Trademark Appeal Case
色彩商標の使用識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−13595(T2017−13595/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,ピンク色(パントーン677C)のみからなるものであり,第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年6月15日に登録出願されたものであるが,その指定商品については,当審における同30年9月7日受付の手続補正書により,第10類「股関節用ボール(人工股関節用部品)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものである。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,出願人が提出した証拠からは,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないから,本願商標が,商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成30年7月30日付け証拠調べ通知書),相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,上記第3の証拠調べ通知に対して,以下のとおり意見を述べた。
請求人は,本願商標の指定商品である「股関節用ボール(人工股関節用部品)」と同一の商品に,本願商標と同一であるピンク色の色彩を使用しており,同商品は2011年(平成23年)から7年以上継続して日本全国で使用され,その市場占有率は2016年(平成28年)には70%以上と多大なシェアを誇る。また,ピンク色の色彩を強く印象付けるために,商品と同一のピンク色を多用したデザインを使用して積極的に宣伝広告活動が行われているだけでなく,人工股関節ユニットを販売する国内のほぼ全ての主要なインプラントメーカーのカタログ等に掲載されることにより,インプラントメーカーからも宣伝広告されており,請求人の商品は日本国内で広く知られるに至っている。また,請求人の商品自体には,商品名である「BIOLOX(R)delta」(「(R)」は○の中に「R」の文字を配してなる記号。以下同じ。)の文字は表示されておらず,色彩がそれ自体独立して自他商品識別力を獲得しているといえる。
以上の点を総合勘案すれば,請求人の股関節用ボールのピンク色の色彩は,需要者によって,請求人の商品を他社商品と識別する指標として認識されていたというべきである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,上記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,ピンク色(パントーン677C)のみからなるものである。
色彩は,商品そのものやその包装又は広告等において,商品の美感や魅力向上等に資する装飾等として,一般に広く使用されているものである。
そして,商品の色彩は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではなく,その色彩や色彩構成自体が商品と結合して特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合があるにすぎないものである。
また,本願の指定商品に係るいわゆる「人工股関節」においては,近年セラミックス素材等が使用されるようになり,商品に色彩を施すことが可能となったことから,別掲2(1)のとおり,水色,クリーム色及び白色等の色彩が,商品の特徴として,商品に施され使用されている実情がある。
そうすると,ピンク色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品の美感や魅力向上等に資する装飾等として,通常使用される色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法が第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は,「本願商標は使用により識別力を獲得しており,本願商標は商標法第3条第2項によって登録されるべきである。」旨を主張し,その主張に係る証拠として,原審において甲第1号証ないし甲第33号証を提出している。
そして,当審において,甲第34号証ないし甲第59号証(枝番を含む。)を提出し,さらに,甲第5号証ないし甲第8号証,甲第45号証の1及び甲第45号証の2,甲第46号証の2ないし甲第46号証の4について,差し替えの証拠を提出しているため,これらの差し替えの証拠を,甲第60号証ないし甲第63号証,甲第64号証の1及び甲第64号証の2,甲第65号証の1ないし甲第65号証の3と証拠番号を変更するものである。
そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。
ア 本願商標の使用実績について
請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人について
請求人は,1903年(明治36年)にドイツのマルクトレトウィッツで創業したセラミック部品メーカーであり,現在では,アジア,南北アメリカ等に展開しており,医療機械器具を始め,エレクトロニクス・自動車等と幅広い分野で事業を行っている(甲1,甲2)。
(イ)本願商標の使用方法及び使用開始時期について
a 請求人の商品カタログの4ページに,請求人(CeramTec社)の人工股関節用セラミックインプラントの「BIOLOX(R)」は,セラミックで作られた約410万個のボールヘッド(2007年(平成19年)8月)が世界中で使用されていると記載されている。
