sokuhyo

Trademark Appeal Case

役務の質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−5673(T2018−5673/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「くせ毛専用カラー」の文字を横書きしてなり、第44類「頭髪の染毛,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務とし、平成29年1月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『くせ毛専用カラー』の文字を横書きしてなるところ、本願商標構成中の『くせ毛』の文字は、『生まれつき縮れたり波を打ったりする毛髪。』、『カラー』の文字は、『色。色彩。』の意味を、それぞれ有する語であり、パーマ・結髪・染毛等の美容術の施術を取り扱う業界においては、『カラー』の文字が、『自然の髪の色を永久染毛剤・半永久染毛剤・一時染毛剤などを用いて金髪・茶髪・銀髪などに染め変えること。また、その染毛剤。』の意味を有する『ヘアカラー』の略称として使用されている事実が認められる。また、『くせ毛専用カラー』の文字が、『くせ毛を持つ人を対象とした染毛』の施術名として使用されている事実も認められる。そうすると、本願商標は、全体として、『くせ毛を持つ人を対象とした染毛』程の意味合いを認識させるものと認められるから、本願商標をその指定役務中、『頭髪の染毛』に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『くせ毛を持つ人を対象とした染毛の施術』であることを理解、認識するにとどまり、単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ

本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、原審で提示した事実に加え、別掲1及び2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成30年12月26日付けで証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を求めた。

4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)

請求人は、上記3の証拠調べ通知に対し、以下のように述べた。

(1)証拠調べ通知において通知された証拠資料における「ヘアカット」等の役務は、「くせ毛専用」の文字が、役務の提供に当たり、くせ毛を持つ人に対して一定の効能を期待できるという事情を有するが、本願指定役務中の「頭髪の染毛」との関係においては、何らかの効能を期待できるとはいえないという点で事情が異なるため、通知された証拠資料が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断に参酌されることは、適当でない。

(2)「くせ毛」の文字と「カラー」の文字を結合した「くせ毛専用カラー」の文字は、特異な構成であり、また、当該文字が「頭髪の染毛」の役務において普通に用いられている事実はなく、加えて、「頭髪の染毛」の役務は、髪質ごとに区別されるものではないから、本願商標は、具体的な役務の内容を認識させることはできず、自他役務の識別標識としての機能を果たすものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号については、「同号が、指定商品(指定役務)の品質(質)、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について、商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、そのような商標が商品(役務)の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品(自他役務)識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53(行ツ)第129号参照)。」旨判示され、また、「同号は、指定商品(指定役務)の品質(質)、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品(役務)の品質(質)、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである(平成13年(行ケ)第207号参照)。」旨判示されているところである。

(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「くせ毛専用カラー」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「くせ毛」の文字は、「生れつき縮れたり波を打ったりする癖のある毛髪」の意味を、「専用」の文字は、「特定の目的・対象だけに用いること」の意味を有する語である。

また、「カラー」の文字は、「色、色彩」の意味を有する語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)であるが、美容の分野においては、別掲1のとおり、「頭髪の染毛」という施術名(メニュー)を表す語として普通に用いられているものである。

そして、本願指定役務中の「頭髪の染毛」は、髪の毛を、薬剤を使って染める施術であって、主に美容室等において、美容師によって提供される役務であり、「容貌、容姿、髪型を美しくすること」である「美容」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の目的のために、需要者がその提供を受けるものであるところ、美容の分野においては、別掲2のとおり、例えば、「・・・くせ毛専用トリートメントコース ・・・くせ毛でトリートメントをしても艶が出づらい方、ボリュームがおさまらない方必見!!」(別掲2(1))、「くせ毛専用カット・・・くせ毛の方の悩みを聞いてると ハネる 広がる パサつく が圧倒的に多いんですよね なのでくせ毛の方専用のカットにしています!!!」(同(3))、「デジタルパーマ J3(ジェイスリー)プラチナカール(くせ毛専用)/くせ毛や縮毛の人もあきらめないで!!くせ毛のところをストレートにしながら毛先を形状記憶カール。」(同(4))のように、「くせ毛専用」の文字が、提供する役務の内容や質を表す語と共に使用されて、くせ毛を持つ人を対象とした役務であることを表す語として使用されている。

