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Trademark Appeal Case

企業スローガンの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−8073(T2019−8073/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,「可能性をカタチにする。」の文字を標準文字で表してなり,第9類「ファクシミリ,電話機,携帯電話機,移動体通信機,その他の電気通信機械器具,電子応用静電複写機,コンピュータ用プリンター,コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター,コンピュータ,コンピュータプログラム及びコンピュータソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,電子出版物,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品として,平成30年2月27日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,「本願商標は,『可能性をカタチにする。』を標準文字で表してなるところ,これは『(想像や仮説段階の)可能性を具現する』のような意味合いを看取させるものといえるものであり,本願商標をその指定商品に使用しても,単に企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表したものと認識させるにとどまり,自他商品を区別するための識別標識として機能するものと理解され得ないものであるから,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年9月13日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の回答の要旨

証拠調べ通知書で提示された引用情報1及び2は,本願商標とは明らかに文字構成が異なり同一又は類似の語句でない。引用情報3ないし5,7ないし9は,単に説明の一部として用いられているにすぎない。引用情報6は,単に説明の一部として用いられているにすぎないことに加え,本願商標とは文字構成が全く異なり,同一又は類似の語句ではない。

したがって,引用情報1ないし9は全て本願商標と同一又は類似の語句を企業理念・経営方針等を表すものとして使用されているとは言えないもののであり,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当すると認定すべき証拠とならない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性

(1)本願商標について

本願商標は「可能性をカタチにする。」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「可能性」の文字は,「論理的に矛盾が含まれていないという意味で,考えうること,ありうること」(広辞苑 第六版 株式会社岩波書店)や「未知の時柄の実現について(絶対に不可能だと判断するだけの根拠を欠き)ある程度(十分に)可能だと予測される状態にあるととらえられること」(新明解国語辞典 第七版 株式会社三省堂)の意味を有するものであり,「カタチ」の文字は,「形」の表音を片仮名で表したものと容易に認識されるものであり,「まとまり整った状態をもって表にあらわれた,物事の姿。物事の結果としての状態。」(大辞泉 第二版 株式会社小学館)の意味を有するものである。そして,構成中の「を」の文字は,「(格助詞)体言またはそれに準ずるものを受ける。対象を示す。」を,「に」の文字は,「(助詞)動作・作用のある状況・背景を示す」を,「する」の文字は,「その状態・状況にある意,また,それをもたらす意を表す。」を,「。」の文字は,句点であり,「文の切れ目に打つ記号。現在は多く『。』を用いる。」をそれぞれ表す語である(いずれも広辞苑 第六版 株式会社岩波書店)。

そうすると,本願商標は,全体として,その構成中の句点の存在が,記述的な文章を表してなるものとの印象を与えることもあり,それぞれの構成文字の語義に相応して,「(現在は実現していないが)考えうることについて,まとまり整った状態(商品化,実現化)をもたらす」程の意味合いを理解させるものである。

(2)取引の実情について

一般に,企業活動に際して,顧客(商品の取引者,需要者)のニーズ(要求。需要。広辞苑 第六版 株式会社岩波書店)を的確に捉え,そのニーズに応えるための新商品の開発や,既存の商品に改良を重ねることが,商品の生産者,販売者等の手によって,普通に行われている。

そして,当審が職権で調査したところ,別掲のとおり,本願商標と類似する「可能性をカタチにする」,「可能性をカタチにしていく」,「可能性をカタチに変えていく」及び「可能性をカタチに」等の文字が,経営方針や活動指針等を表す際に一般的に使用されている実情が認められる。

(3)小括

以上よりすると,本願商標は,これをその指定商品に使用する場合,句点の存在が記述的な文章を表してなるものとの印象を与えること,「(現在は実現していないが)考えうることについて,まとまり整った状態(商品化,実現化)をもたらす」程の意味合いを理解させるものであること,及び本願商標と類似する文字が経営方針や活動指針等を表す際に一般的に使用されていることから,これに接する需要者をして,顧客のニーズを具現化し,満足させることを目標としている企業等であるとの基本理念や姿勢等を示すものの一種と容易に理解させるにすぎず,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

(4)請求人の主張について

ア 請求人は,証拠調べ通知書で提示された各引用情報は,本願商標とは明らかに文字構成が異なり同一又は類似の語句でないものや単に説明の一部として用いられているものにすぎず,第三者が出願商標と同一又は類似の語句を企業理念・経営方針等を表すものとして使用していないことから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得る旨主張する。

しかしながら,別掲の引用情報が本願商標とは文字構成が異なり同一又は類似の語句でないものとしても,上記(3)で述べたとおり,本願商標は,全体として,これに接する需要者をして,顧客のニーズを具現化し,満足させることを目標としている企業等であるとの基本理念や姿勢等を示すものの一種と容易に理解させるにすぎないから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというべきである。

イ 請求人は,過去の商標の登録例を挙げて,本願商標もそれらと同様に,登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,過去の登録例に関わらず,商標の識別性の有無の判断は,商標の構成文字や構成態様等に則して,事案に応じて判断すべきであるから,請求人が主張する過去の登録例によって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。

ウ よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

(5)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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