Trademark Appeal Case
記述的結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−9866(T2018−9866/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第44類「医業・健康診断・歯科医業・調剤に関する情報の提供,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,医療用機械器具の貸与」を指定役務として、平成29年6月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ありふれた四角形内に『東京23区の1つ』の『世田谷』の文字と、これに相応する『SETAGAYA』の文字及び『人工関節・脊椎』の文字と『整形外科の』を意味する『ORTHOPAEDIC』の文字、並びに『診療所』を意味する『クリニック』、『CLINIC』の文字からなるところ、全体として『世田谷区にある人工関節・脊椎についての整形外科の診療所』程の意味合いを容易に認識させる。よって、これをその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、該役務が世田谷区にある人工関節・脊椎についての整形外科の診療所で提供する役務であると認識させるにとどまり、単に役務の質(内容)、提供の場所を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、提出された証拠からは、本願商標が出願人に係る役務を表示するものとして需要者の間で認識され、識別力を発揮しているとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成31年3月11日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べた。
(1)本願商標は、文字、図形及び色が一体となって、シンプルでありながらも独特のデザイン性を備えており、視覚上特異な商標として看者に印象付けられるものであるから、指定役務に使用しても、自他役務識別標識としての機能を十分果たし得るものである。
(2)病院名の日本語表記と英語表記とを整合させるのが、本願の指定役務の分野において普通であり、本願商標の文字の選択及び組合せは、当該分野において異質なものであり、本願商標は、役務の質(内容)、提供の場所を普通に用いられる方法で表示するものではない。
(3)「世田谷人工関節・脊椎クリニック」の名称は、様々なメディアで露出しており、全国的に高い認知度を示しており、本願商標に接した需要者は、本願商標が「世田谷人工関節・脊椎クリニック」に係る役務であることを認識する。よって、本願商標は、商標法第3条第2項の規定が適用され、商標登録を受けることができる。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、緑色に塗られた縦長長方形の内側に白抜きの横線を配し、その上部に白抜きの文字で「SETAGAYA」、「ORTHOPAEDIC」及び「CLINIC」の欧文字(以下「上部文字部分」という。)を三段に書してなり、さらに、白抜きの横線の下部に同様に白抜きの文字で「世田谷」、「人工関節・脊椎」及び「クリニック」の文字(以下「下部文字部分」という。)を三段に書してなる構成からなるところ、その構成中の「SETAGAYA」、「世田谷」の文字は「東京23区の一つ」の意味を、「CLINIC」、「クリニック」の文字は「診療所」の意味を(「プログレッシブ英和中辞典」小学館)、「ORTHOPAEDIC」の文字は「整形外科の」の意味を(同参照)、「人工関節・脊椎」の文字は「機能が著しく低下した関節を再建するために用いられる医療器具」及び「脊柱をなす骨」の意味を有する語(「デジタル大辞泉」小学館)であり、上部文字部分からは「世田谷に所在の整形外科のクリニック(診療所)」の意味合いを、下部文字部分からは「世田谷に所在の人工関節・脊椎に関するクリニック(診療所)」の意味合いを看取させるものである。
また、別掲2によれば、「人工関節・脊椎」の文字は整形外科の分野において使用されている実情があり、また、「人工関節クリニック」、「脊椎クリニック」等の文字が使用され、さらに、世田谷区に所在するクリニックの名称に「世田谷○○○クリニック」などの文字が使用されている実情がある。
そして、本願商標の構成態様についてみるに、その構成は、ありふれた縦長長方形状の緑色を背景に、特異な書体とは認められない白抜きの文字と横線を表したものであるから、全体として、視覚上特異な構成態様ということはできないとみるのが相当である。
以上のことからすると、本願商標は、本願の指定役務との関係において、「世田谷に所在の整形外科のクリニック(診療所)」又は「世田谷に所在の人工関節・脊椎に関するクリニック(診療所)」程の意味合いを看取させるにとどまるものであるから、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものであり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定が適用され、商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、審判請求書に添付の添付資料1ないし添付資料9及び証拠調べ通知に対する意見書に添付の添付資料1ないし添付資料5を提出している。
しかしながら、提出された証拠において本願商標と同一の商標の使用が確認できるのは、審判請求書に添付の添付資料7のパンフレットのみであり、請求人の主張によれば、当該パンフレットは、請求人のクリニックで配布し、ウェブサイトに掲載している旨主張しているが、これらの主張及び証拠からは、本願商標の使用状況などに関する事実を十分に把握することができないから、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができない。
また、提出された証拠からは、本願の指定役務のすべてについて、本願商標が使用されていることも確認できない。
したがって、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとは認められないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。
(3)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「本願商標は、『世田谷 人工関節・脊椎 クリニック』だけではなく、異なる意味の『SETAGAYA ORTHOPAEDIC CLINIC』という文字部分も含むものであり、全体としても一般的に使用されておらず、役務の質(内容)を直接的かつ具体的に表示したものではない。・・・本願商標は、『世田谷 人工関節・脊椎 クリニック』という日本語の文字部分と、異なる意味の『SETAGAYA ORTHOPAEDIC CLINIC』という英語の文字部分の両方を含む商標であり、少なくとも本願商標全体についてみれば、独占適応性を有するものである。」旨主張し、証拠調べ通知に対する意見書において、「病院名の日本語表記と英語表記とを整合させるのが、本願の指定役務の分野において普通であり、本願商標の文字の選択及び組合せは、当該分野において異質なものであり、本願商標は、役務の質(内容)、提供の場所を普通に用いられる方法で表示するものではない。」旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中の「ORTHOPAEDIC」の欧文字は、「整形外科の」の意味を有しており、別掲2のとおり、整形外科の分野において、手術等の治療の対象として「人工関節」、「脊椎」の文字が使用されていることからすると、「人工関節・脊椎」の文字は、整形外科の分野の具体的な治療の対象を表したものと認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標の構成中、上部文字部分と下部文字部分とは、異なる意味合いを表しているとまではいえないものであり、上記(1)のとおり、本願指定役務との関係において、それぞれの文字部分は、自他役務の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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