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Trademark Appeal Case

ECOMACとMacの類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900128(T2019−900128/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6118040号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6118040号商標(以下「本件商標」という。)は「ECOMAC」の欧文字を横書きしてなり,平成30年3月29日に登録出願,第9類「電力節電用制御装置,電力量測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,同年11月15日に登録査定,同31年2月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する標章

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する標章は,「Mac」及び「マック」の文字を横書きした構成からなるものであり(以下「申立人標章」という。),申立人のコンピュータないしオペレーティングシステムを示すものとして我が国において広く知られていると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は,申立人標章と類似しており,申立人標章の著名性並びに商品間の関連性を考慮すると,本件商標がその指定商品中「電子応用機械器具」に使用された場合,本件商標に接する取引者・需要者は「申立人のコンピュータシリーズのうち環境に配慮した性能を有する製品」,「申立人が提供する環境に配慮した性能を有する電子応用機械器具」,「申立人の新コンセプトによる電子応用機械器具」,「申立人の子会社・関連会社の製造販売ないし提供する電子応用機械器具」等を想起するものであって,その出所について混同を生じさせるおそれが極めて高いというべきであるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は,日本国内で全国的に知られている申立人標章と極めて類似する商標であって,申立人標章は既存の言葉ではない。本件商標の指定商品は「電力節電用制御装置,電力量測定器;電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」であり,Macの語とは何ら関係が無い分野であり,恣意的に採用され,かかる恣意性において,申立人標章を観念していることは容易に推認できるから,本件商標は,他人の著名・周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認され,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は,申立人の名声にフリーライドする意図があったことは明白であるから,本件商標の登録は,著しく社会的相当性を欠くものとして公序良俗に反し,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

(1)申立人標章(「Mac」及び「マック」)の周知著名性について

ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(ア)米経済誌フォーブス発表の2019年版「世界の最も価値あるブランド」100社ランキング(2019年(令和元年)5月22日発表)において,「アップル(Apple)は,2011年から9年連続のトップとなった。ブランド価値が前年比12%増の約2055億ドル(約22兆5100億円)となった。価値が2000億ドルを超えたのは,同社が初めてだ。」との旨が記載されている(甲1,職権調査(https://forbesjapan.com/articles/detail/27461))。

(イ)申立人の公式ウェブサイトにおいては,申立人の製造に係るコンピュータ及びオペレーティングシステム(「MacBook Air」,「MacBook Pro」,「Mac Pro」,「MacOS」等)が紹介され,「Macのパワーをさらに先へ。」「今使っているコンピュータを,欲しかったMacに変えよう。」「Macのためのアクセサリー」「Macだからできること。」「Macをもっと使いこなそう。」等の記載がある(甲3,甲10)。

(ウ)ウィキペディアの「Macintosh」の項に「Macintosh(マッキントッシュ)は,アップルが開発及び販売を行っているパーソナルコンピュータ。通称・略称はMac(マック)。」及び「macOS」の項に「macOS(マックオーエス)は,アップルが開発・販売するMacのオペレーティングシステムである。」と記載されている(甲4,甲6)。

(エ)weblio辞書のIT用語辞典バイナリにおいて,「Macintosh」の項に「読み方:マッキントッシュ,別名:Mac,マック」及び「Macintoshとは,Appleが開発・販売しているPCのブランド名である。1984年に初代機が発表された。『Mac』と通称されることが多い。」と記載されている(甲5)。

(オ)紀伊國屋書店ウェブストアにおいて,Mac(マック)の文字を標題に含む書籍(例えば,「Macの便利技333−Macの快適な使い方がこの1冊でわかる(テキスト)」「Mac Fan(2019年6月号)」「Mac大全(2019)100%ムックシリーズ」等)が多数販売されている(甲7)。

(カ)申立人は,申立人のウェブサイトにおける広告,申立人に係るテレビコマーシャル,駅における広告において「Macの向こうから」の文字を表示している(甲12)。

イ 職権による調査によれば,次のとおりである。

(ア)辞典,書籍等

a 「日経パソコン用語事典 2009年版」(日経BP社 2008年(平成20年)10月20日発行)の「Mac/マック」の項には「Macintoshの略称。Macintosh用のソフトやハードは,Mac OSやiMac,MacBookなどのように,この略称を用いた製品名が多い。」の記載がある。

b 「標準パソコン用語事典 最新2009〜2010年版」(株式会社秀和システム 2009年(平成21年)1月15日発行)の「Mac(マック)」の項には「米国Apple社で製造,販売するパーソナルコンピュータMacintoshシリーズの略称,または愛称。」の記載がある。

c 自由国民社発行の「現代用語の基礎知識」(2013年(平成25年)1月1日発行及び2015年(平成27年)1月1日発行)の「マック(マッキントッシュ)[Mac;Macintosh]」の項及び「大字版 現代用語の基礎知識2016」(2016年(平成28年)1月1日発行),「現代用語の基礎知識2017 大字版」(2017年(平成29年)1月1日発行),「現代用語の基礎知識2018」(2018年(平成30年)1月1日発行),「現代用語の基礎知識2019」(2019年(平成31年)1月1日発行)の「マック(Mac)」の項には「アップル社が発売している独自仕様のパソコン。マックOS(現在は単にOS Xという)という独自のOSを使い,ウィンドウズが普及する前からアイコンとマウスによる操作(GUI)を実現してきた。」旨の記載がある。

