Trademark Appeal Case
健康増進型商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−16611(T2018−16611/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「健康増進型」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年8月12日に登録出願された商願2016−92683に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同29年5月24日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同30年5月11日付けの手続補正書により、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『健康増進型』の文字を標準文字により表してなるところ、その構成全体より『健康を増進する型(形態、タイプ)』の意味合いを容易に認識できるものである。そして、本願の指定役務である第36類の保険の分野では、健康であれば保険料が安くなる等の健康状態や健康増進に向けた取組み度合いに応じて保険料が変動する保険商品が存在し、これらは『健康増進型保険』と指称されている実情がうかがえ、近年、当該タイプの保険商品が注目され、開発が進んでいるという実情もうかがえる。このような状況の下、本願商標を、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供」に使用しても、『健康であれば保険料が安くなる等の健康状態や健康増進に向けた取組み度合いに応じて保険料が変動する保険に関する役務』という役務の質(内容)を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識としては機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和1年9月17日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 職権証拠調べに対する請求人の意見
前記3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは何らの意見、応答はなかった。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「健康増進型」の文字からなるところ、構成中の「健康」の文字は、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。達者。丈夫。病気の有無に関する、体の状態。」等の意味を有する語であり、「増進」は、「能力などを、ましすすめること。また、ましすすむこと。」を意味する語であり、「型」は、「ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。」等の意味を有する語(いずれも、「広辞苑第六版」岩波書店)として一般に知られているものである。
そして、原審において示した事実のほか、令和1年8月22日付け通知書により通知した刊行物等提出書による情報及び別掲に示す情報からも明らかのように、本願の指定役務を取り扱う分野において、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプの保険商品」を「健康増進型」、「健康増進型保険」と称している実情がある。
そうすると、本願商標である「健康増進型」の構成文字からは、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプ」程の意味合いを容易に理解させるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いのタイプの保険商品を内容とする役務であることを表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『健康増進型保険』の語は、出願人により、自分自身のサービスを表す独自の表示として先駆的かつ積極的に使用されているのであり、出願人以外の保険会社各社が、健康状態や健康に関する取り組みと保険を結びつける新しいサービスを、広く一般に、『健康増進型』又は『健康増進型保険』と称している状態にはないものと見受けられる。そして、『健康増進型』又は『健康増進型保険』の語が、一部のメディア等により使用されているとしても、それは、本来出願人の保険サービスを表す独自性を有する語であるものを、情報伝達に際して適切な用語を持ち合わせていなかったメディア等が、一部において、出願人の使用に注目し追随する形で、あたかも類似のサービス全般を表す語であるかの如く、便宜的に流用しているに過ぎないというべきである。」旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定役務との関係や役務の取引の実情をも踏まえて、具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、前記(1)のとおり、現時点において、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプの保険商品」の意味合いを表す語として広く使用されているものであり、本願商標は、請求人の業務に係る役務を表す独自の表示とはいえない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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