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Trademark Appeal Case

縁起だるまの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−8149(T2018−8149/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「縁起だるま」を標準文字で表してなり、第28類の願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年2月3日に登録出願されたものである。

そして、願書記載の指定商品については、原審における平成29年10月6日付けの手続補正書により、第28類「だるま」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「縁起だるま」の文字を標準文字で表示してなり、指定商品は、第28類「だるま」である。そして、「だるま」は、縁起物とされているところ、「縁起だるま」の文字(語)は、「だるま」を指称するものとして広く一般に使用されていることが認められる。そうすると、本願商標は、これを指定商品「だるま」について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、「縁起だるま」の文字を自他商品の識別標識と認識するよりも、「縁起物のだるま」であることを表示したものと看取、認識するにとどまるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識として認識することができないものである。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

また、請求人は、「黄檗宗少林山達磨寺」及び「縁起だるま発祥の寺」等と称している寺であることは認められるとしても、その範囲は高崎市を中心とした関東地方とみるのが相当であって、北海道等全国的に認識することができるものと認めることはできないから、本願商標が「だるま」に使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。

第3 当審における証拠調べ通知

本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成31年3月29日付けで証拠調べの結果を通知したところ、請求人からは、何ら応答がなかった。

第4 当審の判断

1 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性

(1)本願商標について

本願商標は、「縁起だるま」の文字を標準文字で表示してなり、指定商品は、第28類「だるま」である。

「だるま」の語は、「達磨大師の坐禅した姿に模した張子の玩具。開運の縁起物とし、願いごとがかなった時に目玉を描き入れるならわしがある。」(広辞苑第6版 岩波書店)の意味を有し、「縁起だるま」の語は、別掲1のとおり、「縁起物として社寺の縁日などで売るだるま」(日本国語大辞典第2版 小学館)を意味する語との記載がある。

(2)取引の実情について

「縁起だるま」の語については、指定商品「だるま」を扱う分野における、別掲2に記載の取引の実情によれば、「縁起物としてのだるま」程の意味合いを表す語として、広く一般に使用されている実情がうかがえる。

(3)請求人による本願商標の使用について

ア 当審において請求人から提出された証拠及び請求人の主張によれば、以下の請求人による本願商標に関連する事実が認められる。

(ア)請求人は、1697年、祈願寺として「観音菩薩」「達磨大師」とともに「北辰鎮宅霊符尊」を本尊として開創された。請求人は、「黄檗宗 少林山達磨寺」、「縁起だるま発祥の寺」及び「SHORINZAN DARUMAJI」と称している(資料3〜6、18、58)。

(イ)請求人は、「縁起だるまの由来」として、天明の大飢饉(1782〜1788年)の後、少林山第9代目の東獄和尚が、農民たちを救済する復興活動として、「一筆達磨札」をもとに木型を彫り、農家の副業になるよう張り子のだるまの作り方を伝授したのが始まりである旨紹介した(資料7)。

(ウ)請求人は、自身を「縁起だるま発祥の寺」と称する新聞広告(新潟日報2回、日刊スポーツ1回)、高崎市JR列車時刻表における広告を行った(資料39、56、58、77、88)。

(エ)請求人は、自身の境内において、祈祷法要をした名入れ達磨及び福入り達磨の注文を電話等で受け付けている。請求人は、自身の寺の境内において、「名入れだるまの予約を承ります」と記載した紙を掲示の上、だるまを販売した。請求人は、「名入れ達磨」、「名入れだるま」、「開眼後のだるま」及び「福入り」等と称しただるまを販売しているが、「縁起だるま」と称しただるまは販売していない(資料9の1、61の1〜3)。

請求人が販売する「名入れだるま」の注文者名簿における注文者の住所表示によれば、群馬県を中心とした関東地方からの注文が大半の割合を占めている(資料59、60)。

(オ)「岡田(だるま店)」、「国鋒べっこう屋商店」及び「小池だるま店」は、請求人に「名入れ達磨」及び「招き猫」を販売した(資料10ないし13)。

「吉田だるま店」は、「縁起だるま0.3号」又は「縁起だるま」と称しただるまを請求人に販売した(資料14の1〜7、9〜12)。

(カ)上毛かるたには、「え」の札に「縁起(えんぎ)だるまの少林山(しょうりんざん)」と紹介された。(資料15〜17)。

(キ)「縁起だるま発祥の寺 少林山 七草大祭 だるま市」(「少林山達磨寺」が主催するもの(資料19の1)と「少林山達磨寺内少林山七草大祭運営委員会」が主催するもの(資料19の2)がある。)は、平成28年〜同30年の1月6日〜7日に開催された。当該催しに関するチラシが作成され、朝日新聞(群馬版)等の新聞における広告記事が掲載された。また、当該催しは、「市めくり」(株式会社京阪神エルマガジン社)などの雑誌等において紹介された(資料19、37、38、50、65〜74、77、80〜87、89)。

(ク)請求人は、「縁起だるま発祥の寺」としての誕生を祝う意味もあわせて「達磨まつり」を毎年10月5日に開催している。(資料8、18)。

(ケ)請求人は、「少林山達磨寺」、「縁起だるまの少林山」及び「縁起だるま発祥寺少林山達磨寺」と「縁起だるま発祥の寺」として、高崎市のホームページ、公報高崎、観光たかさき、及び高崎市市勢要覧に紹介された(資料20〜23)。

