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Trademark Appeal Case

著名商標「POLO」との混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−12344(T2016−12344/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第25類「被服,ナイトガウン,ネグリジェ,寝巻き,パジャマ,バスローブ,その他の寝巻き類,ズボン下,スリップ,パンツ,ブラジャー,すててこ,その他の下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ネックウォーマー,レッグウォーマー,腹巻き,スパッツ(運動用特殊衣服を除く。),バスキャップ,日よけ付きサンバイザー,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品とし,平成26年2月12日に登録出願された商願2014−10044号を原出願とする,商標法第10条第1項の規定による新たな商標登録出願(分割出願)として,同27年1月5日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標の構成中の「POLO」の文字は,アメリカ合衆国ニユーヨーク州所在のザ ポロ ローレン カンパニー リミテツド パートナーシツプがこの商標登録出願に係る原出願の日前より商品「被服」等に使用している著名な商標であるから,本願商標をその指定商品に使用するときは,これがあたかも前記会社又は同会社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審における証拠調べ

本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,意見を申し立てる機会を与えるべく,相当の期間を指定して,平成29年7月24日付け及び同年11月16日付けで証拠調べの結果を通知したところ,請求人は,それぞれ同年8月10日及び同年12月22日に意見書を提出した。

4 当審の判断

(1)認定事実

上記3の証拠調べ通知によれば,以下の事実が認められる。

ア 「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」は,米国のデザイナーであり,1968年頃,英国のスポーツ名「ポロ」にちなんだ「Polo」という名のブランドを立ち上げ,同氏がデザインしたネクタイを皮切りに,徐々に紳士服や婦人服等商品のジャンルを拡大した。そのデザインコンセプトは,ブリティッシュ・マインドの中にも,より機能性やカジュアル感を持ち込んだ,新しいアメリカン・トラディショナルを打ち出したものである。同氏は,1974年の映画「華麗なるギャッツビー」や1977年の映画「アニーホール」の衣装デザインを担当し,米国のみならず,我が国においても人気を博した。さらに,同氏は,2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックの開会式と閉会式の米国選手団のユニフォームデザインを担当した。

イ ラルフ・ローレンは,「Polo」と自身の名前「Ralph Lauren」を組み合わせた「Polo Ralph Lauren」という名のブランドの下,同氏がデザインした衣料品・アクセサリー・香水・寝具・タオル・家庭用品などを製造し,その業績は,2011年度で売上高5,660百万ドル,2013年度で売上高7,450百万ドルに上る。

ウ 我が国において,ラルフ・ローレンは,自身の取り扱う衣料品等の商品について,「Polo Ralph Lauren」及び「ポロ ラルフ ローレン」の文字,並びに,「Polo」と「Ralph Lauren」の文字を上下二段に併記してなる標章を使用しており(以下,これらをまとめて「使用商標」ということがある。),自身のウェブサイトや雑誌を通じて宣伝広告している。そして,使用商標が使用された商品は,自身のウェブサイトのみならず,公式オンラインショッピングサイトである「ZOZOTOWN」,「西部,SOGO」及び「ISETAN ONLINE」を通じて販売されているほか,「Amazon.co.Jp」,「楽天市場」等のネットショップや,大丸,三越等の大規模百貨店やアウトレットモール等でも販売されている。

エ 2010年1月5日から16日に首都圏と近畿圏在住の20〜69歳の男女900人を対象に実施された「ファッションブランド意識調査」によれば,「衣料品の人気度ランキング」において,「ラルフ ローレン」のブランドは,バーバリー,ユニクロに次ぐ3位であった。

オ 使用商標は,書籍,新聞,ファッション誌やインターネット等の様々な媒体において,ラルフ・ローレンの取扱いに係る衣料品等の主要ブランドとして紹介され,その高級感や上質さが繰り返し強調されている。また,使用商標は,様々な媒体において,「Polo」(大文字表記を含む。)又は「ポロ」と略して表記されている(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)。

