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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−3763(T2018−3763/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,第7類「高所作業台昇降装置」を指定商品とし,商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書に記載のとおりとし,2015年7月15日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成28年1月13日に登録出願されたものである。

その後,上記「商標の詳細な説明」については,原審における平成29年2月28日付け手続補正書により,別掲1(2)のとおり「商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は,色彩の組み合わせのみからなるものであり,高所作業台昇降装置の本体台部および作業台が(PANTONE:1665C)のオレンジ色で彩色され,昇降装置部分が(PANTONE:7507C)のクリーム色で彩色された構成からなる。なお,破線は商品の形状の一例を示したものであり,商標を構成する要素ではない。」と補正された。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の特徴を表すために普通に使用されるものであって,その色彩(色彩の組合せも含む)をもって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものである。また,出願人以外の者に係る『建設機械』の筐体にオレンジ色及び黄色が使用され,実際に取引されている実情がある。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の品質(色彩)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標は,出願人により,永年の間,独占的排他的に継続使用した実績を有するものとは認められないこと,提出された証拠における本願商標の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないことから,本願商標は,同法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋

当審において,平成30年10月1日付けで通知した審尋により,別掲2に示すとおりの色彩の使用例及び請求人の業務に係る商品の我が国におけるシェア等の事実を新たに示した上で,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない旨の見解を示し,請求人に意見を求めた。

第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)

1 審尋にて指摘された使用例について

上記第3の審尋で指摘された色彩又は色彩構成は,いずれも,高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色で彩色され,リフトアーム部分がクリーム色で彩色された構成からなる本願商標の色彩又は色彩構成とは明確に相違している。

オレンジ色(PANTONE:1665C)で彩色された本体台部と作業台,及びクリーム色(PANTONE:7507C)で彩色されたリフトアームからなる高所作業台昇降装置は,請求人の業務に係る商品以外存在していない。

2 審尋にて指摘された請求人の業務に係る商品の我が国におけるシェア等の事実について

上記第3の審尋において引用する,株式会社日本マーケティングクリエーションが作成した「2017汎用機器100品目マーケットデータ」(2016暦年販売実績版)(以下「2017マーケットデータ」という。)は,海外の高所作業車メーカーからの我が国への輸入品に関しては全くその対象とされていないものであるから,請求人の名称が登場しないのは当然である。また,株式会社エイトのウェブサイト(甲17)において,請求人が高所作業車を扱う世界一のシェアをもつことが明記されており,請求人の業務に係る高所作業機の規模は,アイチコーポレーションのそれと比較して,約4.5倍の規模であることが認識できること,エイハン・ジャパン株式会社に関しては英国製スノーケルブランドの機器を自社製品として販売しているので,その製品輸入に関する数量が「2017マーケットデータ」に記載されているにすぎないこと等からして,「2017マーケットデータ」からは,輸入代理店や日本代理店を通じて日本国内に輸入されている高所作業台昇降装置に関して,何も把握することができない。

3 商標法第3条第2項該当性について

(1)彩色の施されていない証拠について,世界第1位を誇るJLGのコーポレートカラーであるオレンジ色(PANTONE:1665C)とクリーム色(PANTONE:7507C)とで彩色された高所作業車は,需要者並びに取引者において広く認識されており,たとえモノトーンで表現された広告や記事の掲載であっても,直ちにその色彩が脳裏に浮かぶため,これらも,本願商標の商標法第3条第2項を具備する判断において採用し得る。

(2)本願商標の使用商品は,高所作業車という特殊な機器ゆえその需要者層並びに取引者層も限られており,一般大衆を対象とする商品と異なり,特定の一部の需要者層並びに取引者層において広く知られていることが,本願商標の商標法第3条第2項を具備する判断の基礎となるものである。そして,本件審判請求人会社JLGの高所作業車は,世界最大手の製品に係るものであり,当該需要者層並びに取引者層において知らない者はないほど熟知されている。

