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Trademark Appeal Case

商品の形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−3277(T2018−3277/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1(1)のとおりの構成からなり,第12類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし,商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書に記載のとおりとして,平成27年11月30日に位置商標として登録出願されたものである。

その後,上記の「商標の詳細な説明」については,原審における平成29年1月4日付け手続補正書により,別掲1(2)のとおりに補正された。

さらに,指定商品については,当審における,平成31年4月8日付け手続補正書により,第12類「独立球形タンクを連続カバーで覆う構造の液化天然ガス輸送船」と補正された。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原裁定は,「本願商標は,『液化天然ガス輸送船』における『船首と船尾の中間に位置する連続カバー部分の立体的形状』(以下『カバー立体』という。)からなるところ,出願人以外の者(社)の取り扱う『液化天然ガス輸送船』に『カバー立体』が採用されている。そうすると,本願商標を,その指定商品に使用した場合,本願商標に接する需要者・取引者は,これを自他商品の出所識別標識と認識するものではなく,『液化天然ガス輸送船』において採用される又は採用され得る『カバー立体』の一類型を表したものと理解するにすぎないので,本願商標は,商品の形状の一部を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標を付した『液化天然ガス輸送船』の取引期間は6年程度で,かつ,『液化天然ガス輸送船』の業界において,『カバー立体』を採用した商品が,出願人以外の者(社)により実際に製造・販売されていることが確認でき,さらに,本願商標を付した『液化天然ガス輸送船』が,『さやえんどう』と称され取引されている事実もあること等から,本願商標が,取引者,需要者をして,出願人の業務に係る商品であると認識することができるものとは直ちにはいい難いと判断するのが相当である。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,平成31年2月20日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

請求人は,上記第1のとおり,本願商標の指定商品を補正するとともに,以下のとおり意見を述べた。

1 技術に係る特許公報等が公開されているからといって,その中のある図面の形状が,機能性向上の観点から,必ず採択されるものではない。

よって,特許公報等の図面にある形状が本願商標の識別力に影響を与えるものではない。

2 請求人は,国内において本願商標の立体的形状に係る位置商標のシェア100%を維持し,今後の引き渡しを含めても100%を継続することとなっている。

そして,本願に係る形状は,内部の球形タンクの外部を覆う連続したカバーであることから,「さやえんどう」の愛称も用いられるに至っており,同形状が「普通に用いられる方法で表示する」標章でなく,当然に識別力を有する極めて特徴的なオリジナルの立体的形状と認められるものである。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は,別掲1(2)のとおり,「商標の詳細な説明」において,「液化天然ガス輸送船における船首と船尾の中間に位置する連続カバー部分の立体的形状からなる。」とされているところ,別掲1(1)のとおり,本願商標に係る標章を構成する立体的形状は,2つの長辺に凹部を有する略32面体からなる立体形状(以下「本願立体形状」という。)であって,本願立体形状が付されている位置は,船の船首と船尾の中間部の甲板上である。

(2)位置商標における商品等の形状

商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。

そうすると,商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されると認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。

また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。

けだし,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないからである。

さらに,需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても,当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば,同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。

けだし,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである(知財高裁平成19年(行ケ)第10405号,平成20年6月24日判決参照)。

(3)上記の観点から,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かを判断する。

ア 請求人を権利者及び出願人とする特許公報及び公開特許公報

請求人を権利者等とする特許公報及び公開特許公報の【図】において,本願立体形状と同一又は近似した形状が,「タンクカバー」として掲載されており,当該公報の明細書には「風圧抵抗を低減させることができるという効果」,「横風による運搬船の横揺れ(振動)を抑え,操船性の向上を図ることができる。また,横揺れの発生を抑制できるため,燃費向上も図ることができる。・・・構成簡略化に伴うタンクカバーの製造コスト削減や,タンクカバーの重量軽減を図ることもできる。」等の「発明の効果」及び「課題を解決させるための手段」の記載がある(別掲2(1)ア)。

イ 請求人の「Press Information」

平成30年4月13日付けの手続補正書において,請求人が提出した第1号証には「Press Information 2011年7月12日発行 第5093号 次世代型LNG船『さやえんどう“EXTREM”』の開発を完了 球形タンクを船体一体式カバーで覆い軽量・コンパクト・高性能化を実現」の見出しの下,「連続カバーは,推進上抵抗となる風圧を大幅に軽減し,実運航上の燃費低減にも寄与する。さらには,支持構造物や艤装品の露出を少なくできること,氷による衝撃荷重に強い船体にしやすくなることなどから,寒冷地・氷海領域向けとしても適している。」の記載がある。

ウ 他人を出願人とする公開特許公報等

他人を出願人とする公開特許公報等の【図】において,船の甲板上の位置に貨物を積載する構造物(以下「構造物」という。)が図示されており,明細書には,「発生する渦流を抑制することができるので,より横風に対する風圧抵抗を低減できる。」,「船舶の重量を減らし,長手強度を最適化する方法及び装置。」等の「発明の効果」の記載がある(別掲2(1)イ)。