カ 「home」の文字は「家庭」を意味する語であり,衣料品を取り扱う業界においては,「家庭用の商品」を意味するものとして使用されている。また,「British」は「英国の」,「country」は「国,田舎(の)」,「spirit」は「精神」,並びに,「polo(ポロ)」は「馬に乗ったプレーヤーが4人一組になり,柄の長いハンマーで玉を打って相手のゴールに入れるスポーツ」又は「米国のデザイナー,ラルフ・ローレンがデザインした紳士服や婦人服の商標」をそれぞれ意味する語である。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 使用商標及び引用商標の周知著名性について

上記(1)において認定した事実によれば,引用商標は,ラルフ・ローレンの主要ブランドとして周知著名である使用商標の略称・通称として,たとえ我が国において,ラルフ・ローレン自身が引用商標を単独で使用していないとしても,我が国の衣料品を取り扱う業界の取引者,需要者の間において,本願商標の登録出願日とみなされる日(平成26年2月12日)には,相当程度広く認識され,その周知性は,本願商標の審決日においても継続しているものということができる。

イ 本願商標と引用商標の類似性の程度

引用商標は,上記(1)オのとおり,「Polo」(大文字表記を含む。)又は「ポロ」の文字からなるものである。

他方,本願商標は,別掲1のとおり,「POLO」と「HOME」の文字を上下二段に併記し,両文字の間に,その幅に収まるように,小さく「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字を書してなる結合商標であるところ,構成上からは,これら文字部分が,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。

そして,本願商標の構成中の「HOME」の文字部分は,上記(1)カのとおり,衣料品を取り扱う業界においては,「家庭用の商品」を意味する語であるから,本願商標の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ない。また,本願商標の構成中の「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字部分は,構成中の他の文字部分に比して小さく表記されている上に,上記(1)カからすれば,全体として「英国精神」ほどの意味合いを認識させるものであるところ,衣料品を取り扱う業界において,国名は一般に当該製品の製造地,販売地を表す実情があることを鑑みると,商品が英国に由来することを表していると連想させるにとどまり,本願商標の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いというべきである。

そうすると,本願商標の構成中,大きく目立つ態様で書され,かつ,ラルフ・ローレンの主要ブランドとして周知著名である使用商標の略称として,我が国の取引者,需要者の間において相当程度広く認識されている引用商標「Polo」と同じつづりである「POLO」の文字部分が,商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

してみれば,本願商標と引用商標は,両者の全体の外観において差異を有するとしても,本願商標の要部たる「POLO」と引用商標とは,「POLO」の文字のつづりを同じくし,また,「ポロ」の称呼及び「ラルフ・ローレンの主要ブランド」としての観念も共通するものであるから,これら要素が取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,本願商標と引用商標とは,類似性の程度が極めて高いというべきである。

ウ 商品の関連性及び取引者,需要者の共通性について

本願商標の指定商品は,前記1のとおり,衣料品であり,使用商標に係る商品は,衣料品・アクセサリー・香水・寝具・タオル・家庭用品であるから,両者は極めて関連性の高いものであって,両者の取引者,需要者が共通することも明らかである。

エ 出所の混同のおそれについて

本願商標の指定商品の取引者,需要者において普通に払われる注意力を基準として,以上のアからウを総合的に判断するならば,本願商標を請求人がその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者が,周知性を有する引用商標を想起,連想し,その商品が,あたかもラルフ・ローレン又はラルフ・ローレンと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

