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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−5984(T2018−5984/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年1月26日に登録出願されたものである。

その後、本願の指定商品については、当審における平成30年5月1日付け手続補正書により、第30類「果実・果汁・果肉入りの甘酒,生姜入りの甘酒,豆乳を加味してなる甘酒,電子レンジで加熱可能な容器を使用した甘酒,甘酒」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『糀』及びその読みを表した『こうじ』の文字並びに『甘酒』の文字を普通に用いられる方法で縦書きしてなるところ、その構成全体から、『麹菌を繁殖させて製した甘酒』ほどの意味合いを容易に理解させるものであり、本願の指定商品を取り扱う業界において、『糀甘酒』『麹甘酒』『米麹甘酒』などの文字が商品の原材料、品質を表示するものとして使用されている実情があるから、本願商標をその指定商品に使用しても、『麹菌を繁殖させて製した甘酒及び同甘酒を加味した商品』ほどの意味合いを認識させるにとどまり、単に商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。さらに、出願人は、仮に本願商標が同号に該当するとしても、本願商標は、取引者、需要者において、出願人が販売する商品を表すものとして極めて高い周知性を得ているから、同法第3条第2項が適用されるべきである旨主張するが、提出された証拠資料によれば、『糀甘酒シリーズ』の販売個数は出願人の集計した数字にとどまるものであり、売れ筋ランキングは具体的根拠が不明であり、宣伝広告はその事実が確認できないものである上、証拠資料は甘酒以外の指定商品については不明である。そうすると、本願商標は、その指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものではないから、同法第3条第2項が適用されるべき商標ではない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、「糀」の文字と、それに比してやや大きく表した「甘酒」の文字とを縦書きし、かつ、「糀」の文字の右横に、「こうじ」の読みがなを付した構成からなるところ、その構成中の「糀」「こうじ」と「甘酒」の各文字は、文字の大きさが異なるものの、いずれも一般的に用いられるといえる明朝体状の書体からなるものであり、全体として際立った外観上の特徴を有するとはいい難いものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表示するものといえる。

この点について、請求人は、「糀」と「甘酒」とで文字の大きさに差をつけ、太字の明朝体状の書体からなる本願商標は、全体としてデザインに共通感があり極めてまとまりが良く、見るものに力強さと同時に洗練された印象を与える特徴的で独自性のある外観を有するものであって、特段装飾のない明朝体状の文字でこれほどまでの力強さと同時に洗練された印象を与えるべくなされた図案処理は、各文字の大きさ、スペースの間隔等、全てのバランスを考慮してなされたものであり、創意と工夫が凝らされているというべきであるから、このような構成からなる本願商標は、自他商品識別標識としての機能を十分果たす旨主張している。

しかしながら、別掲1に示すとおりの構成態様からなる本願商標が、外観上の特徴を認識するものとはいい難いものであることは、上記で述べたとおりであって、本願商標が、各文字の大きさやスペースの間隔等において、請求人の主張するような創意と工夫が凝らされていることや力強さと同時に洗練された印象を与える特徴的で独自性のある外観を有するものであることについて、これらを裏付ける客観的な証拠は見いだせず、請求人の上記主張は採用することができない。

そして、本願商標の構成中、「糀」の文字は、別掲2のとおりの意味を有する語として一般に親しまれており、「甘酒」の文字は、「米の飯と米麹を混ぜて醸した甘い飲料。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)を意味する語として一般に親しまれているものであって、本願の指定商品との関係において、商品の普通名称を表示したにすぎないものであるから、本願商標は全体として、「糀(麹)を使用した甘酒」ほどの意味合いを容易に看取させるものである。

