Trademark Appeal Case
コンビニクリニックの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−18761(T2017−18761/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「コンビニクリニック」の文字を標準文字で表してなり、第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成28年7月22日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同29年3月21日受付け手続補正書により、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,栄養の指導,動物の治療,動物の美容,病院の紹介又は取次ぎ,病院の予約の媒介又は取次ぎ,美容,理容」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『コンビニクリニック』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『コンビニ』の文字は、『食料品・日用品を中心にした小型セルフ−サービス店。適地立地・無休・深夜営業など便利さを特徴とする。』を意味する『コンビニエンスストア』の略であり、『クリニック』の文字は、『診療所。』を意味し、本願の指定役務の分野において、役務を提供する者や場所を表す語として広く使用されている。そして、本願の指定役務の分野において、『コンビニエンスストアのような便利さを特徴とする診療所』のことを、『コンビニクリニック』と称している実情が確認できる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『コンビニエンスストアのように便利さを特徴とする診療所の提供による役務』、『コンビニエンスストアのように便利さを特徴とする診療所に関する役務』であることを認識するにすぎないことから、本願商標は、単に役務の提供の場所、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年9月28日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)
請求人は、「『コンビニ』+『○○』の結合語をインターネットで見ると、コンビニエンスストアにある○○や、コンビニエンスストアにおける○○のように使用されている例が相当数あり、『コンビニ』部分は、『コンビニエンスストア』の略称としてとらえられるから、『コンビニ』は、一般的に『コンビニエンスストア』の略称と解釈される。そうすると、『コンビニクリニック』という語の『コンビニ』の部分は、『コンビニエンスストアにおける何某』という意味も感得されるから、同部分が『コンビニエンスストアのように便利さを特徴とする』の意味にしか解釈できず、『コンビニクリニック』が全体として識別力を有さないとはいえない。」旨を主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
なお、当該証拠の番号については、平成29年12月19日付け手続補足書により提出した甲第1号証ないし甲第7号証に続けて、甲第8号証ないし甲第20号証と読み替える。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法3条1項3号に関して、商品との関係については、「商標法3条1項3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」(最高裁昭和60年(行ツ)68号)旨判示されており、これを受けて、役務との関係については、「『役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、指定役務に関する需要者又は取引者が当該商標に接した場合、これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから、需要者又は取引者が、役務の質、すなわち、役務の内容を表示したものと一般に認識することをもって足り、それ以上に、現実にその役務が実施されていることまで必要ということはできない。」(知財高裁平成21(行ケ)第10351号)旨判示されているところである。
そこで、上記の観点から、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について判断する。
(2)本願商標の同法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、前記1のとおり、「コンビニクリニック」の文字からなるところ、当該文字は、別掲1のとおり、「日本では、夕方、会社・学校帰りに気軽に診察が受けられるような診察時間を設定したクリニックや、検査項目をまとめて時間短縮を図るクリニックがその名で呼ばれる。」(「現代用語の基礎知識2015」(株式会社自由国民社)とされるものである。
イ 本願商標構成中の「コンビニ」の文字は、「食料品・日用品を中心にした小型セルフ−サービス店。適地立地・無休・深夜営業など便利さを特徴とする。」の意味を有する「コンビニエンス−ストア」の略称であると共に、当該「コンビニエンス−ストア」中の「コンビニエンス」の文字は、「便利。簡便。」を意味する語であり、また、構成中の「クリニック」の文字は、「診療所。」を意味する語である(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)。