また,当該カタログの表紙の左上部には「BIOLOX(R)」の文字が記載され,その下には,本願商標と同一と認められるピンク色(以下「本願ピンク色」という。)に彩色された球状及び半球状等の商品が写っている画像があり,右下部には,請求人の会社名の略称である「CeramTec」の文字(以下「請求人社名」という。)が記載されている(甲10,甲16)。
b 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「医薬品医療機器総合機構」という。)より提供された医療機器の添付文書の「医療用品 4 整形用品 人工股関節大腿骨コンポーネント/BIOLOX deltaセラミックフェモラルベッド(2011年(平成23年)1月11日作成)」によると,「2.形状又は構造及び原理等」の項に,「セラミックヘッド」の文字とともに本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が掲載されている。
また,「【使用目的,効能又は効果】」の「1.使用目的」には,「本品は,機能不全に陥った股関節と置換することにより,股関節の代替として機能させるものである。」の記載がある(甲41の1)。
c 医薬品医療機器総合機構より提供された医療機器の添付文書の「医療用品 4 整形用品/高度管理医療機器 人工骨頭/BIOLOX deltaセラミックベッド(CERAMAX)(2011年(平成23年)5月1日作成)」には,「1.形状等」の項において,「形状」の文字と共に本願ピンク色に彩色された球状の商品の画像が掲載されている。
また,「【使用目的,効能又は効果】」には,「人工股関節置換術の際,大腿骨側股関節の機能を代替するために,骨頭として使用する。」の記載がある(甲41の2)。
d 日本ストライカー株式会社の商品カタログの2葉目には,「BIOLOX delta」の文字の記載があり,本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が掲載されている(甲4,甲43)。
そして,甲第4号証の商品カタログの裏表紙には「Copyright(C)2016」(「(C)」は○の中に「C」の文字を配してなる記号。以下同じ。)の文字の記載があり,甲第43号証の商品カタログには「Copyright(C)2011」の文字の記載がある。
(ウ)請求人が使用している商品のシェアについて
請求人は,矢野経済研究所が発行した「2017年度版メディカルバイオニクス(人工臓器)市場の中期予測と参入企業の徹底分析」という市場レポート(甲57)に基づき,日本国内で販売された「BIOLOX(R)delta」の股関節用ボールの数量を予測した「日本におけるBIOLOX(R)deltaのヘッド及びライナーの市場」と題するレポートを提出した(甲58)。
これによれば,2013年(平成25年)から2017年(平成29年)までに日本で移植された「BIOLOX(R)delta」のヘッド,すなわち,本願ピンク色に彩色された股関節用ボールの数と,国内で行われた人工股関節置換術の合計件数から計算すると,「BIOLOX(R)delta」の股関節用ボールのシェアは,2013年(平成25年)が37%,2014年(平成26年)が約50%,2015年(平成27年)が61%,2016年(平成28年)が約77%であったことがうかがえる。
そして,当該レポートの奥付には,「著者連絡先」の項があり,これには,「セラムテックゲーエムべーハー科学コンサルタント医療技術 A氏」と記載されている。
(エ)広告宣伝の方法,回数及び内容について
a 請求人は,医療雑誌の広告(2015年(平成27年),2016年(平成28年))や日本股関節学会学術集会の広告(2016年(平成28年),2017年(平成29年))等には,上部に「BIOLOX」の文字商標が記載され,紙面の一部又は全面に本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が表示されている。
また,紙面の一部に本願ピンク色に彩色された長方形の図形が表示され,下部に請求人社名の記載がある(甲45の1,甲45の2,甲46の2〜甲46の4,甲64の1,甲64の2,甲65の1〜甲65の3)。
b 請求人のウェブサイトには,全体の1/4にあたる部分に本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が掲載され,「『BIOLOX(R)』セラミック:1974年(昭和49年)以来,1500万個を超えるコンポーネントを販売。」の記載,左上部には,請求人社名の記載があり,2葉目の表の一部に,本願ピンク色に彩色された長方形の図形が表示されている。当該ウェブサイトには,印刷日として「2018/08/28」の記載がある(甲56)。
c 請求人は,日本股関節学会等で使用したセミナー広告及びポスター(2015年(平成27年)〜2017年(平成29年))には,本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が下部に比較的大きく掲載され,上部には,長方形又は円形の図形を本願ピンク色に彩色されたものを使用し,左上部に「BIOLOX(R)」の文字と左下部に請求人社名の記載がある(甲47)。
(オ)展示会について
請求人は,日本股関節学会等での請求人のブースの風景を撮影した写真を提出しており,当該写真には,請求人が使用している半球状の商品が本願ピンク色に彩色されたものを大きく引き伸ばした画像,また,実際,本願ピンク色に彩色された半球状の商品の展示品,請求人社名である「CeramTec」の文字と「BIOLOX(R)」の文字が看板や展示ケースの下に表示されているが,すべての写真には,撮影日の表示がない(甲49の5〜16)。
(カ)宣誓書について
請求人は,本願商標が請求人に係る商品に使用されていたことを証明するために,国内の医師や外国の医師による宣誓書を提出している(甲34〜甲40)。