(3)高所作業台昇降装置のメーカーとしてJLGが世界一位であり,その機器へ色彩がコーポレートカラーであるオレンジ色(PANTONE:1665C)とクリーム色(PANTONE:7507C)での彩色の組合せからなることが我が国の高所作業車を取り扱う業界並びに需要者間において熟知されていることが公知の事実であること等から,本願商標は,商標法第3条2項の要件を具備しており,登録されるべき商標である。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は,上記第1のとおり,色彩のみからなる商標であって,高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色(PANTONE:1665C)で彩色され,昇降装置部分がクリーム色(PANTONE:7507C)で彩色された構成からなるものである。

(2)商品の色彩や色彩構成(複数の色彩の組合せ)は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものでなく,その色彩や色彩構成自体が商品と結合して特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合があるにすぎないものである。

また,本願の指定商品に係るいわゆる「高所作業台昇降装置」を取り扱う業界においては,別掲2(1)のとおり,オレンジ及びクリームの色彩に類する色彩又は色彩の構成(高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色で彩色され,昇降装置部分がクリーム色で彩色された構成)が,「高所作業台昇降装置」の装飾として,広く一般に用いられているというのが実情である。

(3)そうすると,上記のオレンジ色とクリーム色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品に通常使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人(以下「JLG」という場合がある。)は,高所作業台昇降装置のメーカーとしてJLGが世界一位であり,その機器へ着色がコーポレートカラーであるオレンジ色(PANTONE:1665C)とクリーム色(PANTONE:7507C)での彩色の組合せからなることが我が国の高所作業車を取り扱う業界並びに需要者間において熟知されていることが公知の事実であること等から,本願商標は,商標法第3条2項の要件を具備しており,登録されるべき商標である旨主張し,証拠として,原審において参考1号ないし参考27号を,当審において甲第1号証ないし甲第19号証(枝番を含む。)を提出している。なお,原審における証拠(参考1号〜参考27号)の番号は,甲第20号証ないし甲第46号証と読み替える。

そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

(1)ある標章が商標法第3条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは,出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として,その使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品の販売数量又は売上高等,当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10285号,平成25年1月24日判決参照)。

また,商標法第3条第2項により商標登録が認められるためには,同条第1項第3号に該当する商標が,現実に使用された結果,指定商品の需要者の間で,特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至ったことが必要であると解される(知財高裁平成28年(行ケ)第10266号,平成29年9月2日判決参照)。

(2)上記の観点から,本願商標が使用により自他商品識別力を獲得するに至っているかどうかを判断する。

請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,次の事実が認められる。

ア 請求人及び使用色彩の使用開始時期,使用地域,使用態様について

(ア)請求人は,昭和44年(1969年)に創業した「高所作業車」の製造販売会社であり,我が国を含め,世界各国に商品の販売等の拠点を有し(甲21),高所作業車で世界のトップシェアを占める会社である(甲35の3,甲36の3,甲37の3,甲43)。なお,上記証拠に係る「高所作業車」は,願書の記載からすれば,高所作業台昇降装置に車輪又は車両が付けられたものと認められ,両者は同じものであると解される。

(イ)請求人の「会社案内」には,「JLGの歴史」の見出しの下,「1998年説明コラム」には,高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色で彩色され,昇降装置部分がクリーム色で彩色された構成からなる色彩の組合せ(以下「使用色彩」という。)が使用された高所作業台昇降装置(以下,使用色彩が使用された高所作業台昇降装置を「使用商品」という。)の画像が掲載されているが,同見出しの「1999年説明コラム」及び「2004年説明コラム」において掲載されたそれぞれの画像における高所作業台昇降装置は,その旋回台又は本体台部,作業台及びブーム部分又は昇降装置部分がグレー系の色彩で彩色されており(甲21),請求人に係るホームページの日本語サイトの「教育施設」の項においても,その旋回台又は本体台部,作業台及びブーム部分又は昇降装置部分がシルバー系又はグレー系の色彩で彩色された高所作業台昇降装置の画像が掲載されている(甲23)。

(ウ)使用商品は,我が国においては,平成10年(1998年)から極東開発工業株式会社(以下「極東開発工業」という。)によって輸入が開始され,平成26年(2014年)には,請求人の日本支社である株式会社JLG Industries Japanが設立され,現在は同社が全ての製品を販売している(甲21)。

