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Trademark Appeal Case

商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900264(T2018−900264/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第6054090号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6054090号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年10月12日に登録出願、第25類「被服,ジャージー製被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,スポーツシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,スポーツシューズ,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同30年6月1日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下のとおりである。

1 登録第1400890号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:昭和50年6月10日

設定登録日:昭和54年12月27日

指定商品 :第6類、第8類、第9類、第15類、第18類ないし第22類、第24類、第25類、第27類、第28類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

2 登録第1412880号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:昭和50年6月10日

設定登録日:昭和55年3月28日

指定商品 :第6類、第14類、第18類、第21類、第22類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 登録第1663782号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:昭和55年4月4日

設定登録日:昭和59年2月23日

指定商品 :第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

4 登録第1679061号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:昭和55年4月4日

設定登録日:昭和59年4月20日

指定商品 :第9類、第20類、第22類、第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

5 登録第4911559号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:別掲4のとおり

登録出願日:平成17年5月18日

設定登録日:平成17年12月2日

指定商品 :第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

6 登録第4919435号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の構成:別掲5のとおり

登録出願日:平成17年6月21日

設定登録日:平成18年1月6日

指定商品 :第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

7 国際登録第732710号商標(以下「引用商標7」という。)

商標の構成:別掲6のとおり

登録出願日:2000年(平成12年)3月18日(優先権主張1999年(平成11年)10月5日、ドイツ連邦共和国)

設定登録日:平成12年12月8日

指定商品 :第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

8 国際登録第925647号商標(以下「引用商標8」という。)

商標の構成:別掲7のとおり

登録出願日:2007年(平成19年)2月2日(優先権主張2006年(平成18年)9月30日、ドイツ連邦共和国)

設定登録日:平成20年4月25日

指定商品 :第18類、第25類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

9 国際登録第1138941号商標(以下「引用商標9」という。)

商標の構成:別掲8のとおり

登録出願日:2012年(平成24年)3月6日(優先権主張2011年(平成23年)10月8日、ドイツ連邦共和国)

設定登録日:平成25年9月27日

指定商品 :第3類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

10 国際登録第1250838号商標(以下「引用商標10」という。)

商標の構成:別掲9のとおり

登録出願日:2014年(平成26年)11月12日

設定登録日:平成28年7月29日

指定商品 :第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

11 国際登録第1379176号商標(以下「引用商標11」という。)

商標の構成:別掲7のとおり

登録出願日:2016年(平成28年)10月21日(優先権主張2016年(平成28年)4月23日、ドイツ連邦共和国)

設定登録日:令和1年7月26日

指定商品 :第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

そして、引用商標1ないし11は、いずれも現に有効に存続しているものである。(以下、引用商標1ないし11を一括して、単に「引用商標」ということがある。)

第3 登録異議の申立の理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。)を提出した。以下、証拠については、「甲1」のように記載する。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)引用商標1ないし5(以下「引用商標A」という。)について

本件商標は、引用商標Aに共通する本件商標の左下に配置されたやや広めの横線を底辺として右上に伸び上がる図形が共通しており、本件商標と引用商標Aは外観上類似する商標である。本件商標の底辺が下に膨らんだ弓形であり、底辺右側が鋭角的に描かれている点が若干異なるが、本件商標の基本図形の中に、引用商標Aに共通する構成要素全てを含んでおり、また、本件商標の第25類の指定商品に使用された場合には、本件商標と引用商標Aとの間に混同が生ずる。

(2)引用商標6及び8ないし10(以下「引用商標B」という。)について

引用商標Bは、サッカーシューズ(甲14)やランニング用のシューズ(甲15)の側面に配されたライン図形である。引用商標Bの形状が若干異なっていたり、引用商標9の半円や引用商標10が黒く塗りつぶされているのは、靴の素材や色によってライン図形の形を微妙に変化させる必要があり、出願人は、これらの異なったスポーツシューズに使用されるライン図形について出願を行ったものである。

本件商標は全体が黒く塗りつぶされており、図形中に線が入っていたりするわけではないが、革や合成皮革で作られるトレーニングシューズ側面に付されるマークは、通常縫い付けられていることが多く、そういった意味で、本件商標は簡略化した図形を書しているものであり、実際の商品になると、申立人に係る引用商標にさらに類似してくることは想像できることである。

本件商標と引用商標Bでは、底辺が広く取られており、底辺右側が鋭角的に描かれている点も共通していることから、全体として近似した印象を受ける。

(3)したがって、本件商標は、引用商標1ないし6及び8ないし10と類似し、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人の著名性について

申立人であるプーマ エスイー(以下「プーマ社」という。)は、スポーツシューズ、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である。

