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Trademark Appeal Case

光発毛の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−13712(T2018−13712/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標について

(1)本願商標は,「光発毛」の文字を標準文字で表してなり,第10類「発毛・育毛を促進する医療用機械器具,頭部の血行を促進する医療用機械器具,脱毛治療に用いられる機械器具,医療用機械器具,業務用頭皮マッサージ器,家庭用頭皮マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」,第11類「発毛・育毛を促進する家庭用電熱用品類,家庭用頭部血行促進機,家庭用電熱用品類,発毛・育毛を促進する業務用機械器具(医療用のものを除く。),業務用頭部血行促進機,美容院用又は理髪店用の機械器具(椅子を除く。)」及び第44類「美容,理容,美容・理容に関する情報の提供,美容・理容に関する指導及び助言,かつら・入れ毛・つけ毛・ヘアエクステンション・頭飾品の選択又は装着に関する情報の提供,かつら・入れ毛・つけ毛・ヘアエクステンション・頭飾品の選択又は装着に関する指導及び助言,毛髪の診断,かつらの装着及びそれに伴う調髪,ヘアカット,ヘアスタイリング,ヘアカラーリング,育毛,発毛,増毛,植毛,育毛・増毛・植毛・発毛及び脱毛の予防に関する情報の提供,育毛・増毛・植毛・発毛及び脱毛の予防に関する指導及び助言,頭皮の健康に関する指導及び助言,健康管理に関する情報の提供,あん摩,頭皮のマッサージ,マッサージ,指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与,美容院又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成28年12月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「本願商標は,『光発毛』の文字を標準文字により表してなるところ,『発毛・育毛を促進する機器,発毛,育毛』に関する分野において,『光を利用した発毛・育毛(治療)』が研究,利用されている実情がある。そうすると,本願商標をその指定商品及び指定役務中の『発毛・育毛を促進する医療用機械器具,同家庭用電熱用品類,同業務用機械器具(医療用のものを除く。)並びに発毛及び育毛』などの『発毛・育毛』に係る商品又は役務に使用する場合,これに接する取引者,需要者は,単に『光を利用した発毛』の意味合いを理解するにとどまり,本願商標は,何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができない商標と認められる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審において通知した審尋

当審において,平成31年4月9日付けで,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示す審尋を通知し,これに対する回答を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

1 本願商標は,「光を用いた発毛」の意味合いが生じることは否定できないが,ほかに,「一度失われた(かのように見える)頭髪を再び光輝くような頭髪に生育させること」等の複数の意味合いが生じ得る語であり,指定商品及び指定役務との関係において,需要者及び取引者に商品の品質などを直接的かつ一義的に理解させることはなく,また,「光」は赤色LED,近赤外光などの複数の意味合いを有しているため,「光を用いた発毛」からは,どのような光をどのようにして用いるのかが不明であり,漠然と広範な意味合いであることから,指定商品等との関係において,商品等が有する一定の品質を取引者,需要者に直ちに認識させない。

2 過去の商標の登録事例(「光美白」,「光ドライヤー」,「光セラピー」,「光給電盤」,「光麗肌」)によれば,本願商標も登録されるべきである。

3 光を用いた発毛に関する研究開発等の実情,及び「光」,「発毛」の文字の使用例については,「光発毛」の文字自体の使用例はなく,また,各使用例では,どのような光を利用した技術であるかの具体的な説明がされていることから,それらの技術・機能が特殊であり,補足説明がなければ需要者及び取引者に商品や役務の内容を理解されない分野であるといえる。したがって,たとえ一部に使用例が見受けられるとしても,それらのみをもってして,本願商標「光発毛」が,指定商品等の分野において,普通に用いられていると捉えるのは性急である。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標について

