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Trademark Appeal Case

不使用取消と通常使用権

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2018−300885(T2018−300885/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5200408号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジョブル」の片仮名及び「JOBULL」の欧文字を二段に書してなり、平成20年6月18日に登録出願、第16類及び「人材派遣による職業のあっせん,その他の職業のあっせん,人材派遣による職業のあっせんに関する情報の提供,求人情報の提供,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」を含む第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年1月30日に設定登録され、その後、同30年10月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

なお、本件審判の請求の登録(予告登録)は、平成30年12月14日になされ、本件審判の請求の登録前3年以内を要証期間(2015年(平成27年)12月14日から2018年(平成30年)12月13日)という。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「人材派遣による職業のあっせん,その他の職業のあっせん,人材派遣による職業のあっせんに関する情報の提供,求人情報の提供,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」(以下「請求に係る役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した(以下、証拠については、「甲1」のように表記する。)。

1 請求の理由

本件商標は、その請求に係る役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 平成31年3月1日付け審判事件弁駁書による主張

(1)被請求人は、平成31年1月25日提出の審判事件答弁書において、本件審判の予告登録前3年以内に、通常使用権者「株式会社メイン・キャスト」(以下「メイン・キャスト社」という。)が本件商標を「求人情報の提供」に使用していた旨主張し、乙1ないし乙16を提出した。

(2)しかしながら、乙8ないし乙16は、職業紹介サービス及び求人情報媒体JOBULL/ジョブルの利用に関して、メイン・キャスト社が顧客と交わした「職業紹介契約書」であり、メイン・キャスト社なる企業が、被請求人所有の商標権の通常使用権者であることの証拠が示されていない。

(3)また、被請求人は、被請求人が代表取締役を務めるメイン・キャスト社に通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)を許諾している旨を主張しているが、第35類の指定役務については許諾の範囲に含まれていない。

(4)以上から、乙2ないし乙5及び乙7に示されるメイン・キャスト社による本件商標の使用は、通常使用権者による使用とは認められず、本件商標の登録は、その請求に係る役務について取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、平成31年1月25日付け審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙17を提出した。

1 答弁の理由

(1)乙1ないし乙16に示すとおり、本件商標は通常使用権者であるメイン・キャスト社が指定役務「求人情報の提供」について継続して使用しているものであり、本件商標は商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるものではない。

(2)本件商標

本件商標は、商標公報に記載の通り、片仮名「ジョブル」と欧文字「JOBULL」を上下二段に配し、第16類及び第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び役務とする商標であり、平成20年6月18日に出願、同21年1月30日に登録されたものである(乙1)。

(3)通常使用権者の使用

被請求人は、職業紹介や求人サイトの運営を主たる業務とするメイン・キャスト社の代表取締役社長である(乙2及び乙3)。そして、本件商標に関し、被請求人が代表取締役を務めるメイン・キャスト社に通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)を許諾し、本件商標はメイン・キャスト社が指定商品及び役務に継続して使用している。

(4)乙2ないし乙4

乙2は、メイン・キャスト社のプロフィールページ、乙3は、求人サイト「ジョブル」の運営移管に関するお知らせ、乙4は、メイン・キャスト社のブログである。

乙2ないし乙4からは、人材派遣・職業紹介等をサービスの内容とする求人サイト「ジョブル」の運営者がメイン・キャスト社であること、被請求人がメイン・キャスト社の代表取締役であること、メイン・キャスト社は、2013年7月19日以降、求人サイト「ジョブル」を運営していたことが理解できる。

(5)乙5及び乙6

乙5は、フェイスブックの日本で働く外国人向けの求人サイト「ジョブル」のページ(ベトナム版)である。乙5の3頁ないし12頁には、2018年11月1日、同2日、同9日、同14日、同17日、同24日及び同28日付で【オススメ求人】情報が掲載されたことが示されている。

【オススメ求人】欄には、職種・雇用条件・基本給が記載され、その上部には「JOBULL/ジョブル」の文字が明瞭に記載されている。

また、乙5の各頁の左上部や下部には、牛のキャラクター図形と共に、「ジョブル」「JOBull」の文字が目立つように記載されている。

乙5の「ジョブル」「JOBULL」の文字は、本件商標とは書体が異なるとはいえ、明らかに同一の称呼・観念を生ずる商標であり、本件商標と社会通念上同一のものである。「ジョブル」「JOBull」の文字と共に使用されている牛のキャラクター図形は、被請求人の所有に係る登録商標であり、本件商標と同時に使用されることが多い商標である(乙6)。