(エ)使用色彩は,極東開発工業によって平成21年(2009年)2月に印刷発行されたとする,本件商品のカタログの背景色の一部としても使用されている(甲19)。

イ 使用商品の販売数量,売上高,我が国における市場占有率について

(ア)請求人の業務に係る高所作業車の2015年の売上げは,およそ約2600億円であり,世界第1位である(甲17)。

(イ)請求人の業務に係る高所作業車の我が国における販売数量は,平成10年(1998年)かから平成30年(2018年)までの21年間に合計7144台であるが,最近10年(2009年〜2018年)は,順に,3台,4台,2台,14台,0台,174台,110台,381台,902台,1363台である(甲18)。

ウ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模について

(ア)請求人の業務に係る高所作業車は,平成28年(2016年)から平成29年(2017年)の間に発行された我が国における新聞において,広告記事12件及び紹介記事3件が掲載された(甲26〜甲37)。これらの広告記事及び紹介記事は,そのいずれにおいても,請求人の業務に係る高所作業台昇降装置等の画像が掲載されているが,12件の広告記事のうち,使用色彩を有する使用商品の画像が掲載されているものは,4件のみであり(甲27の2,甲32の2,甲33の2,甲34の2),3件の紹介記事は,色彩を伴わないことから,色彩を確認できない(甲35の3,甲36の3,甲37の3)。

(イ)請求人は,平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)に開催された4つの展示会(「2016NEW環境展」,「2017NEW環境展」,「スマートファクトリーJapan2016」及び「スマートファクトリーJapan2017」)に,使用商品を出展した(甲38,甲39)。

(ウ)請求人は,広告の一環として,取引者及び需要者に,使用商品等の画像が掲載された平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)のカレンダーを配布したとされる(甲40,甲41)(請求人主張)。

(エ)使用商品は,「2017年度版ブームの真相」平成28年(2016年)11月7日発行及び「ヒットの予感!!」平成29年(2017年)1月7日発行のそれぞれの書籍において,紹介記事とともに,その写真が掲載されている(甲42,甲43)。

エ 本願商標の識別力に関する証明書について

請求人が,本願商標が自他商品の識別性を有するものである旨の証明書であると主張する,平成29年(2017年)2月21日から同月23日まで及び平成30年(2018年)2月14日から同月26日までの日付が記載された11件の証拠においては,「証明願」の見出しの下,本願商標の下に「上掲商標は,米国JLG Industries Inc.社の製造販売にかかる高所作業台昇降装置であることが,機器に施された彩色から直ちに認識できるものであることを御証明下さいますようお願い申し上げます。」の文章又はこれと同様の文章が印刷され,それぞれに,指定商品に関わる業界の企業12社の住所,会社名,代表者氏名が,証明者により記載され,捺印されている(甲9〜甲16,甲44)。

(3)以上認定した事実を総合すれば,上記(2)ア(ア)ないし(エ)及びイ(ア)のとおり,請求人は,昭和44年(1969年)に創業した高所作業車の製造販売会社であり,我が国を含め,世界各国に商品の販売等の拠点を有し,請求人が,高所作業車で世界のトップシェアを占め,高所作業車の売上げが世界第1位の会社であること,使用色彩は,高所作業車及びそのカタログの背景色の一部として使用されていることが認められる。

また,使用色彩は,高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色(PANTONE:1665C)で彩色され,昇降装置部分がクリーム色(PANTONE:7507C)で彩色された構成からなる本願商標の色彩及び色彩構成と,同一性を損なわないものと認められる。

さらに,使用商品は,請求人に係る「会社案内」の記載等からすれば,昭和63年(1988年)頃から請求人により製造され,平成6年(1994年)から我が国への輸入が開始されたものと認められる。

しかしながら,本願商標は,未だ自他識別力を獲得するまでには至っていないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。

ア 本願商標が我が国において全国的な周知性を獲得していないこと

(ア)本願商標の使用について

上記のとおり,使用商品は,請求人に係る「会社案内」の記載等からすれば,平成10年(1998年)頃から請求人により製造され,我が国において,同年から極東開発工業によって輸入が開始されたこと,使用色彩は,本願商標の色彩及び色彩構成と,同一性を損なわないものと認められることから,我が国における本願商標の使用期間は,約21年間である。

