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Trademark Appeal Case

位置商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−5335(T2018−5335/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1(1)の商標登録を受けようとする商標及び願書記載のとおりの商標の詳細な説明の構成からなり、第25類「デニム製のズボン」を指定商品として、平成27年4月1日に位置商標として登録出願されたものである。

そして、商標の詳細な説明については、原審における同28年3月1日付けの手続補正書により、別掲1(2)のとおり補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、デニム製のズボンの前側の右側のポケットの開口縁部に取り付けられてこの開口縁部を縁取る複数の四角錘状を呈する金属製のスタッズからなるものであるところ、本願の指定商品を取り扱う業界においては、様々な形の複数のスタッズが、商品の美感を発揮させるため、または需要者の注意を惹く目的等で、装飾的に付されている実情があることからすると、本願商標に係るデニム製のズボンの前側の右側のポケットの開口縁部に取り付けられている、複数の四角錐状を呈する金属製のスタッズは、商品の美感の発揮を目的に選択された装飾の一つといえるものであり、取引者、需要者においては、その位置及び形状(装飾)により他社のデニム製ズボンと商品の出所を識別することができるとはいうことができない。そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の美感の発揮等のために採用し得るデニム製ズボンの一部の形状を表したものと理解、認識するにとどまるから、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標について、少なくともファッション業界において、出願人の商品であることを認識する状況がある旨主張しているが、提出された資料によっては、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているものということができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し平成31年4月5日付け証拠調べ通知書をもって通知し、意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は、前記3の通知に対して、要旨以下のとおり意見を述べた。

本願商標は、ブランドアイコンとなるように、あえて、「右前側のポケットの開口縁部」にのみ設けたものであり、単なる装飾目的で設けられたものでなく、請求人の販売に係るデニム製のズボンを表章する意図で設けられたものである。証拠調べにおいて提示された商品のいくつかは、左右のポケットにそれぞれスタッズを付していることから本願商標と明確に異なっている。そして、本願商標は、請求人の著名ブランド「ヒステリックグラマー」を代表する本願指定商品の「アイコン」として、需要者に認識され、現実に機能しているものであるから、登録によって保護されるべき実体を備えるに至っているというべきである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、立体的形状の構成からなる位置商標であって、商標の詳細な説明において「商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、デニム製のズボンの前側の右側のポケットの開口縁部に取り付けられてこの開口縁部を縁取る複数の四角錘状を呈する金属製のスタッズからなるものである。なお、各図の右下隅に表示されている番号は、図の順番を表したものであり、商標を構成する要素ではない。図1は商品の全体を示した正面図、図2は前記商標を付した箇所を拡大して示した正面図、図3は前記商標を付した箇所を拡大して示した斜視図、図4は図3の一部を更に拡大して示した斜視図である。また、前記スタッズ以外の破線は、商品の形状の一例を示したものであり、商標を構成する要素ではない。」旨の記載がなされ、第25類「デニム製のズボン」を指定商品とするものである。

ところで、本願の指定商品であるデニム製のズボンを取り扱う業界においては、原審で示した証拠及び当審において証拠調べ通知書において示した事実(別掲2)のとおり、商品の美感を際立たせるため、または需要者の注意を惹く目的等で、デニム製のズボンに複数のスタッズをポケットの片側または両側の開口縁部に施すことが一般に広く行われている実情が少なからず見受けられる。

そうすると、「デニム製のズボンの前側の右側のポケットの開口縁部に取り付けられてこの開口縁部を縁取る複数の四角錘状を呈する金属製のスタッズ」からなる本願商標を、その指定商品である「デニム製のズボン」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、デニム製のズボンの美感を際立たせるため、または需要者の注意を惹く目的等で、通常採用し得るデニム製ズボンのポケットの開口縁部にスタッズの形状の一形態を付したものと理解、認識すると解するのが相当であり、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、「本願商標について、少なくともファッション業界において、請求人の商品であることを認識する状況がある」旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第116号証(枝番号を含む。なお、甲号証において、枝番号を有するもので、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略し、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出しているところ、以下、提出された証拠について検討する。

ア 請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、請求人である株式会社オゾンコミュニュティのブランド「HYSTERIC GLAMOUR」は、2004年に本願商標を使用した商品「デニム製のズボン」(以下「使用商品」という。)の販売を開始し(甲4)、現在まで継続して販売していること、2004〜2019年に発行された各種雑誌(甲1、3〜86、104〜110)、2013〜2019年に発行された「HYSTERIC GLAMOUR」のカタログ(甲1〜3、90、91、111〜116)に使用商品を宣伝広告していること及び使用商品は、「HYSTERIC GLAMOUR」の各店舗(国内22店舗、海外13店舗)や「HYSTERIC GLAMOUR」のオンラインショップ、ZOZOTOWNで販売されている(甲1)ことが認められる。

イ しかしながら、請求人は、これまでの販売数量がおよそ15万着、2014年度の販売数量16、770着である旨主張するものの、その事実を裏付ける具体的な証拠は、2017年4月1日からの一ヶ月間の販売数(653着)の資料(甲87、証拠の中には明らかに本願商標と同一とは認められない商品を含む。例えば、3頁目及び5頁目のともに上から3番目の商品。)のみであり、また、仮に請求人が主張するこれまでの販売数量が事実であるとしても、かかる販売数量がその周知性を基礎付けるほどの数量であると認めるに足りる証左も見いだせない。

ウ そして、多数の雑誌、カタログに使用商品を宣伝広告していることはうかがえるものの、雑誌等に掲載された使用商品の前側の右側のポケット部分の形状が明確に確認できるものが少なく、これらの証拠によって、本願商標と同一の商標(デニム製のズボンの前側の右側のポケットの開口縁部に取り付けられてこの開口縁部を縁取る複数の四角錘状を呈する金属製のスタッズ)が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識されるに至った事実を十分に把握することができず、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができない。

エ さらに、原審における拒絶査定で引用した証拠に加え、本審尋で引用した証拠(別掲2)によれば、デニム製のズボンを取り扱う業界において、ポケットの開口縁部を金属製の複数のスタッズで縁取ったデニム製のズボンが、請求人以外の者により、一般に製造販売されている実情が認められる。

オ 以上からすると、本願商標は、取引者、需要者の間に広く認識されているとはいい難いものであり、その指定商品について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえないものである。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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