(コ)請求人は、「『縁起だるま』発祥の寺として知られる少林山達磨寺」「縁起だるまの少林山」「『縁起だるま』発祥の寺」等として新聞において紹介された(ぐんま経済新聞1回、群馬建設新聞1回、観光経済新聞1回、産経新聞11回、信濃毎日新聞1回、中日新聞1回、日本経済新聞2回、東都新聞1回、上毛新聞13回、中外日報1回、朝日新聞2回、東京新聞6回、読売新聞1回、日刊スポーツ1回、毎日新聞2回及びたかさき毎日1回)(資料24〜36、76、78、79)。

(サ)請求人は、「『縁起だるま』発祥の寺として知られる少林山達磨寺」、「縁起だるまの少林山」、「『縁起だるま』発祥の寺」、「縁起達磨をまつる歴史深い寺院」、「縁起だるまがいっぱい!」等として、「JOMO高崎の生活情報誌 Takataiタカタイ」、「JOMO TAKASAKI」、「群馬よみうり プラス」、「お寺と神社の地図帳 ハンディ版」、「市めくり」、「Komachi」「Shin 2015 VOL.84」(群馬信用組合発行)、「関東東北 じゃらん」、「おでかけ群馬 2016−17」、「読売新聞ご購読者様限定販売」のチラシ(松戸市(株)アイパル)、「仏教ライフ」(一般社団法人 仏教情報センター 東京都文京区)、「OZmagazine」、「BikeJIN」、高崎市国際交流協会パンフレットなどで紹介された(資料40〜45、47〜49、51〜55、57、75、89、90、92、93〜106)。

(シ)請求人は、「縁起だるまの発祥の地」、「高崎縁起だるま発祥のお寺」、「縁起だるま発祥の寺」及び「縁起だるまの少林寺」等として、ウェブサイト上で紹介された(資料109〜111、114〜116)。

イ 上記アの認定事実によれば、請求人は、「黄檗宗 少林山 達磨寺」及び「縁起だるま発祥の寺」等と称している寺であり、縁起だるま発祥の寺として、新聞雑誌等を通じて紹介されているものと認められる。

しかしながら、請求人に関する紹介記事が掲載された新聞や雑誌の多くは、群馬県を中心とした関東地方や一部の地域において配布されているものであるから、その認識は、関東の一地方の需要者の間に限り、ある程度知られていたものといえ、需要者の間に広く認識されていたとまではいい得ないものである。

また、請求人が、指定商品「だるま」について、「縁起だるま」の文字を使用して販売した事実(販売先、販売数量の推移等の販売実績)や商品の宣伝広告に用いたといった客観的な証拠(宣伝広告の方法、期間、地域及び規模等を示すもの)は無い。

(4)請求人以外の者による「縁起だるま」の語の使用状況

別掲2(1)、(2)、(4)、及び上記(3)ア(オ)によれば、請求人以外の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を製造又は販売した事実が認められる。

(5)小括

以上を踏まえると、請求人が、一地方の需要者の間に限り、縁起だるま発祥の寺としてある程度知られているとしても、指定商品「だるま」について、本願商標を使用して販売した事実や本願商標を使用して商品の宣伝広告を行ったといった客観的な証拠は無く、他方、上記(4)によれば、請求人以外の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実が認められる。

そうすると、本願商標を指定商品「だるま」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合い、すなわち「縁起物としてのだるま」であることを理解するにとどまるものであって、本願商標は、指定商品の特性を説明する語によって構成された商標であると解されるから、自他商品の識別標識として認識することができないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 請求人の主張

請求人は、請求人の取扱いに係るだるま本体には、「縁起だるま」の表示は認められないものの、請求人は「縁起だるま」発祥の寺として、日本全国で認知されているところ、同だるまの購入者が、請求人から購入するだるまが「縁起だるま」であることを認知していないとは到底考えられず、同だるまの購入者は、「縁起だるま」であることを認識し、それ故に購入しており、このことは、拒絶査定においても、「縁起だるま」と称した「だるま」が出願人に納品されていることが認められているとおり、取引者業者においても、請求人の取扱に係るだるまは「縁起だるま」であると認識していることは明らかであることなどから、本願商標は請求人のだるまを示す商標として全国的に認識され、自他商品識別力を獲得している旨主張する。

しかしながら、上記1(5)のとおり、「縁起だるま」の語は、縁起物としてのだるま程の意味合いを表す語として広く一般に称されているものである。

そして、請求人は、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実がない上に、請求人以外の複数の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実が認められる。

なお、請求人が他者より「縁起だるま」と称した「だるま」を購入した事実は、請求人が本願商標を「だるま」に使用した事実を示すものとは認められず、むしろ「縁起だるま」が商品の出所表示としてではなく、商品「だるま」の特性を表したものとして取引に資されているといえる。

そうすると、本願商標を指定商品「だるま」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「縁起物としてのだるま」であることを理解するにとどまるものであって、本願商標は指定商品の特性を説明する語によって構成された商標と解されるものである。

したがって、本願商標が「だるま」に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとは認められない。

よって、請求人の上記主張は採用できない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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