さらに、本願の指定商品を取り扱う業界において、糀(麹)を使用した甘酒が製造、販売されており、これら商品の原材料、品質を表示するものとして、「糀甘酒」の文字やこれと実質的に同一といえる「糀あま酒」、「麹甘酒」などの文字が使用されている実情がある(原審の拒絶理由通知書において提示された使用例及び当審において提示する使用例参照(別掲3、別掲4))。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、その商品が糀を使用した甘酒又は糀を使用した甘酒を使用した商品であること、すなわち、商品の原材料、品質を表したものと認識されるとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、本願商標について、その指定商品を第30類「果実・果汁・果肉入りの甘酒,生姜入りの甘酒,豆乳を加味してなる甘酒,電子レンジで加熱可能な容器を使用した甘酒,甘酒」に減縮するとともに、仮に、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとしても、請求人が大々的に使用した結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識できるものとなっている旨主張し、証拠方法として、第1号証ないし第374号証を提出している。

なお、本審判事件において、請求人の提出に係る証拠(第1号証〜第374号証)については、以下、「甲」を付して、例えば「甲第1号証」と読み替えるものとする。

以下、請求人の提出に係る証拠について検討する。

ア 販売開始時期等

請求人は、「米糀からつくった原料の違いを、需要者によりわかりやすく伝えるために」、自己の製造に係る「『プラス糀』ブランドの甘酒」の商品名を、2017年2月下旬以降、「プラス糀 米糀から作った甘酒」から「プラス糀 糀甘酒」へリニューアルした(甲124)。

イ 使用態様等

上記「『プラス糀』ブランドの甘酒」のリニューアル後の商品(以下「使用商品」という。)は、商品の種類(ゆずブレンド、りんごブレンドなど)や内容量の種類を増やしつつ、現在まで継続して販売されており、請求人提出の商品画像によると、使用商品は、商品容器に、商品の種類によって青、黄色、ピンクなど文字の色が異なるものの、「米糀からつくった」及び「糀甘酒」の各文字が同色で付されているほか、「アルコール0%」の文字、赤色及び黒色の「プラスこうじ」の文字と図形からなる標章(以下「プラス糀標章」という。)、「marukome」の文字などが付されている。また、上記の文字や標章などに加え、アニメのキャラクターが付されたものもある(甲19〜甲33)。

ウ 販売実績等

請求人が使用商品の販売実績として提出した証拠によれば、その売上げ等は、以下のとおりである。

「インテージエリア別POS」と題され、「対象カテゴリー:甘酒」、「集計期間:2017/4/1−2018/3/31(積上)―拡大推計値」、「指標1:推計販売規模(金額)」、「フィルタ1:(サブカテ1)糀甘酒」などと記載された表によると、使用商品は、北海道、東北、関東、京浜、信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州及び沖縄地方で販売されていることがうかがえ、上記期間の販売金額は、約18億2,900万円である(甲50)。

「対象カテゴリー:甘酒」、「集計期間:2016/4/1−2019/1/31(積上)−拡大推計値」、「指標1:推計販売規模(金額)」又は「推計販売規模(個数)」、などと記載された表は、使用商品のリニューアル前の販売金額及び販売個数を含むものであり、使用商品について、その販売金額及び販売個数は、2017年2月から2019年1月で約41億7,300万円(甲292)、約2,226万2,000個(甲293)である。

「対象カテゴリー:甘酒」、「集計期間:2016/4/1−2018/8/31(積上)−拡大推計値」、「指標1:マーケットシェア(個数)」などと記載された表は、使用商品のリニューアル前のマーケットシェアを含むものであり、リニューアル後の2017年2月から2018年8月まで期間において、請求人である「マルコメ」の甘酒のマーケットシェアは、約10%である(甲85)。

エ 広告、宣伝の状況等

(ア)ポスター及び販売促進用POP

甲第51号証ないし甲第54号証は、本願商標を付したポスター及び販売促進用POPであり、全国各地の取引業者、量販店へ配布しているとされるものであるところ、該ポスターは、上記イの商品容器の画像が掲示され、商品容器の画像には、プラス糀標章や請求人を示す「marukome」の文字が表示されているものであり、また、該ポスター及びPOPが配布されたとする具体的な取引業者、量販店や、その頒布に係る部数、地域及び方法などは不明である。