エ 他社の製造に係る液化天然ガス輸送船について

本件商標の指定商品を含む液化天然ガス輸送船において,船の船首と船尾の中間部の甲板上の位置に,構造物が配置されている(別掲2(2))。

オ 小括

上記アの請求人を権利者とする特許公報及び公開特許公報における,タンクカバーの形状は,本願立体形状とその形状が近似するものであり,その付される位置も,船の船首と船尾の中間部の甲板上であるから,本願商標と同一性を損なわないものといえる。

また,上記イに係る請求人の「Press Information」には,本願立体形状が付された船は,風圧の軽減,燃費低減,構造物や艤装品の露出を少なくできる,衝撃荷重に強い船体にしやすくなる等の特徴を有するとの記載があり,これらは上記アに係る請求人の特許公報等における,「課題を解決させるための手段」及び「発明の効果」に該当するものである。

そして,上記ウ及びエのとおり,本願の指定商品が含まれる液化天然ガス輸送船においては,タンクカバー等の形状が機能性向上等の観点から選択されている例及び船の船首と船尾の中間部の甲板上の位置に構造物が配置されている実情がある。

そうすると,上記アに係る「タンクカバー」の形状と同一性を損なわない形状の本願立体形状は,商品の形状の一類型を表したものであり,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されたものといえるから,客観的に見て,そのような目的のために採用されると認められる形状は,特段の事情のない限り,普通に用いられる商品等の形状である。

また,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として選択されたものというのが相当である。

そして,本願立体形状が付される位置は,本願の指定商品を含む「液化天然ガス輸送船」において,構造物が設置される場所として,一般的に採用され得る船の甲板上である。

したがって,本願商標は,その指定商品を含む「液化天然ガス輸送船」との関係においては,これに接する取引者,需要者にはその構成全体として商品等の機能の向上及び美感に資することを目的とする形状及びそれが一般的に付される位置を表したものと認識するにとどまり,自他商標の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であるから,商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて

請求人は,「指定商品の形状そのものの範囲を超えて特定人の出所を表示するものと認識されるに至っている場合には,自他商品の識別力が認められるものと解釈するのが妥当である。」旨主張し,第1号証ないし第40号証を提出しているところ,以下,当該第1号証ないし第40号証を甲第1号証ないし甲第40号証と読み替えるものとする。

なお,請求人は,原審においても,第1号証ないし第38号証を提出しているところ,第13号証以外は,当審で提出した書証と同じものであり,本審決では,当審において提出した,上記甲第1号証ないし甲第40号証を採用し,原審で提出した,第13号証については甲第41号証とする。

そして,上記主張は,本願商標が使用による識別性を有するに至っている(商標法第3条第2項)旨の趣旨と解されるから,請求人が提出した証拠及び同人の主張の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

(1)請求人の製造に係る液化天然ガス輸送船について

ア 請求人の製造に係る「さやえんどう(型)」及び「さやえんどうエクストリーム」の名称の液化天然ガス輸送船(以下,これらをまとめて「使用商品」という。)は2011年(平成23年)10月に建造が発表され,最初の2隻が受注された。

その後,2014年(平成26年)9月に最初の1隻が引き渡された(甲2,甲4,甲13,甲41)。

イ 使用商品は2014年(平成26年)9月より2016年(平成28年)10月までに,合計6隻引き渡され,2018年(平成30年)3月18日現在,同年には2隻の引き渡し予定があり,その他受注済みの船が8隻ある(甲13,甲41)。

(2)広告について

請求人は,使用商品の仕様,性能に関する記事を2011年(平成23年)7月より2014年(平成26年)5月までに,請求人の「Press Information」として,7回公表しており,その全てには本願立体形状を付した船の図が表示されている(甲1〜甲7)。

(3)新聞,雑誌における掲載について

ア 新聞における掲載

使用商品は,熊本日日新聞(2011年(平成23年)7月13日:甲16),日刊工業新聞(2011年(平成23年)7月13日:甲17),化学工業日報(2011年(平成23年)7月13日:甲18),西日本新聞(2011年(平成23年)7月23日:甲19),日経産業新聞(2011年(平成23年)7月25日:甲20,同年8月29日:甲21,同年12月1日:甲22,2012年(平成24年)10月11日:甲24,同年12月12日:甲25,2013年(平成25年)1月4日:甲26,同年4月2日:甲30,2014年(平成26年)9月8日:甲32),ガスエネルギー新聞(2012年(平成24年)6月27日:甲23),電気新聞(2013年(平成25年)6月5日:甲31),長崎新聞(2015年(平成27年)6月18日:甲35),朝日新聞(2016年(平成28年)9月4日:甲38)において掲載されている。

イ 雑誌における掲載

使用商品は,NIKKEI BUSINESS(2013年(平成25年)1月28日:甲27),日経ヴェリタス(2013年(平成25年)2月10日:甲28),Automotive Technology(2013年(平成25年)5月:甲29)において掲載されている。

