Trademark Appeal Case
飲食物における「すっきり」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2018−900080(T2018−900080/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6009644号商標(以下「本件商標」という。)は、「すっきりフルーツスムージー」の文字を標準文字により表してなり、平成29年3月31日に登録出願、第32類「フルーツを配合してなるスムージー,フルーツを配合してなるスムージーのもと」を指定商品として、同年11月27日に登録査定、同30年1月12日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「すっきり」「フルーツ」「スムージー」に分離して観察することが可能である。「すっきり」とは「(1)すっかり、すべて。(2)(下に打消の語を伴って)全く。さっぱり。(3)よけいなものがなく、気持ちよく整っているさま。(4)気分や味わいが爽快であるさま。」、「フルーツ」とは「くだもの。果実。」、「スムージー」とは「凍らせた果物・野菜などを牛乳・ヨーグルトとともにミキサーで撹絆してとろりとさせた冷たい飲み物。」を表すものである(甲1)。
つまり、指定商品の「フルーツを配合してなるスムージー、フルーツを配合してなるスムージーのもと」は、商標の一部である「フルーツスムージー」と符合するものといえる。
そこで、前半部「すっきり」部分を分離観察するに、昨今では、商標「すっきり」が「気分や味わいが爽快であるさま(上記の(4))」に該当し、果実飲料等について、「すっきりとした味わいの商品」「すっきりとした気分になる商品」等であることを認識するにとどまるとして、商標法第3条第1項第3号に該当するという認定がされた(甲2)。
2 指定商品の取引の実情との関係について
(1)商品の広告、広報への使用例
株式会社ポッカクリエイトは、「100%オレンジジュースを加えたのど越しのよいすっきりスムージーです。」と紹介している(2007年4月)(甲3)。
オハヨー乳業社は、スムージーをカップアイスにした「スムージーパイン」を発売するにあたり、「暑い夏に好適の甘酸っぱいフルーツと冷たい粒氷が後口をすっきりさせる。」と表現している(2013年3月)(甲4)。
ローソン社は、グリーンスムージーに、「りんごなど3種類の果物の甘みを加え、すっきりと飲みやすい味わいに仕上げている。」と表現している(2015年9月)(甲5)。
ダスキン社は、パイ専門店「パイフェイス」で、「アップルマンゴーのすっきりとした甘さ」の「フローズンスムージー マンゴーとかぼちや」を販売するとしている(2016年6月)(甲6)。
ミニストップ社は、「すっきり酸味のある味わいのグレープフルーツを使用した、1日分のビタミンCが摂取できるスムージー」である「グレープフルーツミックス スムージー」及び、「フルーティなブラッドオレンジで仕立てた濃厚な甘みとすっきりした酸味が特徴」の「ブラッドオレンジミックス スムージー」を販売するとしている(2016年10月)(甲7)。
新見市のJA阿新は、ピオーネ(果物)を使ったスムージーを販売し、「すっきりした甘さが特長」と表現している(2016年11月)(甲8)。
ユーグレナ社は、「果実スムージー ミドリムシ×植物発酵エキス」を「爽やかなすっきりした後味」としている(2017年8月)(甲9)。
田辺市のJA紀南は、摘果ミカン入りのスムージーを販売し、「スムージーにするとすっきりした味で、疲労回復にも良いと思う」とのことである(2017年10月)(甲10)。
株式会社健食沖縄は、「沖縄すっきりスムージー」「簡単混ぜるだけで美味しいスムージー」と称し、大麦若葉にさとうきびやフルーツを加えたスムージーのもとを販売している(甲11)。
美ら島のめぐみは、「琉球すっきり酵素スムージー」「これ1杯で総合的な栄養補給はもちろん、キレイに痩せたいダイエット中にも適した栄養分の摂取ができます。」と称し、ウメ・グレープ・メロン・リンゴ・パイナップル・イチジク・レモン・ミカン・アンズ・グレープフルーツ・キンカン等のフルーツ類を原材料としたスムージーのもとを販売している(甲12)。
株式会社メディアパーツは、芸能人を起用して、「すっきりレッドスムージー」「個包装されているすっきりフルーツスムージー」「野菜、フルーツ不足を解消できます」等と称し、クランベリー・ブルーベリー・レモン等を配合したスムージーのもとを紹介している(甲13)。
甲第11号証から甲第14号証は、2018年4月13日又は17日のものではあるが、登録査定日の2017年11月27日から5か月弱であり、飲料の最需要期を経過する前の状況でもあるので、取引の実情が変わったという特段の事情もなく、査定時点と同視できるものといえる。
