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Trademark Appeal Case

称呼・外観類似の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900236(T2018−900236/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6045824号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6045824号商標(以下「本件商標」という。)は,「imbson」の文字を標準文字で表してなり,平成29年7月28日に登録出願,第9類「コンピュータ周辺機器,電話用ハンズフリーキット,マイクロホン,ビデオカメラ,携帯型メディアプレーヤー,ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用筐体,電池用充電器,人工知能搭載のヒューマノイドロボット,衛星ナビゲーション装置,ダッシュボードに取り付けるビデオカメラ,USB接続用ハブ,盗難防止用電気式設備,3D眼鏡,蓄電池,電源装置,電源アダプター」を指定商品として,同30年4月18日に登録査定,同年5月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標等

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に引用する登録第5252735号商標(以下「引用商標」という。)は,「GIBSON」の文字を標準文字で表してなり,平成18年7月14日に登録出願,第9類「電気音響増幅器,電子応用機械器具用増幅器,電気音響増幅器及び電子応用機械器具用増幅器の部品及び附属品,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,音声及び映像の記録及び再生用機械器具,プリンター,スキャナー,計算器,加算器」を指定商品として,同21年7月31日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,「gibson」の文字を別掲のとおりの態様で表してなるもの(以下「申立人使用商標」という。)であり,申立人が商品「アコースティックギター,エレクトリックギター」等について使用するものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第77号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標と引用商標の構成について

本件商標は,「imbson」と一段に書されているのに対して,引用商標は,欧文字で「GIBSON」と書してなるものである。

イ 称呼・外観上の類否

本件商標の外観について検討すると,欧文字「imbson」と横一段書きにされて構成されている。一方,引用商標は,欧文字「GIBSON」と横一段書きにされて構成されている。両商標は小文字・大文字の差異はあるものの,ともに欧文字「i,b,s,o,n」「I,B,S,O,N」(アイ・ビー・エス・オー・エヌ)を共通して使用している。「i,s,o,n」と「I,S,O,N」はほぼ同じ外観を有し,「b」と「B」も似ている。

よって,6文字中5文字の欧文字が近似しており外観において類似する。

本件商標の称呼について検討すると,「imbson」は辞書に掲載されていない造語であり,特定の称呼が生じない。英語の称呼法則において「mb」と文字が並ぶ場合に,「remember(リメンバー)」,「member(メンバー)」,「symbol(シンボル)」のように「ンバ」「ンボ」のように称呼される場合があり,これに従うと本件商標は「インブソン」と称呼される。また,「crumb(クラム)」「lamb(ラム)」「bomb(ボム)」「thumb(サム)」のように「mb」部分が「ム」と称呼されることがあり,これに従うと本件商標は「イムソン」と称呼される。

一方,引用商標から生じる称呼は「ギブソン」である。「ギブソン」と「インブソン」は「ブソン」の音及びこれを語尾に配している点を共通にしている。また,冒頭音が「ギ」と「イ」であり共に母音を「イ」としており音質が似た音となっている。本件商標の2音目「ン」は鼻音として弱音であり,前者の「イ」の音が強音として発声される関係上,「イ」の音に吸収され,称呼全体に及ぼす影響はきわめて少ない。また,「ブソン」の音及びこれを語尾に配している点を共通にしている。

そうすると,本件商標と引用商標は,全体としてその称呼において互いに類似するものである。

また,本件商標を「イムソン」と称呼する場合には,前述同様に冒頭音が「ギ」と「イ」であり共に母音を「イ」としており音質が似た音となっている。「ブ」と「ム」は共に上下の唇を接触又は接近させ,呼気の通路を変化して発する両唇音であり,かつ,母音を「ウ」とする点て共通する。

そうすると,本件商標と引用商標は,全体として互いに類似するものであって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは,類似するものである。

