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Trademark Appeal Case

称呼の類否と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−15652(T2018−15652/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類「眼鏡,眼鏡フレーム,眼鏡フレーム用蝶番」を指定商品として,平成29年7月5日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5533619号商標(以下「引用商標」という。)は,「ALLURE」の文字と「アリュール」の文字を上下2段に横書きしてなり,平成24年6月4日に登録出願,第9類「眼鏡,コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」を指定商品として,同年11月2日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年9月13日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

フランス語は,日本においては未だ英語に比して普及度が低く,また,本願商標は,その構成中の「allure」の文字が,英語である「glad」と結合した構成であるため,本願商標からは「allure」の文字に相応して「アルア」の称呼が生じる。

第5 当審の判断

1 商標の類否判断について

商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品の取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号,同43年2月27日判決参照)。

そして,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号,同38年12月5日判決,最高裁平成19年(行ヒ)第223号,同20年9月8日判決参照)。

上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。

2 本願商標について

(1)本願商標は,別掲1のとおり,大きく表した黒又はオレンジ色に塗りつぶした円と黒色の縦線を,同間隔をもって交互に配してなる部分(以下「円及び縦線部分」という。)の下に,間隔を設けて,オレンジ色の斜体文字で「allure」の文字を横書きしてなり(以下「文字部分」という。),その文字部分の右上方に,ごく小さな放射状の図形(以下「放射図形」という。)を配してなるものである。

(2)そして,円及び縦線部分の構成は,その上段に,左から同じ大きさの円を4つ,それぞれの円の右側に縦線を4本配し,下段に,上段の最も左の円の下にあたる位置に,上段と同じ大きさの円を1つ配してなるところ,その色彩は,上段の左から2番目の円のみがオレンジ色に,他の円及び縦線は全て黒色に着色されており,また,縦線の長さは,左から2番目の線のみが円直径と同じ長さで,他の縦線は全て円直径の約2倍の長さで表されており,円及び縦線部分は,その構成要素の色彩,大きさ,配置のバランスから,視覚的に,黒色を基調とした,まとまりのよい一体的なものとして把握されるものである。

さらに,円及び縦線部分は,その構成全体として,特定の文字を表したものと明確に認識することができないほど図案化されているものであり,また,特定の事物や意味合いを表したものとは認識されないことから,円及び縦線部分は,特定の称呼及び観念を生じさせることのない図形を表したものとみるのが相当である。

(3)そうすると,本願商標の構成中,円及び縦線部分と文字部分とは,図形からなるものと文字からなるものとで異なること,大きさが異なること,間隔を設けて配置されていること,異なる色彩で表されていること,および,円及び縦線部分が一体的に把握されるものであることから,両者は視覚上,明確に分離して看取されるものである。

(4)本願商標の構成中,文字部分を構成する「allure」の文字は,「そそのかす,魅力」等の意味を有する英語(「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館発行)として辞書に載録されているほか,「歩きぶり,速度,態度」等の意味を有するフランス語(「クラウン仏和辞典第7版」株式会社三省堂発行)として辞書に載録された既成語ではあるが,我が国においてそれら辞書における語義が広く知られたものということはできないから,特定の語義を有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。

ところで,別掲2(1)によれば,近年,指定商品のような眼鏡の商品分野全般においては,フランスを含む諸外国のブランドの眼鏡も多数取引され,機能性のみならず,デザイン性の高い多種多様な商品が生産,販売されており,眼鏡は,一般に,視力を調整し目を保護する器具であるとともに,デザイン性が重視されるファッションの一部としても捉えられているものと認められる。

そして,別掲2(2)のとおり,ファッションに関連する分野一般において,「allure」,「ALLURE」の各文字は,「アリュール」と読まれていることが認められる。

そうすると,本願商標の構成中,「allure」の文字部分は,「アリュール」の称呼を生じるというのが相当である。

(5)本願商標の構成中,放射図形は,特定の事物や意味合いを表したものとは認識されないことから,特定の称呼及び観念を生じないものである。また,放射図形は,円及び縦線部分,文字部分に比してごく小さく表され,文字部分の右上方に配されており,文字部分の装飾的なものとみるのが自然であるから,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められない。

そうすると,放射図形は,本願商標の構成においては,自他商品の識別標識として機能しないものというのが相当である。

(6)以上のことからすると,本願商標は,その構成上,円及び縦線部分と文字部分とは,それぞれが視覚上分離して看取されるものであって,かつ,観念上のつながりもないことから,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難い。

してみれば,本願商標においては,その構成中の円及び縦線部分と「allure」の文字部分とが,それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるものであるから,本願商標は,その構成中の「allure」の文字部分を要部として抽出し,当該文字部分のみを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。

したがって,本願商標は,その要部たり得る「allure」の文字部分に相応して「アリュール」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

3 引用商標について

引用商標は,「ALLURE」の文字と「アリュール」の文字を上下2段に横書きしてなるところ,下段の「アリュール」の文字は,その構成からして,上段の「ALLURE」の文字の読みを表したものと理解するのが自然である。