(2)料理の本等のレシピの事例
日本ケロッグ合同会社のサイトでは、「スッキリスムージー 腸活おすすめレシピ」と称し、バナナ・ブルーベリー・パイナップル・キウイフルーツを用いたスムージーのレシピが紹介されている(甲14)。
「からだの中から若返るグリーンスムージー健康法」(2012年2月)では、フルーツを使用した「サラッとするスムージー」のレシピについて「すっきりとした食感がほしいときに」としている(甲15)。
「ベジタブル&フルーツスムージー」(2012年8月)では、パイナップル入りのスムージーが、「食物繊維たっぷりの食材を使ってお腹をスッキリ」と紹介されている(甲16)。
「酵素たっぷりスーパースムージー」(2012年8月)では、「イチゴとプルーンの豆乳入りスッキリスムージー」のレシピにつき、「水分の代謝UP!」と紹介されている(甲17)。
「野菜・果実まるごと! 健康スムージー」(2014年5月)では、「オレンジ+パイナップル」のスムージーのレシピが「気分スッキリ」、「いちご+ぶどう」のスムージーのレシピが「すっきりと目覚めたいときに」、「オレンジ+パプリカ+レタス」のスムージーのレシピが「色鮮やかですっきりとしたスムージー」と紹介されている(甲18)。
「お悩み別 健康スムージー」(2014年6月)では、「寝起きをスッキリさせたい」スムージーのレシピの一つとして、「かぶ&いちご&ラズベリー&炭酸水」のものを紹介し、更にその中で「気持ちもスッキリしてきます」と紹介されている(甲19)。
「からだがよろこぶ! 朝のスムージー」(2017年6月)では、「目覚めの不調改善レシピ」として「朝スムージーですっきり解決!」とし、「すっきり起きられなかったときの目覚めの一杯にぴったり」という「トマト+セロリ+パイナップル」のスムージーのレシピを紹介している(甲20)。
3 商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「すっきりフルーツスムージー」を標準文字で表したものであり、指定商品に使用しても、取引者、需要者は「爽快な(すっきりとした)味わいのあるフルーツを配合してなるスムージー」若しくは「爽快な気分になるフルーツを配合してなるスムージー」、又は「爽快な味わいのあるフルーツを配合してなるスムージーのもと」若しくは「爽快な気分になるフルーツを配合してなるスムージーのもと」という意味合いを認識するにすぎないものである。
4 むすび
したがって、本件商標は、その指定商品について商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、商標法第43条の2第1号により登録を取り消されるべきものである。
第3 取消理由の通知(要旨)
当審において、商標権者に対し、別掲に係る証拠を示した上で、「『すっきりフルーツスムージー』の文字からなる本件商標は、『(味わいや喉ごし等が)すっきりとした、果物(フルーツ)を原料とするスムージー』を容易に認識、理解させるものといえ、本件商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の品質を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当である。したがって、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨の取消理由を令和元年6月4日付けで通知した。
第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、意見を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。
1 本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないことについて
(1)本件商標は指定商品の品質を具体的かつ直接的に表示するものではないことについて
本件商標は「すっきりフルーツスムージー」の文字を標準文字で書してなり、いずれの文字の間にもスペースを設けず、同書、同大、同一間隔で一連に横書きした一体性が強い構成よりなり、全体を口に出して読むと語呂がよく、一連一気に称呼しやすい商標である。
そのため、本件商標を「すっきり」と「フルーツスムージー」、「すっきりフルーツ」と「スムージー」、「すっきり」、「フルーツ」と「スムージー」等と分離観察すべき必然性はなく、「すっきりフルーツスムージー」の構成全体で一つの商標として認識、理解されるとみるのが妥当である。
本件商標を「すっきりフルーツスムージー」の構成全体で一つの商標として捉えた場合、本件商標は、辞書に掲載されているものではないことから(乙1)、特定の意味合いは生じない造語とみるのが妥当であり、本件商標はその指定商品の品質を具体的かつ直接的に表示するものとはいえない。
