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Trademark Appeal Case

称呼・外観の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900347(T2017−900347/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5975493号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5975493号商標(以下「本件商標」という。)は,「Habor」の欧文字を標準文字で表してなり,平成28年12月27日に登録出願,第9類「電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,眼鏡型携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,無線コンピュータ周辺装置,眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,測定機械器具,温度計,デジタル式の食肉用温度計,食肉用温度計(料理用温度計),写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」を指定商品として,同29年7月10日に登録査定され,同年8月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。

1 申立人が引用する商標

(1)米国商標登録番号5252427(以下「引用商標1」という。:甲2。)

商標の態様:「HABOR」

指定商品 :第9類「無線送受信機,コンピュータ用マウス,カメラ用レンズ,温度計(「診断用機械器具」に属するものを除く。」,電池式含水量計,計量用機器等(Wireless transmitters and receivers; Computer mice; Camera lenses; Thermometers not for medical purposes; Battery powered meter for measuring moisture content; Weighing apparatus and instruments etc.)」

出願日:2016年(平成28年)9月15日

登録日:2017年(平成29年)7月25日

(2)欧州連合商標出願番号016156424(以下「引用商標2」という。:甲3)

商標の態様:「HABOR」

指定商品 :第9類「携帯電話機用の無線ヘッドセット,無線ヘッドホン,無線スピーカー,無線送受信機,計量用機器,望遠鏡,立体鏡,測定用具,寒暖計等(Wireless cellular phone headset; Wireless headphones; Wireless speakers; Wireless transmitters and receivers; Weighing apparatus;; Telescope; Stereoscope; Measuring instrument; Thermometer etc.)

出願日:2016(平成28年)12月13日

登録日:2017年(平成29年)5月4日

また,以下,引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

2 申立人が引用する使用商標

申立人が引用する標章は,同人の製造販売する温度計,タイマー及びVRゴーグルに使用している「HABOR」の欧文字からなるものである(以下「使用商標」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標について,商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。

1 申立人について

申立人は,2015年(平成27年)5月28日に設立された中国法人(有限責任公司)であって(甲4),主に家庭用電化製品などの製造・販売を行っている。また,申立人は,アメリカ及び欧州における引用商標の権利者とグループ会社の関係にあり(甲2,甲3),当該引用商標の権利者より,日本での商標「Habor」の登録出願(商願2017−051869)について名義変更を受け,現在,その商標登録を図っている(甲5,甲6)。

ここで,申立人は,引用商標「HABOR」を使用した「HABOR」ブランドを展開しており,「温度計」,「タイマー」,「照明装置」及び「VRゴーグル」といった家庭用電化製品などを企画及び販売している(甲7〜甲10)。現在,当該「HABOR」ブランドの商品は,たとえば「Amazon」,「楽天市場」,「eBay」及び「AliExpress」のECサイト(審決注:電子商取引サイト)などにおいて,その販売を確認できる(甲11〜甲14)。

なお,ECサイト「Amazon」上で「HABOR」商品を販売する「Setom」は申立人が運営するネットショップである。

2 引用商標について

引用商標「HABOR」は,辞書等に掲載されていない造語であって,申立人が独自に考案したものであり,本件商標と引用商標は実質的に同一である。

また,申立人は,遅くとも2015年(平成27年)12月23日より,「HABOR」ブランドの「温度計」を我が国のECサイト「Amazon」で販売を開始した(甲7)。そして,申立人の「HABOR」ブランドの「温度計」と「VRゴーグル」は,その機能性と優れたコストパフォーマンスから人気を博し,遅くとも2016年半ばには申立人の人気商品として定着した(甲15〜甲23)。

そのほかにも,ネット上には,本件商標の登録出願前(2016年(平成28年)12月27日より前)に,申立人の「HABOR」ブランド商品に関する多数のレビュー記事が投稿されている(甲24〜甲29)。

このように,申立人の「HABOR」ブランド商品は,本件商標の登録出願前より,我が国における取引者,需要者から非常に注目されていたことが分かる。

以上のように,申立人の「HABOR」ブランド商品は,本件商標権者による本件商標の登録出願前から,ECサイトを介して我が国で販売され,人気を博しており,Youtubeを含むネットメディアにおいて注目を集めていた。そうすると,ネット取引が頻繁な今日において,ネットメディアの影響力に鑑みれば,引用商標「HABOR」は,本件商標の登録出願時において,我が国における取引者,需要者の間では,少なくとも「温度計,VRゴーグル」について,申立人の商標として広く知られていたと推認される。