しかしながら,上記(2)ア(イ)とおり,請求人に係る「会社案内」やホームページの日本語サイトにおいては,その旋回台又は本体台部,作業台及びブーム部分又は昇降装置部分がグレー系の色彩で彩色された高所作業台昇降装置の画像が掲載されており,本願商標は,その指定商品について,永年の間,一貫して使用されてきたものとはいえない。

(イ)使用商品の販売実績について

上記のとおり,請求人は,高所作業車で世界のトップシェアを占め,高所作業車の売上げが世界第1位の会社である。しかしながら,上記(2)イ(イ)のとおり,請求人の業務に係る高所作業車の我が国における販売数量は,平成10年(1998年)かから平成30年(2018年)までの21年間に合計7144台であるが,最近10年(2009年〜2018年)は,順に,3台,4台,2台,14台,0台,174台,110台,381台,902台,1363台であり,0台又は1桁の台数の年があるなど,その販売数量は安定しておらず,使用商品が,我が国において,永年の間,継続的に販売実績を積み上げてきたものとはいえない。

そして,別掲2(2)のとおり,「2017マーケットデーター」によれば,我が国における平成28年(2016年)の販売実績として,エンジンタイプの高所作業車は,「アイチ」が1000台販売し,そのシェアは74.1%であること,バッテリータイプの高所作業車は,「アイチ」が3770台販売し,そのシェアが56.5%,「北越工業」が2000台販売し,そのシェアが13.5%であることが記載され,また,解説として,エンジンタイプの高所作業車については「メーカーの力関係は,アイチコーポレーションのシェアが圧倒している。」,バッテリータイプの高所作業車については「メーカーの力関係は,アイチコーポレーションが従来通りトップシェアを確保している。2位メーカーは,北越工業,前田製作所,デンヨー,スノーケルなどが拮抗しているが,ここ数年は北越工業が一歩リードした状況にある。」と記載され,さらに,エンジンタイプ及びバッテリータイプの高所作業車のいずれについても,「主要輸入機」として,海外メーカーである「スノーケル/Snorkel(イギリス)」の記載があり,「2017マーケットデーター」の高所作業車に関するいずれの記事においても,請求人の企業名や使用商品に関する記載は見当たらない。

そうすると,請求人は,高所作業車で世界のトップシェアを占め,高所作業車の売上げが世界第1位の会社であるとしても,請求人の業務に係る高所作業車の我が国における販売数量は,21年間で合計7144台,最近10年間でも,計2953台であり,他のメーカーに係る高所作業車の同年の販売数に比して,かなり少ないものといえることから,使用商品の我が国における市場占有率は,販売数と同様に,他のメーカーに係る高所作業車の市場占有率に比して,かなり低いものといえる。

してみれば,使用商品の我が国における販売実績は,本願商標が,我が国の指定商品の需要者の間において全国的に周知となるに足りるものではない。

(ウ)使用商品の広告宣伝について

上記(2)ウ(ア)ないし(エ)のとおり,使用商品は,我が国における新聞において,広告記事12件及び紹介記事3件が掲載されたが,その広告記事のうち,本願商標の色彩及び色彩構成と同一性を損なわない使用色彩を有する使用商品の画像が掲載されているものは,わずか4件であり,3件の紹介記事については,色彩を伴わないことから,本願商標の色彩及び色彩構成と同様の色彩が用いられていたかを確認できない。

また,請求人は,平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)に開催された4つの展示会(「2016NEW環境展」,「2017NEW環境展」,「スマートファクトリーJapan2016」及び「スマートファクトリーJapan2017」)に,使用商品を出展したが,それは,平成28年(2016年)から平成29年(2017年)までの2年間において,わずか4回である。さらに,請求人は,広告の一環として,取引者及び需要者に,使用商品等の画像が掲載された平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)のカレンダーを配布したと主張しているが,頒布の事実については,請求人により証明されておらず,仮に,頒布されたものとしても,それは,平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)のわずか2年について頒布されたにすぎず,頒布地域及び頒布数は明らかではない。加えて,使用商品は,平成28年(2016年)及び平成29年(2017年)にそれぞれ出版された書籍において,紹介記事が掲載されたが,それは,2回のみであり,多数の書籍において,反復継続して紹介されたものではない。