(イ)新聞記事情報

a 2005年3月8日付け毎日新聞東京夕刊2頁には「特集WORLD:アップルコンピュータ,続く大攻勢 その背景と行方は」の見出しの下「『04年10〜12月期だけで全世界のマック(Mac)の出荷台数が初めて100万台を突破しました』とアップル日本法人の竹林賢(たかし)広報部長。マックは104万6000台(前年同期比26%増),iPodは458万台(同525%増)。米アップルはこの時期に売上高で過去最高の34億9000万ドル(前年同期比74%増)を達成した。」の記載がある。

b 2010年2月11日付け日刊工業新聞13頁には「主要地区・中古パソコン/東京−『Mac』販売好調」の見出しの下「【東京】1月の東京地区はアップルの『Mac』デスクトップパソコンが好調だった。」の記載がある。

c 2015年6月27日付け朝日新聞東京朝刊13頁には「(てくの生活入門)パソコンの夏モデルを選ぶ 無料アップグレードにも対応」の見出しの下「ウィンドウズパソコンではありませんが,iPhoneやiPadでおなじみのアップル製『Mac』も独自の使いやすさがあります。『オフィス』のMac版も発売されています。」の記載がある。

d 2016年7月28日付け日本経済新聞朝刊14頁には「スマホ,タブレット,パソコン,アップル,主力に陰り,4〜6月売上高15%減,自動車に照準。」の見出しの下「・・・パソコン『Mac』は11%減と低迷。」の記載がある。

e 2016年8月3日付け日本経済新聞朝刊12頁には「アップル,貢献アピール,日本国内で3兆円調達を公表,企業・消費者の支持狙う。」の見出しの下「日本国内でiPhoneやパソコン『Mac』などに使うアプリケーションソフトの開発にかかわった人は15年時点で53万2000人に上るとした。・・・15年には日本を拠点とする開発者に合計96億ドルを支払ったという。」の記載がある。

(ウ)インターネット情報

a マイナビニュースのウェブサイトには「WindowsとMacのシェア,27年間の推移を比較したデータが話題に」(2012年7月10日)の見出しの下「1984年の初代Macintosh登場以来,Windowsを含むPCマシンにシェアの差を広げられ続けていたMacだが,2004年からその関係が反転し,その差をピーク時の3分の1まで縮めている。」の記載がある(http://news.mynavi.jp/article/20120710-a043/)。

b ASCIIのウェブサイトには「2015年の全世界のPC出荷台数が明らかに/PC市場でMacのシェアが拡大!Windows10でもPC総出荷台数は伸びず」(2016年1月13日)の見出しの下「さて本日,調査会社であるIDCとガートナーの両者が2015年のPCマーケットシェアを発表しました。・・・Macのシェアは7%強とほぼ同じですね。」の記載がある(http://ascii.jp/elem/000/001/104/1104481/)。

ウ 上記ア及びイより,申立人は,世界で最も価値のあるブランド100社ランキングにおいて2010年(平成22年)から2018年(平成30年)まで連続1位をキープしている会社であり,また,申立人の製造に係るパーソナルコンピュータ「Macintosh」及び当該パーソナルコンピュータに使用されているオペレーティングシステムは,遅くとも2004年頃から現在まで「Mac(マック)」と略称されていると認めることができる。

そして,当該パーソナルコンピュータの我が国における販売実績は確認できないものの,少なくとも2008年(平成20年)頃から辞書類に「Mac」の項が設けられ,当該文字が申立人の業務に係るパーソナルコンピュータ及びオペレーティングシステムの略称である旨が説明されていること,近年及び本件商標の登録査定の日後もウェブページ,書籍,辞書類,新聞等で申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ及びオペレーティングシステム」を「Mac(マック)」と略称していることなどを考慮すれば,申立人標章「Mac」及び「マック」の文字は,申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ及びオペレーティングシステム」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして,本件商標の登録出願時ないし登録査定時において需要者の間に広く認識されている商標と認めるのが相当であり,その著名性は,現在においても継続しているものというのが相当である。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 本件商標と申立人標章との類似性

(ア)本件商標について

本件商標は,前記1のとおり「ECOMAC」の文字からなるところ,これらの文字は,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔で一体的に表されているものであり,また,構成文字の全体から生じる「エコマック」の称呼も5音と特に冗長なものではなく,無理なく一連に称呼できるものである。

さらに「ECOMAC」の文字は,辞書等に採録のないものであって,たとえ,その構成中の「ECO」の文字が「(エコロジーの略)環境に配慮すること」(広辞苑第六版)の意味を有するとしても,本願商標の指定商品との関係においては,当該文字が指定商品の品質などを直接表示したものとして認識されることないから,本件商標に接する需要者には「ECOMAC」の構成文字全体をもって,具体的な意味を想起させることのない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。

