sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性:要部と非要部

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900191(T2018−900191/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6039593号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6039593号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOTULTOX」の欧文字を横書きしてなり、平成29年8月14日に登録出願、第3類「化粧品,美顔用パック,日焼け止めクリーム,シャンプー,ヘアリンス,洗顔料,せっけん類,歯磨き粉,香水,ネイルエナメル」を指定商品として、同30年4月10日に登録査定、同年4月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)商標法第4条第1項第11号の引用商標

ア 登録第4492558号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「BOTOX」及び「ボトックス」の2段書き

登録出願日:平成12年5月30日

設定登録日:平成13年7月19日

指定商品 :第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」

イ 登録第5053263号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:BOTOX(標準文字)

登録出願日:平成18年11月1日

設定登録日:平成19年6月8日

指定商品 :第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」

(2)商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の引用商標

ア 登録第4049836号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:ボトックス

登録出願日:平成7年6月8日

設定登録日:平成9年8月29日

指定商品 :第5類「薬剤」

防護標章登録第1号

指定商品・役務:第3類「化粧品,せっけん類」並びに第10類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

イ 登録第5065393号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:BOTOX(標準文字)

登録出願日:平成19年1月31日

設定登録日:平成19年7月27日

指定商品 :第5類「神経障害治療用薬剤,筋失調症治療用薬剤,平滑失調症治療用薬剤,自律神経失調症治療用薬剤,頭痛薬,しわ治療用薬剤,多汗症治療用薬剤,スポーツ障害治療用薬剤,脳性麻痺治療用薬剤,痙攣治療用薬剤,震え治療用薬剤,鎮痛剤,その他の薬剤」

防護標章登録第1号

指定商品・役務:第3類「化粧品,せっけん類」並びに第10類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標1の欧文字部分及び引用商標2とは、本件商標の前半部が引用商標1及び引用商標2の「BOT」と共通であり、本件商標の最後の3文字が引用商標1及び引用商標2の「TOX」と同じであるから、外観において類似する。

さらに、本件商標は、「ボツルトックス」の称呼を生じ、これに対して、引用商標1及び引用商標2は、「ボトックス」の称呼を生じるものであり、中間部における「ツル」の音の有無のみを異にし、該音は、ともに「ウ」を母音とする音であるから、こもりがちに発音される音であって、強く発音される語頭音の「ボ」の後に続くために一層弱く発音され、これらに続く「ト」は、促音を伴っていることから、跳ねるように強く発音される。

その結果、本件商標は、語頭音の「ボ」と第4音からの「トックス」が聴者の印象に残り、両称呼の差異は、称呼においてそれほど重要ではなく印象的ともいい難い中間部であることから、聴者にとって明確に意識され認識される差異ではない。しかも、両称呼は、語頭部分の「ボ」及び語尾部分の「トックス」を共通にしており、中間部に促音を含んでいるという構成上の特徴も共通しているから、称呼において類似する。

したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観及び称呼において類似の商標であり、観念の類似性について論じるまでもなく、相互に類似する商標である。

また、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品は、同一又は類似の商品である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、医療用医薬品メーカーとして世界的に周知、かつ、著名な存在であって、1989年に眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状を治療するための画期的な商品「BOTOX」を開発し、同年、アメリカ合衆国において承認されて以来、2003年までに70か国以上、現在では85か国において承認されている。

我が国において、「BOTOX」は、1995年2月に承認され、1997年4月から販売が開始され、その売上額が増加傾向にある。

さらに、「BOTOX」は、筋弛緩作用の応用によりしわやたるみの除去などの美容整形にも適応することが判明し、一般の美容整形目的でも使用されるようになり、美容整形ブームともあいまって、より一層広く一般に、とりわけ女性によく知られる存在となった。

このように、引用商標3及び引用商標4は、日本又は外国において美容業界ばかりでなく、広く一般に著名な商標となっており(甲3〜甲14)、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、当該商品は、申立人又はその関連会社の業務に係る商品であるかのごとく認識されることとなり、商品の出所について混同を生じるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第19号について

引用商標3及び引用商標4は、申立人の製造、販売に係る商品を表示するものとして、我が国において一般の需要者、取引者の間で広く認識されている著名商標であり、申立人の商品に係る信用が化体した需要な財産である。 本件商標は、上述のように当該著名商標と類似するにもかかわらず、申立人の同意を得ることなく無断で登録されたものである。

これは明らかに、引用商標3及び引用商標4が有する著名性を不当に利用しようとするものであり、その商標の構成それ自体に商標権者の不当な意図が現れている。

換言すれば、本件商標の商標権者は、申立人の引用商標3及び引用商標4が名声、信用を有することを十二分に理解し認識した上でそれにあやからんとし、高い顧客誘引力を利用することを目的として、「BOTOX」をわずかに変形させた本件商標を創作したというべきである。