以上からすると,請求人による使用商品の広告宣伝は,いずれも平成28年(2016年)から平成29年(2017年)までのわずか2年間に,2回又は4回の頻度で行われてきたものであり,永年の間,反復継続して行われてきたものではないこと,広告宣伝費用に関する主張や証拠はなく,広告宣伝の規模が明らかでなないことから,高所作業台昇降装置という商品の特殊性によって,その取引者,需要者の範囲が限定されていることを考慮しても,このような広告宣伝により,本願商標が,我が国の指定商品の需要者の間において全国的に周知に至る程に,その認知度が高まったとは到底認められない。

(エ)本願商標の識別力に関する証明書について

上記(2)エのとおり,請求人が,本願商標が自他商品の識別性を有するものである旨の証明書であると主張する12件の証拠は,いずれにおいても,「証明願」の見出しの下,本願商標の下に「上掲商標は,米国JLG Industries Inc.社の製造販売にかかる高所作業台昇降装置であることが,機器に施された彩色から直ちに認識できるものであることを御証明下さいますようお願い申し上げます。」の文章又はこれと同様の文章が印刷され,証明者らが,住所,会社名,代表者氏名を記入し,捺印する形式がとられているものであるところ,その記載内容には,証明者らが,本願商標を上記文章の記載内容のとおりに認識した理由の説明もなく,具体性に乏しいものといわざるを得ない。

また,12件の証明書は,全てほぼ同一の文章が印刷されていることからすると,これらの証明書は,請求人において画一的に作成した文章を各証明者らに示して単に確認をとる方法で作成されたものであることが推察され,このようにして作成された証明書においては,作成を依頼した者からの誘導に沿う方向で確認が行われ,その記載の細部についてまでは吟味が行われないこともあり得ることであるから,これら証明書の記載内容に過大な証拠価値を認めることはできない。

さらに,証明書の作成者の関係者でない者が,このようにして作成された証明書に署名捺印するとは考え難いことからすると,証明者らは,証明書の作成者である請求人の関係者であることが推察されるから,これら証明書の記載内容は客観性に乏しく,信用力は高いものとはいえない。

そうすると,上記12件の証明書の存在により,本願商標が,我が国の指定商品の需要者の間において全国的に周知に至っているものとは認められない。

(オ)小活

以上からすると,本願商標は,我が国において全国的な周知性を獲得するに至ったものとはいえない。

イ 使用色彩に類似する他社の色彩が多数存在すること

別掲2(1)のとおり,使用色彩又はこれに類する色彩の組合せを使用した,高所作業車を含む建設機械が多数存在していることからすれば,取引者,需要者にとって,色彩の組合せのみからなる本願商標を見ただけでその商品の出所を識別することは困難な状況にあり,取引者,需要者が,本願商標により特定の出所を想起することはないというべきである。

(4)以上のとおり,本願商標は,上記(3)よりすれば,我が国において全国的な周知性を獲得するに至ったものとはいえないこと,使用色彩に類似する他社の色彩が多数存在することから,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。

してみれば,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,審尋で指摘された色彩又は色彩構成は,いずれも,高所作業台昇降装置の本体台部及び作業台がオレンジ色で彩色され,リフトアーム部分がクリーム色で彩色された構成からなる本願商標の色彩又は色彩構成とは明確に相違しており,本願の指定商品である高所作業台昇降装置にオレンジ色(PANTONE:1665C)で彩色された本体台部と作業台,及びクリーム色(PANTONE:7507C)で彩色されたリフトアームからなる高所作業台昇降装置は,請求人の業務に係る商品以外存在していない旨主張する。

しかしながら,多少の色味の相違があるとしても本願商標の色彩の組合せと同系色の色彩の組合せが多数の商品に使用されている実情があることには変わりなく,本願商標の色彩の組合せは,本願商標に接した取引者,需要者が,本願商標の色彩の組合せと,第三者が使用する同系色の色彩の組合せとの色味の相違を判別できるほどの特異性を有するものとも認められない。