ア 本願商標は,上記第1のとおり,「光発毛」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「光」の文字については,「大辞林第3版」(株式会社三省堂発行)には,「目に明るい感じを起こさせるもの。物理的には光は電磁波で,普通目に感じる可視光線をさす。さらにそれに赤外線・紫外線を加えていうこともある。」との記載がある。加えて,「光」の語の用例として,「光通信」が「光(赤外線・紫外線を含む)を搬送波に利用する通信。」,「光ファイバー」が「光を用いて情報を伝達する際に,光の伝送路として用いるきわめて細いグラスファイバー。」をそれぞれ意味する旨の記載がある(前掲書)。

イ 本願商標の構成中,「発毛」の文字については,「新明解国語辞典」(株式会社三省堂発行)には,「一度失われた(かのように見える)頭髪を再び生育させること。」との記載がある。

ウ そうすると,本願商標は,よく知られた「光」と「発毛」の2語から構成されるものであり,上記アの「光」の語の用例からすれば,全体として,「光を用いた発毛」との意味合いが容易に理解されるものである。

(2)本願商標の指定商品及び指定役務について

本願の指定商品及び指定役務は,上記第1のとおりであって,発毛に関連性の高い商品及び役務(例えば第10類「発毛・育毛を促進する医療用機械器具,頭部の血行を促進する医療用機械器具,脱毛治療に用いられる機械器具,業務用頭皮マッサージ器,家庭用頭皮マッサージ器」,第11類「発毛・育毛を促進する家庭用電熱用品類,家庭用頭部血行促進機,発毛・育毛を促進する業務用機械器具(医療用のものを除く。),業務用頭部血行促進機,」,第44類「毛髪の診断,育毛,発毛,増毛,植毛,育毛・増毛・植毛・発毛及び脱毛の予防に関する情報の提供,育毛・増毛・植毛・発毛及び脱毛の予防に関する指導及び助言,頭皮の健康に関する指導及び助言,頭皮のマッサージ」)及び当該商品又は役務を含む商品及び役務(例えば第10類「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」,第11類「家庭用電熱用品類,美容院用又は理髪店用の機械器具(椅子を除く。)」,第44類「美容,理容,美容・理容に関する情報の提供,美容・理容に関する指導及び助言,かつら・入れ毛・つけ毛・ヘアエクステンション・頭飾品の選択又は装着に関する情報の提供,かつら・入れ毛・つけ毛・ヘアエクステンション・頭飾品の選択又は装着に関する指導及び助言,かつらの装着及びそれに伴う調髪,ヘアカット,ヘアスタイリング,ヘアカラーリング,健康管理に関する情報の提供,あん摩,マッサージ,指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与,美容院又は理髪店用の機械器具の貸与」)である。

(3)光を用いた発毛に関する研究開発等の実情,及び発毛に関する業界における「光」及び「発毛」の文字の使用について

当審における職権調査によれば,以下の事実が認められる。

ア 発毛に関する業界においては,赤色光等を用いた発毛(治療)方法が研究開発され,実際に,光を用いた発毛効果を有するとされる商品や,医院又は美容室において光を用いた発毛治療等を提供する役務が取引されている(別掲1〜3)。

イ 「光」及び「発毛」の両文字は,発毛に関する業界においては,例えば,「光を当てるだけで発毛」(別掲1(1)),「光で発毛できるという機械」(別掲2(3)),「光で発毛を促す最先端の技術」(別掲3(2))などのように,「光を用いた発毛」に関する研究開発,商品,役務であることを示す際に,同時に使用されている実情がある(別掲1〜3)。

(4)以上からすると,本願商標は,これをその指定商品及び指定役務に使用したときは,取引者,需要者に対して,当該商品及び役務が光を用いて発毛(治療)するための商品ないしは役務であることを容易に理解,認識させるものであって,その商品の品質又は役務の質を表示したものとして理解させるにとどまり,自他商品及び自他役務の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。