このことは、後述するように、商標権者が調査した限りにおいて、本件商標の指定商品について、「すっきりフルーツスムージー」の語が取引上一般に使用されているというべき事情は発見できないことから明らかである。
また、本件商標に接する取引者、需要者が当該文字を、商品の品質を表示したものと認識するというべき実情も見当たらない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質を表したものとはいえず、自他商品識別機能を十分発揮するものであるため、商標法第3条第1項第3号には該当しないものである。
(2)本件商標が商品の品質、効能等を表すために取引上一般に使用されていないことについて
商標権者が調査した限りにおいて、本件商標が商品の品質を表示するものとして使用されている事実は発見されない。
インターネットにて「すっきりフルーツスムージー」の語を、本件商標の登録査定日以前の期間で完全一致検索すると、「“すっきりフルーツスムージー”との一致はありません。」と表示され(乙2)、本件商標の使用例は発見することができなかった。
そうすると、「すっきりフルーツスムージー」の語が本件商標の指定商品について、商品の品質を表すために取引上一般に用いられているというべき事情も見いだせない。
このことは、取消理由通知にある申立人の提出に係る証拠及び合議体における職権調査に係る証拠のいずれにも「すっきりフルーツスムージー」の語の記載がないことからも明らかである。
以上のことから、一般的に使用されていない本件商標をその指定商品に使用しても、これに接した需要者等は「(味わいや喉ごし等が)すっきりとした、果物(フルーツ)を原料とするスムージー」程の意味合いを理解せず、むしろ、その使用例のなさから、本件商標を自他商品識別標識と認識、理解し、商品の具体的、直接的な品質を直ちに特定し、認識、理解することはないとみるのが妥当である。
(3)特許庁における「すっきり○○」の審決例及び登録例
商標権者の以上の主張は、特許庁のこれまでの判断から逸脱するものではない。
特許庁では、本件商標と同一の構成からなる商標、すなわち、「すっきり」の語と飲食料品に関係のある語を組み合わせてなる商標が、本件商標の指定商品と同様に飲食料品について、自他商品識別力を認められている。例えば、審決例として乙第3号証、登録例として乙第4号証ないし乙第18号証を提出する。
上記の各登録商標(乙3〜乙18)は、当該構成中に本件商標と同じように「すっきり」の文字を有し、飲食料品に関係のある語と結合した商標であるところ、「すっきり」とその他の構成文字とを分離してその意味合いを認識するのではなく、全体を一体不可分な構成として認識され、さらに、指定商品との関係において、直ちに特定の商品の品質を直接的、具体的に表示するものとして一般に理解、認識されているものとは認め難く、かつ、本件商標の指定商品の品質を表すものとして普通に使用されているとまではいい得ないものとして、自他商品識別力を有すると判断されているものと思料する。
そうであるならば、本件商標も、上記登録例と同様に一体不可分な構成文字であるため、これら全体を一体的な構成であると認識、判断することがより自然な認識の仕方であると共に、本件商標の指定商品との関係において、商標の品質を具体的かつ直接的に表示するものではなく、かつ、需要者等が商品の品質を表示するものとして認識すると認めるに足る事実もないため、自他商品識別力を有すると判断されてしかるべきものであると思料する。
単一の行政庁である特許庁の審判例及び登録例は、いかなる商標であれば登録されるかを端的に示すものであり、いわば審判及び審査の明瞭な指針を示すものである。商標登録の可否は、過去の類似の事例による比較によってなされるものではないが、上記審判例及び登録例は明治、大正、昭和初期のような古い登録例ならいざしらず、いずれも平成13年以降の登録であり、平成30年、平成31年の登録例も存在する。
そうすると、本件商標の登録が取り消されるということは判断の統一性、登録可否の判断の曖昧性を意味するところとなり、単一行政庁の行政処分としては公平を欠くものといわざるを得ない。
なお、その商標が自他商品の識別力を有していないと主張し得るのは、商品、役務の品質、原材料を直接的に表示した場合のみである。その商標が、指定商品の「品質」「原材料」等を間接的に表示する場合は、商品又は役務の特徴等を表示するものではなく、自他商品識別力を有するものとされている(商標審査基準改訂第13版第1の五)。本件商標は、まさにその典型的な例である。
2 結論
本件商標は、その指定商品に使用した場合であっても、需要者、取引者に対して、一見して直ちに商品の特定の品質を容易に認識、理解させるものではない。