そうすると、本願指定役務に関連する美容の分野においては、「くせ毛を持つ人を対象とした」ものであることを表す「くせ毛専用」の文字に、「頭髪の染毛」という施術名(メニュー)を表す「カラー」の文字を結合した「くせ毛専用カラー」の文字は、本願指定役務の取引者、需要者に、「くせ毛を持つ人を対象とした頭髪の染毛」であることを、一般に認識させるというのが相当である。

してみれば、本願商標をその指定役務中「頭髪の染毛」に使用するときは、「くせ毛を持つ人を対象とした頭髪の染毛の施術」であるという役務の質(内容)を表すものとして、取引者、需要者に認識される表示態様の商標であるというのが相当であり、自他役務の識別標識としては認識されないものである。

したがって、本願商標は、その指定役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3項に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、指定役務「頭髪の染毛」との関係においては、髪質を表す語と「カラー」の文字を結合した語は使用されておらず、「くせ毛専用カラー」は特異な構成であり、普通に用いられている事実もなく、当該役務は、髪質ごとに役務の提供が区別されるものでもないことからすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標より具体的な役務の内容を認識することはできないから、本願商標は自他役務の識別標識として機能する旨主張する。

しかしながら、上記(1)のとおり、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定役務の質を表すものとして認識される表示態様の商標につき、そのことゆえに登録を受けることができないとしたものであって、その表示態様が役務の質を表すものとして、現実に使用されていることは必ずしも必要ではないと解せられる。

そうすると、本願商標を構成する「くせ毛専用カラー」の文字が、美容の分野において、役務の質を表示するものとして実際に使用されていないとしても、本願商標に接する取引者、需要者は、上記(2)のとおり、これを「くせ毛を持つ人を対象とした頭髪の染毛」という役務の質(内容)を表すものとして認識、理解するにとどまるものというのが相当であるから、本願商標は自他役務の識別標識として機能するとはいえない。

イ 請求人は、証拠調べ通知で挙げられた「くせ毛専用」の文字が、役務の内容や質等を表す語と共に使用されて、くせ毛を持つ人を対象とした役務を表す語として使用されている例は、ヘアカットの施術やヘアトリートメントの施術等、一定の効能が期待できる事情を有する役務であるが、本願指定役務「頭髪の染毛」においては、需要者は一定の効能が期待できると認識できないものであり、上記使用例とは事情を異にするから、それらの使用例が本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断に参酌されることは適当ではない旨主張する。

しかしながら、「ヘアカットの施術」や「ヘアトリートメントの施術」等の役務と、「頭髪の染毛」の役務とは、共に、美容の分野に属する役務であって、一般に美容室等において、美容師によって提供され、その取引者、需要者を共通にする役務といえるものであるから、必ずしも上記使用例とは事情が異なるということはできないものであり、上記(2)のとおり、「くせ毛専用」及び「カラー」の文字が、それぞれ美容の分野において、役務の内容や質を表す語として使用されていることからすれば、「くせ毛専用カラー」の文字を「頭髪の染毛」について使用した場合においても、これに接する取引者、需要者に、役務の内容や質を表すものとして認識されるというのが相当であって、その意味合いにおいて、くせ毛であっても、きれいに染毛することができる程の期待を抱かせるとみるのが相当である。

ウ 請求人は、商標の構成中に「Color」(COLOR)の文字を有する他の登録例を挙げ、それらが、指定役務の内容等を表す語として一般的に使用されておらず、また、役務の内容を具体的に想起させるものではないことから、これらは商標登録されたと考えられ、本願商標についても、同様の理由から識別性を有するといえる旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、商標の構成、指定商品又は指定役務、取引の実情等を踏まえて、当該商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標については、上記(2)のとおり判断するのが相当であって、請求人が挙げる登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。

エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。