結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2018−900077(T2018−900077/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第6008615号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年5月9日に登録出願、第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),高齢者用入所施設及び老人養護・介護施設における飲食物の提供」及び第44類「高齢者・老人の養護・介護のための施設の提供,高齢者・老人の養護・介護に関する助言及び情報の提供並びに相談,高齢者・老人の養護・介護施設に関する情報の提供,高齢者・老人の養護・介護のための施設における栄養の指導」を指定役務として、同年12月18日に登録査定、同30年1月5日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
引用商標1及び引用商標2は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
本件商標は、申立人の著名な商標と類似の商標を、不正の目的を以って使用する意図の下に出願し登録されたものである。
当審において、本件商標権者に対して、「本件商標と以下の登録商標とは、類似する商標であって、かつ、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務を含むものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の取消理由を平成30年9月11日付けで通知した。
審判長は、上記第4の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、本件商標権者は、何ら意見を述べていない。
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、輪郭のように配された雲状の図形の中に「Grand Stage」、「Shangri−La」及び「グランステージ シャングリラ」の文字及び筆記体の「G」と「S」らしき文字のモノグラム、内向きの矢印を有する直線を表してなるところ、その構成中、「Shangri−La」の文字部分は他の文字部分に比べ、目立つように大きく表されていることからすれば、視覚的に分離して看取されるものであり、また、本件商標全体を常に一体のものと把握しなければならない特段の事情も見いだせないことからすれば、「Shangri−La」の文字部分は独立して自他役務の識別機能を果たし得るものというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成中「Shangri−La」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものであるから、該文字に相応して、「シャングリラ」の称呼を生じ、また、「理想郷、楽園」(広辞苑第7版(株)岩波書店、以下省略。)の観念を生じるものである(以下「Shangri−La」の文字部分を「本件商標の要部」という。)。
(2)引用商標3
引用商標3は、別掲2のとおり、「Shangri−La」の文字よりなり、該文字に相応して、「シャングリラ」の称呼を生じ、また、「理想郷、楽園」の観念を生じるものである。
(3)引用商標1
引用商標1は、「SHANGRI−LA」の文字よりなり、該文字に相応して、「シャングリラ」の称呼を生じ、また、「理想郷、楽園」の観念を生じるものである。
(4)本件商標の要部と引用商標3及び引用商標1との類否
本件商標の要部と引用商標3及び引用商標1とを比較すると、外観においては、本件商標の要部と引用商標3及び引用商標1とは、そのつづりを共通にするものであるから、両者は、外観上、近似した印象を与えるものである。
次に、称呼については、両者は、「シャングリラ」の称呼を共通にするものである。
そして、観念については、両者は、「理想郷、楽園」の観念を共通にするものである。
してみれば、本件商標の要部と引用商標3及び引用商標1とは、外観において、近似した印象を与えるものであり、「シャングリラ」の称呼、「理想郷、楽園」の観念を共通にするものであるから、これらを総合的に考察すれば、本件商標と引用商標3及び引用商標1とは、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
(5)本件商標と引用商標3及び引用商標1の指定役務の類否について
本件商標に係る指定役務中、第43類「高齢者用入所施設及び老人養護・介護施設における飲食物の提供」と引用商標3に係る指定役務である第42類「フランス料理を主とする飲食物の提供」とは、共に飲食物を提供する役務であって、役務の提供の用途、目的、需要者、業種等を共通にするものであるから、同一又は類似の役務である。
また、本件商標に係る指定役務中、第44類「高齢者・老人の養護・介護のための施設における栄養の指導」と引用商標1に係る指定役務中、第44類「栄養の指導,体重の調整の指導,健康管理に関する助言と情報の提供」とは、共に栄養の指導に関する役務であって、役務の用途、目的、需要者、業種等を共通にするものであるから、同一又は類似の役務である。
(6)まとめ
以上によれば、本件商標は、引用商標3及び引用商標1と類似する商標であって、かつ、本件商標の指定役務は、引用商標3及び引用商標1の指定役務と同一又は類似の役務を含むものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)引用商標1及び引用商標2の周知・著名性について
ア 申立人が提出した甲各号証及び主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、「シャングリラ ホテル」、「シャングリ・ラ リゾート」、「トレーダースホテル」、「ケリーホテル」及び「ホテル ジェン」など、83以上のホテルを世界中に展開するシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツのグループが展開する会社のうちの一つである。
(イ)申立人は、1982年に設立された会社で、1984年にシャングリ・ラ ホテル シンガポールの運営をウエスタン インターナショナル ホテルズから引き継ぎ、1984年に中国(杭州)、1986年にタイ(バンコク)、1992年にフィリピン(マニラ)、1994年にインドネシア(ジャカルタ)、2003年にオーストラリア(シドニー)、中東(ドバイ)、2005年にインド(ニューデリー)、2009年に北米(バンクーバー)、日本(東京)、2010年にヨーロッパ(パリ)に「シャングリ・ラ ホテル」をオープンした(甲5の2)。
イ 判断
1982年に申立人は、現在の申立人の会社を設立、その後、申立人が、1984年にシャングリ・ラ ホテル シンガポールの運営をウエスタン インターナショナル ホテルズから引き継ぎ、中国(杭州)、タイ(バンコク)、フィリピン(マニラ)、インドネシア(ジャカルタ)、オーストラリア(シドニー)、中東(ドバイ)、インド(ニューデリー)、北米(バンクーバー)、日本(東京)、ヨーロッパ(パリ)に「シャングリ・ラ ホテル」を展開している。