ウ 結論

上述のように,本件商標と引用商標とは,その外観・称呼において類似するものであるから互いに類似する商標であり,また,指定商品も互いに類似するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 申立人である「ギブソン・ブランズ・インク」は,引用商標を自らのハウスマークとして,また,ギター及び音楽関連商品等の商標として広く使用しているところ,本件商標は引用商標に酷似しており,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるため,本件商標は,商標法第4条第1項15号に該当する。

イ 混同を生ずるおそれの有無について

(ア)本件商標と引用商標との類似性の程度

上記のとおり,本件商標と引用商標とは,相互に類似する。

(イ)引用商標の周知著名性及び独創性の程度

a 引用商標は,申立人の創業者であるオーヴィル・ヘンリー・ギブソン(Orville Henry Gibson,1856年−1918年)の名称から採択されたものである(甲4)。

申立人はアコースティックギター,エレクトリックギター(エレキギター)の他にマンドリン,バンジョー,アンプ,弦,ストラップ,ピックなども製造しており,業界において世界で極めて著名な会社の一つである。創業は,オーヴィル・ヘンリー・ギブソンが,1894年に,ミシガン州カラマズーでマンドリン製作を始めたことに遡る。1902年には,販売会社として,the Gibson Mandolin−Guitar Mfg.Co,Ltd.(以下「ギブソン社」という。)が設立される。1920年代から1930年代にかけ,ギブソン社は,数々のギターのデザイン革新に貢献し,特に当時在籍していたルロイド・ロアーの設計によるモデルL5により,アーチトップ・ギターのトップ企業となった。1952年,ギブソン社はギタリストのレス・ポールとの共同でソリッドギターを設計,レス・ポールモデルとしてフェンダー社のストラトキャスターと共に,エレクトリックギターのスタンダードとなる。現在も生産され続けるレス・ポールとSGはともに,ハードロックギタリストに非常に人気がある。2017年6月,過去10年間でエレキギターの売上台数は,年間100万台である。ギブソンとフェンダーは二大ギターブランドと呼ばれている。

b 宣伝広告

申立人の日本の代理店ギブソン・ジャパン社(以下「ギブソン・ジャパン」という。)を通じて,日本において,アコースティックギター,エレクトリックギター(以下「GIBSON」(ギブソン)の文字及び申立人使用商標を使用したギターを「申立人商品」という。)を販売し,宣伝広告活動をしている。

ギブソン・ジャパンのウェブサイトを設け(甲5),ギターをはじめとした商品の紹介,有名ギタリストのシグネチャーモデル商品(特定の著名人の名を冠した商品,そのアーティストの好みの仕様となっている)の紹介やアーティストへのインタビュー記事,ニュース等を掲載している。トップページにはロゴ化された商標gibsonの文字,商標GIBSON.JPが付されている。掲載商品はエレキギター,アコースティックギター,ギターの部品・付属品(ギター用ストラップ,ギターケース,手入れ用布や汚れ落とし剤,ピックアップと呼ばれる部品)やスピーカー,クラブDJが使用するレコードのターンテーブル用のカートリッジと呼ばれる部品,DJ用ターンテーブル,CDプレーヤー,ヘッドホンがある(甲5)。

ギブソン・ジャパンのウェブサイトでは,著名なギタリストの名をつけたシグネチャーモデル商品や当該アーティストのインタビュー記事も掲載している。日本人では周知・著名なロックユニットのシグネチャーモデルが販売されている(甲4〜甲10)。

申立人は,少なくとも1978年から宣伝広告活動を行ってきた(甲11)。gibsonRDシリーズという商品の広告である。当該広告には「ギブソン−その長く偉大な歴史は,数々の伝説的銘記を残してきた。」との記載がある。40年前には既に周知・著名となっていたブランドであることが分かる。

ギブソン・ジャパンのFACEBOOK(甲12),twitter(甲13),ギブソン社のinstagram(甲14),YOUTUBE(甲15)を通じての広告活動も行っており,これらのSNSにはギブソン・ジャパンウェブサイトを通じて閲覧できるようになっている。