また,申立人の「HABOR」ブランドの「温度計」は,日本「Amazon」において,2017年(平成29年)度上半期の「調理・製菓道具」ランキング(集計期間:2016年(平成28年)11月14日〜2017年(平成29年)5月14日)で,第3位に入賞しており(甲33),本件商標の登録出願時,我が国の取引者,需要者の間で高い人気を得ていたことがわかる。

さらに,GoogleおよびYAHOO!JAPANのインターネット検索エンジンで「HABOR」を検索すると,その検索結果は,申立人の「HABOR」ブランド商品が上位に表示される(甲34,甲35)。

3 本件商標権者について

中国の登記情報によれば(甲36),本件商標権者は,2016年(平成28年)1月21日に設立された法人であって,その住所は「中国広東省深セン市宝安区」から「中国広東省深セン市龍華区」に変更されている。また,その事業内容には,家庭用電化製品の販売が含まれており,申立人とは事業上の競合関係にある。

ここで,本件商標権者の設立は2016年(平成28年)1月21日であるが,「HABOR」ブランドの温度計は遅くとも2015年(平成27年)12月23日には既に我が国で流通しており(甲7),「HABOR」ブランドは,本件商標権者の設立前から存在していることから,元々,本件商標権者のブランドでないことは明らかである。また,本件商標権者は,家庭用電化製品の販売を行うことから,我が国における家庭用電化製品の市場動向に相当程度の関心を持っていたと推測され,ECサイトとして良く知られた「Amazon」上でもその調査をしていたはずである。そのため,本件商標の登録出願時に「Amazon」上で人気を博していた申立人の「HABOR」ブランド商品について,本件商標権者は予め知っていたものと推認される。

ここで,特許情報プラットフォーム(J−PlatPat)で,過去に本件商標権者の名義(「深セン市恰恰科技有限公司」)で登録出願された商標を検索すると,約2年前(2016年(平成28年)1月21日)に中国で設立されたばかりであるにもかかわらず,2017年(平成29年)11月28日までに22件もの出願・登録情報が検索され,うち20件が商標登録されている。設立から約2年しか経っておらず,いまだHPすら存在しない中国企業が,我が国においてこれら20件もの登録商標全てを実際に使用し,または近い将来使用する予定があると考えるのは不合理である。また,これら20件の中には本件商標の登録も含まれるが,申立人が独自に調査したところ,申立人以外の他人の商標も含まれていることが判明した(甲42〜甲44)。

このような本件商標権者による冒認の状況を考えると,本件商標権者による本件商標の登録出願行為は,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的を有していたか,上述した申立人との競合関係より,少なくとも申立人の商標使用を制限することで事業上の優位性を得る目的を有していたものと推認される。この点に関して,本件商標は,その登録出願の際に周知であった引用商標と社会通念上同一であり,引用商標は造語よりなるものであることから,本件商標が偶然に引用商標と一致したとは認め難い。

以上よりすると,本件商標権者の不正の目的が推定できる。

4 異議申立て理由の根拠法条への該当性

(1)商標法第3条第1項柱書について

本件商標権者によって本件商標が使用された事実は確認できない。そして,本件商標権者は,約2年前(2016年(平成28年)1月21日)に中国で設立されたばかりであって,いまだHPすら存在しないにもかかわらず,他人の商標を含む22件もの商標登録出願を行っており,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的さえも推認される。

そうすると,本件商標権者は,申立人の使用する引用商標について登録出願し,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,本件商標権者にはその使用意思も認められない。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反する。

(2)商標法第4条1項第7号について

ア 本件商標は,造語である引用商標と社会通念上同一である。

イ 引用商標が申立人の商品ブランドとして取引者,需要者間において注目されている状況において,本件商標権者は本件商標の登録出願を行っている。

ウ 本件商標権者は本件商標以外にも,他人の使用する商標を含む22件もの登録出願を行っている。

エ 申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的さえも推認される。

オ 以上よりすると,本件商標は,不正な目的をもって剽窃的に登録出願されたものと認められるから,公序良俗に反することは明らかであり,商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

