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Trademark Appeal Case

色彩商標の使用識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−730(T2018−730/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第39類「バスによる輸送,バスによる企画旅行の実施」を指定役務として、平成27年4月10日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、役務の出所を表示し自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。そして、本願の指定役務を取り扱う業界においては、本願商標のような黄色と同系色の色彩が、役務の提供の用に供する物や広告に使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物や広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。また、提出された証拠からは、本願商標のみが独立して自他役務を識別する出所表示としての機能を有するに至っているとは認めることができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年10月31日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要点

請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べ、本願商標が役務の出所識別標識として認識されていることに関して追加の証拠を提出した。

(1)色彩のみからなる商標登録願の場合、他者の同系色の使用については、当該他者の「出所表示」となる場合には、該商標登録願に対する登録の可否の判断上考慮すべき要因になるが、当該他者の使用が全くの「装飾色彩」で「出所表示」ではない場合には、商標の本質、裁判所の判例、商標法の諸条項からして、該商標登録願に対する登録の可否の判断上考慮すべき要因とはならないものと解せられる。

(2)そうすると、証拠調べ通知に示した各ウェブサイトのページの存在は、本願商標「黄色(単色)」の登録の妨げにはならないものであり、本願商標である「黄色(単色)」は請求人の「バスによる輸送,バスによる企画旅行の実施」の役務に関し、使用により識別力を獲得しているため、本願商標は商標法第3条第2項に該当する。よって、本願商標は、登録すべきものである。

5 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、黄色(RGBの組合せ:R255,G224,B0)のみからなるものであり、第39類「バスによる輸送,バスによる企画旅行の実施」を指定役務とするものである。

(2)取引の実情について

役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、役務の魅力向上のために採択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。

そして、役務の提供の用に供する物や広告には、様々な色彩が用いられており、本願商標の色彩に近似する色彩についても、原審で示した事実のほかに、別掲2のとおり、本願の指定役務と関係の深い業界において、バスの車体やウェブサイトに使用されている実情がある。

(3)請求人による本願商標の使用について

請求人は、「本願商標の色彩は、需要者にとり、請求人の提供する役務を表す『出所表示』として十分に強力に認識されている。」旨主張し、証拠として、原審において第1号証ないし第87号証を、当審において第88号証ないし第282号証(以下「甲1」、「甲2」のように省略して記載する。)を提出しており、これらの証拠及び請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 請求人について

請求人は、昭和24年から、約68年間にわたって観光バス事業を行っている株式会社である。

イ 本願商標の使用状況及び使用開始時期について

(ア)請求人は、昭和46年頃から請求人の運行する観光バスの車体に、本願商標と同じ色彩と認識される黄色(以下「本願黄色」という。)を使用している(甲1)。

(イ)請求人の運行する観光バスについて、複数のテレビで紹介され(甲2〜甲22、甲105〜甲162、甲258〜甲282)、新聞(甲49〜甲62、甲199〜甲210、甲245、甲249、甲251、甲252、甲255、甲256)、書籍・雑誌(甲1、甲23〜甲48、甲163〜甲196、甲241〜甲244、甲246〜甲248、甲250、甲253、甲254、甲257)、パンフレット等(甲63〜甲73等)の媒体においても、本願黄色の車体のバスの写真やイラストと共に、請求人の観光バス事業や企画旅行などが紹介されている。

(4)商標法第3条第1項第6号該当性について

上記(2)によれば、黄色の色彩のみからなる本願商標は、役務の魅力向上のために使用される色彩と認識されるものであって、また、本願商標と近似する色彩が、請求人以外の者によって、バスの車体やウェブサイトに使用されていることからすれば、何人もその使用を欲するといい得るものであり、これを一私人に独占させることは妥当ではない。

そして、上記(3)によれば、請求人は、昭和24年から、約68年間にわたって観光バス事業を行っている株式会社であって、昭和46年頃から観光バスの車体に本願黄色を使用しており、テレビ、新聞、書籍・雑誌、パンフレット等で当該観光バスと共に請求人の観光バス事業や企画旅行などが紹介されていることが認められるとしても、提出された証拠から確認できる請求人が運行する観光バスは、その車体に、赤く特徴的な書体で「HATO BUS」等の文字が目立つ態様で表示されており、当該観光バスの車体の本願黄色の色彩のみが、請求人の役務の出所識別標識として強く印象付けられるとはいい難いものである。

その他、提出された証拠からは、本願黄色のみが取引者、需要者において、請求人の役務の出所を表示するものとして、又は自他役務の識別標識として認識されていると認めるに足りる事実は見いだせない。

そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、これが何人かの業務に係る役務であることを認識させるということはできず、本願商標の色彩についての需要者の認識を客観的に把握することもできないことから、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものとは認められない。

以上のことからすると、本願商標は、黄色の色彩のみからなる商標であるところ、その指定役務との関係において、一私人による独占使用が妥当でないことに加え、請求人の使用により識別力を獲得したとも認められないものであるから、これを本願の指定役務に使用しても、これに接する需要者は、その役務の提供の用に供する物や広告等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、これを役務の出所を表示するものとして、又は自他役務を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(5)請求人の主張について

ア 請求人は、「『色彩は、役務の魅力向上等のために使用されるもの』との見解は、第三者たる者の客観的考察を示した裏付けの資料や文献が欠けている、原審審査官の独自の見解である。」旨主張している。

しかしながら、当審において通知した証拠調べ通知に示したとおり、本願の指定役務と関係の深い業界において、同種の色彩を含めた多種類の色彩が、広告や役務の提供の用に供する物等に使用されている。

そして、これらの色彩は、広告や役務の提供の用に供する物が通常有する色彩といえるものであって、これに接する取引者、需要者の注意を引くために、装飾的に使用しているものとみるのが相当であるから、原審審査官の独自の見解であるとはいえない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

イ 請求人は、証拠調べ通知に対する意見書において、「色彩のみからなる商標登録願の場合、他者の同系色の使用については、当該他者の『出所表示』となる場合には、該商標登録願に対する登録の可否の判断上考慮すべき要因になるが、当該他者の使用が全くの『装飾色彩』で『出所表示』ではない場合には、商標の本質、裁判所の判例、商標法の諸条項からして、該商標登録願に対する登録の可否の判断上考慮すべき要因とはならないものと解せられる。」旨述べて、証拠調べ通知で示された各ウェブサイトの証拠について、黄色の単色と認識されないものであったり、出所表示とは認識されないものであるから本願商標の登録の妨げにはならない旨主張している。

しかしながら、証拠調べ通知において示した例は、色彩のみからなる商標を一私人が独占使用することの妥当性について判断する上で、他人による使用の実情を調査した結果として、役務の提供の用に供する物や広告において本願商標と近似した色彩を含む様々な色彩が普通に使用されている例を示したものであって、これらの例は、本来、色彩は役務の魅力向上等のために装飾的に使用されるものであることの証左として、本願商標の登録の可否を判断する上で考慮されるべき事実といえるものである。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(6)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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