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Trademark Appeal Case

当て字商標の称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35694号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3241334号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3241334号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成5年1月22日登録出願、後掲(1)に示すとおり「吸ーピー」(「吸」の文字はやや大きめに表されている。)の文字を横書きに表してなり、第9類「電気掃除機」を指定商品として、同8年12月25日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する登録第2037077号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和60年2月14日登録出願、後掲(2)に示すとおり「キューピー」の文字を横書きに表してなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」を指定商品として、同63年4月26日に設定の登録がされ、該登録に係る権利は平成10年4月21日存続期間の更新の登録がされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第5号証を提出した。

(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当について

<商標の類似>

本件商標は、「吸ーピー」の文字を左横書きしてなるのもである。そこで、本件商標から生ずる称呼について検討するに、本件商標中「吸」の文字は、音読みで、「キュウ」と、また、訓読みで「ス(ウ)」と読まれるものであるので、本件商標は「キューピー」または「スーピー」と称呼されるものと考える。

すなわち、「吸ー○○」と表記される語はもともと存在しないものであることから、本件商標は当て字を用いた商標であると容易に認識されるものであって、一般的に、当て字はこれに接する者に滑稽な印象を与える目的で採用されるものである。また、簡易迅速を旨とする商取引界において、正式な漢字の読み方に照らして論理的に商標の称呼を検討することなど到底あり得ない。すなわち、本件商標は、当然に「キューピー」の称呼をも生ずるものと考える。さらに、その理由を詳述する。

まず、本件商標のような当て字を用いた商標に接する取引者・需要者は、商標採択者がその当て字を採用した意図を把握しようと努めながら、称呼するものである。本件商標については、語頭の「吸」の文字を音読みで「キュウ」と称呼した場合、後ろに「ーピー」の文字が続いていることから、全体で直ちに「キューピー(人形)」を想起させるものである。つまり、本件商標は「キューピー」の「キュ」の文字に代えて、指定商品「電気掃除機」の吸引機能を連想させる「吸」の文字を当て字にした商標と直ちに認識し得るものである。

すなわち、本件商標は、一瞬「キュウ」「ーピー」と認識される場合があるとしても、直ちに「キューピー(人形)」を認識し直して、実際には「キューピー」の称呼をもって商取引に用いられることも決して少なくないと考える。

次に、請求人は、本件商標から「スーピー」の称呼が生じることを否定するものではない。しかしながら、当て字に接する者は、何らかの既成語をもじって当て字としていることを期待するのが通常であるところ、「スーピー」と認識した場合には、何をも連想しがたいものである。

そうとすると、本件商標権者の本件商標の採択意図が「キューピー」ではなく、「スーピー」にあったと仮定したとしても、これに接する取引者・需要者が本件商標を「キューピー」の文字をもじったものと認識し、「キユーピー」の称呼をもって商取引に用いる可能性の方がむしろ高いと言わざるを得ない。なお、一般的に当て字を採用する場合には、これに接する者にその採用意図を分かり易くしておかないと、滑稽な印象を与える目的を達することができない。

すなわち、仮に上記したように「キューピー」の語をもじる意図をもって当て字を採用するとすれば、正式な漢字の読み方を優先して「吸ピー」とするよりは、むしろ本件商標のように「吸ーピー」とした方が、外観上「キューピー」の文字と近い構成になることから、その意図が認識され易いという効果がある。このような場合には、正式な漢字の読み方より外観上からの連想し易さが優先されることは、十分に考えられる。また、多少読み方に無理のある当て字の方が、返って滑稽な印象が増して、これに接する者に印象深く捉えられる効果を奏する場合さえあるものと思料する。

以上述べた理由により、本件商標は、「スーピー」とのみ称呼されるものではなく、「キューピー」の称呼をも生じるものと考える。他方、引用商標からは、「キューピー」の称呼が生ずること明らかであり、両商標は、その称呼において同一または類似の商標であると考える。

<商品の類似について>

本件商標の指定商品「電気掃除機」は、引用商標の指定商品中「電気機械器具」に属するものである。よって、両商標は同一または類似の商品について使用するものである。

(2)むすび

以上述べた理由により、本件商標と引用商標とは称呼上互いに類似するも

のであり、また、その指定商品も同一または類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求に対し、何ら答弁するところがない。

5 当審の判断

本件商標は、その構成前記したとおり、「吸ーピー」(「吸」の文字はやや大きめに表されている。)の文字を表してなるところ、書された文字の全体からは、直ちに特定の意味合いを看取させることのない一種の造語と認識し把握されるものといえる。

しかして、本件商標を全体として称呼した場合、冒頭の「吸」の文字(漢字)は、一般に音読みで「キュウ」(kyuu)又は「キュー」(kyu:)と読まれ、また、訓読みした場合は、「ス」と読まれる漢字であるから、前者に依った場合、「キュウ」又は「キュー」の音の帯有する母音(「u」)と後続の長音(「ー」)とが連続して発せられ、該母音をそのまま伸ばした如く聴取される結果、全体として「キューピー」(kyu:pi:)の音と殆ど同様に聴取されるものといえる。

そして、一般に、この種邦文字に接する取引者、需要者は、当該称呼との連想作用と相俟って関連する一定の事物等と関連づけて想起し印象づけられる場合が少なくないといえるから、本件商標にあって、前記「キューピー」と殆ど同様に発せられる称呼より直ちに「キューピー(人形)」の意味合い、すなわち、該語の一種当て字の如く認識し把握されるとみるのは強ち不自然なものともいい難く、したがって、本件商標より「キューピー」(kyu:pi:)の称呼も生ずるとみて差し支えないものというのが取引の経験則に照らし相当である。

したがって、本件商標より「スーピー」の称呼を生ずる点は否定し得ないまでも、同時に「キューピー」又はこれと殆ど同一の称呼も生ずるものといわなればならない。

他方、引用商標は、その構成前記したとおり「キューピー」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して生ずる「キューピー」の称呼をもって取引に資されるものと認められる。

そうすると、本件商標と引用商標は、「キューピー」の称呼を同じくする点で互いに相紛らわしく、その外観、観念の点を考慮してもなお、両者は、その出所について混同を生ずる虞のある類似の商標といわざるを得ない。

そして、本件商標の指定商品(「電気掃除機」)は、引用商標の指定商品とする平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分(以下、「旧類別」という。)第11類所属の「電気機械器具」に含まれるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは商標において類似し、また、その指定商品も同一または類似のものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、同法条の規定に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、同法第46条第1項により、無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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