しかしながら、申立人は、申立人の会社を設立した1982年頃からホテルの名称として引用商標1を使用していることが推認されるとしても、申立人の業務に係る我が国及び各国における売上高、市場シェア、利用人数等が不明であって、提出された証拠をもって、引用商標1及び引用商標2の周知性の程度を推し量ることができない。
その他、引用商標1及び引用商標2が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、周知性を獲得していたと認めるに足りる証拠も見いだすことはできない。
したがって、引用商標1及び引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり構成からなるところ、上記(1)のとおり本件商標の要部は「Shangri−La」の文字からなり、該文字に相応して、「シャングリラ」の称呼を生じ、また、「理想郷、楽園」の観念を生じるものである。
イ 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は、それぞれ、「SHANGRI−LA」、「シャングリラ」の文字よりなり、該文字に相応して、「シャングリラ」の称呼を生じ、また、「理想郷、楽園」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2との比較
本件商標の要部と引用商標1及び引用商標2を比較すると、外観においては、本件商標の要部と引用商標1とは、そのつづりを共通にするものであるから、両者は、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、本件商標の要部と引用商標2を比較すると、外観においては、文字種が異なることから両者は、外観上、区別し得るものである。
次に、称呼については、両者は、「シャングリラ」の称呼を共通にするものである。
そして、観念については、両者は、「理想郷、楽園」の観念を共通にするものである。
エ 小括
してみれば、本件商標の要部と引用商標1及び引用商標2とは、「シャングリラ」の称呼、「理想郷、楽園」の観念を共通にするものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、一定程度の類似性を有するものといえる。
(3)引用商標1及び引用商標2の独創性について
引用商標1及び引用商標2を構成する「SHANGRI−LA」及び「シャングリラ」の文字は、「理想郷、楽園」を意味するものとして辞書に掲載されている成語であって、我が国においては一般に知られている成語であることからすれば、申立人による創造商標とはいえないものであるから、引用商標1及び引用商標2は独創性が高いとはいえない。
(4)本件商標の指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定役務の関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定役務は、第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)、高齢者入所施設及び老人養護・介護施設における飲食物の提供」及び第44類「高齢者・老人の養護・介護のための施設の提供,高齢者・老人の養護・介護に関する助言及び情報の提供並びに相談,高齢者・老人の養護・介護施設に関する情報の提供,高齢者・老人の養護・介護のための施設における栄養の指導」であり、主に高齢者用入所施設の提供、飲食物の提供、高齢者・老人の養護・介護のための施設の提供、高齢者・老人の養護・介護のための施設における栄養の指導等である。
これに対して、引用商標1の指定役務は、「栄養の指導,体重の調整の指導,健康管理に関する助言と情報の提供」等の役務であり、主に栄養の指導、健康管理に関する助言と情報の提供等に関する役務であることから、本件商標の第44類の指定役務の一部について、役務の目的、業種等を共通するものであり、また、需要者の範囲も一致する。
一方、引用商標2の指定役務は、「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,美容,理容,入浴施設の提供,ベビーシッター,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,宴会のための施設の提供,多目的に利用される集会場の提供,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,あん摩・マッサージ及び指圧,健康診断,展示施設の貸与,デザインの考案,衣服の貸与」であって、本件商標の指定役務とは、役務の提供が同一事業者によって行われているとか、役務の用途、役務の提供場所が共通するといった事情は見いだせないことから、直ちにこれらの役務間に関連性があるということはできず、また、需要者の範囲も一致するとはいえない。
(5)出所の混同のおそれについて
上記(2)ないし(4)のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、一定の類似性を有するものであって、また、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務については、その指定役務の一部について、役務の目的や業種が共通し、需要者の範囲も一致する役務を含ものであるとしても、本件商標の指定役務と引用商標2の指定役務については、直ちにこれらの役務間に関連性があるとはいえず、需要者の範囲も一致するとはいえない。
さらに、引用商標は1及び引用商標2は、独創性が高いといえるものではなく、また、その登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る役務を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものである。
以上のことを総合勘案すれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標1及び引用商標2を連想、想起する蓋然性は低く、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
上記2(1)のとおり、申立て理由に係る引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否に言及するまでもなく、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、第43類「高齢者用入所施設及び老人養護・介護施設における飲食物の提供」及び第44類「高齢者・老人の養護・介護のための施設における栄養の指導」について、商標法第4条第1項第11号に該当し、上記役務について、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務については、その登録を取り消す理由がないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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