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Trademark Appeal Case

商標要部と使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2016−300556(T2016−300556/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第576063号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,昭和27年3月31日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同36年7月1日に設定登録され,その後,平成14年6月5日に,指定商品を第9類「蓄音機(電気蓄音機を除く。),レコード,蓄音機用針,蓄音機(電気蓄音機を除く。)の部品および附属品」及び第15類「ピアノ,オルガン,バイオリン,マンドリン,箏,三絃,こきゅう,びわ,月琴,木琴,笛,ハーモニカ,洋・和楽器用ばち,洋・和楽器用弦,その他の楽器,楽器の部品および附属品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

本件審判は,商標法50条1項の規定による商標登録取消審判事件であり,その請求の登録(予告登録)は,平成28年8月26日になされた(以下,当該請求の登録前3年以内を「本件要証期間」という。)。

以下,本件の事案に鑑み,被請求人の主張から記載する。

第2 被請求人の主張

被請求人は,結論同旨の審決を求めると主張し,その理由を以下のように述べ,証拠方法として乙1〜7を提出した。

1 通常使用権者について

本件商標権者は,株式会社吉川奎盛堂(以下「吉川奎盛堂」という。)の代表取締役であり(乙1),同社に本件商標の通常使用権を許諾している。この点,両者に書面による通常使用権許諾契約の締結事実を証明する証拠は存在しないが,契約自由の原則の下,書面によらない使用許諾契約の締結も認められるものであり,また,上記事実からすると,本件商標権者が同社に通常使用権を許諾しているという事実は推認される(平成18年(行ケ)第10105号)。

よって,吉川奎盛堂は,本件商標の通常使用権者である。

2 通常使用権者による本件商標の使用事実

以下のとおり,通常使用権者は,本件要証期間内に日本国内において,少なくとも商品「カスタネット」の識別標識として,また,楽器卸商を営む通常使用権者が扱う楽器全般商品の宣伝広告として,本件商標と社会通念上同一の商標「NEW/OLYMPIA」,「OLYMPIA」又は「オリンピア」を使用している(商標法2条3項1号及び同項8号)。

(1)乙2は,通常使用権者が扱う商品「カスタネット」に標章「NEW/OLYMPIA」及び「OLYMPIA」を付したものの写真である。

乙6は,カスタネット(乙2)の納品書である。それぞれ,「カスタネット(OLIMPIA)」と表示されている。これにより,カスタネット(乙2)が本件要証期間内に日本国内において取引された事実が裏付けられる(商標法2条3項2号)。

(2)乙3は,楽器産業ガイド(2015,2016,2017年版)の写しであって,通常使用権者が扱う楽器商品全般のブランド名の宣伝広告として,標章「オリンピア」が掲載されている。

(3)乙4は,通常使用権者の名刺であって,取引書類に該当し,標章「OLYMPIA」又は「オリンピア」が付されている。

(4)乙5は,通常使用権者の年賀状(平成26年,平成28年,平成29年)であって,標章「オリンピア」が付されている。過去3年以外の年賀状も含まれるが,継続的に使用している証拠でもある。

3 社会通念上の同一性について

本件商標の構成は,「NEW」,「OLYMPIA」及び「オリンピア」の各文字を3段に横書きしてなるものであるが,「NEW」の表示は,「OLYMPIA」及び「オリンピア」の表示に比べて小さい上,商品の記述的記載にすぎないため,「NEW」という部分には自他商品識別力がない。

この点,平成18年(行ケ)第10225号不使用取消審決取消請求事件において,識別力のない表示を除いた商標の使用は,商標法50条の使用に当たる旨の判決があることからすると,本件商標から「NEW」の部分を除いても問題がない。

また,特許庁審判部編「審判便覧」の「53−1 登録商標の不使用による取消審判」によれば,登録商標が2段書きの構成からなる場合であって,上段及び下段の各部が観念を同一とするときに,その一方の使用は登録商標の使用と認められるとの記載がある。

よって,本件録商標のうち,「NEW」を除いた商標,更に観念が同一である2段書きの「OLYMPIA」及び「オリンピア」の一方の使用は,いずれも本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。

なお,この主張は,本件登録に対する過去の取消審判(取消2006−30707)の審決において認められている。

4 まとめ

以上のとおり,本件要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者がその請求に係る指定商品中「その他の楽器」に含まれる「カスタネット」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることが明らかである。

第3 請求人の主張

請求人は,商標法50条1項の規定により,本件商標の指定商品中,第9類「蓄音機(電気蓄音機を除く。),蓄音機用針,蓄音機(電気蓄音機を除く。)の部品および附属品」及び第15類「全指定商品」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲1,2を提出した。

1 請求の理由

本件商標は,本件審判の請求に係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。

2 被請求人の主張に対し

請求人は,被請求人の主張に対して,何ら弁駁していない。

第4 当審の判断

1 事実認定

証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)本件商標権者は,楽器及び楽譜の総合卸商等を業とする吉川奎盛堂の代表取締役である(乙1,3〜5)。