宣誓書の様式は異なるものもあるが,宣誓の内容は,股関節用ボールについての記載でほぼ定型文であり,宣誓書の中間部には,本願ピンク色に彩色された半球状の商品の画像が掲載されており,最後に宣誓者が署名したものである。
(キ)陳述書について
請求人は,本願商標が請求人に係る商品を日本国内で販売していることを証明するために医療機器メーカーによる陳述書を提出している(甲44)。
陳述書の様式は,請求人宛に書かれたもので,陳述の内容は,請求人の商品を流通させ販売したことを証明する定型文で書式も同様であり,最後に陳述者が署名したものである。
(ク)外国の登録商標について
請求人は,メキシコ,ドイツ,欧州共同体,コロンビア,チリ,ニュージーランドの本件商標の登録証の写しを提出している(甲55)。
(ケ)アンケートについて
請求人は,「ピンク色の股関節ボールヘッド及びピンク色の立体商標の評判及び識別力に関する市場調査」(和訳)についての報告書を提出しているが,当該アンケートは,2017年(平成29年)7月24日から同年8月14日までドイツにおいて,また,同年8月28日から同年9月22日まで欧州連合の他の国において実施されたものである(甲54)。
(コ)その他
請求人が提出した証拠からは,我が国における販売数量,売上高,市場占有率(シェア)など販売実績や広告宣伝費などを示す証左は見いだせない。
イ 本願商標がいわゆる使用による特別顕著性を獲得しているかについて
上記アによれば,請求人は,1903年(明治36年)にドイツのマルクトレトウィッツで創業したセラミック部品メーカーであり,現在では,請求人は,アジア,南北アメリカ等に展開しており,医療機械器具を始め,エレクトロニクス・自動車等と幅広い分野で事業を行っている。
請求人の商品カタログには,表紙に本願ピンク色に彩色された半球状の商品と「BIOLOX」の文字商標と請求人社名が記載され,また,当該カタログの4ページに,請求人が「人工股関節用ボールヘッド」に「BIOLOX」の文字商標を使用していることが記載されている。
また,医薬品医療機器総合機構より提供された資料には,「BIOLOX」の文字商標が記載され,当該整形用品の「形状」が本願ピンク色に彩色された半球状のもので,「セラミックヘッド」と記載され,別の医薬品医療機器総合機構より提供された資料には,「BIOLOX」の文字商標が記載され,当該整形用品の「形状」が本願ピンク色に彩色された球状のもので,表題に「セラミックヘッド」と記載されている。
さらに,上記の医薬品医療機器総合機構より提供された資料には,「使用目的」として「人工股関節置換術の際,大腿骨側股関節の機能を代替するために,骨頭として使用する。」と記載されている。
以上のことからすると,請求人は,「BIOLOX」の文字商標を本願ピンク色に彩色された球状又は半球状の商品に使用し,本願ピンク色に彩色された球状又は半球状の商品は,人工股関節置換術の際,大腿骨側股関節の機能を代替するために,骨頭として使用されるものでセラミックヘッドと呼ばれていることからすると,「人工股関節用のボールヘッド」(以下「請求人使用商品」という。)であると認めることができる。
そして,医薬品医療機器総合機構より提供された資料(甲41の1)の作成日が,2011年(平成23年)1月であることからすると,請求人使用商品は,少なくとも同年1月頃には,日本において医療機器として承認されていたと推認することができる。
また,医療雑誌,日本股関節学会学術集会の広告及び請求人のウェブサイト並びに日本股関節学会等で使用したセミナー広告及びポスターには,本願ピンク色が,請求人使用商品の色彩として使用されており,紙面の一部には,本願ピンク色で彩色された長方形又は円形の図形が表示されている。これらの広告等は2015年(平成27年)ないし2018年(平成30年)に使用されていることが認められる。
さらに,他者の商品カタログ(甲4,甲43)には,本願ピンク色に彩色された請求人使用商品の画像が記載されていること,当該カタログの裏表紙には,「Copyright(C)2011」又は「Copyright(C)」2016」の文字の記載があることからすれば,当該カタログは,2011年(平成23年)及び2016年(平成28年)に作成され,使用されていたと推認できる。
以上のことからすると,本願ピンク色は,請求人使用商品に2011年(平成23年),2015年(平成27年)ないし2018年(平成30年)に使用されていたことが認められるから,現在まで継続して約8年間使用されていることが認められる。
しかしながら,請求人使用商品の市場シェアは,上記ア(ウ)のとおり,市場シェアを示したレポートにおいて,2016年(平成28年)で約77%のシェアがあると記載されているが,請求人の関係者が作成したレポートで第三者が作成したものではないから,上記市場シェアは信ぴょう性にかけるものといわざるを得ない。
また,医療雑誌の広告,日本股関節学会等の広告及びインターネットの広告は全部で10件程度であり,これには,本願ピンク色に彩色された請求人使用商品の画像が使用され,広告の一部に本願ピンク色が使用されていることは認められるが,請求人使用商品の画像の近くには,必ず文字商標である「BIOLOX」の文字と請求人の社名が記載されている。
展示会には,本願ピンク色に彩色された請求人使用商品の展示品及びその画像が展示され,広告の一部に本願ピンク色が使用されていることは認められるが,請求人使用商品の画像の近くに必ず文字商標である「BIOLOX」の文字と請求人の社名が表示されている。
また,これらの展示会の写真には,撮影日の記載がなく,いつ撮影されたのか不明である。
