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Trademark Appeal Case

幸福語の商標類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900134(T2019−900134/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6118600号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6118600号商標(以下「本件商標」という。)は、「Happiness Diamond」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年11月26日に登録出願、第14類「宝玉の原石,宝玉及びその模造品,キーホルダー,キーホルダー用チャーム,宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),イヤリング,貴金属製き章,貴金属製バッジ,貴金属製ボンネットピン,ネクタイ止め,ネクタイピン,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,メダル,指輪,ロケット,宝飾品用チャーム,カフスボタン,時計」を指定商品として、同31年1月16日に登録査定され、同年2月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第446502号商標(以下「引用商標」という。)は、「Happy Diamonds」の欧文字を表してなり、2009年(平成21年)8月20日に国際商標登録出願(事後指定)、第14類「Mechanical hand-winding and self-winding watches; electric and electronic watches; chronometers; jewellery; jewellery watches; all these goods adorned with diamonds.」(機械式手動巻き及び自動巻きの時計,電気時計及び電子時計,クロノメーター,宝飾品,宝飾時計,これらの商品は全てダイヤモンドで装飾されたもの)を指定商品として、平成22年9月24日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。以下、証拠については、「甲1」のように記載する。

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標と引用商標の対比

本件商標の構成中「Happiness」の語は「幸福」等の意味合いを有し、「Diamond」の語は「ダイヤモンド」の意味合いを有する(甲3の1及び2)。これらの語は、我が国において一般に良く知られた語であり、需要者は、本件商標から「幸福のダイヤモンド」といった意味合いを認識する。

引用商標の構成中「Happy」の語は、「Happiness」の形容詞であり「幸福な」の意味合いを有し、端的に「幸福」等の意味合いでも日本国内において一般に認識されている(甲3の3及び4)。また、「Diamonds」の語は「ダイヤモンド」の意味合いを有するので(甲3の2)、需要者は、引用商標から「幸福のダイヤモンド」といった意味合いを認識する。

よって、本件商標と引用商標は、観念が共に「幸福のダイヤモンド」であり同一である。

なお、上記のとおり「Happiness」の語と「Happy」の語は、名詞と形容詞の差異はあるものの、日本では共に「幸福」の意味合いで認識されており、ほぼ同一の「Diamond(s)」の語と結合した場合、特に紛らわしいものとなる(甲3の5)。

イ 引用商標の周知、著名性

(ア)申立人は、1860年にスイスに設立された高精度の時計製造工房を発祥とし、優れた精度と信頼性を兼ね備えた時計は19世紀中にヨーロッパやロシアの宮廷などで愛用された。そして、創造性、最先端のテクノロジー、エクセレンスを追求する職人技を誇る申立人は、高級時計とジュエリー界におけるトップメゾンとしての地位を築き上げた。1976年、申立人は、最初の「Happy Diamonds」に係るウォッチを製作、1985年、この「Happy Diamonds」のシリーズとしてジュエリーラインが誕生した(甲4の1)。

(イ)申立人の「Happy Diamonds」コレクションは、日本において、全国の有名百貨店や宝飾店で販売され、ウェブサイト、ダイレクトメール、新聞雑誌などを通じてその広告なども行われている(甲4の2及び3、甲5並びに甲6)。

「Happy Diamonds」コレクションが2015年ないし2019年にかけて、日本で販売された実績の一部を抽出した表を提出する(甲7)。請求書(インボイス)の写しも存在するが、個人情報や営業秘密が含まれているので、提出を差し控える。

(ウ)以上のとおり、引用商標は、本件商標の指定商品の分野において周知、著名であり、これと同一の意味合いである本件商標が観念において紛らわしいことはより一層明らかである。

ウ 本件商標と引用商標の称呼

本件商標は、その構成文字に即して「ハピネスダイヤモンド」の称呼を生じる。

引用商標は、その構成文字に即して「ハッピーダイヤモンド」の称呼を生じる。引用商標は語尾に「s」の文字を有するが、「ハッピーダイヤモンド」の称呼で知られている(甲3ないし甲7)。なお、ダイヤモンドに関する分野において「Diamonds」を「ダイヤモンド」と称呼することはしばしば行われることである(一例として、「AFRICA DIAMONDS」に関する「アフリカ・ダイヤモンド」http://www.africadia-japan.com/concept)。