(2)請求人は,審尋において引用する「2017マーケットデータ」は,海外の高所作業車メーカーからの我が国への輸入品に関しては全くその対象とされていないものであるから,請求人の名称が登場しないのは当然であり,また,株式会社エイトのウェブサイト(甲17)において,請求人が高所作業車を扱う世界一のシェアをもつことが明記されており,請求人の業務に係る高所作業台昇降装置の規模は,アイチコーポレーションのそれと比較して,約4.5倍の規模であることが認識できること,エイハン・ジャパン株式会社に関しては英国製スノーケルブランドの機器を自社製品として販売しているので,その製品輸入に関する数量が「2017マーケットデータ」に記載されているに過ぎないこと等からして,「2017マーケットデータ」からは,輸入代理店や日本代理店を通じて日本国内に輸入されている高所作業台昇降装置に関して,何も把握することができない旨主張する。

しかしながら,上記2(3)ア(イ)のとおり,「2017マーケットデータ」においては,エンジンタイプ及びバッテリータイプの高所作業車のいずれについても,「主要輸入機」として,海外メーカーである「スノーケル/Snorkel(イギリス)」の記載があることからすれば,「2017マーケットデータ」は,日本国内に輸入されている高所作業台昇降装置に関しても明記されており,何も把握することができないというものではない。

また,上記2(1)のとおり,商標法第3条第2項により商標登録が認められるためには,同条第1項第3号に該当する商標が,現実に使用された結果,指定商品の需要者の間で,特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至ったことが必要であると解されるところ,請求人が高所作業車を扱う世界一のシェアを有する会社であり,請求人の業務に係る高所作業台昇降装置の規模が,アイチコーポレーションのそれと比較して,約4.5倍であるとしても,それらは,我が国の市場における上記商品のシェアや販売実績を示すものではなく,我が国における指定商品の需要者の認識に直接反映されるものとは認め難いことから,それらをもって,本願商標が,我が国における指定商品の需要者の間で,請求人の出所表示として全国的に認識されるに至ったということはできない。

(3)請求人は,彩色の施されていない証拠について,世界第1位を誇るJLGのコーポレートカラーであるPANTONE1665Cのオレンジ色とPANTONE7507Cクリーム色とで彩色された高所作業車は需要者ならびに取引者においては広く認識されており,たとえモノトーンで表現された広告や記事の掲載であっても,直ちにその色彩が脳裏に浮かぶため,これらも,本願商標の商標法第3条第2項を具備する判断において採用し得るものである旨主張する。

しかしながら,本願商標は色彩のみからなる商標であるから,本願商標の商標法第3条第2項を具備する判断において,色彩のない証拠を採用し,当該商標の識別性を判断することは,適切ではない。

(4)請求人は,本願商標の使用商品は,高所作業車という特殊な機器ゆえその需要者層ならびに取引者層も限られており,一般大衆を対象とする商品と異なり,特定の一部の需要者層ならびに取引者層において広く知られていることが,本願商標の商標法第3条第2項を具備する判断の基礎となるものであり,そして,本件審判請求人会社JLGの高所作業車は世界最大手の製品に係るものであって,当該需要者層ならびに取引者層において知らない者はないほど熟知されている旨主張する。

しかしながら,たとえ,高所作業車が特殊な機器ゆえその取引者,需要者が限られているとしても,別掲2(2)のとおり,高所作業車を取り扱う会社は,我が国においても多数存在しており,上記2(3)ア(イ)のとおり,使用商品の販売数及び市場占有率は,我が国における高所作業車を取り扱う市場において,他の会社に比してかなり少ないものといえることから,本願商標は,請求人が主張するような,使用商品の特殊性によって,その取引者,需要者の範囲が限定されていることを考慮したとしても,我が国において全国的な周知性を獲得するに至ったものとはいえない。

また,上記イのとおり,使用商品が,世界最大手である請求人に係る製品であるとしても,そのことが,我が国における指定商品の需要者の認識に直接反映されるものとはいい難いことから,そのことをもって,本願商標が,我が国における指定商品の需要者の間で,請求人の出所表示として全国的に認識されるに至ったということはできない。

(5)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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