Trademark Appeal Case
原材料表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−7782(T2018−7782/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「安納芋トリュフ」の文字を横書きしてなり、第30類「種子島安納地区で生産されたさつまいもを使用したトリュフチョコレート,種子島安納地区で生産されたさつまいもを使用したチョコレート菓子」を指定商品として、平成28年12月22日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「安納芋トリュフ」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「トリュフ」の文字は「生クリーム・洋酒などを混ぜたチョコレートを直径3センチメートルほどに丸め、さらにうすくチョコレートなどで覆った菓子。」の意味を有する語であり、その指定商品(チョコレート)との関係においては、「トリュフチョコレート」を容易に認識させる。また、本願商標の構成中の「安納芋」の文字は、「種子島安納地区で生産されたさつまいも」を表す語として使用されている事実がある。さらに、芋を使用したチョコレートが作られている事実もある。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、取引者及び需要者は、「種子島安納地区で生産されたさつまいもを使用したトリュフチョコレート」であることを容易に理解するにとどまるというのが相当であり、単に商品の原材料・品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、「○○トリュフ」(○○には原材料名が入る。)と称するチョコレート菓子の事例(別掲1)及び「安納芋」を原材料とするチョコレート菓子の事例(別掲2)を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項に基づき、請求人に対して、その結果を通知し(令和元年6月26日付け証拠調べ通知書)、意見を求めた。
4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)別掲1及び別掲2の事例のいずれにおいても「安納芋トリュフ」が存在する事実を示していないため、本願商標は一種の造語として取引者及び需要者に認識される。
(2)本願商標は、請求人による営業努力の結果ではなく、従来とは異なる材料を用いることにより新たな食感や味覚を有する菓子を創作するべく、チョコレートと相性が良い甘み成分や粘度感を有する材料として「さつまいも」を、特に創作当時に着目されつつあった「安納芋」を採用し、それをチョコレートと融合させて製造して販売したところ、請求人の予想を超える速度で人気が広まり周知されるに至ったものである。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は「安納芋トリュフ」の文字を横書きしてなるところ、「安納芋」の語は「鹿児島県種子島地域で生産されるサツマイモ」(参照:「デジタル大辞泉プラス」小学館)のことで、「トリュフ」の語は「高級フランス料理で珍重されるきのこ」(参照:「大辞林 第3版」三省堂)を指称するものであるが、菓子との関連においては、「生クリーム・洋酒などを混ぜたチョコレートを直径三センチメートルほどに丸め、さらにうすくチョコレートなどで覆った菓子」(前掲参照)を指称する語として用いられている。そして、両語を結合しても特定の意味を有する成語となるものではないが、各構成文字の語義に相応して、その指定商品(トリュフチョコレート及びチョコレート菓子)との関係においては、本願商標全体として「安納芋を原材料としたチョコレート菓子(トリュフ)」程度の意味を容易に認識させる。
イ 菓子等の分野においては、別掲1のとおり、「○○トリュフ」(○○には原材料名が入る。)と称するチョコレート菓子が、例えば「紫芋トリュフ」(原材料に紫いもを含む。)、「千両芋トリュフ」(原材料に千両芋を含む。)、「さつまいもトリュフ」(原材料にさつまいもを含む。)等と称して製造、販売又は紹介されている実情がある。
また、「安納芋」は、別掲2のとおり、チョコレート菓子の原材料として広く用いられており、例えば「安納芋チョコレート」や「安納芋チョコ」と称するチョコレート菓子も製造、販売されている実情がある。
ウ 以上を踏まえると、本願商標は、その指定商品との関係において、その需要者及び取引者をして、「安納芋を用いたチョコレート菓子(トリュフ)」程度の意味を認識、理解されるもので、単に商品の品質(内容、種別)又は原材料を表示するにすぎないというべきである。
エ 請求人の主張に対して
(ア)請求人は、安納芋を原材料としたスイーツポテトの表面をチョコレートでコーティングすることにより、新たな食感や味覚を有するチョコレート菓子を創作したもので、その際に命名した本願商標は、一種の造語として取引者及び需要者に広く感得されるに至っている旨を主張する。