本件商標の称呼「ハピネスダイヤモンド」と引用商標の称呼「ハッピーダイヤモンド」は、中間の「ピネス」と「ッピー」が相違するが、両称呼は共に10音と比較的長く、また、相違においても「ピ」の音が共通し、差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きいものではない。

よって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体的印象が近似したものとなり、特に時と所を異にして離隔的に観察した場合、互いに聞き誤るおそれがある。

エ 本件商標と引用商標の外観

本件商標と引用商標は、前者は16文字、後者は13文字と構成文字数が相違するものの、看者の注意を強く引く語頭部分の「Happ」の文字を共通にし、かつ、後半の「Diamond」の部分を共通にする。また、両商標は、いずれも語頭の「H」と中間の「D」を大文字で表し、他の文字は小文字で表している点において共通にし、これより直ちに「Happiness」の語又は「Happy」の語と「Diamond(s)」の語とを結合したと理解される。両商標は、看者に与える外観上の印象において近似し、上記相違点が及ぼす影響は大きいものではない。

したがって、本件商標と引用商標は、時と所を異にして離隔的に観察した場合、外観上互いに紛れるおそれがある。

オ 本件商標の指定商品の分野における販売場所、需要者

本件商標の指定商品の分野では、百貨店やブランドショップなどにおいて、複数のブランドの商品が、同じ売場やウェブページで取り扱われ、陳列され販売されることも少なくなく、仮に引用商標に係る商品を扱っていた売場で本件商標の商品が販売されたりすれば、需要者にとってより一層紛らわしいものとなるといった実情がある。

そして、本件商標権者が運営するウェブサイトにおいても、複数の有名ブランドが同じ売場で販売されている画像が掲載されている(甲8)。

カ 小括

以上から、本件商標と引用商標につき、その外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標と出所混同のおそれがあることは明らかである。

よって、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

引用商標は、前記(1)イのとおり、申立人の業務に係る商品(特に宝飾品、宝飾時計など)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。また、申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品は、同一又は類似である。

そして、前記(1)で述べたとおり、本件商標は引用商標と類似する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、前記(1)イのとおり申立人の商標として広く一般に知られており、この商標には信用、名声、顧客吸引力が化体している。

また、前記(1)で述べたとおり本件商標は引用商標と類似する。

よって、本件商標がその指定商品に使用された場合、引用商標と商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

(4)商標法第4条第1項第19号について

引用商標は、前記(1)イのとおり申立人の商標として広く一般に知られ、信用、名声、顧客吸引力が化体しており、前記(1)で述べたとおり本件商標は引用商標と類似する。

そして、引用商標は、ブランドの誕生から43年経過し、以前から我が国へも輸出され、日本国内での販売も行われてきた。また、「Happy」と「Diamonds」の語の組み合わせはユニークで、特徴的である。「Happy」と同じ意味合いで把握される「Happiness」の語を、あえて「Diamond」の語と組み合わせることはありふれたことでもない。むしろ、「Diamond」の語は宝石名の一つである「ダイヤモンド」を表示するものであり、これに関わりない商品にも使用することは不自然である。

加えて、申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品は、同一又は類似であり、同業者であれば既存のブランドをある程度認知するのが慣行であるところ、上述の点からすれば、これら同一類似の商品の取引者であれば、引用商標の存在を認知していることは自明である。これら商品に本件商標が使用された場合、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、本件商標は不正の目的をもって使用をする商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知著名性について

ア 申立人の提出に係る証拠、同人の主張及び職権による調査(インターネット情報など)によれば、次の事実を認めることができる。

(ア)申立人及びその関連会社(以下「申立人等」という。)は、1976年に「Happy Diamonds」と称する時計を製作し、その後、現在まで継続して、「Happy Diamonds」シリーズの商品として時計、ネックレス、指輪などを販売している(甲4、甲5、職権調査)。

(イ)申立人等のそれら商品は、我が国においては「Happy Diamonds」「ハッピーダイヤモンド」の表示(商標)とともに、遅くとも2015年頃から現在まで継続して、銀座本店や東京、大阪、福岡など主要都市の百貨店で販売され、また、その広告等が新聞、雑誌などに何度か掲載された(甲4、甲5、職権調査)。

