Trademark Appeal Case
著名商標との混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第20444号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ASCOTPARK POLOCLUB」の欧文字を横書きしてなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻類,和服,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガータ,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類,その他の履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成5年6月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合州国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服、ネクタイ』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『POLO』の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「POLO」の文字からなる商標について
(A)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)と「ポロ・ファッションズ社」について
「男の一流品大図鑑」(株式会社講談社昭和53年7月20日発行)、及び、「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」(サンケイマーケティング(サンケイ新聞データシステムマーケティング事業部)昭和58年9月28日発行)によれば、以下の事実が指摘できる。
(ア)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして迎えられ、幅が広いネクタイをデザインし、これが若者に支持され、世界に広まったこと。
(イ)ラルフ・ローレンは、翌年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」として、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、カバンなどのデザイン製作を開始し、1971年には婦人服デザインにも進出したこと。
(ウ)ラルフ・ローレンは、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、他にも賞を受賞し高い評価を受け、そのブランドを世界に通用させたこと。
(エ)そして、ラルフ・ローレンは、自己の取り扱いに係る商品に使用する商標を「ポロ競技」にヒントを得て採択したこと。
(なお、当審が職権をもって調査したところ、ラルフ・ローレンが関係する会社は、現在では、「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」であることが認められる。)
(B)「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標について
原査定が引用した「POLO」の文字からなる商標は、その配列すべてを大文字で表示したものであるところ、前掲の「男の一流品 大図鑑」、「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」、及び、「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社昭和55年6月20日第二刷発行)、によれば、「Polo」と、第2文字目以降を小文字で表示した商標が、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして使用されていることが認められ、これは、「POLO」の文字からなる商標と、相互に同一の称呼(「ポロ」)及び観念(「ポロ競技」)が生ずるものと認められ、本願の出願時においても、両者は社会通念上同一の商標であったとみなして差し支えないといえるものである。
(C)そこで、以下、本件審判請求事件を審理するにあたり、「POLO」、「Polo」の文字からなる商標を一括して「POLO商標」という。
(D)「POLO商標」の我が国での使用・紹介について
「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」(株式会社洋品界昭和55年4月15日発行)の「ポロ」の項、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行)の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項、及び、昭和63年10月29日付日経流通新聞における「西武百貨店は米国のポロ社から77年に紳士服、78年に婦人服の輸入、販売、製造の権利を取得、日本国内でポロ・ラルフローレンのライセンスビジネスを手掛けてきた。」との記事を総合すれば、我が国においては、ポロ・ファッションズ社(あるいは、ラルフ・ローレン)との契約に基づき、西武百貨店が昭和52年にラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴の取り扱いを、同53年からは婦人服の取り扱いを開始したことが認められる。
また、前掲の書籍・新聞の外、「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑'80」(株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行)、「男の一流品大図鑑'81年版」(株式会社講談社昭和56年4月25日第二刷発行)、「世界の一流品大図鑑'81年版」(株式会社講談社昭和56年6月20日第二刷発行)、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社昭和60年6月25日第2刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ジャケット、シャツ、ネクタイ、眼鏡に「POLO商標」が使用されていることが認められる。
(E)「POLO商標」の著名性について
以上、認定の事実を総合して検討すれば、「POLO商標」は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ、著名になっていたものと判断され、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
(2)出所の混同のおそれについて
本願商標は前記のとおり、「ASCOTPARK POLOCLUB」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、本願商標を構成する文字が請求人が主張するようなイギリスに在するポロクラブの名称であるとしても、それが我が国において、特に本願商標の指定商品に係る取引者、需要者に広く知られているものとは認め難く、また、その証拠も見出せない。
一方、本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を有するものであり、前記認定のとおり、「POLO商標」が、我が国において、遅くとも本願商標の登録出願前までには、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品「被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品」を表示するものとして取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものである。
しかして、本願指定商品は、「POLO商標」が使用されている商品と同一または類似し、ファッション性を有する関連の深い商品であることから、これに係わる取引者、需要者が、本願商標に接した場合には、「POLO商標」との構成上の相違があったとしても、その著名性ゆえ「POLO」の文字部分に着目することで、「POLO商標」を連想・想起し、それがあたかも、ラルフ・ローレン若しくはザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ又はこれらと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、「本願商標はイギリスに実在するポロクラブである。」「『POLO』はスポーツ名にすぎないから、一般用語として認められるべきである。」と主張する。
しかしながら、該団体が我が国の取引者、需要者に広く知られているものとは認められないこと前記のとおりであり、また、我が国においてポロ競技が広く親しまれ本願商標の指定商品に係る取引者、需要者にも関心を抱かれているスポーツであるとは認められない。
そうとすれば、本願商標を指定商品に使用するときには、著名な「POLO商標」を想起するというべきであって、さらに、「ラルフ・ローレン」の「POLO」、「Polo」の商標について、本件判断と同様の判断がされている東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)第183号、平成11年(行ケ)第340号)の内容をもあわせ考慮するに、請求人の上記主張が本件の結論を左右するものとは認められないから、請求人の前記主張は採用できない。
4 結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、この理由をもって本願を拒絶した原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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