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Trademark Appeal Case

漢字の読み方と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35413号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4068493号の指定商品中「日本酒」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4068493号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、平成7年6月28日に登録出願、同9年10月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第149201号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、大正11年4月7日登録出願、第38類「日本酒類及其模造品」を指定商品として、同12年1月29日に設定登録され、その後、5回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べ、その証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

イ 本件商標は、「幸鶴」の漢字と「こうつる」の平仮名からなるものであって、「コウツル」又は「コウヅル」の称呼を生ずるものである。

ロ 引用商標中「國府」は、一般には「コクフ」又は「コクブ」と読まれるが、後に続く語によっては「コウ」と呼称されることがある。一例として、神奈川県小田原市にはJR東海道線の駅名にもなっていて全国的によく知られている「国府津/こうづ」と称する町があり、ここでは「国府」が「こう」と呼称されていることが認められる。

したがって、引用商標からは、「コクフヅル」又は「コクフツル」、「コクブヅル」又は「コクブツル」の他に「コウヅル」又は「コウツル」の称呼を生ずるものであるから、本件商標と引用商標は、共に「コウヅル」又は「コウツル」の称呼において類似の商標である。

ハ 一方、岩波書店発行の「広辞苑」907頁(甲第2号証)によれば『こく・ふ、[国府](コクブ・コフとも)』とあり、「国府」が「コクフ」の他に「コクブ」又は「コフ」と読まれることを明記している。すなわち、「国府」から「コフ」の呼称が生じるのであるから、引用商標からは上記した称呼の他に「コフツル」の称呼も生じるといえる。

してみれば、本件商標は「コウツル」の称呼を生じるのであるから、引用商標と本件商標とは「コフツル」と「コウツル」の4音からなるものにおいて第2音が相違するだけのものである。しかも「フ」の母音が「ウ」であってみれば、両商標に接するに際し時と処を異にした場合は、商標を間違え相紛らわしいものとなり出所の混同を生ずることは必定となる。

したがって、本件商標と引用商標とは称呼において類似の商標である。

ニ 本件商標の指定商品中「日本酒」は引用商標の指定商品と類似のものである。

ホ 以上述べたように、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品中「日本酒」については、引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるから、本件商標の指定商品中「日本酒」については、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号について

請求人は、東京・府中において江戸時代から酒造りを始めた老舗であり現在に至るも「國府鶴/コウヅル」の商標を付した清酒を製造販売しており、代表的な1.8リットルのビン詰め商品をはじめ、こも樽入り、徳利入りなど多種類を販売している。なお、請求人は商品パンフレット(甲第3号証の1,2)を発行しており、当該パンフレットには上記の商品が掲載されている。

請求人が製造販売する清酒のラベルは、「國府鶴/コウヅル」と表示されていて「國府鶴」が「コウヅル」と呼称されることを明確にしている。

甲第3号証の1の見開きページにおいて、下段右から2番目の720ml詰め商品及び下段左から3番目の1.8l詰め商品のラベルは「國府鶴」と「コウヅル」が併記されている。又、甲第3号証の2の見開きページ下段右から4番目の720ml詰め商品並びに上段右から2番目及び下段右から2番目の1.8l詰め商品にも「國府鶴」と「コウヅル」が併記されている。

なお、上記事実を明確にするため、上記各商品に貼付するラベル(甲第4号証の1〜3)を提出する。

ところで、一般書店で販売された書籍の中で請求人が取り扱う清酒「國府鶴」が「コウヅル」と呼称されることが紹介されたことがある。株式会社主婦と生活社が昭和57年11月10日に発行した「日本酒全蔵元全銘柄」の248頁(甲第5号証)中段に「國府鶴こうづる」が掲載されている。すなわち、「國府鶴」を「コウヅル」と呼称するのは請求人の独断によるものではなく、取引業者はもとより一般世人においても「國府鶴」が「コウヅル」と呼称されることが周知されている事実となっている。

さらに、請求人は自社商品の宣伝広告を行っており、日刊新聞紙及び雑誌に継続的に広告を掲載している。ここでも「國府鶴」は「コウヅル」と併記して宣伝広告がなされている。(甲第6号証ないし甲第8号証)

これらの証拠から、「國府鶴」が「コウヅル」と呼称されると共に、「國府鶴/コウヅル」の商標が、請求人の製造販売に係る「清酒」を表示するものとして取引者はもとより一般需要者の間に広く知られており著名な商標となっていることが認められる。

したがって、本件商標は、請求人が製造販売する商品「清酒」を表示するものとして取引者及び需要者の間に広く認識されている「國府鶴/コウヅル」に類似する商標であるから、その指定商品中「日本酒」については商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 被請求人の主張

被請求人は、何ら答弁をしていない。

5 当審の判断

本件商標は、「幸鶴」の文字に、ふりがな風に「こうつる」の文字を書してなるものであるから、「コウツル」の称呼が生ずること明らかである。

一方、請求人が提出した「商品パンフレット」(甲第3号証の1)及び「日経ジョイフルライフ」(甲第8号証)によれば、請求人は1860年創業の酒造店であり、明治10年代から「國府鶴(こうづる)」のブランド名を使用し、現在に至るまで「國府鶴/コウヅル」の商標(以下、「使用商標」という。)を付した清酒を製造販売していることが確認できる。さらに、甲第5号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を総合勘案すれば、使用商標は、請求人が商品「清酒」について使用した結果、本件商標の登録出願時において、既に取引者・需用者間に広く認識されるに至っていたと認めることができる。

そして、上記使用商標は、その構成文字に相応して「コウヅル」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「コウツル」の称呼と、使用商標より生ずる「コウヅル」の称呼を比較するに、両称呼は共に4音からなるところ、語頭音を含む「コ」「ウ」「ル」の3音を共通にし、異なるところは第3音における「ツ」と「ヅ」の差異のみである。そして、該差異音「ツ」と「ヅ」にしても、共に母音(u)を共通にする清音と濁音の近似した音であるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、両者の語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

そうすると、本願商標と使用商標とは、外観及び観念について考慮しても、上記したとおり、その称呼において互いに聞き誤るおそれがあるから、両商標は称呼上類似の商標であるといわざるを得ない。

また、請求人が使用商標を使用する商品「清酒」は、本件商標の指定商品中「日本酒」と同一又は類似の商品である。

してみれば、本件商標と使用商標とは類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「日本酒」については、使用商標の使用をする商品と同一又は類似のものであるから、結局、他の申し立て理由について判断するまでもなく、本件商標は、その指定商品中「日本酒」については、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわなければならない。

したがって、本件商標は、その指定商品中「日本酒」については、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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