(イ)テレビCM

請求人は、2017年4月から2018年11月の間、乳児などやアニメのキャラクター、モデルを起用した使用商品のテレビCMを行った。

乳児などを起用したテレビCMは、「原材料:米・米糀・食塩」、「アルコール0%」の文字が表示され、また、上記イの商品容器の画像や、請求人を示す「marukome」、「砂糖不使用」の文字が表示されるものである(甲58、甲59)。

アニメのキャラクターを起用したテレビCMは、「アルコール0%」の文字が表示され、上記イの商品容器の画像が表示されるとともに、請求人を示す「marukome」の文字などが表示されるものである(甲100〜甲114)。

モデルを起用したテレビCMは、「糀の甘酒」の文字が表示され、該モデルが該商品を飲んでいる様子のもの(甲311〜甲314)のほか、「いつものスムージーに糀甘酒をプラス」などの文字が表示され、スムージーを作っている様子のもの(甲315、甲316)、「糀甘酒を選んでいます」などの文字が表示され、調理している様子のもの(甲317、甲318)などであり、いずれも、上記イの商品容器の画像が表示されるとともに、請求人を示す「marukome」の文字などが表示されるものである。

そして、「マルコメ プラス糀 糀甘酒 TVCM実施実績」と題する「dentsu」作成の表によると、該テレビCMは、2017年4月6日から2018年9月29日まで、以下の番組内において放送され、その放送地域は、「全国」であって以下の系列ネットにおいて、以下の回数、放送されたことがうかがえる(甲55)。

「とくダネ!」(フジテレビ系列全国28局ネット) 計105回

「和風総本家」(テレビ東京系列全国6局ネット) 計72回

「日経スペシャル カンブリア宮殿」(テレビ東京系全国6局ネット) 計53回

「プレバド!!」(TBS系列全国28局ネット) 計13回

「サタデープラス」(TBS系列全国28局ネット) 計66回

また、該テレビCMは、上記番組のうち、以下の番組内においては、以下の期間も放送されたことがうかがえるものの、番組内における該テレビCMの放送回数は不明である(甲86、甲321)。

「カンブリア宮殿」 2018年10月4日から11月29日

「サタデープラス」 2018年10月6日から11月24日

加えて、該テレビCMは、2018年4月1日から2018年11月30日の間、新潟放送(新潟県)、信越放送(長野県)、福井テレビ(福井県)富山テレビ放送(富山県)、福島中央テレビ(福島県)、山形放送(山形県)、石川テレビ(石川県)、宮城テレビ(宮城県)、テレビ埼玉(埼玉県)、毎日放送(大阪府)、テレビ朝日(東京都)、テレビ東京(東京都)、フジテレビジョン(東京都)の番組で放送されたことがうかがえるものの、番組内における該テレビCMの放送回数は不明である。さらに、これらの放送局の具体的な放映地域などは明らかでないものの、そのうちの多くが地方の放送局であって、一部の地域の放送にとどまると推測されるものである。(甲86及び甲321)。

なお、請求人は、該テレビCMに起用されたモデルのインタビュー映像及びメイキング映像がウェブ上で公開されたと主張するところ、その内容は、上記イの商品容器の画像が表示され、請求人を示す「marukome」の文字などが表示されるものであって、ウェブ上における具体的な時期、期間及び閲覧回数などは不明である(甲319、甲320)。

(ウ)ラジオCM

請求人は、2017年4月3日から2018年6月29日の月曜日から金曜日、MBS毎日放送(大阪府)で使用商品を含む請求人の製造に係る商品のラジオCMを行ったことがうかがえるものの、CMの詳細、具体的な放送地域、該ラジオCMの放送回数は不明である(甲261)。

