Trademark Appeal Case
称呼・外観の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2019−900118(T2019−900118/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6117327号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,2018年(平成30年)4月12日に台湾においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成30年9月21日に登録出願,第10類「注射用針,歯科用バー,外科用メス,外科用刃物類,はり治療用はり,ランセット,医療用頭皮用針,人工歯根,安全套管針,套管針,外科用縫合針,縫合針,静脈内栄養補給用チューブ,外科用電気メス,皮下注射器,医療用針,カテーテル,外科用ステープラー,留置針,消息子,尿道消息子,骨用ねじ,外科用はさみ,人工材料から成る外科用インプラント,歯科用機械器具,医療用注射器,注入器具,医療用機器,医療用ガイドワイヤー」を指定商品として,同31年1月4日に登録査定,同月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5361131号商標(以下「引用商標」という。)は,「DMG」の文字を標準文字で表してなり,平成22年3月30日に登録出願,第10類「医療用機械器具」を指定商品として,同年10月15日に設定登録されたものであって,現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)商品の類否について
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似である。
(2)商標の類否について
ア 称呼について
本件商標は,文字部分「TmG」に相応して,「ティーエムジー」の称呼が生じる。
他方,引用商標は,「DMG」の欧文字に相応して,「ディーエムジー」の称呼を生じる。
そうすると,両商標は,語頭の「ティー」と「ディー」の濁音の有無の差異を有するにすぎず,称呼上,極めて相紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。
イ 外観について
本件商標と引用商標とは,3文字のうち2文字の「M(m)」及び「G」が全て一致するものであり,語頭の1文字「T」と「D」の差異を有するにすぎないから,両商標は,その共通する文字により視覚的に極めて近似しており,外観上,相紛らわしい類似の商標である。
ウ 観念について
本件商標及び引用商標は,共に特定の意味を生じない造語と認識され得るものであるから,その観念において対比できない商標である。
(3)まとめ
以上を総合すると,本件商標と引用商標とは称呼及び外観において類似の商標であり,本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は,別掲のとおり,右上の角を丸くした略長方形6個を左から右に重ねるように徐々に拡大させた図形と,その右側に「TmG」の文字を配した構成よりなるところ,視覚上,図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
本件商標の構成中の図形部分は,我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,図形部分は,特定の称呼及び観念は生じない一種の幾何図形を表したものというのが相当である。
また,本件商標の右側の「TmG」の文字部分は,ややデザイン化して表されているだけでなく,直ちに特定の意味合いが看取されるとはいい難く,当該構成文字に相応して「ティーエムジー」の称呼が生じるものであって,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本件商標は,これを構成する図形部分と文字部分とが,視覚上,分離して看取し得るものであり,両者に観念上の結びつきはなく,図形部分と文字部分とが分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから,それぞれ独立して自他商品の識別標識として機能を果たす要部として認識され,その構成中の「TmG」の文字部分を要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
したがって,本件商標は,その要部である文字部分に相応して,「ティーエムジー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,「DMG」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,直ちに特定の意味合いが看取されるとはいい難く,当該構成文字に相応して「ディーエムジー」の称呼が生じるものであって,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 外観の類否について
本件商標の要部である「TmG」の文字と引用商標の「DMG」の文字とは,構成中の欧文字3文字中の語頭において字形が近似するとはいえない「T」と「D」文字の差異及び第2文字において「m」と「M」の小文字と大文字の差異を有するところ,3文字という短い文字構成における,印象に残りやすい先頭文字及びそれに続く字形の相違における差異を有するものであって,視覚上,別異の印象を与えるというべきであるから,外観において相紛れるおそれはない。
イ 称呼の類否について
本件商標の要部である文字部分からは「ティーエムジー」の称呼を生じ,引用商標からは「ディーエムジー」の称呼を生じるところ,両商標が共にアルファベット3文字をつづり合わせて一連の成語を形成するものではないから,このような場合,一気一連に発音されるというよりは,聞き誤られることのないように一文字一文字を区切って明確に発音されるのが通常というべきであり,その場合,本件商標は「ティー」,「エム」,「ジー」,また,引用商標は「ディー」,「エム」,「ジー」とそれぞれの文字ごとに区切って発音されるのが自然である。
そして,本件商標の要部である文字部分から生じる称呼と引用商標から生じる称呼とは,その語頭において「ティー」の音と「ディー」の音の差異を有し,前者は澄んだ音として聴取される清音であるのに対し,後者は重く響く濁音であって,両者は音調,音感が異なるから,一文字ごとに区切って発音されるものであることと相まって,称呼上,相紛れることなく十分区別し得る。
ウ 観念について
本件商標及び引用商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。
エ 小括
以上によれば,本件商標と引用商標とは,その観念においては比較できず,外観及び称呼の点において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,本件商標は,その指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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