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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力と普通使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−3020(T2018−3020/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1(1)のとおりの構成からなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲1(2)のとおりに記載して、第18類、第25類及び第28類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年12月25日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

そして、本願の指定商品については、当審における平成30年3月2日付けの手続補正書により、第28類「卓球台」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品や商品の包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人により提出された証拠からは、本願商標がその指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。

3 当審における審尋

当審において、請求人に対し、平成31年4月23日付けで、別掲2及び3に係る証拠を新たに示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の審尋を発し、相当の期間を指定して、請求人に回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見

請求人は、前記3の審尋に対して、要旨以下のとおり意見を述べた。

本願商標は、請求人の真摯な長い期間の創意工夫、開発努力により開発・創作された「レジュブルー」という新規、異質色彩で、独特、斬新な色彩であり、文字や図形等と組み合わせるなどの具体的な形態を伴う必要ない程に、この色彩自体でもって本来十分に自他商品の識別力を有するものであり、また、本願商標の卓球台は請求人に係る商品であることが日本国内は勿論、全世界のユーザー、取引業者等の間に知れ渡っており、十分に需要者の認知度を獲得しているものであるから、登録されるものである。

5 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、前記1のとおり、色彩のみからなる商標であって、その色彩は、青緑色(RGBの組合せ:R34・G139・B157、CMYK:C78%・M11%・Y0%・K38%、近似色となるPANTONE:7712U)のみからなるもの(以下「本願青緑色」という。)であり、その指定商品を第28類「卓球台」とするものである。

(2)商標法第3条第1項第3号該当性について

色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品である「卓球台」を取り扱う業界においても、別掲2のとおり、卓球台の天板に青緑色並びにそれと比較的近い印象を与える色彩が用いられている事実が認められる。

さらに、別掲3のとおり、日本において開催されているいくつかの卓球の競技大会において、卓球台の色に関してグリーンもしくはブルーを使用することを競技ルール等で定めている事実があることからしても、指定商品「卓球台」との関係において、緑色や青色がその商品の色彩として通常使用されるものであるとみることができ、それら色彩に近似する色彩からなる本願商標(本願青緑色)もまた、商品の装飾として十分に使用され得る色彩というのが相当であって、その指定商品「卓球台」を取り扱う業界の取引に際して、何人もその使用を欲する色彩であるといえる。

以上から、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、本願青緑色をその商品又は商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

そうすると、本願商標は、商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(3)本願商標の商標法第3条第2項該当性について

請求人は、「本願の色彩商標は世界卓球競技試合の舞台やオリンピックという最高の舞台にて夫々一気に劇的に集中使用された結果、各種メディア等を通して、日本国内は勿論、世界的に取引者及び需要者の間に広く認識されるに至ったものであることから、商標法第3条第2項の使用による識別性を具備している」旨主張し、証拠方法として資料1ないし31を提出している。なお、以下、当該資料1ないし31は、それぞれ、甲第1号証ないし甲第31号証と読み替え、甲1のように表記する。

そこで、本願商標が、使用をされた結果、需要者又は取引者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているか否かについて、以下検討する。

ア 事実認定

(ア)請求人は、その取扱いに係る卓球台を「レジュブルー卓球台」と称し(甲2)、その卓球台の天板に本願青緑色と同じ色彩と認識され得る青緑色(以下、これも含めて単に「本願青緑色」という。)を使用している(以下、本願青緑色を天板に使用した卓球台を「本件商品」という。)。また、請求人は、平成27年3月に卓球台の商品カタログ「2015 TABLE TENNIS TABLE COLLECTION」を発行し、当該カタログに本件商品が掲載されている(甲1)。そして、本件商品を掲載した各種カタログは、請求人のウェブサイトでも公開している(甲1〜4)。加えて、請求人のウェブサイトに掲載されている「月刊誌卓球王国」において、本件商品が紹介されている(甲21)。

そして、それら本件商品の側面には、そのほとんどに「SAN−EI」のロゴが記載されている(甲1〜4、21)。

(イ)請求人は、自身のウェブサイトの「三英(SAN−EI)ニュース」において、2015年(平成27年)5月1日から2017年(平成29年)2月13日までの間、本件商品に関連する情報を掲載した(甲5〜18)。

(ウ)本件商品を紹介したテレビ番組、または、本件商品を番組内で使用したテレビ番組が2015年(平成27年)10月から2017年(平成29年)3月の間、複数回にわたり放映された(甲19、20)。