また、請求人は、2018年2月から9月の間、毎週土曜日10時50分から10時55分に、JFN38局においてラジオCMを行ったことがうかがえるものの、CMの詳細、具体的な放送地域などは明らかでない。さらに、上記番組のウェブサイト上において使用商品の記事を配信したことがうかがえるものの、その内容の詳細、掲示期間などは明らかでない。加えて、2018年3月から9月及び2018年2月から9月の間、東京、大阪のランナーズステーションでPR活動を行ったことがうかがえるものの、その内容の詳細などは明らかでない(甲260)。

(エ)鉄道広告

請求人は、2017年7月10日から、西武鉄道において使用商品の広告映像を提供したと主張するところ、その広告映像の内容は、アニメのキャラクターを起用したものであって、「アルコール0%」の文字が表示され、上記イの商品容器の画像が表示されるとともに、請求人を示す「marukome」の文字などが表示されるものであり、また、該広告を行った具体的な路線、時期、期間などは不明である(甲60)。

(オ)新聞

請求人は、2017年8月3日付「読売KODOMO新聞」及び2017年8月5日付「読売新聞」に使用商品の広告を掲載したと主張するところ、その内容は、上記イの商品容器の画像が掲載されるほか、アニメのキャラクターや、「どうして、/マルコメが/甘酒なの?」、「マルコメの/米糀からつくった/糀甘酒」、「マルコメ ×ペネロペタンレール/プラス糀 糀甘酒LL りんごブレンド」などの文字や、請求人を示す「marukome」の文字が表示されるものである(甲63、甲64)。

さらに、請求人は、2018年1月11日付け読売新聞に、使用商品の広告を掲載したとして主張して甲第121号証を提出し、またそれを内容とするポスターであると主張して甲第122号証を提出しているところ、その内容は、米糀に関する研究者と請求人の会社所属の社員との対談であって、使用商品及び本願商標との関係は不明である(甲121、甲122)。

(カ)ニュースリリース

請求人は、2017年1月から2019年2月の期間の新製品の発売やイベントの開催などに際し、ニュースリリースを発しているところ、その内容は、上記イの商品容器の画像などが掲示され、請求人を示す「マルコメ株式会社」や「marukome」の文字が表示されているものである(甲123〜甲132、甲135、甲136、甲334、甲335、甲337〜甲339)。

(キ)チラシ

請求人の提出に係る甲第262号証は、スーパーマーケットの2018年8月4日付のチラシとうかがえるものであるところ、該チラシは、上記イ商品容器の画像とともに、「マルコメ プラス糀/●糀甘酒/●糀甘酒豆乳」の文字が記載されているものの、頒布に係る部数、地域及び方法は不明である。

(ク)店舗の販売状況、催事、コラボレーション等

請求人は、使用商品の販売態様を証明するものとして、甲第34号証ないし甲第39号証、甲第322号証を提出しているところ、上記証拠は、店舗内の甘酒を販売するコーナーと思しき写真であって、上記イの商品容器の画像が掲示されている。また、アニメのキャラクターのぬいぐるみや同キャラクターやモデルを起用した使用商品のポスターなどがあるものの、その大部分において、具体的な掲示期間、使用商品の販売期間及び販売数量などは不明である。

請求人は、2018年6月23日に磐越自動車道のSA(下り)で、8月11日に東北自動車道(鶴巣SA(下り))で使用商品を販売し、また、磐越自動車道(阿武隈高原SA(上り))、東北自動車道(安積(上り及び下り)、金成(上り)、福島松川(下り)、鶴巣(上り)、松川(上り)、阿武隈(上り及び下り)、北上金ヶ崎(上り及び下り))、秋田自動車道(錦秋湖(上り及び下り))で使用商品を販売したことがうかがえるものの、その具体的な販売期間、販売数量等は、記載がある場合においても客観的な裏付けが見いだせず、不明である(甲323)。