(2)申立人の商標について

申立人が引用する商標は、引用商標と同じ形状の図形商標であり、プーマ社のスポーツシューズやスポーツ用バッグについている特徴的なライン図形である。そして、この図形は「プーマライン」の愛称で親しまれ、男女を問わず広く知られている。

「プーマライン」についてインターネットで検索したところ、約28,400,000件の検索結果が表示されたことや画像検索で沢山の「プーマライン」が発見されたことからも、「プーマライン」が広く世間に浸透していることが推察される(甲32)。本来は図形である「プーマライン」について、愛称のみの検索でこれほどのヒットがあるという事実は、いかにこれらの図形が世界的に親しまれ、周知著名であるかを証明するものといえる(甲33ないし甲35)。

(3)申立人の商標としての「プーマライン」の周知・著名性

上記のような検索結果から得られた情報だけでも「プーマライン」の著名性はうかがうことができるが、「プーマライン」が約50年前から日本において販売され、それが現在まで継続している(甲36ないし甲51)。

これらからは、申立人の靴の側面に表示されたライン図形が「プーマライン」と通称され、また、「プーマ」のスポーツシューズやスニーカーにはこの「プーマライン」が付されており、様々な著名人や有名なキャラクターとのコラボ商品が発表され、人気を集めていることが理解される。また、このようなコラボ商品が製造されるのは、半世紀以上の長い歴史があり、幅広い年代の人々に支持されてきた結果であり、「プーマライン」が「プーマのトレードマーク」として広く認知されている商標である。

(4)出所混同の可能性について

本件商標の図形の一部と「プーマライン」図形は、左下に配置されたやや広めの横線を底辺として、そこから右上に向かって伸び上がり、次第にやや細くなっていくライン図形という、需要者らに与える基本的な印象において相違があるものではない。

本件商標の指定商品に含まれる「履物,スポーツシューズ,運動用特殊靴」の分野では特に、取引者や需要者が靴の側面に付された商標を目印に商品を選ぶという一般的・恒常的な事情があり、特に、本件商標は引用商標と近似する形状をしていることから、「プーマライン」図形商標と誤認される可能性が高く、その結果として、本件商標が表示された商品に接した需要者らは、当該商品を申立人が製造・販売した商品の一種であるかのように、あるいはコラボ商品やそのライセンスの下に製造された商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれが極めて高いといえる。

(5)以上を総合すれば、本件商標は、たとえ商標法第4条第1項第11号に違反しないとしても、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものである。

第4 取消理由の通知

当審において、商標権者に対し、「本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和1年5月28日付けで通知した。

第5 商標権者の意見

前記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知著名性について

証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人は、スポーツシューズ、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業であって、申立人の業務に係る商品については、我が国において、1970年(昭和45年)から、引用商標1ないし4又は7が付されているサッカーシューズを、「ヤスダスポーツシューズ」を始めとするPUMA日本総代理店を通じて輸入販売した(申立人の主張及び甲36ないし甲38)。

イ 引用商標は、いずれも、幅の広い底辺から右上に向かって緩やかにカーブしつつ伸び上がり、徐々に細長くなっていく特徴的な図形を基調とし、別掲2ないし9のとおり様々なバリエーションがあり、これらの図形は「フォームストライプ(プーマライン)」と称され、本件商標の登録出願前までに申立人の取扱いに係るスポーツシューズの側面について使用されていた(甲23、甲33、甲35及び甲51)。

ウ 1958年(昭和33年)、申立人はサッカーシューズにフォームストライプ(プーマライン)を導入した。同年、スウェーデンで開催されたサッカーの祭典において、申立人に係るサッカーシューズは、唯一のドイツ製サッカーシューズとなった。その後も1960年代以降ブラジルのペレ、アルゼンチンのマラドーナ、日本の三浦和良ら著名なサッカー選手、2000年(平成12年)以降には著名な陸上選手ジャマイカのウサイン・ボルトなど、各国のサッカーや陸上のトップアスリートが引用商標1ないし4、6、7又は10を側面に付したスポーツシューズを着用してきた(甲23及び甲41ないし甲44)。

エ 引用商標1ないし4、6、7又は10を側面に付したスポーツシューズがスポーツ雑誌、業界新聞、インターネット上のウェブサイトといった多くのメディアにおいて、次の(ア)及び(イ)とおり、広告宣伝され又は紹介されてきた。

(ア)本件商標の登録出願前の使用について

申立人のウェブサイトにおける自社の歴史を紹介するウェブページにおいて、引用商標1ないし4、6又は7を側面に付したスポーツシューズが、当該商品を着用した選手や競技会とともに申立人企業の歴史の紹介と併せて掲載された(甲23)。

