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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−4538(T2019−4538/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成29年11月20日に登録出願された商願2017−152172に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同30年7月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5564235号商標(以下「引用商標」という。)は、「ITTA COFFEE」の文字を標準文字で表してなり、平成24年10月4日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同25年3月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本願商標について

本願商標は、別掲のとおり、円形枠内に8個の扇形状の図形を円状に配し、全体をかすれた黒色で表した図形(以下「図形部分」という。)と、その下部に「itta」の欧文字(左から3文字目が橙色で表されている。:以下「文字部分」という。)を横書きした構成からなるものである。

そして、本願商標の構成中の図形部分をみるに、当該図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念を生じないものである。

また、本願商標の構成中の文字部分をみるに、当該文字は、一般的な辞書等には載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。

そうすると、本願商標において、図形部分と文字部分とは、観念上のつながりもなく、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難く、視覚的に分離して看取されるものであり、それぞれが独立して自他役務の識別機能を果たす要部となり得るといえるものであることからすれば、本願商標から「itta」の欧文字部分を抽出し、要部として観察することが許されるというべきである。

してみれば、本願商標は、その構成文字に相応して「イッタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標について

引用商標は、上記2のとおり、「ITTA」の欧文字と「COFFEE」の欧文字とを1文字分の間隔を空けて「ITTA COFFEE」と表してなるところ、その構成中の「ITTA」の欧文字部分は、一般的な辞書等には載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。

また、引用商標の構成中の「COFFEE」の欧文字部分は、「コーヒー豆を煎って挽き粉としたもの。また、それを湯で浸出した褐色の飲料。」の意味を有する英単語として知られており(株式会社岩波書店「広辞苑第6版」)、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係においては、その役務の提供に係る飲料である「コーヒー」を表示するものとして、自他役務の識別力がないか、極めて弱いものであるというのが相当である。

そうすると、引用商標の構成中、前半に位置する造語である「ITTA」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当であるから、当該欧文字部分だけを要部として抽出し、商標の類否を判断することも許されるといえる。

してみれば、引用商標は、構成文字全体から生じる「イッタコーヒー」の称呼のほか、要部である「ITTA」の欧文字部分に相応して「イッタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本願商標と引用商標との類否について

本願商標と引用商標の類否について検討すると、外観においては、その全体の構成において差異を有するものであるが、本願商標と引用商標の要部の比較においては、小文字と大文字の相違があるとしても、そのつづりを共通にするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものである。

次に、称呼においては、本願商標と引用商標とは、共に「イッタ」の称呼を共通にするものである。

そして、観念においては、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。

してみれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において近似するものであり、同一の称呼を生じるものであるから、これらを総合して考察すれば、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

エ 本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について

本願の指定役務と引用商標の指定役務とは、同一の役務である。

オ 小括

以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定役務は、引用商標の指定役務と同一のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標について、「『itta』の文字は強く支配的な印象を与えるものでなく、さらに、それ以外の部分である図形から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる事情もない以上、本願商標から『itta』の文字を抽出して類否を判断することは許されず、本願商標はあくまでも、焼印あるいは版画のごとき強い視覚的特徴を備えて商標全体の大半を占める大きさで表されており、かつ『飲食物の提供』と連関性のある柑橘類の観念を生ずる図形も含め、その全体をもって引用商標との類否を判断しなければならないことは明白である。」旨主張している。

しかしながら、上記(1)アのとおり、本願商標の図形部分と文字部分とは、それぞれが要部として認識されるといえるものであり、本願商標から「itta」の欧文字部分を抽出し、要部として観察することが許されるというべきである。

イ 請求人は、引用商標について、「COFFEE」の欧文字のフランス語表記である「CAFE(カフェ)」の文字を含んだ審決例を挙げ、「『COFFEE』の文字は『CAFE』と同様に、単に『役務の提供に供する物を理解させる』ものではなく、殊更『COFFEE』の文字を捨象してそれ以外の文字のみをもって取引に資するとはいえないから、引用商標は、アルファベット10文字からなる『ITTA COFFEE』の構成全体をもって固有の屋号・店名などを表した一体不可分のものと認識し、把握されるとみるのが相当である。」旨主張している。

しかしながら、上記(1)イのとおり、引用商標の構成中の「COFFEE」の欧文字部分は、「コーヒー豆を煎って挽き粉としたもの。また、それを湯で浸出した褐色の飲料。」の意味を有する英単語として一般に知られており、指定役務である「飲食物の提供」との関係においては、その役務の提供に係る飲料である「コーヒー」を表示するものであることは明らかである。

そうすると、引用商標の構成中の「COFFEE」の欧文字部分は、店名等の一部に使用されることがあるとしても、その指定役務との関係において「コーヒーの提供」を行う役務であることを需要者に想起させるものであるから、当該欧文字部分は、自他役務の識別力がないか、極めて弱いものであるといえるものであり、引用商標の構成中、前半に位置する造語である「ITTA」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当である。

また、請求人の挙げる審決例は、いずれも「CAFE(カフェ)」の文字を含む商標の審決例であり、当該文字が、「COFFEE」のフランス語表記だとしても、我が国においては、「喫茶店」などの意味を有する語として知られており、「COFFEE」の欧文字とは、その意味合いが必ずしも同じであるとはいえないものであるから、当該審決例をもって本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性の判断が左右されるものではない。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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