結論テキスト
本願商標は,登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2018−13459(T2018−13459/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は,「DEJIMA」の文字を標準文字で表してなり,第41類「セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・会合・集会・ワークショップの企画・手配・運営・開催及びこれらに関する情報の提供,セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・ワークショップのための施設の提供及びこれらに関する情報の提供,科学技術に関する研修施設の提供及びこれらに関する情報の提供」及び第43類「会議室の貸与,展示施設の貸与,会議・テレビ会議・集会・展示・ミーティングのための施設の提供及び多目的ホールの提供,会議室・講演会場等の多目的ホールの提供,会議施設の貸与,会議室・研修室・多目的ホールの貸与,会議用テーブルの貸与,行事・会議・集会・展示会・セミナー及びミーティングを開催するための部屋の貸与,多目的ホールの提供,式典のための施設の提供,見本市及び展示会のための施設の提供,宿泊施設・会議室・教育研修室を完備した多目的ホールの提供,イベント会場の貸与,社交行事を開催するための部屋の貸与,多目的イベントホールの貸与,談話室の提供」を指定役務として,平成29年5月19日に登録出願されたものである。
原査定は,「本願商標の『DEJIMA』の文字は,『長崎市南部の町名。1636年(寛永13)ポルトガル商人を置くために造成した約4000坪の扇形埋立地。ポルトガル船渡航禁止後,41年平戸にいたオランダ人を移転させた。鎖国中の日本唯一の貿易地。』(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』)の意味を有する『出島』の文字を欧文字で表したものと認められる。また,出島は,鎖国時代,世界に開かれた唯一の窓口であり,国指定の史跡が存在すること,19世紀,島内には住居や料理部屋,蔵,番所など49棟もの建物があり,現在そのうちの25棟を復元させるための事業が進んでいること,2016年10月20日建物6棟が復元され,一般公開がはじまったこと,長崎市は,今から約60年も前に出島の復元に着手し,出島周辺の観光を地域興しの施策の一つとして考えている実情が認められる。そうすると,本願商標を一私人である出願人が自己の商標として登録することは,観光振興や地域興しなどの施策の遂行を阻害するおそれがあることから,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものと認められるため,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
本願商標は,「DEJIMA」の文字からなるところ,当該文字は,鎖国中の日本で唯一の貿易地である長崎の「出島」を欧文字で表したものと理解されるものである。
そして,別掲(1)によると,長崎県長崎市出島町には,国指定史跡である「出島和蘭(オランダ)商館跡」が存在し,その周辺では,鎖国当時の住居や蔵が復元され一般公開されている。
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(1)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(3)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれるというべきであると判示されている(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号判決同18年9月20日判決参照)。
ところで,国指定史跡などの文化財・文化的所産等(以下「文化財等」という。)は,その価値が認められ, 国民や地域住民に親しまれており,その周知・著名性ゆえに強い顧客吸引力を発揮する場合が多いと考えられる。
そうすると,文化財等の名称等からなる商標は,(ア)文化財等の知名度,(イ)文化財等に対する国民又は地域住民の認識,(ウ)文化財等の利用状況,(エ)文化財等の利用状況と指定商品又は指定役務との関係,(オ)出願の経緯・目的・理由等を総合的に勘案して,当該商標を特定の者の商標としてその登録を認めることが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものと認められる場合には,商標法第4条第1項第7号に該当するというべきであるから,以下,本願商標について,上記(ア)ないし(オ)について検討する。
(1)事実認定
「出島」について,職権調査(別掲)によれば,次のことを認めることができる。
ア 「出島」の周知・著名性
「出島」は,別掲(1)のとおり,辞書等で,長崎市南部の町名で,鎖国中の日本で唯一の貿易地として紹介され,また,文化財等(国指定史跡である「出島和蘭(オランダ)商館跡」)が存在することから,全国に広く一般に知られている。
イ 「出島」に対する国民又は地域住民の認識
「出島」は,上記アのとおり,全国に広く知られているほか,別掲(2)のとおり,長崎市等のウェブサイト情報や新聞記事において,出島和蘭(オランダ)商館跡(長崎市の国指定史跡)や出島表門橋等の観光スポットが紹介されており,また,出島周辺では,例えば,市民団体により出島表門橋を大掃除するイベントや地元のテレビ局が主催する食に関するイベント等が開催されていることから,「出島」は地域住民や観光客などに親しまれている。
そうすると,「出島」は,従来から継続して長崎県の地域住民はもとより,我が国の国民に広く親しまれているといえる。
ウ 「出島」の名称の利用状況
「出島」は,上記イのとおり,地域住民や観光客などに親しまれていることから,別掲(3)のとおり,長崎県で販売される土産物や特産物等に「出島」の名称が利用されていることが認められる。
エ 「出島」の名称の利用状況と本願商標の指定役務との関係
「出島」の名称は,上記ウのとおり,地域の土産物や特産物等に利用されていることが認められるが,本願商標の指定役務は,上記第1のとおり,第41類「セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・ワークショップのための施設の提供及びこれらに関する情報の提供」等及び第43類「会議室の貸与,展示施設の貸与」等であり,当該役務は,主に,教育研修のための施設の提供及び集会や会議のための施設の提供等であるため,地域や観光の振興において利用される蓋然性の高い,地域の土産物や特産物等の商品と密接な関連性を有するものではない。
オ 出願の経緯・目的・理由等
本願商標の出願の経緯,目的及び理由についての具体的な事情は確認できず,また,請求人と「出島」との関連性は,何ら見いだすことはできない。
(2)判断
上記(1)ア及びイのとおり,「出島」は,辞書,新聞記事等での掲載,周知,著名な文化財等(国指定史跡)の存在,新聞記事等による観光スポットの紹介及び市民団体のイベント等から,地域住民のみならず我が国の国民に広く親しまれているものと認められる。
そして,「出島」の名称は,上記(1)ウのとおり,地域の土産物や特産物等に利用されていることが認められる。
しかしながら,本願商標の指定役務は,上記(1)エのとおり,地域や観光の振興に利用される蓋然性の高い,地域の土産物や特産物等の商品と密接な関連性を有するものとはいえず,当審において職権をもって調査するも,本願商標に係る指定役務を取り扱う分野において,「出島」及び欧文字の「DEJIMA」の名称が地域の振興等を図るために利用されている事実を見いだすことができない。
以上の事情を考慮すれば,本願商標がその指定役務に使用された場合,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するとはいえないというのが相当である。
そして,本願商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく,かつ,他の法律によって,その商標の使用等が禁止されているものではない。
また,本願商標は,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は国際信義に反するものでもなく,さらに, 請求人が,上記オのとおり,「出島」とは何ら関連性がない企業であるとしても,本願商標の登録出願の経緯に,社会的相当性を欠くというべき事情も見いだせない。
したがって,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではない。
以上のとおり,本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから,これを理由として本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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