ウ 医療サービスの分野においては、別掲2のとおり、例えば、「何でも屋の街のコンビニのようなクリニックが理想だと考えています。・・・コンセプトは街のコンビニクリニックなので、どんな疾患に対しても、初期の治療は行っております。」(別掲2(2))、「博多駅に通勤や通学、買い物に来られる方が気軽に来院できるコンビニクリニックを目指します。」(同(3))、「何でも気軽に相談できる『コンビニクリニック』を目指して・・・」(同(4))、「・・・なんでも相談でき、なんでも診てくれ、どうにかしてくれる使い勝手の良い誠実な医院を実践しています。一般内科外来、訪問診療、在宅看取りまで地域のコンビニクリニック・・・」(同(5))、「・・・立川駅ナカに開業した・・・。コンビニクリニックという新しい形態を立ち上げました。平日は夜9時まで、土日も診療を行うことで、平日昼間に受診できない多くの方々にご利用いただいています。」(同(8))のように、様々な疾患に対応し、多くの人が受診しやすい立地及び診療時間帯を設けた診療所が実際に存在しており、このように様々な疾患に対応し、多くの人が訪れやすい適地立地にあって、土日や夜遅い時間帯まで診療する等、コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所が、「コンビニクリニック(コンビニ・クリニック)」と称されている。
エ さらに、同分野において、別掲3のとおり、例えば、「3大成人病(高血圧、糖尿病、高脂血症)の管理はもちろん・・・一般内科疾患やちょっとした外科的な処置・・・も行っております。また急なお子様の発熱や腹痛といった小児科対応も出来うる限り対応させて頂いております。つまり『コンビニエンスクリニック』とでも言いましょうか、」(別掲3(1))、「外科系一般、胃腸科をはじめとして広い範囲の医療について、気軽にそしてじっくりと相談できる『コンビニエンス・クリニック』」(同(2))のように、上記ウと同様に、様々な疾患に対応し、便利で気軽に受診できることを特徴とする診療所が存在し、当該診療所が、「コンビニエンスクリニック(コンビニエンス・クリニック)」のように表現されている。
オ 加えて、別掲4のとおり、例えば、「子どもからお年寄りまで地域の人たちが気軽に検査や入院ができ、何でも対応する自称“コンビニ病院”」(別掲4(2))、「何でも気軽に相談できる『コンビニ医院』」(同(3))のように、「コンビニ」の語に、医療機関等を表す語を結合させた表現についても、上記ウ及びエと同様に、検査から入院まで様々な症状に対応し、何でも気軽に相談できる便利な医療機関を表すものとして用いられている。
カ 上記ウないしオのとおり、医療サービスの分野においては、様々な疾患に対応し、多くの人が訪れやすい適地立地にあって、土日や夜遅い時間帯まで診療する等、コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所(医療機関)が実際に存在するものである。
そして、上記ウのとおり、当該診療所が「コンビニクリニック(コンビニ・クリニック)」のように称されていることに加え、上記エのとおり、「コンビニクリニック(コンビニ・クリニック)」と似通った構成であって、かつ、「便利、簡便」の意味を有する「コンビニエンス」の文字と「クリニック」の文字を合わせた「コンビニエンスクリニック(コンビニエンス・クリニック)」の文字が、上述の特徴を有する診療所を表現するものとして用いられていることを併せ考慮すれば、「コンビニクリニック」の文字は、「コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所」を表すものとして、一般に理解されるというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定役務中、「医業」、「医療情報の提供」等について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所」、「コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所に関する情報の提供」等であること、すなわち役務の質(内容)を表示したものと一般に認識するというべきであるから、本願商標は、自他役務の識別標識としては機能し得ないものである。
してみれば、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、「コンビニ」の語は、インターネットにおける「コンビニ○○」という結合語の使用例(甲8ないし甲14)を見ても、「コンビニ」の文字は、「コンビニエンスストア」の略称として解釈されるものであって、一般需要者は、「コンビニエンスストアにおける○○」という意味にもとらえるから、「コンビニクリニック」の構成中の「コンビニ」の部分が、「コンビニエンスストアのように便利さを特徴とする」の意味にしか解釈されず、「コンビニクリニック」が全体として識別力を有さないとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、その商標に接する取引者、需要者が、どのように認識し理解するかが重要であるところ、請求人の挙げた「コンビニ○○」の使用例は、取扱商品や役務の種類が無数にあるコンビニエンスストアにおいて、取り扱われている商品やサービス等と関係する記述の例が、検索結果の上位に表されたことを示しているにすぎないものであって、医療サービスの分野との関係においては、上記(2)のとおり、「コンビニクリニック」の文字は、様々な疾患に対応し、多くの人が訪れやすい適地立地にあって、土日や夜遅い時間帯まで診療する等、コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所を表すものとして、一般に理解されるから、本願商標に接する取引者、需要者は、これより、コンビニエンスストアが有する特徴と同じような便利さを特徴とする診療所であるという、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識するというのが相当である。
そうすると、本願商標は、自他役務の識別標識としては機能し得ないものである。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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