Trademark Appeal Case
フランネルソファーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−9443(T2018−9443/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「FLANNEL SOFA」の文字を横書きで書してなり、第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年5月29日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、原審における平成29年12月14日付けの手続補正書により、第20類「ソファー,寝椅子,業務用ソファー,長椅子,スツール,腰掛け椅子,ソファーベッド,家具,マットレス,クッション,座布団,まくら,美容院用椅子,理髪用椅子,ベンチ,揺りかご,乳児用歩行器,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,日よけ」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「FLANNEL SOFA」の文字を書してなるところ、構成中の「FLANNEL」の文字は、「紡毛糸で粗く織ったやわらかい起毛織物」を意味し、「SOFA」の文字は、本願の指定商品「ソファー」を意味するものであるから、全体として「フランネルのソファー」程の意味合いを有するものである。そうすると、本願商標をその指定商品中「フランネル製のソファー」に使用しても、本願商標に接する取引者・需要者は、単にその商品の品質(材質)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審における審尋
当審において、請求人に対し、平成31年3月26日付けで、別掲1ないし4のとおりの事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨、及び本願商標が同法第3条第2項に該当するとの主張を裏付ける追加の証拠があれば提出を求める旨の審尋を発し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第4 審尋に対する請求人の意見の要点
本願商標の周知性を説明するため、第89号証から第116号証を追加で提出する。
請求人の販売するソファーである「FLANNEL SOFA」は、我が国の需要者の間で広く知られ、中価格帯(おおよそ10万円から40万円)の国産ソファー専門ブランドの中では、少なくとも国内トップ5に入る知名度を有すると考えられる。
請求人の「FLANNEL SOFA」商品の販売実績は、第1期(2006年11月7日から2007年10月31日)の売上高は1億円未満であったが、その後売上げを伸ばし、第12期(2017年11月1日から2018年10月31日)の売上高は8億円強であった。第1期から第12期までの累積売上高は40億円強であった。
2018年6月1日から2019年5月30日までの期間におけるソファーとスツールの販売数量は約7,300台である。
請求人は、2016年以降、毎年2千万円以上のインターネット広告費を支出しており、2015年9月から2019年3月までの期間では、総額8千5百万円以上のインターネット広告費を支出した。
本願商標に係る広告記事が掲載された新聞及び雑誌については、東海地域に限定して配布される雑誌以外にも多く掲載されており、例えば、福岡で配布された雑誌等や全国誌でも掲載されている。
したがって、ソファーを取り扱う分野において、「FLANNEL SOFA」の文字は、請求人のブランド名として認知されており、本願商標には、請求人であることを示す十分な信用が化体している。そして、「フランネル製のソファー」等が取引される場合があるとしても、そのような「フランネル製のソファー」等はあまり一般的ではなく、「フランネル製のソファー」を「フランネルソファー(FLANNEL SOFA)」と称している実情も認められないことから、本願商標は、請求人の商品の出所を表すものとして十分に自他商品識別機能を発揮し、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本願商標は、「FLANNEL SOFA」の文字を横書きしてなり、第20類「ソファー,寝椅子,業務用ソファー,長椅子,スツール,腰掛け椅子,ソファーベッド,家具,マットレス,クッション,座布団,まくら,美容院用椅子,理髪用椅子,ベンチ,揺りかご,乳児用歩行器,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,日よけ」を指定商品とするものである。
(2)本願商標の構成中の「FLANNEL」の文字(語)は、「フランネル、紡毛糸で粗く織ったやわらかい起毛織物」を意味する語である(別掲1)。また、本願商標の構成中の「SOFA」の文字(語)は、「ソファー」すなわち「背もたれがあり、クッションの利いた長椅子。」を意味する語であって、家具を取り扱う業界においては、「ソファー」の商品カテゴリーの下、「ソファー、寝椅子、業務用ソファー、長椅子、ソファーベッド」といった商品を取り扱っていることから、これらの商品を総称ないし別称する語として一般に使用されているものと認められる(別掲2、3)。