引用商標1ないし4又は7を側面に付したサッカーシューズが、雑誌「サッカーマガジン」(甲36ないし甲38)、新聞「シューズポスト」(甲39及び甲40)及び各種のウェブサイト(甲33、甲35、甲41、甲42、甲45、甲48ないし甲51)において広告宣伝され又は紹介され、また、同ハイヒール及び子供用スニーカーが各種のウェブサイト(甲46及び甲47)において紹介された。

引用商標6を側面に付したスポーツシューズが「excite.ism」のウェブサイト(甲42)において紹介された。

引用商標10を側面に付したスポーツシューズが「Kohei’s BLOG サッカースパイク情報ブログ」のウェブサイト(甲43)及び「産経ニュース」のウェブサイト(甲44)において紹介された。

(イ)本件商標の登録査定前の使用について

引用商標1ないし4又は7を側面に付したシューズが「DTIMES.JP」のウェブサイト(甲34)において紹介された。

オ 申立人の関連会社の業務に係るスポーツ用品の売上高、出荷額及び市場占有率について

申立人の関連会社と認められるプーマジャパン株式会社(以下「申立人関連会社」という。)の業務に係るスポーツ用品について、国内での売上高及び企業別順位は、2013年は、431億1800万円で6位、2014年は、425億2300万円で7位、2015年(見込)は、431億2100万円で7位であり、売上高は毎年400億円を超えている(甲24の3)。

また、申立人関連会社の業務に係るスポーツシューズについて、国内での出荷額、企業順位及び市場占有率は、2013年は、179億5500万円、6位、5.9%、2014年は、177億8000万円、6位、5.4%、2015年は、184億4000万円、6位、5.2%であり、出荷額は毎年170億円を越え、5%を越える市場占有率を有している(甲25の3)。

カ 前記アないしオによれば、引用商標1ないし4、6、7及び10は、遅くとも1970年(昭和45年)から申立人の業務に係るスポーツシューズに使用をされ、当該スポーツシューズは、各国のサッカーや陸上のトップアスリートに着用されると共に、スポーツ雑誌、業界新聞、インターネット上のウェブサイトといった多くのメディアにおいて、広告宣伝され紹介されてきたものである。

そして、申立人関連会社の業務に係るスポーツ用品の売上高、出荷額及び市場占有率をも考慮すれば、引用商標1ないし4、6、7及び10は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。

(2)引用商標の独創性について

引用商標1ないし4、6、7及び10は、別掲2、3、5、6及び9のとおり、いずれも、幅の広い底辺から右上に向かって緩やかにカーブしつつ伸び上がり、徐々に細長くなっていく特徴的な図形からなるものであるから、その独創性は高いものといえる。

(3)本件商標と引用商標との類似性について

本件商標は、別掲1のとおり、下側にやや膨らんだ幅の広い底辺から右上に向かって緩やかにカーブしつつ伸び上がり、徐々に細長くなっていく図形からなるものである

そうすると、本件商標と前記(2)において示した特徴を有する引用商標1ないし4、6、7及び10とは、幅の広い底辺から右上に向かって緩やかにカーブしつつ伸び上がり、徐々に細長くなっていくという特徴を共通にするものであるから、両者の類似性の程度は高いといえる。

(4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の関連性、需要者の共通性その他取引の実情について

本件商標の指定商品には、申立人の業務に係る商品である「スポーツシューズ」が含まれている。これらの商品はいずれも日常的に使用されるものであり、また、その需要者は、一般の消費者であるといえる。

そうすると、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは関連性が高く、その需要者を共通にしているといえる。

そして、需要者が一般の消費者であることからすれば、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえない。

さらに、本件商標の指定商品には、被服、靴下、帽子、運動用特殊衣服、運動用特殊靴などが含まれており、これらの商品には、商標をワンポイントマークとして表示されることも多いものといえる。

このように、本件商標がワンポイントマークとして表示される場合などを考えると、ワンポイントマークは、比較的小さいものであるから、そもそも、そのような態様で付された商標の構成は視認しにくい場合があるといえ、外観において紛れる可能性が高くなるものといえる。

(5)混同を生ずるおそれについて

前記(1)ないし(4)のとおり、引用商標1ないし4、6、7及び10は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、その独創性が高いこと、本件商標と引用商標1ないし4、6、7及び10との類似性の程度が高いこと、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性が高く、その需要者を共通にすること、取引の際に払われる需要者の注意力はさほど高いとはいえないこと、本件商標がその指定商品にワンポイントマークとして小さく表示されることも多いといえることからすると、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合には、これに接する需要者は、引用商標1ないし4、6、7及び10を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標というべきである。

(6)したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当する。

2 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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