(エ)本件商品を紹介する記事が、「NHK WORLD」「産経フォトニュース」「中日新聞」「グッドデザイン賞」等のウェブサイトにおいて掲載された(甲22〜31)。

イ 判断

(ア)請求人は、平成27年3月から、本件商品の販売を開始した。そして、請求人が提出した商品カタログ等に本件商品が掲載され、請求人のウェブサイトでも本件商品が紹介されていたことがうかがえる。

(イ)請求人は、自身のウェブサイトの「三英(SAN−EI)ニュース」において、本件商品に関連する情報を1年9ヶ月の間に複数回にわたり掲載を行ったことがうかがえる。

(ウ)また、本件商品を紹介したテレビ番組、または、本件商品を番組内で使用したテレビ番組が少なくとも1年半の間、複数回にわたり放映され、さらに、本件商品を紹介する記事が「NHK WORLD」「産経フォトニュース」「中日新聞」「グッドデザイン賞」等のウェブサイトにおいて掲載されたことはうかがえる。

(エ)しかしながら、その他本件商品の周知性を示すような、生産数、販売数等、使用地域、広告宣伝費及び市場シェアについては、これを証明するような証拠の提出は確認できない。

また、その他、本願商標が、その使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることができる証左を発見することはできない。

(オ)しかも、上記(1)のとおり、本願商標は、本願青緑色の色彩のみからなる商標であって、上記(2)のとおり、これを本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品又は商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩(商品の特徴)を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識するとはいい難いものである。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界においても、当審における審尋において示したとおり(別掲2)、卓球台の天板に青緑色並びにそれと比較的近い印象を与える色彩を採用することは、請求人以外の多数の事業者により広く一般に行われていることからすると、需要者が請求人に係る本件商品と請求人以外の者が使用する商品とを、それら商品の色彩の違いを見極め、その色彩によって各商品を識別することは困難であるといえる。

(カ)また、請求人が提出した商品カタログによれば、卓球台の天板に装飾された色彩は、本件商品の他に2種類の色彩(青色の印象を与える色彩)の商品が展開されており、少なくとも合計3種類の色彩の商品が取り扱われていると見受けられるところ、これらの商品に接する取引者、需要者は、本願青緑色を単に卓球台の天板に装飾された色彩のバリエーションの一つと認識するとみるのが相当である。

(キ)そうすると、仮に請求人が主張するように卓球台の天板に、短期間の間に集中的に、本願青緑色が使用されているとしても、本願青緑色が単独で、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったとまではいえないものである。

(ク)さらに、本願青緑色は、そのほとんどが卓球台の側面の「SAN−EI」のロゴの記載と共に使用されていることから、本件商品に接する取引者、需要者は、自然と商品に表示された「SAN−EI」のロゴに注目するものといえる。

(ケ)したがって、本願青緑色の色彩は、単に商品の装飾の一類型として認識するというのが相当であって、本願商標を構成する本願青緑色の色彩のみをもって、需要者が、特定の者(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

(4)請求人の主張について

請求人は、証拠資料中には本願の色彩商標のほかに「SAN−EI」の文字を含むものもあるが、本願商標は顕著に表わされているため需要者の目につき易く、強い印象を与えるものであることから、「SAN−EI」とは分離して看取され、本願商標部分のみが独立して強い識別力を有するに至っているものである。また、本願商標の色彩は請求人によって「レジュブルー」と名付けられた独特で斬新な創作色彩であり、本願の指定商品に係る取引の実際において、卓球台の分野において未だかつて全く使用されたことがなく、請求人による使用が初めてのものであるとともに、本願商標を付した卓球台が、日本は勿論、各国のメディアを通じて一気に世界的な公知となり、その結果、使用による識別性を取得するに至ったものである旨を主張している。

しかしながら、本願商標の色彩(本願青緑色)は、上記(2)のとおり、商品の装飾として十分に使用され得る色彩というのが相当であるから、その色彩は独特で斬新な創作色彩とまではいうことができない。そして、提出された証拠によれば、本件商品には、そのほとんどで「SAN−EI」のロゴの記載と共に、卓球台の上部の天板に青緑色の色彩が商品の装飾として使用されているにすぎず、その色彩のみが単独で強い印象を与え、出所識別標識として認識されるとはいい難い。また、本願の指定商品「卓球台」の需要者は卓球競技者のみならず一般の卓球愛好者にも広く取り扱われる商品であることからすると、これに接する一般の需要者をして、本願青緑色の色彩を頼りに商品を選択するということが、一般的であるということもできない上、通常、「SAN−EI」のロゴが出所識別標識として着目されるものであって、本願青緑色の色彩が上記ロゴとは別に独立した出所識別標識として強い印象を与えるものとはいい難いものであり、その色彩が日本は勿論、各国のメディアを通じて一気に世界的な公知となったとまではいえない。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

(5)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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