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Trademark Appeal Case

役務の質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−13660(T2018−13660/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,「シビカラ」の文字を横書きしてなり,第43類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務とし,平成29年6月5日に登録出願されたものであり,その後,指定役務については,原審における同30年2月23日受付の手続補正書により,第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,「本願商標は,『シビカラ』の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ,『シビカラ』の語は,ラーメンの提供等を取り扱う業界においては,『シビれてカラい』,『シビれるカラさ』程の意味合いをもって,一般に使用されている実情があることよりすれば,本願商標を,その指定役務に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,該役務が『痺れて辛い効果のある商品を使用したもの(例えば山椒と唐辛子を使用したもの)』程の意味合いを認識,理解するにとどまり,すなわち,役務の質,提供の用に供する物を表示したものとして認識するとみるのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋

当審において,請求人に対し,令和元年5月8日付けで,別掲のとおりの事実を示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の審尋を発し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は,上記3の審尋に対して,令和元年6月18日付けの回答書において,「本願商標『シビカラ』は本願出願人が商標として非常に沢山使用しており,造語と認定することが合理的であり,本願商標『シビカラ』は単に役務の質を表示するとされるものではなく,取引の実情に鑑みれば本願商標『シビカラ』は,自他商品の識別標識としての機能を充分果たす商標であり,商標法第3条第1項第3号には決して該当しないものである」旨の意見を提出した。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性

(1)本願商標について

本願商標は,「シビカラ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものである。

そして,別掲(1)のとおり,「シビ辛」の語は,インターネット辞書にも「舌が痺れるような辛さを表現する言葉」の意味を有する語として掲載されており,「シビカラ」と読まれるものである。

さらに,「シビカラ」及び「シビ辛」の文字は,別掲(2)のとおり,本願商標に係る指定役務のラーメンを主として提供する飲食業界において,「舌が痺れるような辛さ」を指称する語として,普通に使用されている実情が見受けられる。

以上よりすると,本願商標をその指定役務に使用するときには,これに接する取引者,需要者は,本願商標が「舌が痺れるような辛さを特徴とするラーメン等の飲食物を提供する役務」であるという役務の質を表したものとして理解するにとどまるから,本願商標は,自他役務の識別力を有しないものというのが相当である。

したがって,本願商標は,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張

ア 請求人は,本願商標はカタカナ四文字のみからなる分離不可能な構成であるとともに意味を全く持たない構成であるところ,本願商標から直ちに「シビ」及び「カラ」を連想して,「シビカラ」の文字から直ちに「舌が痺れるような辛さを特徴とするラーメン」と知覚するようなことは考えられず,現実の商取引においては,商標にいかなる意味があるかを充分に考えることはほとんど無く,商標をそのまま聞いたり,言ったり,そのまま「シビカラ」として認識したりすることが自然とすべきであるから,本願商標『シビカラ』はまとまりのある一つの造語商標と認定すべきである旨主張する。

しかしながら,上記(1)のとおり,「シビ辛」の語が,「舌が痺れるような辛さを表現する言葉」の意味を有する語としてインターネット辞書に掲載されていること(別掲(1)),「シビカラ」及び「シビ辛」の文字は本願商標に係る指定役務であるラーメンを主として提供する飲食業界において,「舌が痺れるような辛さ」を指称する語として,普通に使用されている実情が見受けられること(別掲(2))よりすれば,本願商標は,これに接する需要者,取引者をして,特定の意味を有さない造語ではなく,「舌が痺れるような辛さ」程を認識するというべきである。

イ 請求人は,過去の商標の登録事例を挙げて,本願商標もそれらと同様に,登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や,その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた登録例・審決例は,商標の構成態様が本願商標とは異なるもの,又は,本願商標を使用する役務とは異なる商品又は役務である点において,本願とは,事案を異にするものというべきであり,また,過去の登録例が存在することをもって,上記判断が左右されるものではない。

ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について

請求人は,平成30年10月12日付け手続補足書「使用により識別力を獲得したことを証明する資料」として資料1ないし資料30(以下,資料1ないし資料30を甲第1号証ないし甲第30号証と読み替える。)を提出しており,これは,商標法第3条第2項の要件を具備していることを主張しているものと解されるため,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて,請求人の提出した証拠及び主張を検討する。

(1)証拠及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

ア 請求人及び使用商標の使用開始時期,使用地域,使用態様について

請求人は,「飲食店の経営,飲食店経営の企画及びコンサルタント業務」等を目的として,平成23年12月19日設立され(甲1),新潟市内に6店舗の飲食店を有し,そのうち江南区旭及び西区小針において,ラーメン店を経営している(甲2〜甲4)。

また,請求人は,上記新潟市西区小針に所在する,2017年(平成29年)5月9日に新たに開店したラーメン店において(甲9,甲12),メニューの一つに唐辛子及び山椒(さんしょう)を用いた辛い味噌のスープによるラーメンの名称として「シビカラ味噌ラーメン」及び「シビカラつけ麺」等の文字を使用している(甲3〜甲30)。

なお,請求人にかかる当該新潟市西区小針に所在するラーメン店において提供される役務「ラーメンを主とする飲食物の提供」を,以下,「請求人役務」という。

イ 請求人役務における売上実績

請求人役務にかかる売上数量及び売上額等の売上実績に係る証拠の提出はない。

ウ 広告宣伝の期間・地域及び規模

上記アのとおり,請求人は,2017年(平成29年)5月から請求人役務を行っており,請求人のウェブサイトを通じて,広告宣伝している(甲2)。また,2017年(平成29年)5月から同年12月にかけて新潟県において発行された雑誌「月刊新潟WEEK!」(2017年6月号,2017年7月号及び2018年1月号),「月刊にいがた 2017年7月号」,「月刊新潟Komachi 2017年7月号 下越版」(甲5〜甲9)や,2017年(平成29年)5月から2018年(平成30年)8月におけるインターネット記事(甲10〜甲14,甲17〜甲21,甲24,甲25,甲27〜甲30)にて,請求人にかかるラーメン店及びメニューの一つである「シビカラ味噌ラーメン」等が紹介された。

(2)上記(1)の認定事実によれば,請求人は,請求人役務において,メニューの一つに唐辛子及び山椒(さんしょう)を用いた辛い味噌のスープによるラーメンの名称として「シビカラ味噌ラーメン」及び「シビカラつけ麺」等の文字を使用していることは認められる。

しかしながら,その使用は,2017年(平成29年)5月9日に新たに開店した新潟市内のわずか1店舗のみにすぎない。

また,請求人役務にかかる売上数量,売上金額等の売上実績は不明であり,請求人役務は,請求人のウェブサイトにおける広告や,新潟県において発行された雑誌,インターネット記事において,紹介されたことが認められるものの,請求人による広告はウェブサイト上のもののみであり,雑誌掲載はわずか5回であって,いずれも地域に特化したものにすぎない。

加えて,上記1(1)のとおり,本願指定役務との関係において,「シビカラ」及び「シビ辛」の文字が,「舌が痺れるような辛さ」を指称する語として,他人によっても使用されている例がある。

以上よりすると,本願商標は,その指定役務「ラーメンを主とする飲食物の提供」に使用された結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することが至ったものとは認められない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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