Trademark Appeal Case
マンホールコースターの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−1597(T2019−1597/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「マンホールコースター」の文字を標準文字で表してなり,第24類「織物製コースター,布製コースター」を指定商品として,平成29年6月30日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,「マンホールコースター」の文字を標準文字で書してなるところ,その構成中「マンホール」の文字は「下水などの導水管・管渠・ボイラーの掃除・点検のため,人の出入りができるように作った穴。」等の意味を有する語であり,「コースター」の文字は「コップなどの下に敷く小さなマット。コップ敷き。」の意味を有する語である。
そして,近時,本願商標の指定商品を含む「コースター」を取り扱う業界において,「マンホールの蓋の形状を模してなるコースター」が存在し,これを「マンホールコースター」と称して取引が行われている実情がある。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,「マンホールの蓋の形状を模してなる商品」であること,すなわち,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審においてした証拠調べ
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,マンホール柄又は型のコースター(「マンホールコースター」又は「○○マンホールコースター」と称されるものも含む。)の事例(別掲)を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項に基づき,請求人に対して,その結果を通知し(令和元年9月26日付け証拠調べ通知書),意見を求めた。
4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)請求人は,本願商標と同一の商標について既に商標登録を取得しており,その後,使用を継続している。その使用態様は,他社とコラボする等しており,複数の媒体や誌面で取り上げられ,既に業務上の信用が化体している。そのため,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)通知に記載された事例には,上記商標登録より後の使用で商標権侵害に当たるものや,請求人がコラボする製品もあるため,このような事例により本願商標が拒絶されることは適切ではない。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は,「マンホールコースター」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「マンホール」の語は「下水などの導水管・管渠・ボイラーの掃除・点検のため,人の出入りができるように作った穴。」の意味を,「コースター」の語は「コップなどの下に敷く小さなマット。コップ敷き。」の意味を有する語として親しまれている(「広辞苑 第6版」岩波書店)。
イ 近年,ご当地マンホールやデザインマンホールと呼ばれる,その地域の名物や名所,ゆかりのある人物などがデザインされたマンホールの蓋が,日本全国各地に設置され(参照:コトバンク「知恵蔵mini」朝日新聞出版),そのデザイン性に着目して,その模様や形状をあしらった商品や記念品も販売又は配布されている。
そのような中,各地域の自治体の関与などもあって,広い地域(例えば,大阪市,越谷市,宇治田原町,柏市,神戸市,日田市,山梨市,米子市,ふじみ野市,中央市,登別市,明石市,岡崎市,堺市,長岡市,鹿島市,島田市,王寺町,甲州市,滝沢市,大田原市,泉南市,北見市,秩父市など)において,各地域のマンホール柄又は型のコースター(「マンホールコースター」又は「○○マンホールコースター」と称されるものも含む。)が製造,販売又は配布されている実情がある(別掲)。
ウ 以上のとおり,本願商標は,構成文字の語義及び取引の実情を踏まえると,その指定商品との関係において,その需要者及び取引者をして,「マンホール(柄又は型)のコースター」程度の意味を容易に認識,理解させ,単に商品の品質(模様,型)を表示するにすぎないというべきである。
(2)請求人の主張に対して
請求人の主張は,以下に詳述するとおり,いずれも採択できない。
ア 請求人は,「マンホールコースター」の商標登録を既に取得しており,本願はその指定商品を追加して出願をしたものである旨を主張する。
しかしながら,商標登録出願された商標の登録適格性の判断は,査定時又は審決時における個別の実情に基づき行うべきものであるから,過去の登録例の存在にその結論が直接左右されるものではない。
イ 請求人は,別掲の事例には,上記登録商標の侵害となる事例や,請求人と関係する製品の事例も含まれているため,これらに基づき本願商標を拒絶することは適切ではない旨を主張する。
しかしながら,別掲の事例から,マンホール柄又は型のコースターが広い地域で製造,販売又は配布されている取引の実情があることは明らかで,また,それらを「マンホールコースター」又は「○○マンホールコースター」と称する事例も,出所識別標識としての使用というよりは,商品の品質(模様,型)を表示又は説明するための表示とも理解できるから,本願商標に係る識別性の判断にあたり,これら事例を考慮することに特段の問題はない。
さらに,別掲の事例に請求人が関与しているか否かは,いずれも使用態様の外形から把握することは困難であるから,これら事例を一般的な取引の実情を示すものとして考慮することに特段の支障はない。
ウ 請求人は,本願商標を継続して使用しており,複数の媒体や誌面でも取り上げられ,既に業務上の信用が化体しており,商標法第3条第1項第3号に該当しない旨を主張する。
しかしながら,本願商標は,請求人による使用の有無に関わらず,上記(1)のとおり,その指定商品に係る取引の実情を踏まえると,「マンホール(柄又は型)のコースター」程度の意味を認識,理解させるもので,単に商品の品質(模様,型)を表示するにすぎないから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお,請求人は,本願商標が商標法第3条第2項に該当する旨の明確な主張をしておらず,請求人からは,本願商標の継続使用の実績や内容を十分に示す証拠の提出もないため,その主張があるとは理解し難いが,念のため言及すれば,提出された証拠からは,使用による識別性の獲得を認めるに足りない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するもので,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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