証の20)及び使用場面の写真(第12号証の1ないし第12号証の19)においては,請求人の名称は確認できず,これらの証拠によっては,本願商標が請求人の業務に係る役務について使用され,需要者又は取引者が「ダンボールパーク」の文字を,請求人の提供する役務の出所を表示するものと認識していると判断することはできない。

そして,請求人は,2009年から2017年までの年間売上高について述べているが,これを客観的に裏付ける証拠は提出されていない。

また,請求人は,請求人の提供する役務は,百貨店,ショッピングモール等と,代理店及び請求人の間で取引される役務であると主張している。

しかしながら,本願指定役務の需要者,取引者は,それらに限定されるものではなく,請求人が提供する遊び場を利用する子供やその保護者といった,一般の需要者も含まれると解されるというべきである。

加えて,加工機製作会社一社の加工機の使用実例に関する証明書(第22号証)をもって,ダンボールに関わる事業者全体において,本願商標が請求人の提供する役務を表示するものとして,広く知られているということはできない。

してみれば,上記(2)のとおり,本願商標は,一般の需要者やダンボールに関わる他の事業者も含めた本願指定役務の需要者又は取引者に,請求人の出所を表示するものとしてではなく,役務の質(内容)を表示するものとして認識されるにとどまるというのが相当である。

なお,請求人は,安全性の観点からも,「ダンボールパーク」の文字は,誰もが使用できる言葉として認定されるべきではない旨主張しているが,役務の提供に当たり遊具の安全性を確保する必要があることと,商標の識別力の有無とは,別個に検討されるべきものであり,そのような事情が,本願商標が識別標識として機能すると判断する理由とはならないものである。

ウ 請求人は,他の商標登録の事例を挙げつつ,これらが登録されたのは,各商標が全体として役務の性質等を暗示的,間接的に表すことはあっても,直接的,具体的にこれを表さないと判断されたためであり,本願商標も同様に判断すべきである旨主張する。

しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,指定商品及び指定役務の取引の実情等を考慮し,個別具体的に判断されるべきものであるから,他の商標登録の事例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは,必ずしも適切でない。

したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することはできない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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