Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−4150(T2019−4150/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第39類「タクシーによる輸送,タクシーによる輸送の手配,タクシーの配車,タクシーによる旅行者の案内」を指定役務として,平成30年2月14日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第3000162号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成4年7月15日に登録出願,第39類「車両による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,倉庫の提供,コンテナの貸与,パレットの貸与」を指定役務として,同6年7月29日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は,別掲1のとおり,茶色で表された「MARUBOSHI」の文字及び当該文字に比べて大きく書された「TAXi」の文字(末尾の「i」の文字の点の内部には,赤い十字形が配されている)並びに「i」の文字の点から湾曲して「TAXi」の文字の下部に沿って徐々に太くなる茶色及び赤色の曲線からなる図形(以下「本願図形部分」という。)より構成される結合商標である。
そして,本願商標の構成中「MARUBOSHI」の文字部分及び「TAXi」の文字部分並びに本願図形部分は,視覚上,分離して看取し得るものであることに加え,本願図形部分は,抽象化して表された図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,当該図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。
また,「MARUBOSHI」及び「TAXi」の各文字部分と本願図形部分とに観念的なつながりを見いだすことはできず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。
さらに,「TAXi」の文字部分は,本願商標の指定役務との関係で,「タクシーによる輸送」の役務を表す語であることから,本願商標の構成中「TAXi」の文字部分は,自他役務識別標識としての機能を果たさないというべきである。
そうすると,本願商標は,その構成中「MARUBOSHI」の文字部分又は図形部分が,それぞれ自他役務識別標識としての機能を果たし得るというのが相当である。
イ したがって,本願商標は,その構成中「MARUBOSHI」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することが許されるものであるから,当該文字部分に相応して「マルボシ」の称呼を生じ,また,当該文字部分は一般の辞書等に掲載されている既成語ではなく,特定の意味を有しないものである。
ウ 以上よりすると,本願商標は,要部である「MARUBOSHI」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応して「マルボシ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,「丸星株式会社」及び「Maruboshi Co.,Ltd.」の文字を上下2段に横書きしてなるところ,下段の文字は上段の文字を英訳したものと容易に認識されるものである。
そして,引用商標は,その構成中の「株式会社」及び「Co.,Ltd.」の文字部分が,法人の種類を表す語であるから,「丸星」及びその欧文字(英語)表記の「Maruboshi」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識され,当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
したがって,引用商標は,その要部である「丸星」及び「Maruboshi」の文字部分(以下「引用要部」という場合がある。)に相応して,「マルボシ」の称呼を生じ,また,当該文字は一般の辞書等に掲載されている既成語ではなく,特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の外観においては,両者は,その構成を異にするものであるが,本願要部と引用要部とを比較すると,本願要部と引用要部の「Maruboshi」の欧文字部分において,大文字と小文字による差異があるものの,そのつづり字を共通にしていることから,互いに,近似した印象を与えるものである。
そして,観念においては比較できないとしても,称呼においては,本願要部と引用要部は,「マルボシ」の称呼を共通にするものである。
以上によれば,本願商標と引用商標とは,外観において,差異を有するものとしても,本願要部と引用要部の欧文字部分においては,外観上,互いに近似した印象を与えるものであり,称呼を同一にするものであるから,観念において比較できないとしても,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,商標の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標といえる。
(4)本願商標と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務中の「タクシーによる輸送,タクシーによる輸送の手配,タクシーの配車」は,引用商標の指定役務中の「車両による輸送」と類似する役務である。
(5)小括
以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,また,本願商標の指定役務と引用商標の指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標と引用商標とは構成全体のデザインの顕著な差異が認められ,とりわけ本願商標にあっては,道路状の図形部分と「TAXi」の文字部分が大部分を占めていることに対し,「MARUBOSHI」の文字部分はかなり小さい文字であることから,図形部分だけが視覚に入り,その強力なインパクトが需要者等の注意をひくため,引用商標と本願商標とでは,外観的には非類似である旨主張している。
しかしながら,たとえ本願商標は,外観上,その構成の大部分を「TAXi」の文字部分及び本願図形部分が占めているとしても,上記(1)のとおり,本願商標構成中の「MARUBOSHI」の文字部分は,本願商標の要部として,他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり,上記(3)のとおり,本願要部と引用要部の欧文字部分とを比較すると,本願商標と引用商標とは類似の商標と判断するのが相当である。
イ 請求人は,本願商標の称呼として,「マルボシ」,「マルボシタクシー」が考えられるが,明らかにタクシーに付けられた名称であるため,タクシーの呼び名としては,単に「マルボシ」ではなく「マルボシタクシー」が妥当で一般的である旨主張している。
しかしながら ,上記(1)のとおり,本願商標構成中の「TAXi」の文字部分は,本願商標の指定役務との関係では,自他役務識別標識としての機能を果たさないものであるから,本願商標は,要部である「MARUBOSHI」の文字部分に相応して「マルボシ」のみの称呼をも生じるものといえる。
また,請求人は,「○○タクシー」という名称において,その後半部分の「タクシー」を省略しないで称呼することが一般的である旨の取引の実情を何ら示していない。
ウ よって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似し,その指定役務も,引用商標の指定役務と類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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