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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900248(T2018−900248/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6051283号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6051283号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2017年9月14日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成30年3月14日に登録出願、第35類「事業におけるマーケティング,事業に関する指導及び助言」を指定役務として、同年5月10日に登録査定、同年6月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

1 登録第5963236号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:MKTG(標準文字)

登録出願日:平成27年11月12日(優先権主張:英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国) 2015年8月19日)

設定登録日:平成29年7月14日

指定役務:「印刷物・オーディオ・ビデオ及び電子メディアを介した委託による他人の商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理並びにマーケティング,事業に関する指導及び助言」を含む第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

2 登録第5963237号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成27年11月12日(優先権主張:リヒテンシュタイン公国 2015年7月28日)

設定登録日:平成29年7月14日

指定役務:「印刷物・オーディオ・ビデオ及び電子メディアを介した委託による他人の商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理並びにマーケティング,事業に関する指導及び助言」を含む第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成から「エムケーティージー」の称呼を生ずる。他方、引用商標1及び引用商標2は、その構成からして「エムケーティージー」の称呼をも生ずるものであるから、両者は、称呼を共通にする類似の商標であり、その指定役務も同一又は類似のものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、広く申立人の商標として一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの円図形内に白抜きで「THE」、「MKTG」及び「STR」の各文字を斜め右上がりで三段に書し、円図形内中央部分には該三段の文字の一部が灰色に着色されたものであるところ、各構成文字は、同書同大で、黒塗りの円図形内にまとまりよく配してなり、各構成文字のいずれかが、強く支配的な印象をもって認識されるものとはいえず、三段の文字が一体のものと看取される態様で表されてなるものである。

そして、該構成文字全体は、辞書等に採録されていないものであるから、これより、特定の意味合いを認識させるものではない。

そうすると、本件商標は、やや冗長であるとしても「ザエムケーティージーエスティーアール」の称呼を生じ、特定の観念を生じるとはいえない。

(2)引用商標について

引用商標1は、前記第2のとおり、「MKTG」の欧文字からなるところ、該文字は、辞書等に採録されておらず、何らかの略語として知られているといった事情も見いだせない。

そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「エムケーティージー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

また、引用商標2は、別掲2のとおりの構成からなるところ、文字が特定できない程に図案化している態様というべきであるから、これより特定の称呼、観念を生じるとはいえない。

(3)本件商標と引用商標との類否について

ア 外観について

本件商標と引用商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであり、外観において顕著な差異を有するから、明確に区別できるものである。

イ 称呼について

本件商標から生じる「ザエムケーティージーエスティーアール」の称呼と引用商標1から生じる「エムケーティージー」の称呼を比較すると、中間における「エムケーティージー」の音を共通にするとしても、語頭における「ザ」及び語尾における「エスティーアール」の音の有無という顕著な差異を有するから、本件商標と引用商標1は、称呼において、明瞭に聴別できるものである。

なお、引用商標2からは、特定の称呼は生じないから、本件商標と引用商標2は、称呼において紛れるおそれはない。

ウ 観念について

本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないから、両者を比較することができない。

エ そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観において明確に区別できるものであり、称呼において紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標というべきである。

オ 申立人の主張について

申立人は、本件商標の構成中「THE」は定冠詞であり、捨象されやすく、「STR」は「『汽船』を意味する『steamer』や、『まっすぐな』の意味を有する『straight』や、『道』を意味する『street』の略語」であり、「MKTG」は特定の意味を有しない造語であって、構成文字全体から生ずる「ザエムケーティージーエスティーアール」の称呼は極めて冗長であるから、「MKTG」の文字部分が本件商標の要部であり、該文字に相応して「エムケーティージー」の称呼を生ずる旨を主張している。

しかしながら、本件商標は、前記のとおり、まとまりよく一体として認識されるとみるべきであって、「MKTG」の文字部分が強く支配的な印象を与える態様とはいえず、他の構成文字部分から自他役務の識別標識としての称呼が生じないとみるべき合理的理由は見当たらないものであるから、本件商標から「MKTG」の文字部分を抽出して、この文字部分と他の商標とを比較し、商標自体の類否を判断することは許されないというべきである。

したがって、申立人の主張は採用できない。

(4)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、役務の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の著名性

ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、国際的なライフスタイルマーケティングの代理店であり、毎年80,000以上のブランド体験を生み出している(甲5)。

(イ)申立人は、2014年から株式会社電通の傘下に属しており(甲8)、2016年4月27日には、オーストラリア支店を開設(甲13)、イギリスにおける代理店の統合(甲14)や、カナダにおいて他社が平昌オリンピックの代理となるサポート(甲17)等を行い、また、オーストラリアサッカー連盟と代理店契約を結んだ(甲18、甲19)。

(ウ)申立人は、ソーシャルネットワーキング(以下「SNS」という。)を通じて世界中の消費者に情報を提供しており、それぞれのSNSの画面において引用商標を使用している。各SNSのフォロワー数は、ツイッター3,587人、インスタグラム5,312人、フェイスブック9,441人にも及んでおり(甲9〜甲12)、引用商標の周知性は極めて高いことを推認できる。

イ しかしながら、申立人がライフスタイルマーケティングの代理店であり、株式会社電通の傘下に属し、上記ア(イ)及び(ウ)のような活動をしているとしても、上記主張における「毎年80,000以上のブランド体験」の詳細は何ら明らかにされておらず、引用商標がいかなる役務について、どのように使用されているかを把握することができない。

また、申立人が情報提供していると主張するSNSの画面に引用商標が表示されているとしても、提供している役務の内容が不明であるばかりか、そのフォロワー数もさほど多いとはいえない。

さらに、引用商標が周知・著名性を獲得している事実として提出された証拠(甲9〜甲22)は、全て英文表示のものであって、抄訳(甲23)が提出されているとしても、これらが、直ちに我が国における引用商標の周知性を証明する証拠であると認めることはできない。

その他、引用商標を使用した役務の宣伝広告の実態や、引用商標を使用して提供した役務の規模、提供時期、提供地域、需要者数等、引用商標の周知性の程度を推し量るために必要な具体的な証拠は何ら提出されていない。

したがって、提出された全証拠をもってしても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国において申立人の業務に係る役務を表示するものとして広く知られていたとは認められない。

(2)本件商標と引用商標との類似性の程度

前記1(3)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって、類似性の程度は低いものである。

(3)役務の関連性

上記(1)のとおり、引用商標を使用して提供した役務の内容は必ずしも明確であるとはいい難いものの、申立人が主張している「ブランド体験」と本件商標に係る指定役務中「事業におけるマーケティング」とを比較してみた場合には、「ブランド体験」とはマーケティング手法の一種であり、互いに関連性を有するものといえる。

(4)需要者の共通性

「マーケティング」の役務として、その需要者が共通する場合があることは否定できない。

(5)小括

上記(1)ないし(4)を総合して判断すると、本件商標に係る指定役務と引用商標を使用して提供する役務とは、一定の関連性があり、その需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間において広く知られていたものとは認めることができず、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって、類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標をその指定役務について使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきである。

してみれば、本件商標は、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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