したがって,本願商標は,その商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

なお,原査定は,上記第2のとおり,本願商標をその指定商品及び指定役務中の「発毛・育毛」に係る商品又は役務に使用する場合,商標法第3条第1項第6号に該当するとして,本願を拒絶したものであるが,その理由は,本願商標を上記指定商品又は指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に「光を利用した発毛」の意味合いを理解するにとどまり,本願商標は,取引者,需要者に自他商品又は役務の識別標識とは認識されないものであると認定,判断したものであるから,当審の判断と実質的に異なるところはない。

2 請求人の主張について

(1)請求人は,本願商標は,「光を用いた発毛」の意味合いが生じることは否定できないが,ほかに,「一度失われた(かのように見える)頭髪を再び光輝くような頭髪に生育させること」等の複数の意味合いが生じ得る語であり,指定商品及び指定役務との関係において,需要者及び取引者に商品の品質などを直接的かつ一義的に理解させることはなく,また,「光」は赤色LED,近赤外光などの複数の意味合いを有しているため,「光を用いた発毛」からは,どのような光をどのようにして用いるのかが不明であり,漠然と広範な意味合いであることから,指定商品等との関係において,商品等が有する一定の品質を取引者,需要者に直ちに認識させない旨主張する。

しかしながら,本願商標は,請求人も自認するとおり,その言語構成に照らし,「光を用いた発毛」の意味合いを容易に想起させるものであり,指定商品及び指定役務の取引者や需要者によって,上記の意味合いを表す語として認識されるものであったと認められることは,上記1認定のとおりであるから,請求人が主張するように「光」の語が複数の意味合いを有するとしても,そのことによって上記認定が左右されるものではない。

(2)請求人は,過去の商標の登録事例(「光美白」,「光ドライヤー」,「光セラピー」,「光給電盤」,「光麗肌」)によれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かを判断するにあたっては,当該商標が,その指定商品及び指定役務との関係で,その商品の品質又は役務の質,その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるか否かについての事情を総合考慮して,当該商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合における,指定商品又は指定役務の取引者,需要者の認識を基準として判断すべきであるところ,請求人の挙げる事例は,いずれも,本願商標とは,その商標の構成や指定商品及び指定役務が相違するものであり,かかる事例についての判断は,本願商標の上記判断に影響を与えるものではない。

(3)請求人は,光を用いた発毛に関する研究開発等の実情,及び「光」,「発毛」の文字の使用例については,「光発毛」の文字自体の使用例はなく,また,各使用例では,どのような光を利用した技術であるかの具体的な説明がされていることから,それらの技術・機能が特殊であり,補足説明がなければ需要者及び取引者に商品や役務の内容を理解されない分野であるといえる。したがって,たとえ一部に使用例が見受けられるとしても,それらのみをもってして,本願商標「光発毛」が,指定商品等の分野において,普通に用いられていると捉えるのは性急である旨主張する。

しかしながら,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,本件審判の審決時において,本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,取引者,需要者によって本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に,将来を含め,商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足り,それが一般に用いられていた実情があったことまでを必要とするものではないというべきである。そして,「光発毛」の文字は,その言語構成に照らし,「光を用いた発毛」の意味合いが自然に生じること,また,発毛に関する業界においては,光を用いた発毛効果を有するとされる商品や,光を用いた発毛治療等を提供する役務が取引されており,「光を当てるだけで発毛」,「光で発毛できるという機械」,「光で発毛を促す最先端の技術」等の使用例があることからすれば,「光発毛」の文字は,当該文字を用いた商品,役務が,「光を用いた発毛」に関する商品,役務であることを容易に理解させるものであって,その商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるというべきであるから,請求人が主張するように,「光発毛」の文字自体が現実に使用されておらず,また,上記「光を当てるだけで発毛」等の使用例は,補足説明がなければ需要者及び取引者に商品や役務の技術的な内容を正確には理解されないと解したとしても,そのことをもって,本願商標の同号該当性が否定されるものではない。

したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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