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Trademark Appeal Case

造語商標の称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900265(T2018−900265/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6054262号商標の指定商品中,第9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ウェアラブルコンピュータデバイス」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6054262号商標(以下「本件商標」という。)は,「Alphagon」の欧文字を別掲のとおりの態様で表してなり,平成29年8月10日に登録出願,第9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く),ウェアラブルコンピュータデバイス」を指定商品として,同30年5月8日に登録査定,同年6月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5952944号商標(以下「引用商標」という。)は,「ALPHAGO」の文字を標準文字で表してなり,平成28年4月1日に登録出願,第9類「ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用又は携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」及び第41類「オンラインによるコンピュータゲームの提供」を指定商品及び指定役務として,同29年6月9日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は,称呼において相紛らわしく,観念も近似する場合があり,しかも,本件商標構成中の「Alphago」の文字部分が申立人の商標として我が国で広く知られている「AlphaGo(ALPHAGO)」と共通にしていることから,本件商標は,引用商標と類似する商標である。また,本件商標の指定商品である,第9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ウェアラブルコンピュータデバイス」は,引用商標の指定商品「ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム」と同一又は類似のものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

本件商標は,申立人が開発したコンピュータソフトウェア,及びコンピュータゲームに関するイベントに使用し,広く一般に知られている引用商標と類似するので,申立人の商品・役務に係る出所表示として知られる引用商標を想起若しくは連想させるものである。また,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は役務とは,互いに同一・類似であるか,または,非常に高い関連性を有しているので,本件商標がその指定商品・役務に使用された場合,あたかも申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 取消理由の通知

当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成31年3月4日付けで通知した。

第5 取消理由に対する商標権者の意見

本件商標権者は,上記第4の取消理由に対して,指定した期間内に意見を述べなかった。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,別掲のとおり,「Alphagon」の文字をやや斜めに横書きしてなるから,その構成文字に相応して,「アルファゴン」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は,上記第2のとおり,「ALPHAGO」の文字を標準文字で表してなり,その構成文字に相応して,「アルファゴ」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標を比較すると,両者の構成文字「Alphagon」と「ALPHAGO」とは,書体の差異,大文字と小文字の差異,及び語尾の文字「n」の有無の差異を有するものの,両者の書体はいずれも格別特徴があるものでなく一般的な書体といえること,及びつづり字において「n」の文字以外の,語頭から7文字全てを共通にするものであることから,かかる差異が両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きくなく,両者は,外観において相紛らわしいものと判断するのが相当である。

次に,本件商標から生じる「アルファゴン」の称呼と引用商標から生じる「アルファゴ」の称呼を比較すると,両者は,語尾音「ン」の有無に差異を有するものの,該差異音が鼻音であって語尾に位置することから明瞭には聴別し難いこと,及び称呼の識別上最も重要な役割を果たす語頭音を含む5音全てを共通にすることから,両者をそれぞれ一連に称呼するときは語調,語感が近似し,相紛らわしいものと判断するのが相当である。

また,両者は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において比較できないものである。

そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において相紛らわしいものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,両者は,相紛れるおそれのある類似の商標というべきものである。

(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

本件商標の指定商品中,第9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ウェアラブルコンピュータデバイス」と,引用商標の指定商品中,第9類「ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯電話機のゲームプログラム」とは同一又は類似の商品である。

そして,本件商標の指定商品中,第9類「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」は,引用商標の指定商品及び指定役務とは,類似しない商品である。

(5)まとめ

以上のとおり,本件商標は,引用商標と類似する商標であって,かつ,本件商標の指定商品中,第9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ウェアラブルコンピュータデバイス」は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから,当該指定商品について商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知性及び独創性の程度について

申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。

ア 申立人は,2010年(平成22年)に英国で設立された人工知能(以下「AI」という。)の開発を行う企業であって,2014年(平成26年)にグーグルに買収された。(甲3)。

そして,2016年(平成28年)には申立人の開発した囲碁用AIである「アルファ碁(AlphaGo)」が,プロ囲碁棋士に勝利したことや,「アルファ碁(AlphaGo)」を応用したAIが,他社の将棋やチェスの専用ソフトウェアに勝利したこと等が複数の新聞やウェブサイトで紹介されている(甲4〜甲8,甲9の5〜27,29,30,甲12,甲13の1〜2)。

イ 上記アによれば,申立人は,遅くとも2014年(平成26年)には,AIの開発を行っており,2016年(平成28年)には,申立人が開発した「アルファ碁(AlphaGo)」が,プロ囲碁棋士に勝利したものであること,また,将棋やチェスにおいても申立人の開発したAIがそれぞれの専用ソフトに勝利した事実が複数の新聞やウェブサイトにおいて紹介されていたことは確認できる。

しかしながら,「アルファ碁(AlphaGo)」が人工知能による囲碁のコンピュータソフトウェアであることは認められるものの,申立人が,該「アルファ碁(AlphaGo)」を含むAIに関する商品を販売し,又は役務を提供し,それら商品若しくは役務についてAlphaGoとつづりを同じくする引用商標を使用している事実,及び申立人の商品又は役務の販売額,販売数量等の販売実績は確認することができず,その他の申立人の業務に係る商品について引用商標が使用されているという事実も確認することができない。

そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできない。

また,引用商標は,上記1(2)のとおり,辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから,独創性の程度は高いといえる。

(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について

上記1(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標であり,類似性の程度は高いといえる。

(3)本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の間の関連性,需要者の共通性について

本件商標の指定商商品中「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」と「囲碁のコンピュータソフトウェア」とは,前者が制御,検知,測定などに用いられるものであり,後者が人工知能による囲碁のコンピュータソフトウェアであって,両者の用途は明らかに異なるなど,両者の関連性の程度は極めて低いとみるのが相当である。

(4)出所の混同のおそれについて

引用商標は,上記(1)イのとおり,独創性の程度は高く,本件商標と引用商標とは,類似する商標といえるものの,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできない。

そして,上記(3)のとおり,本件商標の指定商商品中「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」と「囲碁のコンピュータソフトウェア」との関連性の程度は極めて低いといえる。

そうすると,本件商標は引用商標と類似する商標であるが,引用商標が需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」と「囲碁のコンピュータソフトウェア」との関連性の程度は極めて低いものであるから,本件商標は,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。

してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品中「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

(5)申立人の主張について

申立人は,引用商標は取引者・需要者に広く知られ周知著名性が高い,引用商標は「人工知能による囲碁のコンピュータソフトウェア」の名称であって人工知能は電力の供給調整,自動車の自動運転,各種センサー装置など多岐にわたる産業で活用されているので「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」と「ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームプログラム(人工知能を利用したソフトウェア)」とは密接な関連性があるなどとして,本件商標は,引用商標を連想させて,商品の出所について混同を生ずるおそれがある旨主張する。

しかしながら,引用商標が需要者の間に広く認識されているものと認められないものであることは上記(1)のとおりであり,また,人工知能が多岐にわたる産業で活用されているとしても,「人工知能による囲碁のコンピュータソフトウェア」が多岐にわたる産業分野で活用されているといえないから,申立人のかかる主張は,その前提において理由がない。

(6)小括

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第9類「遠隔制御装置,デジタル式センサー(医療用のものを除く)」について,商標法第4条第1項第15号に該当に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品中「結論掲記の指定商品」について,商標第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものとし,本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については,取り消すべき理由がないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。

よって,結論のとおり決定する。

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