Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−10493(T2018−10493/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「サラサラリキッド成分」の文字を標準文字で表してなり,第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜き剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,歯磨き,動物用防臭剤,口中清涼剤,せっけん類,化粧品,香料,薫料,芳香剤」を指定商品として,平成29年5月2日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は「本願商標は,『サラサラリキッド成分』の文字を標準文字で書してなるところ,構成中の『サラサラ』の文字は,『物に粘り気や湿り気がないさま。さっぱりとしているさま。』程の意味を表し,『リキッド』の文字は,『液体』程の意味を表すものである。また,本願の指定商品を取り扱う業界において,『サラサラした液状の商品』及び『液状の成分を配合した商品』が製造・販売されている実情があることから,本願商標を,その指定商品中『サラサラした液状の成分を配合した商品』に使用したときは,これに接する取引者・需要者は,単に商品の品質を表示したものとして認識するというべきである。したがって,本願商標は,その指定商品中『サラサラした液状の成分を配合した商品』に使用するときは商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成31年1月31日付け証拠調べ通知書),相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)本願商標は,外観及び称呼において,一体不可分に認識される商標であり,「サラサラした液状の成分,さっぱりとした使用感の液状の成分」といった意味合いを直接的,具体的に認識されることはない。
(2)本願商標に接する取引者・需要者が,本願商標を複数の語により構成される結合商標であると認識するとしても,本願商標の構成が前半のカタカナ部分「サラサラリキッド」と,後半の漢字部分「成分」からなることから「サラサラリキッド」及び「成分」という2語より構成されていると認識される可能性が高く,「サラサラリキッド」については,何らの意味合いをも認識させることのない一種の造語を表したものと認識・把握されるとみるのが相当である。
(3)本願商標に接する取引者・需要者が,本願商標を「サラサラ」「リキッド」と「成分」に分離し,その各々の意味合いを認識した上で,再びこれらの意味同士を結びつけて本願商標の意味合いを認識したとしても,上記の語は,様々な語義を有する多義的な語であることから,本願商標は,極めて広範な意味合いに捉えられ,何らかの意味合いを間接的に表示,あるいは暗示させることはあったとしても,個々の意味合いは想起する取引者・需要者によってさまざまに異なってくるものであり,本願指定商品との関係において,直ちに商品の品質等を直接的,かつ,具体的に表示するものとして,これに接する取引者・需要者に理解・認識されることはないとみるのが相当である。
(4)したがって,本願商標をその指定商品について使用した場合,十分に自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
ア 本願商標は,上記1のとおり,「サラサラリキッド成分」の文字からなるところ,本願商標を構成する「サラサラ」,「リキッド」及び「成分」の各文字は,それぞれ「油気・粘り気・湿気などがなく心地よく乾いているさま。」,「液体。」,「一つのものを構成する部分となる要素。」の意味を有する広く知られている語である(別掲1)。
そうすると,本願商標は,その構成文字全体として,「さらさらした(粘りけなどがない)液状の成分」又は「さらさら(心地よく乾いているさま)にする液状の成分」程の意味合いを容易に理解させるものである。
イ 本願商標の指定商品中,「せっけん類」及び「化粧品」を取り扱う業界においては,以下のとおり,本願商標を構成する「サラサラ」,「リキッド」及び「成分」の各文字をそれぞれ組み合わせて商品の特徴又は品質を表示することが一般に行われている。
(ア)「サラサラリキッド」と同義と認められる「さらさらリキッド」の文字が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「・・・うるおい残してスッキリ落とすさらさらリキッドタイプ。」,「〜セカンドスキン効果のさらさらリキッドファンデ〜」のように,「使用した肌,髪等をサラサラにする液状の商品」又は「サラサラしている液状の商品」程の商品の特徴を表示する文字として使用されている(別掲2)。
(イ)「サラサラ成分」又は「さらさら成分」の文字が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「さらさら成分のオキサゾリン変性シリコンが髪に付着する。」,「さらさら成分とうるおい成分を新配合。」のように,「サラサラした商品」又は「皮膚又は髪等をサラサラにする商品」の商品の特徴を表す文字として使用されている(別掲3)。
(ウ)「リキッド成分」の文字が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「・・・リキッド成分により構成された特殊フィラメントがまぶたの表面を油分のない状態に保ち・・・」,「メイクの下にクッションの役割となるリキッド成分がなめらかに入り込み・・・」のように,「液状の成分」の品質を表示する文字として使用されている(別掲4)。
ウ 以上より,本願商標をその指定商品に使用したときは,これに接した需要者,取引者は,その商品が「使用した肌,髪等をサラサラにする液状の成分」又は「サラサラした液状の成分」を有している商品であることを理解するに止まり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。また,「使用した肌,髪等をサラサラにする液状の成分」又は「サラサラしている液状の成分」を有する商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,外観及び称呼において,一体不可分に認識される商標であり,一種の造語を表したものと認識・把握されるとみるのが相当である。」旨主張する。
しかしながら,本願商標が造語であるとしても,その構成全体をもって,「さらさらした(粘りけなどがない)液状の成分」又は「さらさらにする液状の成分」程の意味合いを容易に認識させるものであり,商品の出所識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ないことは,上記(1)のとおりである。
イ 請求人は,「サラサラ」「リキッド」と「成分」の語は,様々な語義を有する多義的な語であることから,本願商標は,極めて広範な意味合いに捉えられ,何らかの意味合いを間接的に表示,あるいは暗示させることはあったとしても,直ちに商品の品質等を直接的,かつ,具体的に表示することはない。」旨主張する。
しかしながら,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては上記(1)のとおり,「サラサラ(さらさら)」,「リキッド」及び「成分」の語をそれぞれ組み合わせて商品の特徴を表す文字又は商品の品質を表す文字として使用している実情にあることから,これらの3語を一連に「サラサラリキッド成分」としたとしても,これに接した需要者,取引者は,上記(1)のとおり,商品の特徴を表す文字又は商品の品質を表す文字として理解するに止まり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
ウ 請求人は,「さらさらリキッド」は平仮名部分と片仮名部分が混在しているがゆえに,需要者・取引者に「さらさら」と「リキッド」の結合であると認識されやすい構成であるといえるが「サラサラリキッド」はすべての文字が片仮名にて軽重なく同書・同大・同間隔に書してなる構成であるがゆえに,それに接する需要者・取引者は「サラサラ」と「リキッド」の結合であると認識するよりも,「サラサラリキッド」全体で一体不可分の造語として捉えると考えるのが自然である。」旨主張する。
しかしながら,商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で欧文字と片仮名を相互に変換して表記したりすることが一般的に行われていることに加え,上記(1)のとおり「サラサラ」及び「リキッド」の文字が,一般に広く知られている語であることから「サラサラリキッド」の文字が「サラサラ」及び「リキッド」の2語からなるものと容易に認識されることは明らかである。
エ 請求人は,過去の審決例及び登録例を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品との関係や,その商品の分野における取引の実情をも踏まえて,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた登録例及び審決例は,商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点やその指定商品が異なる点において,本願とは,事案を異にするものというべきであり,また,過去の登録例や審決例が存在することをもって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
オ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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