加えて、家具を取り扱う業界においては、「フランネル製のソファー」や「フランネル製のスツール」が取引されている実情もある(別掲4)。
そうすると、本願商標は、全体として「フランネル製のソファー,フランネル製の寝椅子,フランネル製の業務用ソファー,フランネル製の長椅子,フランネル製のソファーベッド」を指称するものと容易に認識させるものと認められる。
(3)以上よりすれば、本願商標をその指定商品中、上記に照応する商品について使用したときは、これに接する取引者、需要者は、上記の意味合いを理解し、商品の品質を表示したものとして理解するにすぎず、自他商品の識別標識としては認識されないというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するものである。
また、本願商標を、その指定商品中、上記商品以外の「ソファー,寝椅子,業務用ソファー,長椅子,スツール,腰掛け椅子,ソファーベッド,家具」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、「フランネル製のソファー」は一般的ではなく、「フランネル製のソファー」を「フランネルソファー(FLANNEL SOFA)」と称している実情も認められないことから、本願商標は、請求人の商品の出所を表すものとして十分に自他商品識別機能を発揮し、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、「FLANNEL」の文字(語)は、「フランネル、紡毛糸で粗く織ったやわらかい起毛織物」を意味する語であり、また、「SOFA」の文字(語)は、家具を取り扱う業界においては、「ソファー、寝椅子、業務用ソファー、長椅子、ソファーベッド」の商品を総称ないし別称する語として一般に使用されているものと認められる語であり、加えて、家具を取り扱う業界においては、「フランネル製のソファー」や「フランネル製のスツール」が取引されている実情もある。そうすると、本願商標は、全体として「フランネル製のソファー,フランネル製の寝椅子,フランネル製の業務用ソファー,フランネル製の長椅子,フランネル製のソファーベッド」を指称するものと容易に認識させるものと認められる。
イ 請求人は、過去の審決例及び「flannel」などの文字の商標採択例を挙げ、本願商標は、これに接した取引者、需要者をして、全体として一種の造語として認識されるのが相当であって、特定の商品の品質を表すものではないから、本願指定商品との関係において、自他商品識別機能を発揮するものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、他の審決例及び商標採択例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
ウ よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、同人がソファー専門店のブランド名として20年以上継続して使用し、雑誌などにおける紹介記事を通じ、家具業界において同人の商品を表すものとして十分認知され、自他商品識別機能を発揮する旨主張し、証拠として、平成30年8月31日付け手続補足書の第1号証〜第59号証、令和元年5月31日付け手続補足書の第89〜第116号証、及び平成29年12月15日付け手続補足書の第30号証〜第33号証を提出しているので、本願商標が、商標法第3条第2項に該当するに至ったものであるかについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
なお、平成29年12月15日付け手続補足書で提出の第30号証〜第33号証は、第146号証ないし第149号証と読み替える。
(1)事実認定
ア 本願商標と使用商標
請求人は、本願商標と実質的に同一と認め得る「FLANNEL SOFA」の文字(以下「使用商標」という。)を商品「ソファー、スツール」(以下「請求人商品」という。)について使用している(第2号証他)。
イ 使用開始時期及び使用期間
請求人は、遅くとも2001年から請求人商品について使用商標を使用していることが認められ(第18号証、第25号証)、その使用は現在まで継続していることが認められる(職権調査(https://www.flannelsofa.com/shop/index.php)、第90号証他)。
ウ 使用地域、商品の販売実績及び数量
(ア)使用地域
請求人のウェブサイトによれば、請求人は、請求人商品を、使用商標を用いて、インターネット上で通信販売を行っている様子がうかがえる(上記職権調査)。請求人は、請求人商品を販売する実店舗は13あると主張するが、その所在地はいずれも不明である。また、請求人のショールームは、東京都、愛知県及び福岡県(福岡県のショールームは、2017年12月に開設された。)の3箇所である(第99号証、第114号証)。
(イ)請求人商品の販売実績及び数量
請求人の使用商標を用いた請求人商品の販売実績は、第1期(2006年11月7日から2007年10月31日)の売上高は約9千5百万円であり、その後、第12期(2017年11月1日から2018年10月31日)の売上高は約8億3千万円である。第1期から第12期までの累積売上高は、約40億円である(第90号証)。