日本における宣伝広告費は,2016年で約5,500万円,2017年には5,000万円,2018年には4,000万円ほどである。

c 店舗

申立人商品を取り扱う正規販売店舗としてギブソン・ジャパンのウェブサイト内で紹介されている店舗は日本全国で69店舗ある(甲17)。東京都に23店舗,その他北海道から宮崎県まで46店舗ある。

日本国内での申立人商品の売上げは2016年には約7億8000万円,2017年には8億円,2018年には7億5000万円となっている。

上記ウェブサイトに掲載されている店舗のオンラインショップでもギブソンのギターが販売されている。どの店舗でも多くの品ぞろえがされており,中には申立人商品を常時4000本超在庫している店舗もあり,ギブソン製品の需要の高さ,人気の高さを物語っている(甲18〜甲20)。

d 書籍

ギブソンに関する書籍・雑誌も多数出版されている。

ギターマガジン編集部2018年3月9日出版ムック「ギブソンES−335プレイヤーズ・ブックセミアコ大集結!(ギターマガジン)」,三栄書房出版2013年10月1日出版ムック「ギブソン’60sギターガイド/Gibson‘60s Guitar Guide」,三栄書房出版2014年9月30日出版ムック「ギブソン’70sギターガイド/Gibson‘70s Guitar Guide」,三栄書房出版2015年8月26日出版ムック「ギブソン・レスポール・ガイド」をはじめとしてその他多くの書籍が出版されている(甲21〜甲25)。かかることからも,ギブソン製品の人気,関心の高さがうかがえる。

e 商標登録

申立人は国内外でGIBSONブランドに関する商標及びその他の商標について多くの商標登録を有している。

日本国内において,旧名称ギブソン・ギター・コーポレーション名での登録も含めて100件の登録商標を有している。そのうち「GIBSON」の語を含む商標登録は15件である(甲26)。国外においては,アメリカ,欧州共同体,カナダ,スペイン,フランス,ニュージーランド,ドイツ,イタリア,チリ,イスラエル,メキシコ,シンガポール,スイス,フィリピン,マレーシア,インドネシア,デンマークその他の国で1283件の商標を所有し,そのうち「GIBSON」の語を含む商標は145件ある(甲27)。

f 著名人による使用

世界的に有名なギタリストたちからギブソンギターは長きにわたり愛されてきた。彼らはギブソンギターで演奏を行い,雑誌の表紙に掲載される際等にも愛用するギブソンのギターと一緒に写真に納まっている等,様々なメディアにギブソンギターとともに登場している(甲29,甲30,甲32,甲37,甲40,甲42,甲43,甲45〜甲48,甲50〜甲53,甲55,甲56,甲58〜甲61)。また,日本人アーティストも,愛用のギブソンギターとともに雑誌等のメディアに登場している(甲63〜甲69,甲71〜甲75)。

以上のような事実をみる限り,引用商標は,ギターをはじめとする音楽関連商品分野における需要者・取引者の間において広く認識されているものといえる。

(ウ)本件商標の指定商品等と申立人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度

本件商標の指定商品は,「ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用策体」等,音楽・楽器に関するものであり,引用商標の指定商品も「電気音響増幅器,電子応用機械器具用増幅器,電気 音響増幅器及び電子応用機械器具用増幅器の部品及び附属品,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,音声及び映像の記録及び再生用機械器具」等であって,これらの商品は基本的に同一分野のものである。また,前述したように,引用商標は,エレキギター,アコースティックギター等について世界的に周知・著名である。エレキギターはアンプやエフェクターに接続して使用され,アンプやエフェクターにはスピーカーやヘッドホンを接続して使用することができる。

したがって,本件商標の指定商品等と引用商標の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性は非常に高いものである。

(エ)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情

本件商標と引用商標はともに音楽・楽器関連商品であり,商品分野が共通し,また,取引者及び需要者も共通している。

前述したように,申立人の日本代理店であるギブソン・ジャパンのウェブサイトにおいてスピーカー等の電子通信機械器具の販売がされている(甲5)。このように本件商標の指定商品と申立人商品との関連性は強い。