請求人は、2017年8月5日及び2018年8月5日、メットライフドーム(埼玉県)で行われたプロ野球の公式戦において、「マルコメスペシャルデー」として、使用商品の販売や、請求人のマスコットキャラクターである「マルコメ君」(以下、単に「マルコメ君」という。)の始球式などを内容とするイベントを行った(甲342〜甲349)。

請求人は、2018年10月20日、イトーヨーカドー武蔵小杉駅前店(神奈川県)において、使用商品の販売や、「マルコメ君」が登場する「糀甘酒販促キャンペーン」を行った。(甲350、甲351)。

請求人は、2018年11月22日から12月20日の間、他社とコラボレーションし、使用商品を使用した「甘酒煮」の販促キャンペーンを行い、その紹介記事が、食料醸界新聞、食品新聞に掲載されたものの、これら紹介記事は、請求人を示す「マルコメ」の文字なども記載されている(甲359、甲360)。

請求人は、2019年3月1日から4月26日の間、「大江戸温泉物語 浦安万華郷」(千葉県)とのコラボレーションとして、上記場所で使用商品を使用したメニューを提供し、また、上記イの商品容器の掲示、「マルコメ君」の看板の掲示などを行った(甲352〜甲355)。

請求人は、2019年4月1日から5月31日の間、上越自動車道(横川SA、佐久平PA、東部湯の丸SA、松代PA、小布施PA)及び長野自動車道(姨捨SA)(いずれも上・下線)の12エリアにおいて、NEXCO東日本とのコラボレーションとして、「マルコメ 春の糀メニューフェア」を開催し、使用商品を使用したオリジナルメニューを提供し、それを注文した者に使用商品を贈呈した(甲357、甲358)。

その他、請求人と他社とコラボレーションし、使用商品を使用したドリンク、菓子、パンなどの商品が販売されたものの、これら商品の販売地域、販売実績等は不明であって、これら商品の広告、紹介記事等においては、「マルコメ君」の絵図や請求人を示す「マルコメ」や「marukome」の文字、プラス糀標章などが付されているものもある(甲361〜甲371)。

(ケ)新商品発表会

請求人は、2018年及び2019年、東京で「春夏新商品発表会」を開催したことがガイドブックによりうかがえ、該ガイドブックには、使用商品が掲載されているものの、その発表会の開催期間、開催場所、入場者数やその内訳等、詳細は不明である(甲324、甲325)。また、2019年1月10日に開催された「春夏新商品発表会」は、食品産業新聞、食品新聞、日刊食品通信、商経アドバイスに請求人の新商品のPRイベントが開催されたことを内容とする紹介記事が掲載されたものの、新商品には使用商品のみならず、味噌も含まれているものであり、これら記事は、請求人の名称も記載されている(甲326〜甲330)。

(コ)受賞等

請求人は、2018年11月7日に開催された第1回長野県甘酒鑑賞会(長野市)で長野県知事賞を受賞したことがうかがえるものの(甲331〜甲333)、使用商品及び本願商標との関係は不明である。

オ 紹介等

(ア)テレビ番組等

使用商品は、2017年12月20日から2019年3月5日の間、テレビ東京(東京都)で3回、朝日放送テレビ(大阪府)、テレビ埼玉(埼玉県)で各2回、北海道文化放送(北海道)、新潟総合テレビ、新潟放送、UX新潟テレビ、TeNYテレビ新潟(以上、新潟県)、長野朝日放送、信越放送(以上、長野県)、フジテレビジョン、TBS、読売テレビ、テレビ朝日(以上、東京都)で各1回の計18回、テレビ番組において紹介されたことがうかがえる。該テレビ番組は、具体的な放映地域などは明らかでないものの、そのうちの多くが地方の放送局であって、一部の地域の放送にとどまると推測されるものである。また、その内容は、甘酒ブームや甘酒を使用したレシピなどが紹介されるなかで、他社の甘酒商品も含む画像の一として、上記イの商品容器の画像やプラス糀標章の画像が表示されるもの、請求人を示す「マルコメ」などの字幕が表示されるもの、「マルコメ プラス糀 糀甘酒 からだを想う 新CM 『プレーン』篇」などの字幕と共に妊娠中のモデルの新CMであることを紹介されるもの、発酵の日として上記イの商品容器の画像が写され、「マルコメ君」が登場し、「プラス糀 米糀からつくった糀甘酒」の字幕と共に商品が紹介されるものなどである(甲137〜甲148)。さらに、請求人の商品の開発史等を、インタビューなどとともに紹介するなかで、請求人に係る商品の一として、上記イの商品容器の画像、該容器に付された「marukome」の拡大画像とともに、請求人を示す「マルコメ」の字幕が表示され、使用商品のテレビCMが紹介されるもの、請求人に係る米糀製品を製造する新工場の紹介の中で、上記イの商品容器の画像が表示されるものなどである(甲296、甲298〜甲302)。