しかしながら、本願商標は、各構成文字の語義は容易に理解され、その指定商品からの強い示唆もあって、全体として特定の意味を有しない造語というよりも、上記アのとおり、「安納芋を用いたチョコレート菓子(トリュフ)」程度の意味を容易に認識させるものであるから、その主張は採択できない。
(イ)請求人は、当審が掲げる第三者の使用に係る事例(別掲1及び別掲2)は、「安納芋トリュフ」の語の使用例ではないから、商標法第3条第1項第3号に関する証拠としては相応しくない旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないというべきであるところ、別掲1及び別掲2に掲げる事例は、本願商標が第三者によって現実に使用されていることは示していないとしても、菓子等の分野における本願商標の構成文字に係る使用の実情を十分示すものであり、本願商標の識別性の判断にあたって参酌できること明らかであるから、その主張は採択できない。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質(内容、種別)又は原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、商標法第3条第2項の適用の主張の有無を明らかにしないが、本願商標に係る周知性の主張や提出証拠(請求人が原審において提出した第1資料ないし第29資料(枝番あり)及び当審において提出した第30資料は併せて、甲第1号証ないし甲第30号証(枝番あり)と読み替える。)があることから、念のため、以下のとおり検討する。
ア 請求人は、「安納芋トリュフ」と称する、安納芋を原材料とするチョコレート菓子(トリュフ)(以下「請求人商品」という。)を製造、販売しており(甲17)、2013年以降に発行、掲載されたウェブサイト、ブログ、雑誌、書籍等において、年に数回程度は掲載、紹介されてはいる(甲4〜甲14、甲26〜甲29)。
イ しかしながら、請求人商品の名称「安納芋トリュフ」は、請求人商品の原材料や種別を直接表示するもので、これら雑誌等の記事情報においても請求人商品の原材料(安納芋)や品質(チョコレート菓子(トリュフ)であること)を子細に解説しているものも多く、これらの記事情報に接する読者をして、請求人商品の名称が、請求人固有の商標として記憶されるのか、それとも特定の原材料を用いた商品種別として記憶されるのかは、判読が極めて困難である。
ウ また、請求人商品の販売実績にしても、販売経路は、オンライン販売等があるとしても、店舗は大阪府に所在する2店舗のみで(甲2)、その売上高及び販売数量は、請求人の関係者の陳述によっても、年平均(平成26年〜平成29年)で、約8千1百万円、約35万個程度であるから(甲30)、単品ではなく5個セット、10個セット(甲19)などのように、通常はまとめて販売されると推察されることを考慮しても、本願商標の指定商品に係る我が国における一般需要者層に広く行き渡るほどの販売実績があるとはいい難い。
エ 請求人は、請求人商品は、請求人の営業努力の結果ではなく、従来とは異なる材料を用いることにより新たな食感や味覚を有する菓子を創作するべく、チョコレートと相性が良い甘み成分や粘度感を有する材料として「さつまいも」を、特に創作当時に着目されつつあった「安納芋」を採用し、それをチョコレートと融合させて製造、販売したところ、請求人の予想を超える速度で人気が広まり周知されるに至った旨を主張する。
しかしながら、別掲1及び別掲2のとおり、「○○トリュフ」と称するチョコレート菓子や「安納芋」を原材料とするチョコレート菓子は既に広く流通又は紹介されているもので、それらを組み合わせた請求人商品の名称「安納芋トリュフ」も独創性に乏しいものであるし、上記イ及びウのとおり、請求人商品の雑誌等での商品紹介の頻度も多くはなく、その販売実績も我が国における需要者層に広く行き渡るほどのものでもないから、請求人提出の証拠によって、我が国の需要者及び取引者の間において広く知られるに至っているというには足りず、その主張は採択できない。
オ 以上を踏まえると、請求人商品は、 その名称である「安納芋トリュフ」をして、請求人固有の商標として需要者に浸透している程度は不明で、その販売実績等を勘案しても、我が国の需要者の間において広く知られているといえるほどの、全国的な周知性までを獲得していると認めることはできない。
したがって、「安納芋トリュフ」を構成文字とする本願商標は、請求人による使用によっても、その指定商品に係る需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に該当しないため、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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