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Trademark Appeal Case

単一色彩の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−14744(T2017−14744/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,青色(RGBの組合せ:R17,G17,B131)のみからなるものであり,第7類及び第12類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし,平成27年4月1日に登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における同28年3月10日付け及び当審における同29年10月4日付け手続補正書により,第7類「軸受(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は「商品に使用される色彩は,商品の魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものである。また,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,色彩が商品に付され,使用されている実情がある。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴,すなわち商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと判断するのが相当であるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。なお,出願人は,本願商標と同一と推測される色彩を,ベアリングの包装用の箱等に用いていることを確認することができるが,本願商標と同一と推測される色彩は,商品の包装や広告における背景色(地色)として必ず出願人の社名の略称と認められる「NSK」等の文字と共に用いられており,取引者・需要者をして,それらの文字等を有さない青色の色彩のみからなる本願商標が,独立して自他商品識別標識として機能し,出願人の業務に係る商品であることを認識することができるとは直ちにはいい難く,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成30年8月21日付け証拠調べ通知書),相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

請求人は,上記第3の証拠調べ通知に対して,「本件商標の色彩はより濃い青であるのに対し,証拠調べ通知書における4社の包装箱に施された色彩は薄い青であり,むしろ水色と表現されるべきものであって,具体的に見る場合にはその色相・色調において明確な違いがある。また,1社の包装箱に表された色彩は,請求人が本願商標に係る色彩の使用を開始した1991年よりも後に,使用が開始されているものであるから,この包装箱の色彩は,請求人の商品の色彩を追随したにすぎないとみるのが自然である。そもそも,請求人以外の1社が本願商標と同系の色彩を使用しているという程度では,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないということにはならない。」旨の意見を述べた。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は,上記第1のとおり,「青色(RGBの組合せ:R17,G17,B131)」のみからなる色彩商標である。

(2)商品の色彩は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではなく,商品そのものやその包装はもとより,その商品の広告等においても,商品の美感や魅力の向上等に資する装飾等として,一般に広く使用されているものであるから,例えば,ロゴ等の文字や図形等と組み合わせるなど,具体的な形態を伴う場合はともかく,そのような形態を伴わない場合には,これに接する者は,通常,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

(3)本願商標の指定商品においては,請求人の主張のとおり,商品自体に色彩を付すことはほとんどないといえるものであるが,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,当審における証拠調べ通知において示した例(別掲2)のように,商品の魅力の向上等に資する装飾等として,商品の包装箱に青色ないし本願商標の色彩に近似する色彩が使用されている実情がある。

(4)そうすると,「青色(RGBの組合せ:R17,G17,B131)」の色彩のみからなる本願商標を,その指定商品について使用しても,これに接する需要者は,商品の魅力の向上等に資する装飾等として,通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて

請求人は,「本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する場合であっても,本願商標は,使用された結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっており,同条2項の適用を受け得る。」旨主張し,証拠として,原審における平成29年4月28日付けで甲第1号証ないし甲第35号証を,当審における同年11月24日付けで甲第36号証ないし甲第41号証を提出している。

そこで,請求人が提出した証拠及び同人の主張の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

(1)本願商標の使用実績について

請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。

ア 請求人について

請求人は,1916年(大正5年)に創立され,日本で初めて軸受(ベアリング)の生産を成功させた会社であり,現在は,軸受(ベアリング),精機製品,自動車軸受及び自動車部品の生産を行っている(甲1,甲33)。

請求人は,奈良県,宮崎県,長崎県を除く国内各地に販売店を有しており,その営業範囲は,ほぼ日本全国に及ぶ(甲10〜甲12)。

また,1962年(昭和37年)頃より海外にも進出し,2015年(平成27年)3月現在,我が国を含め世界30か国に拠点を設けている(甲1,甲33)。

イ 本願商標の使用開始時期及び使用態様について

(ア)請求人は,1991年(平成3年)に,本願商標と同一視できる青色の色彩(以下「本願青色」という。)をコーポレートカラーとして採択し,「Techno−Blue」(テクノブルー)と名付け(甲2),遅くとも1992年(平成4年)発行の本願商標の指定商品の範ちゅうの商品と認められる「転がり軸受」のカタログの裏表紙の中央にある白色の「MOTION & CONTRAL」及び赤色の「NSK」のロゴの文字の地色として使用した(甲13)。

