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Trademark Appeal Case

結合商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900146(T2018−900146/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6026851号商標の指定商品中、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6026851号商標(以下「本件商標」という。)は、「若甦潤」の文字を標準文字で表してなり、平成29年1月11日に登録出願、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として、同30年1月29日に登録査定、同年3月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する登録商標は、以下の4件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。

1 登録第5971418号商標

商標の構成:若甦(標準文字)

登録出願日:平成28年12月19日

設定登録日:平成29年8月10日

指定商品:第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

2 登録第5853640号商標(以下「本件引用商標」という。)

商標の構成:別掲1のとおり

登録出願日:平成27年10月16日

設定登録日:平成28年5月27日

指定商品:「薬剤(農薬に当たるものを除く。),サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を含む第5類に属する商品並びに第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

3 登録第5713384号商標

商標の構成:若甦(標準文字)

登録出願日:平成26年3月20日

設定登録日:平成26年10月24日

指定商品:第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

4 登録第5245374号商標

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成20年8月26日

設定登録日:平成21年7月3日

更新登録日:平成31年1月29日

指定商品及び指定役務:第29類ないし第32類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

引用商標は、申立人の登録商標であって「薬剤やサプリメントや清涼飲料」などの健康関連商品の分野で需要者の間に広く認識された商標であるのに対し、本件商標は、引用商標と他の文字「潤」とを結合させた商標である。よって、本件商標は、引用商標と類似するものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、「薬剤やサプリメントや清涼飲料」などの健康関連商品の分野で申立人の商標として全国的に需要者の間に広く認識された著名商標であるのに対し、本件商標は、引用商標と他の文字「潤」とを結合させた商標である。よって、本件商標は、その指定商品に使用された場合、申立人の商品等であると誤認させて出所の混同を生じさせるおそれがある。

また、引用商標は、申立人により、1971年7月に「若甦錠」を付した商品が発売されて以降、漢字「若甦」からなる標章の他に、漢字「若甦」を冠として「内服液」、「ロイヤル」、「インペリアル」、「アクティ」、「ノンカフェ」、「参甘黄」、「錠S」、「E」、「龍心」、「温」、「温生姜」、「ゼロ」などの他の文字が結合する形で使用されている(甲6の1、甲6の2)。そして、当該標章が付された商品は、「薬剤やサプリメントや清涼飲料」などの健康関連商品の分野で「若甦シリーズ」という一つの商品群としても全国的に需要者の間に広く認識されている(甲7〜甲16)。

よって、漢字「若甦」の直後に他の文字「潤」が結合する本件商標が使用された場合、申立人の「若甦シリーズ」の一商品と誤認され、出所の混同を生じさせることが明白である。特に、本件商標の「潤」という文字は、「肌の潤いや瑞々しさ」などの健康的なイメージを連想させ、健康関連商品に採択されやすい文字であるため、本件商標が使用された場合、申立人の「若甦シリーズ」の一商品と誤認されることが明白である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

引用商標は、「薬剤やサプリメントや清涼飲料」などの健康関連商品の分野で申立人の商標として需要者の間に広く認識された商標であるのに対し、本件商標は、引用商標と他の文字「潤」とを結合させた商標である。よって、本件商標は、引用商標と類似するものである。

また、引用商標の漢字「若甦」が半世紀前から使用され続け、「薬剤やサプリメントや清涼飲料」などの健康関連商品の分野で「若甦シリーズ」として広く認識されている事実や、漢字「若甦」及びそれを含む商標のすべてが申立人の登録商標であるところ、その後に、本件商標が、申立人の登録商標の指定商品(指定役務)に重なるように出願されている事実(甲17)や、現在、インターネット上における漢字「若甦」が申立人の取扱商品を示す標章としてのみ抽出される事実(甲18)などを鑑みれば、本件商標が使用された場合、引用商標の漢字「若甦」に化体された信用、名声、顧客吸引力等が毀損することが明白である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 取消理由の通知

当審において、平成30年11月7日付けで、商標権者に対し、「本件商標は、その指定商品中、第5類『薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品』について、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見

前記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本件引用商標の周知・著名性について

ア 申立人の提出に係る証拠及びその主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、医薬品の製造を主たる目的として1947年(昭和22年)6月に設立された法人であり、1971年(昭和46年)7月に「若甦錠」(現「若甦錠S」)を発売して以降、「若甦内服液」、「若甦ロイヤル内服液」、「若甦ハイロイヤル内服液」、「若甦ロイヤルカプセル」、「若甦インペリアル内服液」、「若甦C顆粒」「若甦内服液G」等、「若甦」シリーズの商品「滋養強壮剤」を製造発売して現在に至っている(甲6〜甲16、甲21〜甲31)。以下、これらの申立人の業務に係る「若甦」シリーズの商品「滋養強壮剤」を「申立人商品」という。

(イ)本件引用商標は、申立人商品の包装容器(箱)に使用されている(甲22、甲23)。

(ウ)申立人は、1954年(昭和29年)から取引開始した日邦薬品工業株式会社(以下「日邦薬品」という。)を介して、申立人商品を販売するという形式をとっており、少なくとも2016年(平成28年)4月〜2018年(平成30年)3月にかけて、申立人商品は、日邦薬品の仙台・大阪・福岡の各営業所を介して販売され、卸売先の薬局や薬店で販売されていることがうかがわれる(甲21、甲24、甲25)。