ウ 以上によれば,本件商標をその指定商品に使用するときには,これに接する需要者は,引用商標を連想・想起し,当該商品が申立人の取り扱う商品であると誤信するか,又は,申立人との間に密接な関係を有する者の業務に係る商品であると誤信することは必至であり,その商品の出所について広義の混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

ア 引用商標は,申立人の商標として日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標であり,本件商標はこれと類似する商標であって,引用商標にただ乗りする目的をもって使用されるものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

イ 上述のとおり,引用商標が,本件商標の登録出願日前より外国及び日本国内の需要者の間に広く認識されていたことは明らかであり,このような周知な引用商標と類似の商標を登録出願し,登録することは,引用商標の名声,顧客吸引力にただ乗りし,また,引用商標の出所識別力を希釈化するものであり,不正の目的をもって使用するものである。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第1項第19号に違反してされたものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は,上記1のとおり,「imbson」の文字からなるところ,該文字は辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。

そして,欧文字からなる造語の場合は,我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるものであるから,本件商標は,英語の読みに倣って「インブソン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は,上記2のとおり,「GIBSON」の文字からなるところ,その構成文字に相応して「ギブソン」の称呼を生じ,該文字は,人名を表す英語であるとしても,我が国においては,馴染みがなく、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるから,特定の観念は生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標は,「imbson」の文字を表してなるのに対し,引用商標は,「GIBSON」の文字を表してなるものであるから,両商標は,「BSON(bson)」部分のつづりを共通にするとしても,語頭部において「im」と「GI」の明らかな相違により,外観において相紛れるおそれはない。

そして,称呼においては,本件商標から生じる「インブソン」の称呼と,引用商標から生じる「ギブソン」の称呼とは,後半における「ブソン」の音を同じくするとしても,前半において「イン」と「ギ」の音の相違により,明瞭に聴別できるものである。

さらに,観念においては,両商標は共に特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較できないものである。

以上のとおり,本件商標と引用商標とは,観念については比較できないものの,外観及び称呼について判然と区別し得るものであるから,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,その指定商品中に引用商標の指定商品と同一又は類似する商品が含まれているものの,引用商標とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 申立人使用商標の周知著名性及び独創性の程度について

申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。

(ア)申立人は,1902年にオーヴィル・ヘンリー・ギブソンによりアメリカで設立されたアコースティックギター,エレクトリックギターの製造会社である(甲4)。

(イ)我が国において著名人のシグネチャーモデルとして申立人商品が紹介されている(甲5)。

(ウ)我が国において,申立人商品を取り扱う店舗は日本全国で69店舗ある(甲17)。

(エ)申立人商品に関するギター愛好家向けの雑誌等が本件商標の登録出願前に多数出版されている(甲25)

(オ)海外の著名なギタリスト,歌手が申立人商品を使用していると紹介されている(甲28,甲31,甲38,甲44,甲49,甲57,甲62)。

(カ)ギターについては,申立人使用商標が使用され,我が国において遅くとも1988年(昭和63年)から現在まで継続して販売されている(甲76)。

(キ)しかしながら,申立人商品の我が国における販売台数,売上額,市場占有率(シェア)など販売実績を示す証左は見いだせない。

イ 前記アで認定した事実によれば,申立人使用商標は,申立人の設立以来,長年にわたり,申立人商品について使用され,我が国においても,遅くとも1988年(昭和63年)から現在まで継続して使用されていること,著名なミュージシャンによる申立人商品の使用が紹介されていることから,本件商標の登録出願及び登録査定の時点において,申立人商品を表示するものとして,日本国内又は外国のギターを愛用する取引者,需要者の間においては,ある程度知られているものと認められる。

しかしながら,申立人商品の販売額,市場占有率等は不明であるから,申立人が提出した証拠からは,申立人使用商標が申立人の業務に係る商品を表すものとして,日本国内又は外国の取引者,需要者の間に広く知られていたものとは認めることができない。