(イ)現在,請求人は本願青色を,車両(甲3),商品の包装箱(甲9),カタログ(甲14,甲18,甲19),取扱説明書(甲16),「TECHNICAL JOURNAL」(甲17),工場,販売代理店及び展示会等の看板(甲21,甲22),紙袋(甲23),ビニール袋(甲24),ステッカー(甲25),包装紙(甲26),バック(甲27),カレンダー(甲28),ネクタイ(甲29)並びに封筒(甲30)において,袋,バック等の地色,又は商品の包装箱,カタログ,看板等の「NSK」のロゴの文字等の背景色として使用している。

ウ 本願商標の指定商品等に係る使用及び使用開始時期について

(ア)請求人は,本願青色を,請求人の製造に係る軸受け(ベアリング:以下「使用商品」という。)において,商品自体の色彩としては使用していないものの,商品の包装箱において,赤色の「NSK」のロゴの文字,白色の「BEARINGS」の文字,灰色で表された2重円状の図形,白色の「NSK Ltd. MADE IN JAPAN」又は白色で書された請求人のURLの文字の背景色として,箱の全面あるいは一部の面に使用している(甲9)。

(イ)請求人は,上記イのとおり,本願青色を,遅くとも1992年(平成4年)より,使用商品のカタログ及び取扱説明書の裏表紙の一部において,白色の「MOTION & CONTRAL」及び赤色の「NSK」のロゴの文字部分の背景色(甲13,甲14,甲16),又はカタログの全体の背景色として使用している(甲18)。

エ 請求人に係る広告について

(ア)請求人は本願青色を背景色とし,赤色の「NSK」のロゴの文字が表示された看板を,国内の駅の6か所に展示している(甲32)。

(イ)請求人は,展示会に商品を出品していることは認められるところ,具体的な展示会の回数,内容等については,それを示す証拠の提出はない(甲22)。

(ウ)請求人は,販促関連用品として,ビニール袋,バッグ等を制作しているとし,それら地色にも本願青色使用しているところ,その使用場所,使用数量等は不明である(甲23〜甲29,請求人主張)。

オ 使用商品の販売実績及びシェアについて

(ア)請求人事業の売上高は,2015年(平成27年)3月期で9749億円であり,使用商品の売上高は,全体の24%であるところ(甲33),その他の年においては,請求人事業全体又は日本等,地域別の売上高のみが記載されており,使用商品の売上高の記載はない。

(イ)請求人は,2014年(平成26年)ないし2016年(平成28年)において,ベアリングの国内最大手であることは認められるが,その国内シェアは不明である(甲33,甲34)。

カ 使用商品の認知度について

請求人は,本願青色の認知度を示す証拠として,甲第35号証及び甲第36号証を提出している。

(ア)甲第35号証は,平成28年4月6日付けのコマツNTC株式会社による証明書であるところ,購入開始年,証明書の記載日,会社名,住所,記入者の部署名及び氏名のみが手書きで他は印刷されており,個人印が押印されている。

そして,「請求人は1992年(平成4年)から商品カタログ等,宣伝広告に本件商標を使用しており,本願青色が一見して直ちに請求人の商品であると認識されるほど,この商品の取引者(需要者)に広く認識されていることを証明する。」旨の内容が記載されている。

(イ)甲第36号証は「コーポレートカラー『青』の色彩商標周知性調査(インターネット調査)調査報告書」と題するアンケート調査である。

a 対象者は機械部品などの専門商社又は販売代理店,機械器具のメンテナンス会社において「営業職」として従事している者である。

b 有効回答者数は71名で回収率は,29.96%であった。

c 最終的に,請求人の社名又は略称を答えた又は選択した正答者は,19名で,正答率は26.76%であった。

(2)本願商標がいわゆる使用による特別顕著性を獲得しているかについて

ア 上記(1)の事実によれば,請求人は,1916年(大正5年)に創立され,軸受(ベアリング),精機製品,自動車軸受及び自動車部品の生産を行っている会社であり,遅くとも1992年(平成4年)以降,継続して,本願青色を使用商品の包装箱の背景色,カタログや看板等の「NSK」のロゴの文字等の背景色として使用していることが認められる。

