Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2018−900219(T2018−900219/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6049898号商標(以下「本件商標」という。)は、「爽快ゼロ」の文字を標準文字で表してなり、平成29年8月25日に登録出願、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,ビール風味のアルコール分を1%未満含有してなる清涼飲料,アルコール分を含まないビール風味の清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として、同30年4月20日に登録査定、同年6月8日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、(1)、(2)及び(4)ないし(6)に記載の登録商標は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2550798号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:爽快(縦書き)
登録出願日:昭和56年3月24日
設定登録日:平成5年6月30日
指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
(2)登録第4354605号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:爽快(標準文字)
登録出願日:平成10年12月4日
設定登録日:平成12年1月28日
指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
(3)登録第5598476号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:爽快
登録出願日:平成25年2月26日
設定登録日:平成25年7月12日
登録の抹消:平成30年7月12日(分割(後期分)登録料不納)
指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」
なお、引用商標3は、上記のとおり、その登録の抹消が平成30年7月12日にされているものではあるが、商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断時期である本件商標の査定時(平成30年4月20日)においては、有効に存続していたものである。
(4)登録第5871641号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:平成28年2月8日
設定登録日:平成28年8月5日
指定商品 :第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」
(5)登録第5889840号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:爽快
登録出願日:平成28年4月5日
設定登録日:平成28年10月21日
指定商品 :第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」
(6)登録第6044383号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成29年4月7日
設定登録日:平成30年5月18日
指定商品 :第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」
なお、上記、引用商標1ないし引用商標6をまとめて「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」(以下「申立商品」という場合がある。)について、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「爽快」と「ゼロ」の2語を結合したものと解されるところ、全体として既成語ではなく確立した意味合いも見いだせず、また外観上も、文字種の異なる漢字と片仮名の組み合わせによるものであって、常に一体にみなければならない格別の事情は存しない。
そして、本件商標の構成中、「ゼロ」の文字部分は、指定商品との関係においては、商品が「不要なもの・健康に良くないとされている成分が含まれていないもの」であることを表す品質表示にすぎず、自他商品識別力は極めて弱いものといわざるを得ないものであり、本件商標は、その構成中、「爽快」の部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える商標の要部といえることは明白である。
してみれば、本件商標は、商標の要部である「爽快」の文字部分より、「ソウカイ(爽快)」の称呼及び観念を生じる。
(2)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、いずれも「爽快」の文字よりなるか、「爽快」の文字が他の部分から独立して顕著に表された構成よりなるから、当該文字に相応して、「ソウカイ(爽快)」の称呼及び観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、引用商標と「ソウカイ(爽快)」の称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、その指定商品中、「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」は、引用商標の指定商品と類似する商品である。
(4)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 本件商標に対する取消理由
審判長は、令和元年7月18日付け取消理由通知書をもって、本件商標権者に対し、別掲3に示す事実を挙げた上で、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記4の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「爽快ゼロ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「爽快」の文字は「さわやかで気持がよいこと。」を、「ゼロ」の文字は「(数・量・価値などが)全く無いこと。皆無。」の意味合いを有する語(いずれも「株式会社岩波書店 広辞苑第六版」)であるが、これら2語からなる本件商標は、その全体として、特定の意味合いを有しないものである。
そして、職権調査によれば、本件商標の登録出願前から、本件商標の指定商品中、「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」に係る分野において、別掲3のとおり、健康志向の高まりから、糖質やプリン体などを含まない商品が製造、販売されており、当該物質を含まないことを表す語として「ゼロ」の文字が、「糖質ゼロ」、「プリン体ゼロ」のように使用され、このような商品をゼロ系と称している事実がある。また、インターネットのウェブサイトには、申立商品の分野において「『ゼロ』の機能をもつ、代表的なゼロ系発泡酒」(甲10)、「ゼロを売りにする『ゼロ系ビール』が多くのメーカーから出ています。」(甲11)といった記載があり、さらに、糖質やプリン体等を含まない商品について「このゼロ、本格。」、「ゼロで、もっとおいしく。」のように宣伝広告がされている実情がある(甲12〜甲20)。
そうすると、本件商標の構成中、「ゼロ」の文字部分は、本件商標の登録査定時には、申立商品を取り扱う分野において、「(糖質やプリン体などを)含まない」ほどの意味合いをもって一般に使用されており、取引者、需要者に商品の品質を表示したものと認識されるものであるから、自他商品の識別機能を有しないか、又は極めて弱いものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中、「ゼロ」の文字部分が上記のとおり、申立商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は極めて弱いものであり、一方、「爽快」の文字部分は、自他商品の識別標識機能を有し、「ゼロ」の文字に比べて強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、当該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。
したがって、本件商標は、その要部である「爽快」の文字部分に相応した「ソウカイ」の称呼及び「さわやかで気持がよいこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり「爽快」の文字のみからなる(引用1〜引用3、引用5)又は「爽快」の文字が他の部分から独立して顕著に表された別掲1及び別掲2のとおりの構成からなる(引用4、引用6)ところ、いずれも「爽快」の文字に相応して「ソウカイ」の称呼及び「さわやかで気持がよいこと。」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標は、上記アのとおり、その構成中の「爽快」の文字をもって、引用商標と比較をし、商標そのものの類否を判断することが許されるものであるところ、該文字と引用商標とは、「爽快」の文字を共通にし、称呼及び観念を同じくするものであるから、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品中、「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」と引用商標1及び引用商標2の指定商品中の「洋酒,果実酒」、引用商標3の指定商品中の「洋酒,果実酒,酎ハイ」、引用商標4ないし引用商標6の指定商品中の「洋酒,果実酒,酎ハイ,アルコール飲料(ビールを除く。)」とは、販売部門、用途、需要者の範囲等を共通にする類似の商品である。
オ 小括
以上によれば、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の申立に係る商品は、引用商標の指定商品と類似する商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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