ウ 上記ア及びイの使用商品に係る記事中に,本願立体形状を付した船の図の掲載が確認できるものは7回であり,確認できないものは12回である。

エ そして,これらの記事のほとんどには「燃費を約30%改善した」,「風圧抵抗を軽減した。」等の船の性能に関する記載がある。

(4)使用商品の受賞歴について

使用商品は,「日経優秀製品・サービス賞2012『日経産業新聞賞 優秀賞』」及び「公益社団法人 日本船舶海洋工学会『シップ・オブ・ザ・イヤー2014』」を受賞した(甲14,甲15)。

当該受賞に係るウェブサイトの記事には,本願立体形状を付した船の図とともに,「燃費を25%程度改善」,「風圧力の大幅な軽減効果」等,船の性能に関する記載がある。

(5)使用による自他商品識別力について

ア 上記(1)ないし(4)の事実によれば,請求人は,使用商品を2011年(平成23年)に発表し,実際に使用商品が納品されたのは2014年(平成26年)からであり,2016年(平成28年)までに合計6隻が引き渡されている。

また,2018年(平成30年)までにさらに2隻引き渡す予定であることから,使用商品は年に2隻程度建造されていることが認められる。

そして,使用商品は,液化天然ガス輸送船であり,その需要者は,液化天然ガスを輸送する海運業者に限られるものと推認できる。

しかしながら,本願商標の使用期間は,8年程度であって,殊更長いということはできず,使用商品の使用地域を示す証拠の提出もない。

イ 請求人の「Press Information」において,本願立体形状を確認できる使用商品の記事は,平成23年から平成26年までの4年間で7回にすぎず,多いとはいえない。

また,使用商品が掲載されている,新聞・雑誌記事及び使用商品の受賞に係るウェブサイト記事は,平成23年より平成28年の6年間で21回ほどであり,そのうち,本願立体形状が掲載されている記事は9回のみであるからこれらの記事の回数も多いものとはいえない。

さらに,ほとんどの記事には,使用商品の性能に関する記載がある。

ウ 上記ア及びイより,使用商品の製造数は,ある程度あるとしても,本願商標の使用期間は,8年程度と長いものではなく,その使用地域は不明である。

また,請求人の使用商品,特に本願立体形状が掲載されている請求人の「Press Information」及び新聞・雑誌並びにウェブサイト記事も多くはないから,本願立体形状が広く認識されているとはいえない。

そして,上記の「Press Information」及び新聞・雑誌並びにウェブサイト記事のほとんどに商品の性能に関する記載があることからすると,本願立体形状は,これに接する需要者において,商品の性能を発揮するための形状であると認識しても,自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。

以上よりすると,本願商標は,本願立体形状が有する性能(機能)から独立して,自他商品識別力を有しているものとは認められず,また,本願立体形状が付される位置によっても商品の出所を表示したものと認められない。

エ したがって,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項の要件を具備しない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,「技術に係る特許公報等が公開されているからといって,その中のある図面の形状が,機能性向上の観点から,必ず採択されるものではなく,特許公報等の図面にある形状が本願商標の識別力に影響を与えるものではない。」旨を主張している。

しかしながら,上記1(2)のとおり,「商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり」,また,商品の形状における効果が特許公報等に記載されているということは,当該形状が機能性から採用されたものであることを示すことに他ならない。

そうすると,特許公報等の図面に表示されるような形状は,実際に商品として採択したか否かにかかわらず,商品の形状を普通に用いられる方法で表示されたものというべきである。

(2)請求人は,指定商品を「独立球形タンクを連続カバーで覆う構造の液化天然ガス輸送船」と補正した上で,「国内において他社は本願商標の立体的形状に係る位置商標の引渡し実積はなく,請求人がシェア100%である。そして,取引者において,本願に係る形状は,『さやえんどう』の愛称も用いられるに至っており,同形状が『普通に用いられる方法で表示する』標章でなく,当然に識別力を有する極めて特徴的なオリジナルの立体的形状と認められるものである。」旨を主張している。

しかしながら,本願立体形状が,同種の商品等に見られない独特の形状であって,需要者において予測し得ないような形状であり,請求人のみが「独立球形タンクの連続カバー」を製造しているとしても,本願立体形状は,上記1(3)のとおり,専ら商品等の機能向上及び美感の観点から選択された商品の形状であるというのが相当であるから,これに接する需要者は,液化天然ガス輸送船の甲板上の位置にある構造物の形状として,通常使用される立体的形状を表したものと認識するにとどまり,その立体的形状について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

また,本願商標の指定商品を「独立球形タンクを連続カバーで覆う構造の液化天然ガス輸送船」に補正したとしても,その需要者の購入の対象は,本願の指定商品のような限定的な商品のみではなく,「液化天然ガス輸送船」全体であると認められるから,本願の指定商品に係る市場の対象は,少なくとも「液化天然ガス輸送船」全体とすべきである。

そして,液化天然ガス輸送船は請求人以外の者が建造していることが認められるから(甲39,甲40,別掲2),請求人の液化天然ガス輸送船の市場シェアが100%であるということはできない。

また,本願立体形状に「さやえんどう」の愛称があるとしても,上記2(5)のとおり,使用商品に接する取引者,需要者は,本願立体形状からその性能を認識し,本願立体形状が,商品の出所を表示したものと認識しているとは認められない。

(3)したがって,上記請求人の主張はいずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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