(ウ)しかしながら、「Happy Diamonds」「ハッピーダイヤモンド」の表示(商標)が使用された申立人等の商品(以下「申立人等商品」という。)の、我が国における販売数、売上高など販売実績を裏付ける証左は見いだせない。

イ 上記アのとおり、申立人等商品は、1976年から現在まで継続して販売されて、我が国において遅くとも2015年頃から現在まで継続して主要都市の百貨店で販売されていることが認められることなどから、我が国の需要者の間にある程度知られているということができる。

しかしながら、申立人等商品の新聞、雑誌等の掲載回数は、本件商標の登録査定日以前に発行等されたと認め得るものが5回程度であること(甲5)、百貨店などが行ったとする広告(甲4の3)は、どのように配布、掲示されたのかなど具体的な事情が確認できないこと、及び何より申立人等商品の我が国における販売実績を裏付ける証左は見いだせないことから、申立人等商品及びそれに使用されている「Happy Diamonds」「ハッピーダイヤモンド」の表示(商標)は、申立人等の業務に係るもの及び申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。また、申立人等商品の外国における販売実績、広告の実績等に係る主張はなく、その証左も見いだせないから、申立人等商品及び「Happy Diamonds」「ハッピーダイヤモンド」の表示(商標)は、上記と同様に外国の需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。

そうすると、「Happy Diamonds」の文字からなる引用商標は、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

ウ 申立人は、我が国における申立人等商品の販売実績の一部を抽出した表を提出している(甲7)が、当該表は容易に作成できるものであって、かつ、それを裏付ける証左は見いだせない(申立人は、請求書の写しは個人情報などが含まれているので提出を差し控えるとしている。)から、かかる販売実績を採用することはできない。なお、仮に、かかる販売実績が事実であるとしても、当該実績が時計などの1ブランドの販売数、売上高としてその周知性を基礎付けるほど多数、多額であると認めるに足りる証左は見いだせない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり「Happiness Diamond」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ハピネスダイヤモンド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

イ 引用商標

引用商標は、前記2のとおり「Happy Diamonds」の欧文字からなり、該文字に相応し「ハッピーダイヤモンズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、外観において、前半の「Happiness」と「Happy」の文字の差異により、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。

次に、本件商標から生じる「ハピネスダイヤモンド」と引用商標から生じる「ハッピーダイヤモンズ」の称呼を比較すると、両者は語頭の「ハピネス」と「ハッピー」の音及び語尾の「ド」と「ズ」の音の差異を有し、その差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。

さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

エ 申立人の主張について

申立人は、本件商標と引用商標はいずれも「幸福のダイヤモンド」の観念を生じる、引用商標は「ハッピーダイヤモンド」の称呼を生じるなどとして、本件商標と引用商標は類似する旨主張している。

しかしながら、本件商標は「Happiness」と「Diamond」の語から、引用商標は「Happy」と「Diamonds」の語から、両商標は、いずれも「幸福」と「ダイヤモンド」の意味を想起させるといい得るものの、「Happiness Diamond」及び「Happy Diamonds」の構成文字全体として、特定の意味を有する成語(熟語)ではないし、また、特定の観念を認識させるものともいえないから、上記ア及びイのとおり特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

また、申立人等商品について「Happy Diamonds」及び「ハッピーダイヤモンド」の表示が用いられていることは認められるものの、引用商標「Happy Diamonds」は、前記イのとおり「ハッピーダイヤモンズ」の称呼を生じると判断するのが相当であって、かつ、引用商標が時計、ネックレス、指輪などの一般需要者の間で「ハッピーダイヤモンド」と称呼されると認め得る証左は見いだせない。

したがって、申立人のかかる主張は、その前提において理由がない。

オ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について

前記(1)のとおり引用商標は、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記(2)のとおり本件商標は、引用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものである。

そうすると、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるとしても、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

なお、本件商標は、申立人等商品に使用されている「ハッピーダイヤモンド」の表示との関係においても商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものといえない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

前記(1)のとおり引用商標は、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記(2)のとおり本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であり、前記(3)のとおり本件商標は引用商標を連想又は想起させるものでもない。

そうすると、本件商標は、引用商標の信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

なお、本件商標は、申立人等商品に使用されている「ハッピーダイヤモンド」の表示との関係においても、当該表示を連想又は想起させるもの及び不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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