なお,「polo」の文字は,上記(1)カのとおり,騎乗競技の普通名称であるから,引用商標の独創性は必ずしも高くないが,上述のとおり,引用商標は使用商標の略称・通称として周知といえるものであり,本願商標の指定商品と使用商標に係る商品が共通する極めて関連性の高いものであって,両者の取引者,需要者が共通することも明らかである。しかも,本願商標の指定商品が日常的に消費される性質の商品であることや,その需要者が特別な専門的知識経験を有しない一般大衆であることからすると,これを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものでないと見なければならない。そうすると,本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性の判断をする上で,引用商標の独創性の程度が低いことを重視するのは相当でないというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は,(ア)「Polo\by Ralph Lauren」の商標が被服について著名であるとしても,その略称である「Polo」単独で著名といえる明確な証拠はなく,また,証拠調べ通知書で示された例も,外来語を略称化して言い習わす日本人の習慣により,「ポロ・ラルフローレン」を「ポロ」と表したにすぎないものであること,(イ)請求人の「POLO」関連被服等商品の売上額は,「Polo」のつづりからなる文字を含む登録商標(第4015884号商標及び第4041586号商標)が出願された昭和58年当時と平成26年の売上を比較すると,小売上代換算で12億円程度から95億円程度に拡大しており,「POLO」商標が,ラルフ・ローレンの被服等のみならず,請求人が扱う被服等を認識する者もいたという状況は,本願商標の原出願日においても継続しており,引用商標がラルフ・ローレンに係る被服等のみを表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとは認められないこと,(ウ)平成26年において,請求人により「POLO」商標がライセンスされた紳士カジュアル商品及びレディスカジュアルは,それぞれ全国33及び255の店舗にて専門店又は店舗内専門コーナーで,また,同スーツは,はるやま商事株式会社が経営する全国255店舗の専門コーナーで販売されており,いずれの店内にも,「POLO」商標の看板が人目・注意を惹くような形で展示されている。加えて,イトーヨーカ堂,ダイエー等の全国規模のGMSやカジュアル専門店,イズミヤ等の地域ローカルGMSで販売され,これら例示のほとんどの店舗で「POLO」商標を付した商品が販売されている。また,平成20年より,ライセンシーのホームページ,アマゾン,楽天市場,YAHOOショッピングなどを通じて,インターネット販売も行われており,多くの取引者,需要者が日常的に「POLO」商標を目にする旨主張する。

しかしながら,上記(1)において認定した事実によれば,衣料品を取り扱う業界においては,使用商標がラルフ・ローレンの主要ブランドとして周知著名といえるものであり,その取引者,需要者が当該使用商標を「Polo」又は「ポロ」と略称している事実があることは明らかである。一方,請求人が「POLO」を含む商標を使用して被服等商品を販売している実績があるとしても,それのみで,衣料品を取り扱う業界において,「Polo」又は「ポロ」の文字が,請求人の出所に係る商品を表示するものとして,取引者,需要者に認識されていると直ちにいうことはできず,その他,それをうかがえる事実を見いだすこともできない。そうすると,引用商標は,ラルフ・ローレンの主要ブランドである使用商標の略称・通称として,たとえ我が国において,ラルフ・ローレン自身が引用商標を単独で使用していないとしても,我が国の衣料品を取り扱う業界の取引者,需要者の間において,本願商標の登録出願日とみなされる日には,相当程度広く認識され,その周知署名性は,本願商標の審決日においても継続しているものということができるのは,上記(2)アで述べたとおりである。

イ 請求人は,過去の審決(不服2015−148)を挙げ,本願商標の構成は,三段の構成全体をもって不可分一体のものとしてのものとして看者に把握される一方,引用商標は,「POLO」の欧文字からなるものであるから,たとえ,引用商標が周知著名であるとしても,本願商標と引用商標は,看者に与える記憶,印象が著しく相違し,判然と区別されるものであり,需要者等が,本願商標の構成中「POLO」の文字部分のみに注目して引用商標ないしは「ポロ社又はラルフ・ローレンの業務に係る商品」を連想,想起するようなことはなく,取引者,需要者は,ポロ社又はラルフ・ローレンに係る事業と関連付けて認識するおそれは極めて低い旨,主張する。

しかしながら,本願商標の構成態様,並びに,構成中の各文字部分と本願商標の指定商品との関係を踏まえれば,本願商標と引用商標は,両者の全体の外観において差異を有するとしても,本願商標と引用商標とは,類似性の程度が極めて高いというべきであることは,上記(2)イで述べたとおりである。

ウ 請求人は,引用商標の著名性を否定する論拠のひとつとして,過去の判決例を挙げる。

しかしながら,そもそも商標法4条1項15号に該当するか否かは,出願時及び審決時における個別具体的な事情に基づき判断されるものであるから,請求人の挙げた判決例があるからといって,本件も同様に判断すべきであるということにはならない。

エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

(4)まとめ

以上からすれば,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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