したがって,本件商標は「エコマック」のみの称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(イ)申立人標章について

申立人標章は「Mac」及び「マック」の文字を表してなり,その構成文字に相応して「マック」の称呼を生じ,上記(1)のとおり,需要者の間に広く認識されている申立人商品の観念を生じるものである。

(ウ)本件商標と申立人標章との比較

本件商標と申立人標章は,上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるところ,本件商標と申立人標章の「Mac」とは,外観においては,語頭の「ECO」の文字の有無及び語尾の「AC」と「ac」の大文字と小文字において,明らかな差異を有し,本件商標と申立人標章の「マック」とは,欧文字と片仮名の差異を有するものであるから,本件商標と申立人標章とは,外観上,明確に区別できるものである。

次に,称呼においては,本件商標から生じる「エコマック」の称呼と,申立人標章から生じる「マック」の称呼とは,その構成音,音数などが明らかに相違するものであるから,称呼上,明瞭に聴別できるものである。

そして,観念においては,本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し,申立人標章は,申立人商品の観念が生じるものであるから,観念上,紛れるおそれはない。

そうすると,本件商標と申立人標章とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても紛れるおそれのない,非類似の商標及び標章とみるのが相当であり,類似性の程度は低いものである。

イ 申立人標章の独創性について

申立人標章の「Mac」の文字は,辞書によれば,男性名及び名前を知らない男性に対する呼びかけに用いる語であり,成語である。また,「マック」の文字は,「Mac」の文字を片仮名で表示したにすぎないものであるから,申立人標章の独創性は,高いものといえない。

ウ 本件商標の指定商品及と申立人商品の関連性,及び需要者の範囲について

申立人商品は,「パーソナルコンピュータ及びオペレーティングシステム」であるから,本件商標の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」と申立人商品とは,生産部門,販売部門や部品等が一致し,その関連性は高く,取引者,需要者の範囲も一致するものである。

しかし,本件商標の指定商品中,第9類「電力節電用制御装置,電力量測定器,電気通信機械器具」と申立人商品については,商品の製造・販売が同一事業者によって行われているとか,商品の用途,商品の販売場所が共通するといった事情は見いだせないことから,直ちにこれらの関連性が高いということはできず,需要者の範囲も一致するとはいえない。

エ 出所の混同のおそれについて

以上のアないしウを総合勘案すれば,上記(1)のとおり,申立人標章が申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く知られており,上記ウのとおり,本件商標の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」と申立人商品との関連性が高く,需要者が一致することがあるとしても,上記アのとおり,本件商標と申立人標章とは,類似性の程度は低いものであり,上記イのとおり,申立人標章の独創性も高くはないものであるから,本件商標を,その指定商品に使用しても,他人(申立人)の商標を想起,連想するものとはいえず,これに接する取引者,需要者は,これが申立人又は同人と経済的,若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(1)のとおり,申立人標章は,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く知られているとしても,上記(2)アのとおり,本件商標と申立人標章とは非類似の商標であるから,本件商標は商標法第4条第1項第19号の要件を具備しない。

また,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は,本件商標は,申立人の名声にフリーライドする意図があったことは明白であるのだから,本件商標の登録は,著しく社会的相当性を欠くものとして,公序良俗に反する旨主張する。

しかしながら,上記(1)のとおり,申立人標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるとしても,本件商標が,申立人標章の信用,名声に便乗するものであって,かつ,申立人標章の顧客吸引力を希釈化させ,その信用,名声を毀損するなど不正の目的をもって使用をするものというべきという事情は見いだせない。

そうすると,申立人の主張を考慮しても,本件商標の登録出願から商標権取得に至る行為を不当,不徳義と評価することはできないし,かつ,本件商標の登録出願が不正の目的でなされたと断定することもできないから,本件商標を登録出願し商標権を取得した行為が著しく社会的妥当性を欠き,その登録を容認することが商標法の目的に反すると認めることはできない。

また,本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり,さらに,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど,公序良俗に反するものというべき証左も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(5)申立人の主張について

申立人は,「本件商標と申立人標章とは,『MAC』の文字部分において,実質的に共通しており,『マック』の称呼及び『MAC(マック)ブランド』の観念も同一であるから,両商標は,互いに紛れるおそれのある類似の商標である。」旨主張している。

しかしながら,上記(2)ア(ア)のとおり,本件商標は,一体不可分の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。

また,本件商標がその構成中に「MAC」の文字を有するとしても,申立人標章は,1文字目を大文字とし,その他の文字を小文字で表された「Mac」よりなるものであり,すべて大文字の「MAC」と同一態様ではない。加えて,電子計算機や電気通信機械器具の分野において「MAC」の文字は,別掲のとおり,「Media Access Control:メディアアクセス制御」の略語として広く使用されているところである。

してみれば,本件商標の構成中に「MAC」の文字を有するとしても,本件商標に接する需要者は,該文字より直ちに申立人標章を連想又は想起するものということはできないものというべきであるから,申立人の主張は採用することはできない。

(6)まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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