(イ)新聞、雑誌等

使用商品は、2017年9月4日から2018年10月22日の間、食品新聞、信濃毎日新聞、婦人公論、日刊食品通信、長野日報、函館新聞、夕刊デイリー、大豆油糧日報、日本経済新聞、飲食店経営、サンデー毎日、日本食糧新聞、デイリースポーツ、週刊新潮、帝飲食料新聞、フードウィークリー、産経新聞甲信越版、食料醸界新聞、酒類飲料新聞などにおいて紹介記事が掲載されたことがうかがえるものの、その多数において、内容は、「プラス糀 糀甘酒」(シリーズ)の紹介であって、請求人を示す「マルコメ」が記載されている(甲115、甲149〜甲259、甲303〜甲310)。

カ アンケート調査

請求人は、「マルコメ“糀甘酒”に関する調査結果」とするものを提出しているところ、これは、2017年8月7日から9日までの料理レシピサイト「クックパッド」上での調査であり、調査対象は女性のみである。また、この調査は、請求人の名称も合わせた「マルコメ『糀甘酒』」についての認知度を問うものであって、かつ、質問の際に提示したと思われる「画像で提示されたマルコメ『糀甘酒』」の詳細は不明である(甲263)。

請求人は、「2017年度:甘酒実体把握定点調査」を提出しているところ、該調査は、「マルコメ 糀甘酒」の満足度、好感度等を甘酒の飲用経験のある消費者に対して調査したものである(甲264)。

請求人は、2018年夏に「プラス糀 糀甘酒」に関するアンケート調査を行ったと主張するところ、該調査は、調査期間、調査対象者、調査人数とその内訳などの詳細は不明であり、その内容を掲載した2018年10月22日の食品産業新聞によれば、調査対象商品は「プラス糀」の文字も合わせた「プラス糀 糀甘酒」であり、その感想や、甘酒には米糀から又は酒粕からつくるタイプがあること、該商品が適度な塩分を含み熱中症対策に最適であることなどについて記載がある(甲372)。

請求人は、コラボレーション企画後のアンケート調査を提出しているところ、該調査は、糀甘酒シリーズを使用した後の購入意向などを問うものである(甲374)。

キ 判断

以上によると、本願商標は、請求人が「『プラス糀』ブランドの甘酒」と称する商品の名称であって、2017年2月下旬以降、その名称を「プラス糀 米糀からつくった甘酒」から「プラス糀 糀甘酒」(使用商品)にリニューアルして、現在まで継続して販売している甘酒に使用されているとはいえるものの、使用商品には、本願商標のほか、プラス糀標章や請求人を示す「marukome」の文字なども使用されている。

そして、使用商品の販売期間は、約2年半であって、その期間は決して長いものとはいえず、また、2017年2月から2018年8月までの「甘酒」における請求人のマーケットシェアは、約10%であって、高いものとはいえない。

