Trademark Appeal Case
Social Goodの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−8494(T2018−8494/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「Social Good」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類、第16類、第35類、第39類、第41類、第42類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年3月24日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、当審における同30年6月20日受付け手続補正書により、別掲1のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、以下の(1)ないし(3)のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標登録を受けることができる商標は、現在使用しているもの又は近い将来使用をするものであると解されるところ、本願は、指定する全ての区分において、広い範囲にわたる商品及び役務を指定しているため、このような状況の下では、出願人が出願に係る商標をそれらの指定商品及び指定役務の全てについて使用しているか、又は近い将来使用をすることについて疑義があるから、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
(2)本願商標は、「Social Good」を標準文字で表してなるところ、該文字や、その片仮名表記である「ソーシャルグッド」の文字は、「社会貢献に類する活動を支援・促進するソーシャルサービスの総称、又は、そうしたサービスを通じて社会貢献活動を促進する取り組み」ひいては「社会貢献・社会貢献活動」程の意味合いを有する語として、業界を問わず、自社又は自団体の事業理念や活動方針などを指称するための語として、広く一般に使用されている実情が見受けられる。そうとすれば、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する需要者は、それが「社会貢献活動に関するもの」、「社会貢献の理念・方針のもとに提供されているもの」であることを表示するための語句であると認識するにとどまり、結局、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)本願は、その指定商品中、第9類において指定する商品に、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められないものが含まれているから、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2及び別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成31年3月20日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定してこれに対する意見を述べる機会を与えた。
請求人は、上記証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書及び同法第6条第1項に係る拒絶の理由について
請求人が提出した平成30年8月8日付け手続補足書における「商標の使用を開始する意思」及び「事業計画書」が提出された結果、出願人が、本願の指定商品及び指定役務について、商標の使用又は使用の意思があることについての疑義がなくなったものと認められる。
また、本願の指定商品は、前記1のとおり補正された結果、商品の内容及び範囲が明確なものとなり、商標法第6条第1項に規定する要件を具備するものとなった。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件及び同法第6条第1項の要件を具備しないという原査定の拒絶の理由(1)及び拒絶の理由(3)は、解消した。
(2)商標法第3条第1項第6号に係る拒絶の理由について
本願商標は、前記1のとおり、「Social Good」の欧文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「Social」の文字は、「社会の、社会的な」の意味を有しており、また、「Good」の文字は、「利益、善」の意味を有する英語(いずれも「コンサイス英和辞典第13版」株式会社三省堂)として知られおり、構成全体として「社会的利益、社会的善」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、近時、「Social Good」又はその片仮名表記「ソーシャルグッド」の文字は、原審で示したインターネット情報、新聞記事情報に加え、別掲2のとおり、例えば、「ソーシャルグッド【social good】の意味」として、「社会貢献に関する活動を支援・促進する取り組み。特に、CSR(企業の社会的責任)に直接結びつくものを指す。ソーシャルグッドコンテンツ。」(別掲2(1))や、「ソーシャルグッドとは、社会貢献に関する取り組みを総称した言葉で、マーケティングの上でも活用できる考え方です。企業活動や広報の一環として、社会のためになる活動を取り入れることで、ブランドやイメージを高めることに繋がります。」(同(4))のように、「社会貢献ないし社会を良くする活動を支援・促進する取組の総称」程の意味合いを有する語として、ウェブサイトや書籍に記載されているものである。
また、「Social Good」又は「ソーシャルグッド」の文字は、別掲3のとおり、例えば、「企業のWebマーケティングを支援する株式会社メンバーズと、メンバーズ子会社で、CSV/CSR企業戦略コンサルティング支援を行う株式会社エンゲージメント・ファーストは、『意義あるよい事(Social Good)』を、企業・顧客・関係者との共創(エンゲージメント・マーケティング)により、マーケティング革新を起こし、社会課題の解決とビジネス目標の達成のためにご支援いたします。」(別掲3(1))、「東日本大震災、途上国の支援を目的としたスマートフォンアプリ『isave』を無料提供・・・isaveは、日本初の Mobile × Social Goodを目指しています・・・すでに2万人以上がダウンロードする日本初の社会貢献アプリケーション・・・」(同(9))、「ソトコトの定期購読 雑誌・電子書籍(デジタル版)・・・日本各地のソーシャルグッドな情報をお届けします。日本のソーシャル・カルチャーをリードするソトコト 『社会や環境がよくなって、そしておもしろい』をテーマとしたソーシャル&エコ・マガジン。」(同(10))のとおり、「企業コンサルティング」、「アプリケーションソフトウエア」、「電子出版物」を含む幅広い商品及び役務の分野において、「社会貢献ないし社会を良くする活動を支援・促進する取組」として、その業務に係る商品、役務を提供するという企業理念や経営方針を示すものして使用されているものである。
してみれば、本願商標に接する取引者、需要者は、「Social Good」の文字を商品及び役務の出所を識別するための標識ではなく、「社会貢献ないし社会を良くする活動を支援・促進する取組」という企業や団体の理念、経営方針を表したものと理解、認識するにとどまるものというべきである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願商標を指定商品及び指定役務との関係で、自他商品及び役務の識別力がないといえるほどに取引上普通に使用されているとはいえない。「Social Good」の語句は、近年使用される傾向にあるとはいえ、それぞれの実例において観念上同一とはいえない程度に複数の意味合いを表し、また、一般的な需要者における認識も様々で、未だ漠然とした意味合いでそれぞれが使用しているものであることから、企業理念や経営方針等のみを具体的に表したものと認識させるものとはいい難い。加えて、本願商標は、多様な商品及び役務を指定しており、それら商品及び役務のすべての分野において、本願商標が企業理念や経営方針等を表すものとして使用されている実情はない旨主張している。
しかしながら、「Social Good」の文字は、前述のとおり、「社会的利益、社会的善」程の意味合いを容易に理解させるものであって、別掲2で示したとおり、近時、「社会貢献ないし社会を良くする活動を支援・促進する取組の総称」の意味合いを有する語として、インターネット情報、新聞記事情報、書籍等に広く記載されているものであることから、一般的な需要者は、当該「Social Good」の文字からは、漠然とした意味合いではなく、上記意味合いを容易に理解、認識するものというのが相当である。
また、「Social Good」又はその片仮名表記「ソーシャルグッド」の文字は、別掲3で示したとおり、「社会貢献ないし社会を良くする活動を支援・促進する取組」として、その業務に係る商品、役務を提供するという企業理念や経営方針を表すものとして、幅広い分野において使用されている実情にあるといわざるを得ず、たとえ、本願商標が幅広い分野の商品及び役務を指定するものであったとしても、かかる実情に照らせば、本願商標に接する需要者は、企業理念や経営方針を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものである。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、商標法第3条第1項柱書及び同法第6条第1項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定の拒絶理由は解消したが、本願商標は、同法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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