(6)乙7

乙7は、乙5の日本で働く外国人向けの「ジョブル」のページ(ベトナム版)の作成日を示すページ情報とページ履歴である。すなわち、当該ページ(ベトナム版)は、過去3年以内で本件審判の予告登録前の2018年(平成30年)11月1日に作成されたものである。

(7)乙8ないし乙16

乙8ないし乙16は、職業紹介サービス及び求人情報媒体JOBULL/ジョブルの利用に関して、通常使用権者メイン・キャスト社が顧客と交わした「職業紹介契約書」である。契約の日付は、2018年(平成30年)11月1日であり、過去3年以内で本件審判の予告登録前となっている。

(8)まとめ

乙1ないし乙16に照らし判断すれば、本件審判の予告登録日以前に、被請求人が代表取締役を務める通常使用権者メイン・キャスト社が、本件商標と社会通念上同一の商標を指定役務「求人情報の提供」に使用していた事実は証明され、請求人は事実を曲げて不使用の主張をしているものである。

請求人の主張が不当なものであることは明らかであり、答弁の趣旨に記載した通りの審決を求める次第である。

2 審尋に対する被請求人の令和元年6月21日付け審判事件回答書の答弁

被請求人がメイン・キャスト社に対して本件商標の使用許諾をしたことが確認できないとする審尋に対して、被請求人は、メイン・キャスト社の履歴事項全部証明書(乙17)を提出し、同証明書によれば、被請求人がメイン・キャスト社の代表取締役であり、同社に対して本件商標の通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品及び全指定役務)を許諾できる立場にあったこと、また、審判事件答弁書における「通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)」との記載は、「通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品及び全指定役務)」の誤記である旨回答した。

第4 当審の判断

1 被請求人が提出した証拠及びその主張によれば、以下のとおりである。

(1)被請求人は、職業紹介や求人サイトの運営を主たる業務とするメイン・キャスト社の代表取締役社長である(乙2、乙3及び乙17)。

(2)乙2は、メイン・キャスト社のプロフィールページ、乙3は、求人サイト「ジョブル」の運営移管に関するお知らせ、乙4は、メイン・キャスト社のブログである。

乙2ないし乙4からは、メイン・キャスト社は、人材派遣、職業紹介、紹介予定派遣、アウトソーシング、求人サイトの運営(ワンストップ求人サイト「ジョブル」)についてサービスを提供しており、2013年7月19日以降、上記求人サイトを運営していることがうかがわれる。

(3)乙5は、フェイスブック掲載の「日本で働く外国人向け求人サイト」のベトナム版のウェブサイトの写しである。乙5の3頁ないし12頁には、2018年11月1日、同2日、同9日、同14日、同17日及び同28日付で【オススメ求人】情報が掲載されたことが示されている。

乙5のウェブサイトの【オススメ求人】欄には、職種・雇用条件・基本給・応募資格等が記載され、その上部には「JOBULL/ジョブル」の文字(以下、「使用商標」という。)が記載されている。

また、乙5の各頁の左上部には、牛のキャラクター図形が表示され、該図形の上に「ワンストップ求人サイト」並びに特徴的に表された「JOBull」及び「u」の文字上に「ジョブル」の記載があり、該図形の下及び乙5の各頁の最上部に使用商標及び「日本で働く外国人向け求人サイト【Vietnam/ベトナム版】」の記載がある。

(4)乙7には、フェイスブック掲載の「日本で働く外国人向け求人サイト」のベトナム版(乙5)のページ情報が記載され、ページの作成日:2018年11月1日との記載があり、当該サイトへの情報は少なくとも2018年(平成30年)11月1日以降掲載されたことが推認できる。なお、2018年(平成30年)11月1日は、要証期間内である。