したがって、本件商標は、我が国における公正な商取引秩序を害し、信義則に反するものであるから、引用商標3及び引用商標4に化体した申立人の信用、名声、顧客誘因力等に内在する計り知れない価値を毀損するおそれがある。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものである。

4 当審の判断

(1)引用商標3及び引用商標4の周知著名性について

申立人の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

ア 申立人は、医療医薬品メーカーであって、1989年に眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状を治療するための薬剤(以下「申立人商品」という。)を開発し、「BOTOX」と命名してアメリカ合衆国で承認されて以来、2003年までに70か国以上、現在では85か国で承認されている。

また、我が国において、「BOTOX」は、1995年2月に承認され、1997年4月から販売が開始され、1997年から2005年の売上額は、増加傾向にある。

さらに、「BOTOX」及び「ボトックス」は、筋弛緩作用の応用によりしわやたるみの除去などの美容整形にも適応することが判明し、一般の美容整形目的でも使用されるようになった。

イ 申立人は、引用商標3及び引用商標4の著名性の証拠として、平成24年2月10日の防護標章登録証(甲4、甲5)、平成17年9月9日の異議決定(甲6)、平成20年2月15日、同21年2月17日、及び同年9月4日の審決(甲7〜甲9)、平成18年8月21日の拒絶理由通知書及び同年11月20日の拒絶査定(甲10)を提出しており、上記異議決定及び審決等において、その周知性が認められている。

ウ しかしながら、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標3及び引用商標4を使用した申立人商品についての我が国における市場占有率(販売シェア等)、売上げ高、宣伝広告の詳細など、使用の事実を量的に把握することができる資料は提出されておらず、客観的な使用事実に基づいて引用商標3及び引用商標4の使用状況を把握することができないから、その周知著名性の程度を推し量ることができない。

そうすると、申立人が提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、引用商標3及び引用商標4が申立人商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、前記1のとおり、「BOTULTOX」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、その構成文字から「ボツルトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標1及び引用商標2について

(ア)引用商標1は、前記2(1)アのとおり、「BOTOX」の欧文字及び「ボトックス」の片仮名を2段に書してなるところ、両文字は、いずれも辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、また、下段の「ボトックス」の片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものである。

してみれば、引用商標1は、その構成文字全体から「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(イ)引用商標2は、前記2(1)イのとおり、「BOTOX」の欧文字を標準文字で表してなるところ、上記(ア)と同様に、その構成文字から「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について

(ア)本件商標と引用商標1とを比較すると、両者は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成からなるところ、外観においては、欧文字「ULT」の3文字の有無及び片仮名の有無という点において相違するから、明確に区別できるものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「ボツルトックス」と引用商標1から生じる「ボトックス」の称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。

そして、観念においては、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。

(イ)本件商標と引用商標2とを比較すると、両者は、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成からなるところ、外観においては、欧文字「ULT」の3文字の有無という差異を有するから、明確に区別できるものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「ボツルトックス」と引用商標2から生じる「ボトックス」の称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。

そして、観念においては、本件商標と引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標3及び引用商標4の周知著名性について

上記(1)のとおり、引用商標3及び引用商標4は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものである。

イ 本件商標と引用商標3及び引用商標4の類似性の程度について

引用商標3は、前記2のとおり「ボトックス」の片仮名からなり、また、引用商標4は、「BOTOX」の欧文字からなるものであって、これらは上記(2)イのとおり、引用商標1及び引用商標2と同じ構成文字からなるものであるから、上記各引用商標と同様に、その構成文字から「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

そうすると、本件商標と引用商標3及び引用4とは、上記(2)の引用商標1及び引用2と同様に、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼においても相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、その印象が明らかに異なる別異の商標というべきものである。

ウ 出所混同のおそれについて

上記ア及びイによれば、引用商標3及び引用商標4は、申立人商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、上記のとおり、明らかな差異を有する別異の商標である。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標3及び引用商標4を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標3及び引用商標4は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間広く認識されていた商標と認めることができないものであり、また、外国においての周知著名性を裏付ける証拠の提出はなく、上記(3)イのとおり、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。

さらに、本件商標権者が、引用商標3及び引用商標4にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)その他

申立人は、「『BOTOX』及び『ボトックス』の周知・著名性を立証するための資料を提出する必要はないと解するので、提出を省略するが、必要ならば提出する用意がある。」旨主張しているが、上記(3)イのとおり、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、非類似の商標であって明らかに別異の商標であるから、提出された証拠をもって、上記(3)及び(4)のとおり判断した。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。