(2)ア 吉川奎盛堂は,平成26年12月4日,同27年10月7日及び同年11月20日,熊野幼稚園に対し,商品「カスタネット」の包装に,活字体による「NEW」と「OLYMPIA」との各欧文字を2段に横書きした商標(「NEW」は「OLYMPIA」の上部中央付近に小さく表示されている。)ないし活字体による「OLYMPIA」の欧文字を横書きした商標(以下,これらをまとめて「本件使用商標1」という。)を付した同商品(以下「本件使用商品」という。)を,それぞれ,40個,10個及び50個納品するとともに,その際に,吉川奎盛堂が発行した熊野幼稚園宛の納品書には,「商品名/型番」欄に「カスタネット (OLYMPIA)」(平成26年12月4日,同27年10月7日納品分)及び「カスタネット(木) OLYMPIA」(同年11月20日納品分)とそれぞれ手書きされていた(乙2,6)。

イ 吉川奎盛堂は,平成26年12月4日及び同27年11月20日,中浜幼稚園に対し,本件使用商品を,それぞれ,60個及び90個納品するとともに,その際に,吉川奎盛堂が発行した中浜幼稚園宛の納品書には,「商品名/型番」欄に「カスタネット (OLYMPIA)」(平成26年12月4日納品分)及び「カスタネット(木) OLYMPIA」(同27年11月20日納品分)とそれぞれ手書きで横書きされていた(乙2,6。以下,上記アの納品書を含め,これら手書きによる「OLYMPIA」の欧文字からなる商標をまとめて「本件使用商標2」といい,本件使用商標1とまとめていう場合は「本件使用商標」という。)。

2 判断

上記1の認定事実によれば,次のとおり認めることができる。

(1)本件使用商品について

本件使用商品は,「カスタネット」であるから,本件審判の請求に係る指定商品中の第15類「その他の楽器」に含まれる商品であると認められる。

(2)本件商標と本件使用商標の同一性について

ア 本件商標は,別掲のとおり,「NEW」,「OLYMPIA」及び「オリンピア」の各文字(「NEW」は「OLYMPIA」の上部中央付近に小さく表示されている。)を3段に横書きしてなるものである。

本件商標における「NEW」の文字部分は,その余の文字部分に比べて小さい上,本件商標がその指定商品に付された場合には,取引者,需要者は,それが新商品であることを表す商品の品質表示語として理解,認識するのが通常であるから,自他商品の識別力がない部分であるといえる。また,「オリンピア」の文字部分は,「OLYMPIA」の文字部分の読みを表したものであって,これらからは「オリンピック競技の発祥地」(広辞苑第6版)の観念を生ずるものである。

したがって,本件商標における要部は,「OLYMPIA」又は「オリンピア」の各文字部分であるといえるから,同部分より「オリンピア」の称呼及び「オリンピック競技の発祥地」の観念を生ずるものである。

イ これに対し,本件使用商標1は,活字体による「NEW」と「OLYMPIA」との各欧文字を2段に横書きした商標(「NEW」は「OLYMPIA」の上部中央付近に小さく表示されている。)ないし活字体による「OLYMPIA」の欧文字を横書きした商標であり,また,本件使用商標2は,手書きによる「OLYMPIA」の欧文字を横書きした商標である。

本件使用商標1における「NEW」の文字部分は,上記アと同様の理由によって,自他商品の識別力がない部分と認められるから,本件使用商標1における要部は,「OLYMPIA」の文字部分であるといえる。

本件使用商標1の要部である「OLYMPIA」の文字部分及び本件使用商標2からは,「オリンピア」の称呼及び「オリンピック競技の発祥地」の観念を生ずるものである。

ウ したがって,本件商標と本件使用商標とは,「OLYMPIA」の欧文字部分のつづりを共通にし,同一の称呼及び観念が生ずるものであるから,本件使用商標は,本件商標とは社会通念上同一の商標であると認められる。

(3)使用者について

本件商標権者は,本件使用商標の使用者である吉川奎盛堂の代表取締役であるから,同社に対し通常使用権を許諾していたものと優に推認できる。

したがって,上記1(2)における本件使用商標の使用者は,本件商標の通常使用権者であると認められる。

(4)使用時期について

上記1(2)において,吉川奎盛堂が,熊野幼稚園及び中浜幼稚園に対し,本件使用商品を納品した時期(平成26年12月4日,同27年10月7日及び同年11月20日)は,いずれも本件要証期間内である。

(5)小括

以上によれば,本件商標の通常使用権者である吉川奎盛堂は,本件要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中の「その他の楽器」に含まれる本件使用商品(カスタネット)について,その包装に本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標1を付したものを引き渡したこと,かつ,その際に使用した納品書(取引書類)に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標2を付して頒布したことをそれぞれ認めることができる。

そして,上記各行為は,商標法2条3項2号にいう「商品の包装に標章を付したものを引き渡しする行為」及び同項8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。

3 まとめ

以上のとおり,被請求人は,本件要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品中の「その他の楽器」に含まれる本件使用商品(カスタネット)について,本件商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。

したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法50条の規定により,取り消すことができない。

よって,結論のとおり審決する。

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