引用商標「HABOR」は,本件商標の登録出願時において,我が国における取引者,需要者の間で,少なくとも「温度計,VRゴーグル」について申立人の商標として広く知られていたと推認され,本件商標「Habor」は,これら引用商標と社会通念上同一である。また,本件商標権者による本件商標の登録出願行為には,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的,または申立人の商標使用を制限することにより事業上の優位性を得る目的が推定される。

したがって,本件商標は,その登録出願時において,我が国又は外国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって,不正の目的をもって使用するものと認められるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第10号について

引用商標「HABOR」は,本件商標の登録出願時において,我が国における取引者,需要者の間で,少なくとも「温度計,VRゴーグル」についての申立人の商標として広く知られていたと推認され,本件商標「Habor」は,これら引用商標と社会通念上同一である。また,本件商標の指定商品中「測定機械器具,温度計,デジタル式の食肉用温度計,食肉用温度計(料理用温度計),眼鏡型携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,無線コンピュータ周辺装置」(第9類)は,申立人の使用に係る商品「温度計,VRゴーグル」と同一又は類似の商品である。

したがって,本件商標は,その登録出願時において,我が国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって,その指定商品も申立人の業務に係る商品と同一又は類似するものであるため,商標法第4条第1項第10号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第15号について

引用商標「HABOR」は,本件商標の登録出願時において,我が国における取引者,需要者の間で,少なくとも「温度計,VRゴーグル」についての申立人の商標として広く知られていたと推認され,本件商標「Habor」は,これら引用商標と同一又は類似である。

また,引用商標を構成する「HABOR」の文字は,申立人が独自に考案した造語である。

さらに,申立人は,主に家庭用電化製品を提供しており,本件商標の指定商品「電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,眼鏡型携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,無線コンピュータ周辺装置,眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,測定機械器具,温度計,デジタル式の食肉用温度計,食肉用温度計(料理用温度計),写真機械器具,光学機械器具」は,申立人が取り扱う家庭用電化製品の部類に属するものであり,商品の需要者が一致する。

そうすると,本件商標の登録出願時において,本件商標権者によって本件商標が使用された場合には,その商品に接する取引者,需要者は,取引上要求される一般的な注意をもってしても,その商品が申立人の商品であるとか,申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,商品の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され,需要者がその出所について混同を生じることは明らかである。

したがって,本件商標は,本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり,商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 結び

以上述べたとおり,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反し,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当する。

第4 取消理由の通知(要旨)

当審において,平成30年10月31日付けで,本件商標権者に対し,本願商標の登録出願の経緯には,申立人の使用商標を剽窃するという不正な目的をもって登録出願されたものとして,社会的妥当性を欠くものがあり,その登録を認めることは,健全な商取引の遂行を阻害し,公正な競業秩序を害するものであるから,公序良俗に反するものであるとして,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認められるから,商標法第4条第1項第7号に該当する旨の取消理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見

上記第4の取消理由に対し,本件商標権者は,何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断

1 使用商標

申立人は,上記第2の2のとおり「HABOR」の欧文字からなる商標(使用商標)を2015年(平成27年)より「温度計,タイマー,VRゴーグル」等(以下「使用商品」という。)に継続して使用している(甲7〜甲14)。

なお,申立人は,申立人のグループ会社である引用商標の所有者より,日本での商標「Habor」の登録出願について名義変更を受けている(甲5,甲6)。

2 商標法第4条第1項第7号該当性について

(1)申立人と商標権者について

ア 申立人

申立人は,2015年(平成27年)5月28日に設立された中国広東省深セン市所在の中国法人であって(甲4),主に家庭用電化製品などの製造及び販売を行っている。

申立人は,使用商標を使用したブランドを展開しており,「温度計,タイマー,照明装置,VRゴーグル」といった家庭用電化製品などを企画及び販売しており,使用商標を使用した商品は,インターネットを通じて販売されている(甲7〜甲14)。

イ 本件商標権者

中国の法人登記情報によれば,本件商標権者は,2016年(平成28年)1月21日に設立された中国広東省深セン市所在の中国法人であって,その事業内容には,家庭用品や電子製品の販売が含まれており(甲36),申立人とは事業上の競合関係にある。

(2)商標の類否

本件商標は,「Habor」の欧文字を標準文字で表してなるところ,当該構成文字は辞書等に掲載されていないものであって,一種の造語と認められる。

そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「ハバー」又は「ハボー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。