請求人は,本願商標が請求人に係る商品に使用されていたことを証明するために,国内の医師や外国の医師による宣誓書を提出し,さらに,本願商標に係る商品を日本国内で販売していることを証明するために医療機器メーカーによる陳述書を提出しているが,これらの宣誓書及び陳述書は,それぞれほぼ同じ様式で書かれているもので宣誓及び陳述の内容もほぼ同じであり,内外の医師や医療機器メーカーの具体的な宣誓又は陳述内容ではないため,これらをもって,請求人使用商品が,国内で多数販売されていることを証明するには具体性に欠けるものである。
さらに,請求人が行ったアンケート調査は,外国で行われたものであり,日本国内で行われたものでないから,当該アンケート結果が,直ちに国内の請求人使用商品の取引者,需要者の認識を示しているとはいえない。
以上のとおり,請求人の提出に係る証拠からは,請求人が本願ピンク色を,商品本体,商品カタログ及びウェブサイトの一部に使用していることが認められるものの,その使用期間は8年と短く,請求人使用商品の市場シェアは明らかではなく,広告は10件程度と少なく,展示会の写真には撮影日の記載がないこと等を総合勘案すれば,本願の指定商品の取引者,需要者に広く認識されているものとはいえない。
そして,本願ピンク色の使用方法は,必ず,請求人の社名及び文字商標である「BIOLOX」の文字が本願ピンク色に彩色された請求人使用商品の画像の近くに使用されており,本願ピンク色が,これに接する需要者に請求人の社名や文字商標である「BIOLOX」の文字と共に認識されるというべきであり,本願ピンク色のみが観察され,これが商品の出所識別機能を有するものとして,需要者に強く印象付けられるとはいい難いというべきである。
また,別掲2(2)のとおり,商品が使用されるところを同じくする「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」に使用されているごく一般的な普通のピンク色の色彩と本願ピンク色(商品本体,商品カタログ及びウェブサイトに使用されているもの)は,近似したピンク色であることから,これに接した取引者,需要者においては,本願商標の色彩のみをもって,請求人の業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められない。
したがって,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標の指定商品である『股関節用ボール(人工股関節用部品)』と同一の商品に,本願商標と同一であるピンク色の色彩を使用しており,同商品は2011年(平成23年)から7年以上継続して日本全国で使用され,その市場占有率は2016年(平成28年)には70%以上と多大なシェアを誇る。また,ピンク色の色彩を強く印象付けるために,商品と同一のピンク色を多用したデザインを使用して積極的に宣伝広告活動が行われているだけでなく,人工股関節ユニットを販売する国内のほぼ全ての主要なインプラントメーカーのカタログ等に掲載されることにより,インプラントメーカーからも宣伝広告されており,請求人の商品は日本国内で広く知られるに至っている。また,出願人の商品自体には,商品名である『BIOLOX(R)delta』の文字は表示されておらず,色彩がそれ自体独立して自他商品識別力を獲得しているといえる。」旨を主張している。
しかしながら,請求人は,本願商標の指定商品である「股関節用ボール(人工股関節用部品)」とほぼ同一と認められる請求人使用商品に,本願商標とほぼ同一と認められるピンク色の色彩を使用し,2011年(平成23年)頃から国内で販売されていることは認められるものの,使用期間については,約8年と短いものである。
また,請求人が使用している本願商標は,ピンク色の単色であり,本願の指定商品において,別掲2(1)のとおり,他者も同様の商品に単色の色彩を使用している実情がある。
そして,本願商標を使用した商品が請求人の業務に係る商品であることを需要者に認識されるに至っているものでないことは,上記(2)イで述べたとおりである。
イ 請求人は,「本願商標であるピンク色の色彩を付した股関節用ボールは,現在,国内では出願人の商品以外には存在せず,発売開始以来,実質的に出願人が独占的に使用している。市場には,請求人の商品と同一の材質からなる商品も存在するが,商品の色彩は,本願商標とは類似しない。したがって,本願商標は,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものとはいえず,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものとはいえないだけでなく,今後,他社が本願商標と同一または類似する色彩を股関節用ボールに使用した場合には,需要者が請求人の商品と誤認するおそれがある。」旨を主張している。
しかしながら, 上記(1)のとおり,商品の色彩は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではなく,その色彩や色彩構成自体が商品と結合して特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合があるにすぎないものであり,本願の指定商品に係るいわゆる「人工股関節」においては,近年セラミックス素材等が使用されるようになり,商品に色彩が用いられており,水色,クリーム色及び白色の色彩を施すことが可能となったことから,別掲2(1)のとおり,商品に色彩が用いられており,ピンク色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品の美感や魅力向上等に資する装飾等として,通常使用される色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
ウ よって,上記請求人による主張は,いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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