また,上記(1)アのとおり,使用商品は,ほぼ日本全国において,販売されていることから,本願青色の使用地域も日本全国であると認められる。

そして,上記(1)オ(イ)のとおり,請求人がベアリングの国内最大手であること及び上記(1)イないしエのとおり,「NSK」のロゴの文字を看板,商品の包装等に使用している事実からすれば,使用商品に係る取引者,需要者において,請求人の名称又はその略称と認められる「NSK」の文字は,ある程度知られているものと認められる。

イ しかしながら,本願青色の使用形態は,使用商品等の商品の包装箱及びカタログ等において,赤色の「NSK」のロゴの文字及び白色の文字等と共に背景色として使用されているものであり,工場等の看板等においても,赤色の「NSK」のロゴの文字等の背景色として使用されているものであるから,これらのものに接する取引者,需要者においては,本願青色が商品の包装,カタログ及び看板等における「NSK」のロゴの文字等の背景色として認識されるのが相当であって,その使用に係る本願青色の色彩のみが分離して観察され,これが商品の出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるものとはいい難い。

また,宣伝広告についても,請求人は,本願青色を,看板,販促関連用品等の地色又は背景色として使用しているものであることに加え,看板の設置場所も6か所ほどであり,展示会の回数,販促関連用品の使用数量等は不明である。

さらに,使用商品の認知度を示すとして提出された証明書(甲35)においては,あらかじめ印刷された文書に証明者が日付,名称等を記入し個人印を押印したと認められるものであり,その内容も,本願青色の使用状況を列挙し,その上で本願青色が取引者(需要者)に広く認識されている,というものであり具体性を欠くものである。

そして,アンケート(甲36)においては,有効回答者数が71名と,アンケート対象が機械部品の専門商社等の営業担当であるとしても,請求人使用商品の取引者,需要者のうちの僅かの者しか回答しておらず,また,その正答者は19名で,正答率は約26.8%であって,ごく僅かの者しか正答していないことから,当該アンケート結果が,直ちに本願青色が請求人の出所識別標識として,本願の指定商品の取引者,需要者に認識されているとはいえない。

ウ 以上よりすると,本願商標は,これに接する取引者,需要者をして,何人かの業務に係る商品であることを認識させることはできず,本願商標の色彩についての需要者の認識を客観的に把握することもできない。

そうすると,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品である事を認識することができるものは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

3 請求人の主張について

請求人は,「本件商標の色彩はより濃い青であるのに対し,証拠調べ通知書における4社の包装箱に施された色彩は薄い青であり,むしろ水色と表現されるべきものであって,具体的に見る場合にはその色相・色調において明確な違いがある。また,1社の包装箱に表された色彩は,請求人が本願商標に係る色彩の使用を開始した1991年(平成3年)よりも後に,使用が開始されているものであり,請求人以外の1社が本願商標と同系の色彩を使用しているという程度では,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないということにはならない。」旨主張する。

しかしながら,上記1のとおり,商品に使用される色彩のみでは,出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当であり,また,本願の指定商品を取り扱う業界においては,別掲2のとおり,商品の魅力の向上等に資する装飾等として,青色ないし本願商標の色彩に近似する色彩が包装箱に普通に採択,使用されている実情がある。

そうすると,本願商標と当審における証拠調べ通知書(別掲2)において掲載した商品に付されている青色が色相において多少異なっており,同様の色相の者が1社であるとしても,これらは共に青色であって,通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識されるものであるから,本願商標に係る青色のみが,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識される実情は認められない。

また,商標法第3条第1項第3号の判断時期は査定時又は審決時であり,色彩の使用開始時期の前後によって判断が左右されるものではない。

したがって,請求人の主張は採用できない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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