(5)乙8ないし乙16は、職業紹介サービス及び求人情報媒体JOBULL/ジョブルの利用に関して、メイン・キャスト社と9社とがそれぞれ交わした「職業紹介契約書」である。同契約書第1条において、9社はメイン・キャスト社の運営する「求人媒体・JOBULL/ジョブル」へ情報提供を承認する旨、同7条には、本契約に際し、契約者はメインキャスト社が運営する求人媒体・JOBULL/ジョブルへ掲載依頼するものとして合意した旨記載されており、これからは、メインキャスト社は9社からの求人情報を求人媒体であるJOBULL/ジョブルを通じて提供することがうかがえる。なお、当該契約書の日付は、いずれも2018年11月1日である。

(6)乙17は、メイン・キャスト社の履歴事項全部証明書であり、平成19年3月7日付け登記以後、被請求人がメイン・キャスト社の代表取締役社長であることが記載されており、当該登記日における代表取締役社長の氏名及び住所と本件商標登録原簿記載の商標権者の氏名及び住所は同一である。

2 上記1で認定した事実及び被請求人の主張によれば、次のとおりである。

(1)使用者について

メイン・キャスト社は、求人情報の提供を内容とする求人サイト「ジョブル」を2013年(平成25年)7月19日以降運営し、フェイスブックに「JOBULL/ジョブル 日本で働く外国人向け求人サイト」をタイトルとしたベトナム版を2018年(平成30年)年11月1日に開設した。

そして、メイン・キャスト社の代表取締役社長の氏名及び住所と商標登録原簿記載の商標権者の氏名及び住所とは、上記1(6)のとおり一致していることからすれば、メイン・キャスト社は、本件商標の使用について本件商標権者より黙示の使用許諾を受けていたとみて差し支えなく、メイン・キャスト社を本件商標に係る通常使用権者と認めることができる。

したがって、メイン・キャスト社による本件商標の使用は、通常使用権者による使用とは認められないとの請求人の主張は採用できない。

(2)使用役務について

メイン・キャスト社がフェイスブックに開設した「JOBULL/ジョブル 日本で働く外国人向け求人サイト」ベトナム版において提供されている内容は、【オススメ求人】番号とともに、職種・雇用条件等が記載されていることからすれば、当該役務は「インターネットを介して行う求人情報の提供」(以下、「使用役務」という。)といえる。そして、かかる使用役務は、本件請求に係る指定役務中、「求人情報の提供」に含まれるものである。

また、同サイトにおいては、牛のキャラクター図形と共に、「ワンストップ求人サイト」として、「JOBULL/ジョブル」が紹介されている。

(3)本件商標と使用商標との社会通念上の同一について

本件商標は、上記第1のとおり「ジョブル」の片仮名及び「JOBULL」の欧文字を二段に書してなるところ、使用商標は「JOBULL」の欧文字と「ジョブル」の片仮名を「/」で連結して横書きしてなるものであるが、両者は構成文字を共通にし、「/」の有無及び二段書きと横一連書きの相違はあるものの、称呼及び観念において相違はないことから、両者は社会通念上同一の商標である。

(4)使用時期について

メイン・キャスト社がフェイスブックに開設した、使用役務の提供及びその紹介を内容とするインターネットサイトである「JOBULL/ジョブル日本で働く外国人向け求人サイト」ベトナム版は、2018年11月1日に作成されたものであり、同サイトへの求人情報の掲載時期は、上記サイト名と同じタイトルの下に11月1日、11月2日、11月9日、11月17日及び11月28日と記載されていることから、使用役務の内容は、2018年(平成30年)11月1日以降同サイトに掲載されたことが推認でき、これは要証期間内の使用といえる。

(5)小括

上記(1)ないし(4)によれば、本件商標に係る通常使用権者は、要証期間内である2018年(平成30年)11月1日以降複数回にわたり、本件審判の請求に係る指定役務中の「求人情報の提供」に含まれる「インターネットを介して行う求人情報の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示したものを電磁的方法により提供し、また、当該使用役務の広告を内容とする情報を電磁的方法により提供していたということができる。

そして、上記行為は、ウェブサイト上に表示される映像面を介して提供されるサービスであることから、「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供にあたり、その映像面に標章を表示して役務を提供する行為」、すなわち、商標法第2条第3項第7号に該当するとともに、「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」、すなわち、商標法第2条第3項第8号に該当する。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その請求に係る指定役務中の「求人情報の提供」に含まれる「インターネットを介して行う求人情報の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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