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Trademark Appeal Case

「脱出ゲーム」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−10893(T2018−10893/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「脱出ゲーム」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第16類、第28類、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年10月6日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同29年10月19日付け手続補正書及び当審における同30年9月20日付け手続補正書により、最終的に別掲1のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、以下の(1)ないし(5)のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本願商標は、「脱出ゲーム」の文字を標準文字で表してなるところ、指定商品及び指定役務中、コンピュータゲームやボードゲーム及び娯楽イベントを取り扱う業界においては、「脱出ゲーム」の語が「部屋に閉じ込められた参加者が、謎を解いてその場を脱出するゲーム」を意味するものとして、使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標を、その指定商品及び指定役務中、「脱出ゲームを内容とする商品又は役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質又は役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第3条第1項柱書について

商標登録を受けることができる商標は、現在使用しているもの又は近い将来使用をするものであると解されるところ、本願は、第35類において指定している小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)が、全く業種が異なり、類似の関係にもないものであるため、このような状況の下では、出願人が出願に係る商標をこれらの小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるから、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。

(3)商標法第6条第1項について

本願は、第35類の指定役務中に、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない役務が含まれていることから、商標法第6条第1項の要件を具備しない。

(4)商標法第6条第2項について

本願は、第28類の指定商品中に、政令で定める商品及び役務の区分に従って指定したものと認めることができない商品を包含しているから、商標法第6条第2項の要件を具備しない。

(5)商標法第4条第1項第11号について

本願商標は、登録第5297842号商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品及び役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知

本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、令和元年6月11日付け証拠調べ通知書によって通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点)

請求人は、上記3の証拠調べ通知に対し、以下のように述べた。

(1)証拠調べ通知において通知された、「脱出ゲーム」の文字が「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」の意味合いで使用されている例は、平成30年9月20日付けの手続補正書によって補正した指定商品及び指定役務における使用例であるべきところ、通知された使用例の大半は、本願商標の指定商品及び指定役務とは異なる分野における情報である。

(2)「脱出ゲーム」の文字は、証拠調べ通知書において示された情報からみれば、需要者及び取引者によって、様々な意味合いで使用されているのが実情である。そして、2009年に登録査定された登録5297842号商標は、「脱出ゲーム」の語からは、本願商標に係る指定商品及び指定役務との関係においては、特定の内容が看取されず、様々な意味合いが生じると判断され、登録されたものであるから、「脱出ゲーム」の語から、「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」のような認識が生じる余地はない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書について

本願の指定商品及び指定役務は、前記1のとおりの商品及び役務に補正された結果、第35類において指定する小売等役務について、本願商標を使用しているか又は近い将来使用をすることについての疑義がなくなったものと認められる。

したがって、本願が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした拒絶の理由は解消した。

(2)商標法第6条第1項及び同条第2項について

本願の指定商品及び指定役務は、前記1のとおりの商品及び役務に補正された結果、商品及び役務の内容及び範囲が明確なものとなり、また、政令で定める商品及び役務の区分に従って指定したものとなった。

したがって、本願が商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備しないとした拒絶の理由は解消した。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本願の指定商品及び指定役務は、前記1のとおりの商品及び役務に補正された結果、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品及び役務はすべて削除されたものと認められ、その結果、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と類似しないものとなった。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は解消した。

(4)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「脱出ゲーム」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「脱出」の文字は、「ぬけだすこと。」の意味を有し、「ゲーム」の文字は、「遊戯。」の意味を有する語(ともに「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)であるが、これらを結合した「脱出ゲーム」の文字は、別掲2のとおり、例えば、「制限時間内に防災や減災に関するクイズを解きながら真っ暗な部屋を脱出する『脱出ゲーム』」(別掲2の1(1))、「謎を解いて室内から抜け出す『脱出ゲーム』」(同(2))、「脱出ゲーム 名探偵コナン・・・このアプリはアトラクションの謎を解き、脱出する事が目的のアドベンチャーゲームです。」(別掲2の2(1))、「部屋・店・監獄・密室などから手がかりを見つけて逃げる脱出ゲームです。」(同(3))、「Living Room[脱出ゲーム]・・・リビングルームからヒントを探して謎を解き明かしリビングルームからの脱出を目指すクリック・アドベンチャー](同(4))、「脱出ゲームとは、制限時間内に部屋から脱出する謎解きゲームのことです。」(同(8))のように、様々な分野において、「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」を称する語として使用されているものである。

そうすると、「脱出ゲーム」の文字は、「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」を意味するものとして、容易に理解、認識されるものといえる。

してみれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」を内容とする商品及び役務であること、すなわち商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまるというべきであるから、本願商標は、自他商品・役務の識別標識としては機能し得ないものである。

また、本願商標は、標準文字で表したものである。

したがって、本願商標は、商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ないから、商標法第3条第1項第3項に該当する。

(5)請求人の主張について

ア 請求人は、前記3の証拠調べ通知の内容は、本願の指定商品及び指定役務とは異なる分野における情報であって、誤った取引分野の情報に基づいたものである旨主張する。

しかしながら、前記3においては、「脱出ゲーム」の文字が、本願指定商品及び指定役務を含む様々な分野において、「謎を解いて密室等から脱出するゲーム」を表すものとして広く使用されている実例をあげたものであって、そのような意味合いを認識させる「脱出ゲーム」の文字は、本願指定商品及び指定役務との関係においても、商品の品質又は役務の質(内容)を認識させるにすぎないといわざるを得ないものであり、商品及び役務の分野が異なるという指摘は、妥当なものとはいえない。

イ 2009年に登録査定された登録第5297842号商標は、「脱出ゲーム」の文字からは、特定の内容が看取されずに、様々な意味合いが生じると判断されて登録されたものであり、本願商標についても、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、過去の審査例や審決例に拘束されることなく、査定時、審決時における取引の実情に即して、個別具体的に判断されるべきものであるところ、証拠調べ通知にあげた別掲2の1の新聞記事情報は、2013年9月6日から2018年5月9日付けの情報であって、上記登録商標の設定登録後の実情を示すものであるから、当該登録商標の例を、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは、適切ではない。

したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

(6)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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