また、使用商品は、ポスター、販売促進用POP、テレビCM、ウェブ上、ラジオCM、鉄道広告及び新聞などで広告、宣伝され、ニュースリリースや新製品発表会が行われている。加えて、使用商品は、店舗内でポスターを掲示して販売され、自動車道、プロ野球公式戦及び他社とのコラボレーション企画などにおいて販売され、TV番組や新聞などで紹介されている。しかしながら、それらの大多数は、一部の地域、期間に限定されるものであって、本願の指定商品の需要者である一般の消費者が広く接する機会があったものとはいえないし、その詳細が不明なものなども多いといわざるを得ない。加えて、これら広告、宣伝などに際しては、本願商標を構成する「糀甘酒」の文字のほか、請求人を示す「マルコメ」、「marukome」の文字や「糀プラス」の文字、プラス糀標章なども使用されている。

さらに、請求人の提出に係るアンケート調査は、料理レシピサイトにおいて女性のみに対して行ったもの、甘酒の飲用経験のある消費者などに対して行ったもの、調査期間、調査対象者、調査人数などが不明なものであって、「マルコメ『糀甘酒』」や「プラス糀 糀甘酒」の認知度や満足度、甘酒の原材料についての知識や、糀甘酒シリーズを使用した後の購入意欲などを問うものであり、これらアンケート調査から、本願商標の需要者である一般の消費者の認識の程度や、本願商標を構成する「糀甘酒」の文字が独立して識別力を有するに至っているか否かを推定することができない。

(3)請求人以外の者による「糀甘酒」の文字の使用状況

本願商標は、上記(1)のとおり、その構成態様や指定商品に係る取引の実情を踏まえれば、需要者をして、商品の原材料、品質を表したものと認識されるところ、本願商標を構成する「糀甘酒」の文字又はこれと実質的に同一といえる「麹あま酒」、「麹甘酒」などの文字が、請求人以外の者により、本願の指定商品を取り扱う業界において、使用されている実情がある(別掲3、別掲4)。

(4)まとめ

上記(2)のとおり、本願商標は、請求人を示す「marukome」の文字やプラス糀標章と共に使用されているものであり、使用商品は、全国において販売されているとしても、その販売期間は長いものとはいえず、そのマーケットシェアは高いものとはいえない。また、使用商品は、東京周辺地域や大阪、東北地方及び信越地方などを中心に宣伝、広告がなされており、その宣伝、広告、販売、紹介は、需要者が、請求人を示す「マルコメ」や「marukome」の各文字、商品のブランド名である「プラス糀」の文字やプラス糀標章に注目するような態様で行われている。

加えて、本願商標は、上記(1)のとおり、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当であり、上記(3)のとおり、請求人以外の者が「糀甘酒」の文字を使用している事実がある。

してみれば、本願商標は、商品の出所識別標識として、いまだ周知性を獲得するに至っていないとみるのが相当であり、それが使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない

(5)請求人の主張について

請求人は、使用商品が全国で大量に販売され、頻繁にテレビ、新聞、雑誌等のメディアに取り上げられてきたことや、各店舗での採用、各社とのコラボレーションの実施の他、請求人であるマルコメ株式会社が食品業界における大手メーカーの一つとして著名な存在であることなどを総合的に勘案すれば、本願商標は使用の結果、需要者、取引者が請求人の商品であることを認識できるに至ったとするのが相当であり、また、本願商標が指定商品の分野において、不特定多数の者に商品の品質等を表すものとして一般的に使用されているとの事情も見いだせなかった旨主張する。

しかしながら、本願商標は、これを構成する「糀甘酒」の文字が独立して自他商品識別力を有するに至っているとは認められないし、また、仮に請求人が食品業界における大手メーカーの一つとして著名な存在であるとしても、本願の指定商品の分野において、請求人以外の者が「糀甘酒」の文字を商品の品質等を表すものとして一般的に使用している実情を鑑みると、本願商標は、取引者、需要者をして、いまだその使用に係る商品の原材料、品質を表示したものとして認識されるにとどまるといわざるを得ない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(6)むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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