(エ)さらに、本件引用商標が使用された申立人商品については、薬局や薬店の看板やポップ広告、及び、広告宣伝用チラシ、リーフレットによって、広告・宣伝を行っており、2016年(平成28年)〜2017年(平成29年)の広告宣伝用チラシ、リーフレットの頒布に係る印刷物は、約52万枚に上り、これらが申立人商品を販売する薬局や薬店等を通じて、相当量配布されていたことが推認できるものである(甲25〜甲27)。

(オ)申立人商品は、「一般用医薬品データブック 2015」(株式会社富士経済発行)の「滋養強壮剤」の分野における全体市場占有状況によれば、2013年の販売高12億円、シェア8.8%、2014年の販売高11億8,500万円、シェア8.8%、2015年の販売高11億9,000万円、シェア8.8%であり、3年連続で業界第2位のマーケットシェアを維持しており、申立人商品について、「幅広い剤形の展開で長年に亘るリピート需要を確保している。」と記載されている(甲31)。

(カ)本件引用商標が使用された申立人商品は、「クロワッサン」(2009年6月10日発行)、「美人百花」(2009年7月号、2010年1月号)、「オレンジページ」(2009年11月2日発行)、「STORY」(2010年10月号)、「美ST」(2014年6月号)等の雑誌において紹介されている(甲28)。

(キ)申立人商品は、1971年(昭和46年)7月の発売以降、「若甦」の文字を冠したシリーズ商品として、薬剤・サプリメント・飲料などの健康関連商品の消費者に広く知れ渡っている旨、薬局の関係団体である「一般社団法人日本薬局協励会」による平成30年5月15日付け上申書に記載されている(甲29の1)。

イ 上記(ア)〜(キ)を総合的に考察すれば、本件引用商標は、申立人商品を表示するものとして、継続的に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く知られ、周知・著名となっていたものいうことができる。

(2)本件商標と本件引用商標との類似性の程度について

本件商標は、「若甦潤」の文字を標準文字で表してなるものである。

本件引用商標は、別掲1のとおり、金色で表された三重の楕円形の最内円を赤色に彩色した図形と、同赤色に彩色された円内の上部に白抜きで毛筆風の特徴的な書体で表された「若甦」の文字を配置した構成からなるものである。

本件商標と本件引用商標との類似性について検討するに、本件商標中の「若甦」の文字部分と、本件引用商標の毛筆書風の特徴的な書体で表された「若甦」の文字とは、漢字を共通にするものであり、また、当該「若甦」の文字より生じる「ジャッコウ」の称呼が同一であることも併せ考慮すれば、外観及び称呼において、両商標は近似した印象を与えるものであって、一定の類似性を有するものといえる。

(3)本件引用商標の独創性の程度について

本件引用商標は、金色で表された三重の楕円形の最内円を赤色に彩色した独特の図形と、同赤色に彩色された円内の上部に白抜きで毛筆風の特徴的な書体で表された「若甦」の文字を結合したものであり、また、当該「若甦」の文字は、我が国の辞書等には掲載がなく、我が国において親しまれた既成語ではない造語である。

してみれば、本件引用商標の独創性の程度は高いものといえる。

(4)本件商標の指定商品と申立人商品との関連性について

本件商標の指定商品中、「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」と申立人商品「滋養強壮剤」は、いずれも薬局や薬店で展示、販売されるものである。また、いずれも、薬効成分が配合され、病気の治療・予防や健康回復や健康増進のために服用され、食べられるものである。

してみれば、両商品は、その商品の販売場所、内容、用途が共通しているということができるから、本件商標の指定商品中、「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」と申立人商品との関連性の程度は高いものである。

(5)商品の取引者、需要者の共通性について

本件商標の指定商品中、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」と、申立人商品は、いずれも、病気の治療・予防や健康回復や健康増進に関心を持つ者を対象とすることが多いものであるから、取引者、需要者層は共通するものである。

(6)出所の混同のおそれについて

以上を総合的に勘案すれば、本件引用商標は、上記(1)のとおり、申立人商品「滋養強壮剤」を表示するものとして、周知・著名なものであり、また、上記(3)のとおり、特徴を有する図形と造語の組合せよりなるものであることから、その独創性の程度も高いということができる。

また、本件商標と本件引用商標は、上記(2)のとおり、一定の類似性を有するものといえ、さらに、上記(4)及び(5)のとおり、本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度は高いものであり、取引者、需要者層は共通するものである。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」に使用したときは、これに接する需要者は、申立人が使用する高い周知・著名性を有する本件引用商標を想起、連想し、当該商品を、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

(7)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その登録異議の申立てに係る指定商品中、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号に該当しない指定商品について

本件登録異議の申立てに係る指定商品中、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」については,その取引者、需要者、流通経路及び販売場所等は、申立人商品に係るそれとは異なるものであって、申立人商品との関連性が高いとまではいい難く、また、当該商品を取り扱う分野においては、引用商標の周知・著名性は立証されていないことを総合勘案すれば、本件商標をその指定商品中、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」について使用したとしても、他人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当であり、商標法第4条第1項第15号に該当するものとは認められない。

また、その他、それらの指定商品についての登録を取り消すべき理由を見いだせない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」について、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、その余の申立ての理由について論及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消す理由がないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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