一方,使用商標は,「HABOR」の欧文字からなるものであり,小文字の混在の有無はあるものの,そのつづりは本件商標と同一にするものであるから,使用商標からは,本件商標と同じく「ハバー」又は「ハボー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。

したがって,本件商標と使用商標とは,称呼及び観念に違いはなく,両商標はそのつづりを同じくすることから外観においても近似した印象を与えるものであり,これらを総合的に判断すれば,本件商標と使用商標とは酷似する商標といわざるを得ない。

また,本件商標の指定商品は,使用商標の使用商品中の「温度計,VRゴーグル」と同一又は類似の商品を含むものである。

(3)本件商標権者によるその他の登録出願に係る商標(日本)と,当該商標と同一つづりからなる他人の登録商標(外国)について

ア 商標「Vinsic」について

(ア)本件商標権者

商標の態様:「Vinsic」

登録第5933097号商標,登録第5933098号商標

指定商品 :第9類,第11類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 :平成28年8月23日

(イ)権利者:VINSIC(香港:甲37)

商標の態様:「VINSIC」

ホームページアドレス:http://www.vinsicvc.com/

使用商品 :モバイルバッテリー

イ 商標「SALONIA」について

(ア)本件商標権者

商標の態様:「SALONIA」

登録第5945283号商標,登録第5945284号商標

指定商品 :第8類,第26類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 :平成28年7月21日

(イ)権利者:株式会社I−na(日本:甲38)

商標の態様:「SALONIA」

ホームページアドレス:http://www.salonia.jp/

登録第5494318号商標

指定商品 :第9類「電気式ヘアーアイロン,電気式ヘアカーラー」

出願日 :平成23年12月2日

ウ 商標「MICGEEK」について

(ア)本件商標権者

商標の態様:別掲のとおり

登録第5945423号商標

指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 :平成28年10月12日

(イ)権利者:Simch Tehnoligy Co.,Ltd(中国:甲39)

商標の態様:別掲のとおり

ホームページアドレス:http://www.micgeek.com/about/payment-account

使用商品 :マイクロホン

エ 商標「Goldlion」について

(ア)本件商標権者

商標の態様:「Goldlion」

登録第5933166号商標

指定商品 :第18類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 :平成28年9月14日

(イ)権利者:ゴールドライオン・(ファー・イースト)・リミテッド(香港)

商標の態様:「GOLDLION」

ホームページアドレス:http://www.goldlion.com.sg/the-brand/

使用商品 :被服類

設立年 :1971年(甲40)

オ 商標「HIMETSUYA」について

(ア)本件商標権者

商標の態様:「HIMETSUYA」

登録第5916158号商標

指定商品 :第26類に属する商標登録原簿に記載の商品

出願日 :平成28年7月21日

(イ)取扱者:Amazon(甲41)

商標の態様:「Himetsuya」

使用商品 :ヘアーアイロン

Amazonでの取扱開始日:2010年(平成22年)11月5日

(4)判断

以上からすれば,本件商標権者は,申立人と同じ中国の深セン市所在の法人であり,その取り扱いに係る商品も申立人の使用商品と同一又は類似の商品である。

そして,本件商標は,申立人による使用商標の使用開始の日の後に我が国に出願したものであって,本件商標と使用商標は辞書等に掲載されていない造語であり,その独創性は高いものといえることから,本件商標権者が偶然に使用商標と同じつづりからなる商標を採択したとは想定できず,むしろ,本件商標の出願は,申立人の使用商標の存在を認識し,使用商標が日本において登録していないことを知った上で,申立人の事業を阻害することを目的に剽窃して採択したものと推認できる。

また,本件商標権者は,上記(3)のとおり,他にも,先に存在する他人の造語からなる商標と,その構成文字のつづりを同じくする商標,及び図形を含む商標の場合にはその図形の形状も同じくする商標を,本件商標権者の法人設立の2016年(平成28年)に,我が国に複数商標登録出願し,登録していることからも,先の推認の蓋然性は高いものといえる。

してみれば,本願商標の登録出願の経緯には,申立人の使用商標を剽窃するという不正な目的をもって登録出願されたものとして,社会的妥当性を欠くものがあり,その登録を認めることは,健全な商取引の遂行を阻害し,公正な競業秩序を害するものであるから,公序良俗に反するものである。

したがって,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認められるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号に該当し,同条第1項に違反してされたものと認められるから,その余の理由については判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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