また,申立人使用商標は,人名を表す英語である「gibson」の文字よりなるものであるが,独創的な字形を有するものであるから独創性の程度は高いといえる。

ウ 本件商標と申立人使用商標との類否

本件商標は,上記(1)アのとおり,「imbson」の文字からなるものであり,申立人使用商標は,別掲のとおり,引用商標とつづり字を同じくする「gibson」の文字を独創的な字形で表してなるところ,両商標は,「bson」部分のつづりを共通にするとしても,構成態様において明確に相違し,かつ,語頭部において「im」と「gi」の明らかな相違により,外観において相紛れるおそれはない。また,上記(1)ウと同様の理由により,観念については比較できないものの,称呼について明瞭に聴別し得るものであるから,本件商標と申立人使用商標とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,別異のものというべきである。

エ 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について

本件商標の指定商品である第9類「コンピュータ周辺機器,電話用ハンズフリーキット,マイクロホン,ビデオカメラ,携帯型メディアプレーヤー,ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用筐体,電池用充電器,人工知能搭載のヒューマノイドロボット,衛星ナビゲーション装置,ダッシュボードに取り付けるビデオカメラ,USB接続用ハブ,盗難防止用電気式設備,3D眼鏡,蓄電池,電源装置,電源アダプター」と,申立人の業務に係る商品「アコースティックギター,エレクトリックギター」及び関連製品との関連性についてみると,本件商標の指定商品中,とりわけ「アコースティックギター,エレクトリックギター」と関連がありそうな商品は,第9類「ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用筐体」程度であり,その他の指定商品とは,その需要者の範囲・生産又は販売部門・品質・用途及び流通経路がいずれも明らかに相違しており,関連性を有しないものである。

そこで,更に進んで,第9類「ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用筐体」と「アコースティックギター,エレクトリックギター」及び関連製品との関連性についてみると,「ヘッドホン,イヤホン,スピーカー用筐体」は,電気信号を音波に変換するオーディオ装置の一種。スピーカー用の筐体として一般に取引される商品であり,その需要者は一般の消費者であるのに対し,「アコースティックギター,エレクトリックギター」及び関連製品は,電気を使用しないギター。アンプによって音を電気的に増幅する方式のギター等であって,楽器関連商品であり,その需要者はギターを愛用する者であるから,両商品の需要者は必ずしも一致するともいえないものであり,それらの商品の生産又は販売部門・品質・用途及び流通経路はいずれも相違するものと認められ,商品自体の関連性の程度は低いものといえる。

オ 出所の混同を生ずるおそれについて

申立人使用商標は,独創性の程度は高いといえるものの,上記イのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く知られていたものとは認めることができない。

そして,上記ウのとおり,本件商標と申立人使用商標とは,観念については比較できないものの,外観及び称呼について判然と区別し得るものであるから,互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

また,上記エのとおり,本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度は低いものといえる。

そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者が,申立人使用商標を想起又は連想するようなことはないというべきであり,該商品が,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について,混同を生じさせるおそれはないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)イのとおり,申立人使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,日本国内及び外国の需要者の間に広く知られていたものとは認めることができない。

そして,上記(2)ウのとおり,本件商標と申立人使用商標とは,観念については比較できないものの,外観及び称呼について判然と区別し得るものであるから,互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

また,申立人により提出された証拠からは,本件商標が,申立人使用商標にフリーライドするなど不正の目的をもって使用するものであることを伺わせる事実は,見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(4)申立人の主張について

申立人は,エレキギターはアンプやエフェクターに接続して使用され,アンプやエフェクターにはスピーカーやヘッドホンを接続して使用することができるから,本件商標の指定商品等と引用商標の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性は非常に高いものである旨主張する。

しかしながら,エレキギターは演奏することを目的とした楽器であり,オーディオ装置の一種であるヘッドホン,イヤホンやスピーカー用筐体とは明らかに用途を異にすること明らかである。

したがって,申立人の上記主張は,採用することができない。

(5)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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