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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900165(T2019−900165/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6129657号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6129657号商標(以下「本件商標」という。)は、「PROJECT」と「PLANNER」の欧文字を2段に書してなり、平成30年12月20日に登録出願、第16類「文房具類,印刷物」を指定商品として、同31年2月12日に登録査定され、同年3月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

(1)登録第1147222号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 別掲のとおり

指定商品 第16類「紙類,文房具類」

登録出願日 昭和47年10月27日

設定登録日 昭和50年8月25日

(2)登録第1966670号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 Project

指定商品 第16類「紙類,文房具類」

登録出願日 昭和60年3月12日

設定登録日 昭和62年7月23日

(3)登録第4778499号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 「Project Paper」と「プロジェクトペーパー」の文字を2段に書してなるもの

指定商品 第16類「紙製文房具類」

登録出願日 平成15年11月20日

設定登録日 平成16年6月11日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第145号証を提出した。

(1)引用商標について

引用商標1及び引用商標2は、その構成に相応して「プロジェクト」の称呼及び観念を生ずるものである。

引用商標3は、「Project Paper」と「プロジェクトペーパー」の構成文字全体から「プロジェクトペーパー」の一連の称呼のほか、要部である「Project」と「プロジェクト」の文字部分から単に「プロジェクト」の称呼及び観念をも生ずるものである。

(2)引用商標の周知・著名性について

紙製文房具類の老舗メーカーである申立人は、「プロジェクトペーパー」を1982年に本格的に市場投入して以降、ノート、バインダー、メモ帳などのオキナ商品をシリーズ化し、プロジェクトシリーズとして次々とラインナップを増やしながら現在に至るまで、「Project〜」「プロジェクト〜」のシリーズ商標により、継続して製造販売している(甲8〜甲10)。

そして、プロジェクトシリーズを取り扱っている全国の小売店の数、プロジェクトシリーズの年間売上額、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞の受賞、「すみだモダン」2011の認証、テレビ番組による紹介、業界紙誌による紹介、一般紙誌による紹介、ウェブニュース、売れ筋ランキングといった事実(甲11〜甲144)を総合的に勘案すると、遅くとも本件商標の登録出願日頃にはすでに引用商標1及び2は、プロジェクトシリーズのファミリーネームを表示する商標として、また、引用商標3はプロジェクトシリーズのうち最も人気のある商品の商標として、申立人のハウスマークである「オキナ」と同程度に広く浸透し、高い周知性を獲得している。

したがって、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日頃にはすでに申立人の業務に係るプロジェクトシリーズを表示するものとして同業者・取引者のみならず最終消費者の間においても広く認識されている商標となっている。

(3)本件商標について

本件商標は、その構成全体から「プロジェクトプランナー」の一連の称呼のほか、当該称呼は長音を含め10音と冗長であることも勘案すると、要部である「PROJECT」又は「PLANNER」の文字部分から単に「プロジェクト」の称呼及び観念又は「プランナー」の称呼及び観念が生ずるものである。

(4)本件商標と引用商標との類否について

本件商標の要部である「PROJECT」と引用商標とは、外観において極めて近似するものであって、「プロジェクト」の称呼及び観念を共通にするものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

また、本件商標は、「紙製文房具類」について需要者の間に広く認識された申立人の登録商標と他の文字とからなるものであるが、その申立人の登録商標が既成語の一部となっているもの等の事情は見当たらないので、類似性は否定されない。

したがって、本件商標と引用商標とは、互いに類似する商標といえる。

(5)本件商標と引用商標の指定商品の類否について

本件商標の指定商品中の「文房具類」は引用商標1及び2の指定商品中の「文房具類」と同一の商品である。

また、本件商標の指定商品中の「文房具類」には引用商標3の指定商品「紙製文房具類」が含まれるので、両者は一部同一の関係にある。

(6)商標法第4条第1項第11号該当性について

上記(4)のとおり本件商標と引用商標とは類似し、上記(5)のとおり両商標の指定商品は同一又は一部同一の関係にある。

したがって、本件商標は、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標(引用商標)に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(7)商標法第4条第1項第10号該当性について

上記(2)のとおり引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日頃にはすでに申立人の業務に係るプロジェクトシリーズを表示するものとして同業者・取引者のみならず最終消費者の間においても広く認識されており、上記(4)のとおり本件商標と引用商標とは類似し、上記(5)のとおり両商標の指定商品は同一又は一部同一の関係にある。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(引用商標)に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから、その登録出願時及び登録査定時において商標法第4条第1項第10号に該当する。

(8)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(2)のとおり引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日頃にはすでに申立人の業務に係るプロジェクトシリーズを表示するものとして同業者・取引者のみならず最終消費者の間においても広く認識されており、本件商標は「PROJECT」の構成文字を有するので引用商標を想起させ、特に本件商標は、上段の「PROJECT」と下段の「PLANNER」はともに「P」から始まり韻を踏んだものであり、引用商標3が前半の「Project」と後半の「Paper」で韻を踏んでいるのと共通しているから、申立人の業務に係るプロジェクトシリーズの1つであるかのように出所の混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標はその登録出願時及び登録査定時において商標法第4条第1項第15号に該当する。

(9)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)のとおり引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日頃にはすでに申立人の業務に係るプロジェクトシリーズを表示するものとして同業者・取引者のみならず最終消費者の間においても広く認識されており、上記(4)のとおり本件商標と引用商標とは類似する。

そして、本件商標は「PROJECT」及び「PLANNER」の欧文字からなるにもかかわらず、商標権者は同社のサイトにおいて単に「プロジェクト」とのみ表示しており(甲145)、これは申立人の周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるものであり、不正の目的をもって使用するものと推認される。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、本件商標はその登録出願時及び登録査定時において商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。

