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Trademark Appeal Case

地名商標の識別力と誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−9759(T2018−9759/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「Ferrara」の欧文字を標準文字で表してなり、第29類「オリーブ油,食用油脂」及び第30類「トマトソース,調味料,パスタ,穀物の加工品」を指定商品として、平成28年12月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「Ferrara」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字はイタリア共和国の都市「フェラーラ」を理解させ、また、フェラーラの町並みが紹介される、ツアーが組まれるなど、フェラーラが観光地としても認識されている実情がうかがえことから、これを本願の指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「イタリア共和国フェラーラ県産の商品」であることを認識するにとどまるといえる。よって、本願商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

また、本願商標をその指定商品中「イタリア共和国フェラーラ県産の商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審における審尋及び請求人の回答

審判長は、請求人に対し、別掲1及び2に係る証拠を示して、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の審尋を発し、意見を求めたが、請求人からは、何ら応答がなかった。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「Ferrara」の欧文字を標準文字で表してなり、指定商品は、第29類「オリーブ油,食用油脂」及び第30類「トマトソース,調味料,パスタ,穀物の加工品」である。

そして、「フェラーラ(Ferrara)」は、「イタリア北部、ポー川支流ヴォラーノ川に望む都市。ルネサンス期の芸術の一大中心地。同時期の市街とポー川デルタ地帯は世界遺産。フェッラーラ。」であって(広辞苑 第7版)、別掲1のとおり、我が国において観光地として広く紹介されている実情があること、また、別掲2のとおり、小麦の栽培、食品加工(砂糖、製粉、マカロニなど)、トマトの生産などが「Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)」の主要な産業と認められることを併せみれば、「Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)」は、我が国において観光地として広く認識され、また、加工食品などの産地又は販売地と認識させることが少なくないものと判断するのが相当である。

そうすると、「Ferrara」の欧文字を標準文字で表してなる本願商標は、これをその指定商品中「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、該文字をその商品が「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」であるという、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示したものと認識させるにすぎないものというのが相当である。

したがって、本願商標は、その指定商品中「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」について使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第4条第1項第16号該当性について

上記1のとおり、本願商標は、これをその指定商品中「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」について、該商品が「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」であるという、商品の産地及び販売地を表示したものと認識させるものであるから、これをその指定商品中、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあると認められる。

したがって、本願商標は、その指定商品中「イタリア共和国の都市『Ferrara(フェラーラ、フェッラーラ)』で生産又は販売された商品」以外の商品について使用するときは、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 請求人の主張

(1)請求人は、「Ferrara(フェラーラ)」はイタリア共和国における一般的な姓である旨、「Ferrara(フェラーラ)」が同国の都市を意味するとしても我が国で馴染みのある地理的名称ではない旨、「Ferrara」に関する我が国における観光地としての知名度は限定的である旨、及び原審が提示したウェブページには飲食物との関係を示す記述は皆無に等しい旨述べ、本願商標は商品の産地、販売地を表示したものと理解させることはない旨主張する。

しかしながら、我が国において、「Ferrara(フェラーラ)」がイタリア共和国における一般的な姓であると理解、認識されているというに足る証左はなく、また、別掲1のとおり、「Ferrara(フェラーラ)」には世界遺産として登録(1995年登録)されている地域があり、我が国において「Ferrara(フェラーラ)」を観光地として紹介している書籍やウェブサイトが複数あることから、「Ferrara(フェラーラ)」は我が国において観光地として相当程度認識されていると判断するのが相当である。さらに、上記1のとおり、「フェラーラ(Ferrara)」の主要な産業は小麦の栽培、食品加工などであると認められるから、請求人のかかる主張は採用できない。

(2)請求人は、我が国において、日本製粉株式会社が、請求人の許諾の下、「フェラーラ」(「Ferrara」の読みを表記したもの)を商標的に使用して指定商品に係るパスタを販売しており、当該商品のプレスリリースにおいては、「イタリア産パスタブランド 『フェラーラ』パスタを本格展開」と述べていること等から、「フェラーラ」の欧文字表記が「Ferrara」であることは容易に理解されるため、本願商標をパスタ等の商品に使用した場合には、ブランドとして認識されるものである旨主張する。

確かに、我が国において、日本製粉株式会社が、「Ferrara」の欧文字を含む標章を商品「パスタ」について使用していることは認められるものの、当該標章は他の構成要素を含むものであるから、当該標章の使用あるいは当該標章を説明する文の中に「フェラーラ」の文字があるとしても、当該事実により上記判断が左右されるものではない。

(3)請求人は、過去の審決例、登録例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるものであるから、過去に登録された事例の判断に拘束されることはないし、他に上記判断を覆すべき事情は見いだせない。

(4)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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