そうすると,引用商標の構成中,下段の「アリュール」の文字は,取引者,需要者の注意をひくものではなく,上段の「ALLURE」の文字部分が,出所識別標識としての機能を果たす主要な部分(要部)であるといえる。

してみれば,引用商標からは,「ALLURE」の文字をフランス語と理解するか否かに関わらず,「アリュール」の称呼が生じる。

そして,「ALLURE」の文字は,上記2(4)と同様に,英語又は仏語として辞書に載録された既成語ではあるが,我が国においてそれら辞書における語義が広く知られたものということはできないから,特定の語義を有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。

したがって,引用商標は,その構成文字に相応して,「アリュール」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

4 本願商標と引用商標との類否について

本願商標と引用商標の類否について検討すると,本願商標の要部である「allure」の文字部分と引用商標の要部である「ALLURE」の文字部分とは,書体が異なり,大文字と小文字とで相違するものの,文字つづりが同一であるから,両者は,外観上,類似する。

次に,称呼においては,本願商標の要部である「allure」の文字部分と引用商標の要部である「ALLURE」の文字部分とは,ともに「アリュール」の称呼を生じるから,称呼上,同一である。

さらに,本願商標の要部である「allure」の文字部分と引用商標の要部である「ALLURE」の文字部分とは,特定の観念を生じないから,観念上,比較することができない。

以上によれば,本願商標と引用商標とは,観念については,比較できないとしても,その要部において,外観上類似するものであって,称呼を共通にするものであるから,その外観及び称呼によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両商標は,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

5 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について

本願の指定商品「眼鏡,眼鏡フレーム,眼鏡フレーム用蝶番」は,引用商標の指定商品「眼鏡,コンタクトレンズ,カラーコンタクトレンズ」と同一又は類似の商品である。

6 小括

以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,かつ,本願の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

7 請求人の主張について

(1)請求人は,本願商標は,その構成中,円及び縦線部分は,「うれしい」を意味する英語「glad」に基づく造語単語「gladd」をデザイン化した「単語」であり,請求人は,当該「単語」について,「メガネストアオリジナルブランド」,「−グラッド―」,「メガネに『うれしい』を加えるとgladdになる。」,「glasses×glad×add=『単語』」のメッセージとともに,過去2年4か月に渡ってWEBページに掲載するとともに,日本国内220店舗にて,「グラッド」と称呼して眼鏡の営業活動を行ってきたため,当該「単語」が「グラッド」と称呼されることは,需要者に広く知られるに至っている。また,その構成中に上記「単語」を含む登録第5844074号商標,登録第5878346号商標が付された商品については,個々に,「グラッド クラシックチタン」,「グラッド ワンモアビューティ」の称呼を付与して使用している(甲5,甲6)。これらによれば,本願商標からは「グラッド」の称呼が生じ,「うれしい」の観念が生じる旨主張する。

しかしながら,請求人が「うれしい」を意味する英語「glad」に基づく造語「gladd」をデザイン化した文字(単語)であると主張する円及び縦線部分は,上記2(2)のとおり,その構成全体として,特定の文字を表したものと明確に認識することができないほど図案化されているものであり,また,特定の事物や意味合いを表したものとは認識されないことから,円及び縦線部分は,特定の称呼及び観念を生じさせることのない図形を表したものとみるのが相当である。また,請求人は,円及び縦線部分が「グラッド」と称呼されることが需要者に広く知られるに至っているとして,2年4か月の間,「グラッド」,「glad」,「うれしい」等の文字を円及び縦線部分とともにウェブサイトに掲載したこと,220店舗において円及び縦線部分を「グラッド」と称呼して眼鏡の営業活動を行ってきたこと,円及び縦線部分を含む登録商標を付した商品について「グラッド」を含む称呼を付して使用していることを指摘するが,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的,恒常的な実情を指すものであって,単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的な実情を指すものではないところ(最高裁昭和47年(行ツ)第33号,同49年4月25日判決参照),請求人の主張に係る取引の実情は,いずれも,請求人に係る個別具体的な実情にすぎないものであって,指定商品全般についての一般的,恒常的な実情とはいえないから,本願商標と引用商標の類否判断に当たり,これを考慮すべきではない。

(2)請求人は,フランス語は,日本においては未だ英語に比して普及度が低く,また,本願商標は,その構成中の「allure」の文字が,英語である「glad」と結合した構成であるため,本願商標からは「allure」の文字に相応して「アルア」の称呼が生じる旨主張する。

しかしながら,上記2(4)のとおり,商品の一般的な取引の実情を踏まえれば,本願商標の構成中,「allure」の文字部分は,「アリュール」の称呼を生じるというのが相当であり,また,請求人が英語であると主張する円及び縦線部分は,上記(1)のとおり,特定の称呼及び観念を生じさせることのない図形を表したものとみるのが相当であるから,英語「glad」に基づく造語「gladd」をデザイン化した文字(単語)とは認識されないものというべきである。

(3)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

8 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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