したがって、本件商標は自他商品識別機能を十分発揮するものであるため、商標法第3条第1項第3号には該当しないものと思料する。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「すっきりフルーツスムージー」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、別掲に示すとおり、本件商標の登録査定時には、飲料を取り扱う業界において、「フルーツスムージー」の文字は、「果物(フルーツ)を原料とするスムージー」を意味する語として使用されていることが認められ、また、「すっきり」の文字は、「スムージー」との関係において、その味わいや喉ごし等がすっきりしていることを表す語として、一般に使用されているものと認められる。
そうすると、「すっきりフルーツスムージー」の文字からなる本件商標は、「(味わいや喉ごし等が)すっきりとした、果物(フルーツ)を原料とするスムージー」を容易に認識、理解させるものといえ、本件商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の品質を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標権者の意見について
(1)商標権者は、本件商標は同書、同大、同間隔で一連に横書きした一体性が強い構成よりなるから、構成全体で一つの商標として認識、理解されるものであり、また、辞書に掲載されている語ではないことから、特定の意味合いは生じない造語とみるのが妥当であって、本件商標はその指定商品の品質を具体的かつ直接的に表示するものとはいえない。さらに、「すっきりフルーツスムージー」の語が商品の品質表示として一般に使用されている事実は存在しない旨主張する。
しかしながら、本件商標が「すっきりフルーツスムージー」と一連に表示されているとしても、これを構成する各単語の語義及び本件商標の指定商品である「フルーツを配合してなるスムージー,フルーツを配合してなるスムージーのもと」などを取り扱う業界分野における「すっきり」及び「フルーツスムージー」の文字の使用状況などを勘案すれば、本件商標は、上記1のとおり、「すっきりとした、果物を原料とするスムージー」を容易に認識、理解させるものといえ、商品の品質を表示したものと認識されるものである。
また、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、取引者、需要者が品質を表示するものと認識するものであれば足りるのであって、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必ずしも必要としないと解されるところ、本件商標は、上記1のとおり、取引者、需要者に「(味わいや喉ごし等が)すっきりとした、果物(フルーツ)を原料とするスムージー」という商品の品質を表示したものと認識されるといえるものである。
したがって、商標権者の上記主張は採用することができない。
(2)商標権者は、「すっきり」の語と飲食料品に関係のある語を組み合わせてなる商標が、飲食料品について、自他商品識別力を認められている例が存在する旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、その商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、別掲に示したインターネット及び新聞記事情報の使用例は、飲料を取り扱う業界において「フルーツスムージー」の文字は、「果物(フルーツ)を原料とするスムージー」を意味する語として、また、「すっきり」の文字は、「スムージー」の味わいや喉ごし等がすっきりしていることを表す語として、一般に使用されているという取引の実情を示すものであって、かかる取引の実情を踏まえ、本件商標について判断すると、上記1のとおり、本件商標の登録査定時において、「すっきりフルーツスムージー」の文字からなる本件商標は、その商品の品質を表示したものと理解するにとどまるといわざるを得ない。
また、商標権者が挙げた登録例(乙3〜乙18)は、本件商標と、その構成文字、構成態様を異にするものであり、さらに、本件商標に係る指定商品とは、異なる商品を指定商品とするものも含まれているものであって、いずれも、本件商標とは事案を異にするものであるから、これらの登録例は、上記した本件商標の判断を左右するものではない。
したがって、商標権者の上記主張は採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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