(ア)申立人は、大正5年に創業し、現在まで継続してノート、メモ帳、付せんなど紙製文房具類の製造、販売を行っている法人である(甲8、甲11)。

(イ)申立人は、引用商標2を商品「ノート」について、遅くとも昭和60年頃から平成7年頃まで使用していた(甲9〜甲11)。しかしながら、その後引用商標2が使用されている証左は見いだせない。

(ウ)申立人は、商標「Project Paper」及び商標「プロジェクトペーパー」を商品「ノート」などについて、遅くとも昭和63年頃から現在まで継続して使用している(甲11ほか)。

なお、商標「プロジェクトペーパー」については、1982年(昭和57年)から使用されていることがうかがえる(甲31)。

(エ)申立人は、商標「プロジェクト」を商品「大型用紙」「メモ帳」などについて、遅くとも昭和63年頃から現在まで、例えば「全判プロジェクト」「プロジェクト耐水メモ」のように使用している(甲11、甲93ほか)。

(オ)商標「Project Paper」「プロジェクトペーパー」及び「プロジェクト」(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)が使用されている商品(ノート、メモ帳など)は、2009年(平成21年)5月頃以降2019年(令和元年)6月頃までに発行等された新聞、雑誌等で多数紹介されている(甲93、甲135ほか)。

(カ)申立人の商品「プロジェクトペーパー」は、2010年に「2010年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞し、2011年に「すみだモダン 2011」に認証された(甲31、甲32、甲136)。

(キ)しかしながら、引用商標1が使用されていることを示す証左は見いだせず、また、引用商標2及び3が使用されている商品並びに使用商標が使用されている商品の販売数、売上額など販売実績を裏付ける証左も見いだせない。

イ 上記アの事実からすれば、商標「Project Paper」「プロジェクトペーパー」及び「プロジェクト」(使用商標)は昭和63年頃から現在まで継続使用され、使用商標が使用された商品(以下「使用商品」という。)が平成21年以降、令和元年6月頃まで新聞、雑誌等で多数紹介されていることから、使用商標及び「Project Paper」と「プロジェクトペーパー」の文字を2段に書してなる引用商標3は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして商品「ノート」に係る需要者の間にある程度認識されているものといい得るものの、使用商品の販売実績を裏付ける証左を見いだせないから、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

また、引用商標1が使用されている事実、及び引用商標2が近年使用されている事実を示す証左は見いだせないから、両商標はいずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり「PROJECT」と「PLANNER」の文字を2段に書してなり、その構成はまとまりよく一体的に表してなるものであって、該文字に相応し「プロジェクトプランナー」の称呼を生じ、「プロジェクトプランナー(企画立案する人)」の観念を生じるものと判断するのが相当である。

そして、本件商標は、その構成中「PROJECT」又は「PLANNER」の文字部分のいずれかが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって、「プロジェクトプランナー」の称呼を生じ、「プロジェクトプランナー(企画立案する人)」の観念を生じる一体不可分のものとして認識、把握されるものといわなければならない。

イ 引用商標

引用商標1は、別掲のとおり「PROJECT」の欧文字を横書きし、「プロジェクト」の片仮名を縦書きしてなるものであるから、その構成文字に相応し「プロジェクト」の称呼、「プロジェクト(企画など)」の観念を生じるものと判断するのが相当である。

引用商標2は、上記2(2)のとおり「Project」の文字からなるものであるから、該文字に相応し「プロジェクト」の称呼、「プロジェクト(企画など)」の観念を生じるものと判断するのが相当である。

引用商標3は、上記2(3)のとおり「Project Paper」と「プロジェクトペーパー」の文字を2段に表してなるものであるから、該文字に相応し「プロジェクトペーパー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標を比較すると、両者の上記のとおりの外観及び称呼は構成態様及び語調語感が明らかに異なり相紛れるおそれはなく、また観念も相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

エ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

(3)商標法第4条第1項第10号について

ア 引用商標との関係において

上記(1)のとおり引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。

イ 使用商標との関係において

(ア)使用商標の周知性

上記(1)のとおり使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

(イ)本件商標と使用商標の類否

本件商標は、上記(2)アのとおり「PROJECT」と「PLANNER」の文字を2段にまとまりよく一体的に表してなるものであって、「プロジェクトプランナー」の称呼、「プロジェクトプランナー(企画立案する人)」の観念を生じるものである。

使用商標は、上記(1)ア(オ)のとおり「Project Paper」「プロジェクトペーパー」及び「プロジェクト」の各文字からなるものであって、それらからは上記(2)イと同様に、「Project Paper」及び「プロジェクトペーパー」は「プロジェクトペーパー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであり、「プロジェクト」は「プロジェクト」の称呼、「プロジェクト(企画など)」の観念を生じるものと判断するのが相当である。

そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、両者の上記のとおりの外観及び称呼は構成態様及び語調語感が明らかに異なり相紛れるおそれはなく、また観念も相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

(ウ)小括

上記(ア)のとおり使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(イ)のとおり本件商標と使用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が使用商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、使用商標との関係において、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。

ウ まとめ

上記のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。

(4)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)のとおり引用商標及び使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)及び(3)のとおり本件商標は、引用商標及び使用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものである。

そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標及び使用商標を連想又は想起するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。

(5)商標法第4条第1項第19号について

上記(1)のとおり引用商標及び使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)及び(3)のとおり本件商標は、引用商標及び使用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものであって、上記(4)のとおり本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標及び使用商標を連想又は想起させるものでもない。

そうすると、本件商標は、引用商標及び使用商標の名声、顧客吸引力などを毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできず、また、他に本件商標が不正の目的をもって使用をするものと認めるに足る事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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