なお、請求人の主張によれば、2018年6月1日から2019年5月30日までの期間におけるソファーとスツールの販売数量は約7,300台である。
請求人の市場シェアは不明である。
エ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
(ア)ウェブサイト
請求人は、請求人のウェブサイトにおいて、使用商標を用いて請求人商品を掲載していることが認められ(上記職権調査)、また、使用商標とともに請求人商品の画像を掲載した、第三者によるウェブサイト上の紹介記事は、9件である(第54号証〜第58号証、第146号証〜第149号証)。
(イ)新聞、雑誌及びパンフレット
2000年〜2009年、2014〜2019年において、新聞及び雑誌における第三者による使用商標を用いた請求人商品の紹介記事又は請求人による広告掲載は、61件認められるものの(第1号証〜第7号証、第10号証〜第16号証、第18号証〜25号証、第27号証〜第30号証、第33号証〜第36号証、第38号証〜第41号証、第44号証〜第50号証、第97号証〜第116号証)、そのうち、東海地方限定の新聞及び雑誌(第1〜4号証、第10〜15号証、第18号証〜第24号証、第30号証、第41号証、第46号証〜第49号証)が数多く含まれるものであり(23件)、また、福岡県周辺の地域限定の新聞及び雑誌(第97〜第102号証)も(6件)含まれるものである。なお、上記新聞及び雑誌の発行部数はいずれも不明である。また、2005年及び2006年に請求人がイベントに参加した際の、イベント用パンフレットにおける、使用商標を用いた請求人商品の広告掲載は3件認められるものの(第51号証〜第53号証)、その発行部数及び配布先は不明である。
オ 宣伝広告費
請求人は、2015年9月からインターネット上における宣伝広告を開始し、2016年以降、毎年2千万円強のインターネット広告費を支出しており、2015年9月から2019年3月までの期間では、総額約8億6千万円以上のインターネット広告費を支出した(第91号証〜第96号証)。
(2)判断
上記(1)の事実からすると、本願商標と実質的に同一の使用商標は、遅くとも2001年から約19年間、請求人商品に使用されていると認められる。
しかしながら、請求人商品の使用地域については、インターネット上で通信販売を行っている様子がうかがえるものの、請求人の主張する請求人商品を販売する13の実店舗の所在地はいずれも不明であり、また、請求人のショールームは、東京都、愛知県及び福岡県の3箇所と限定的である上、福岡県のショールームの設置期間は約1年9月と短い期間である。
また、商品の販売実績及び数量については、請求人の主張によれば、2018年6月1日から2019年5月30日までの期間におけるソファーとスツールの販売数量は約7,300台であるものの、2001年から2018年5月までの販売数量及びその推移は不明であり、また、請求人商品の販売実績は、第1期(2006年11月7日から2007年10月31日)の売上高は約9千5百万円であり、その後、第12期(2017年11月1日から2018年10月31日)の売上高は約8億3千万円であるが、請求人商品の市場シェアは不明である。
そして、請求人商品の広告宣伝のされた期間・地域及び規模については、請求人は、宣伝広告費として、2015年9月以降、毎年2千万円以上のインターネット広告費を支出しているが、その期間は4年に満たない短い期間である。また、新聞、雑誌及びパンフレットにおける第三者による請求人商品の紹介記事又は請求人による広告掲載は一定数認められるものの、そのうち、東海地方限定又は福岡県周辺の地域限定のものは、その半数近くを占めるものである。なお、上記新聞及び雑誌の発行部数は、いずれも不明である。
また、請求人は自身のウェブサイトにおいて使用商標を用いて請求人商品を掲載していることが認められるものの、第三者による使用商標とともに請求人商品の画像を掲載したウェブサイト上の紹介記事は、9件と少ない。
以上からすると、請求人による使用商標の使用については、どの程度の範囲の需要者の目に触れたのか不明である。
(3)小括
以上からすると,請求人による使用商標の使用は一定程度認められるものの、請求人商品に係るショールームは全国3箇所と限定的であり、その内1箇所の設置期間は1年9月と短いこと、また、宣伝広告については、インターネットにおける主な宣伝広告活動が行われた期間は2015年9月から現在までの4年程度と短い期間であること、新聞・雑誌において宣伝広告された地域の範囲は、東海地方又は福岡県周辺に限定された宣伝広告がその半数近くを占めること、並びに請求人商品の市場シェア及びその推移が不明であることなどからすると、請求人の提出する証拠によっては、請求人商品が需要者、取引者の間で全国的に認識されるに至っているとは認められない。
よって、本願商標は、請求人商品である「ソファー,スツール」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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