Trademark Appeal Case
商品使用図の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−8330(T2019−8330/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電子計算機及びその周辺機器,電子計算機用プログラム,コンピュータ用リストレスト,マウス(コンピュータ周辺機器),マウスパッド」を指定商品として,平成30年5月15日に登録出願されたものである。
第2 当審における拒絶理由通知
当審において,請求人に対し,別掲2及び3のとおりの事実を示した上で,令和元年10月18日付けで,要旨以下のとおり,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶理由を通知し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。
本願商標は,商品「マウス」について,1つの長方形内に,異なる3種類の持ち方でマウスを右手で操作している様子を表した3つの平面図(マウスと手を真上から見た図)を横並びに配してなるものであり,マウスが見えるように手を透かして描き,右手部分にごく薄い曲線を複数描いているものである。
別掲2及び3の事実によれば,本願商標は,商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために一般的に使用される標章に比して,需要者が特定の営業主体の商品であることを理解することができる程度に特異なものということはできず,本願商標をその指定商品中「マウス(コンピュータ周辺機器),マウスパッド,コンピュータ用リストレスト,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機及びその周辺機器」に使用する場合には,需要者をして,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するための図の一類型と理解させるものであり,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,自他商品の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法第3条第1項第6号に該当する。
第3 令和元年10月18日付け拒絶理由通知に対する請求人の意見の要旨
1 商標法第3条第1項第6号の適用に関しては,本願商標が使用される実際の場面を十分に考慮した検討が必要であり,例えば,本願商標が,マウス等の使用上の説明を伴わず,かつ,商品包装等の全体構成の支配的な構成として,需要者等の注意を最もひく態様で表示されているような場合であれば,本願商標全体として自他商品識別機能を有する。
2 本願商標は,指定商品の分野において,品質表示として実際に使用されている事実はなく,マウスやマウスパッド等を使用している様子を図示する方法は多様にあるから,第三者における本願商標と同様の構成要素からなる商標の選択の余地は残されており,本願商標を請求人が独占的使用をしたとしても正当な競業秩序を乱すことはない。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号同25年1月10日判決参照)。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,1つの長方形内に,「マウス(コンピュータ周辺機器)」(以下,単に「マウス」という場合がある。)を右手で操作している様子を表した3つの平面図(マウスと手を真上から見た図)を横並びに配してなるところ,これら3つの平面図は,子細に見ると,左から順に,右手の指全体と手の平全体をマウスに接触させてマウスを操作している様子,右手の指先と手の平をマウスに接触させてマウスを操作している様子,右手の手の平をマウスに接触させず,右手の指先のみをマウスに接触させてマウスを操作している様子を表したものであり,いずれも,マウスが見えるように右手部分を透かして描き,右手部分にごく薄い曲線を複数描いている。
(3)本願の指定商品について
本願の指定商品は,上記第1のとおりであって,「マウス(コンピュータ周辺機器)」及びマウスとともに用いられ,その需要者を共通にすることの多い商品「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」並びにこれらの商品が属する商品「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機及びその周辺機器」を含むものである。
(4)本願の指定商品に係る取引の実情について
別掲2及び3に記載の証拠によれば,以下の事実が認められる。
ア 商品「マウス」の分野において,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するため,商品のウェブサイト,商品の包装等に,マウスを手で持ち,操作している様子が図又は画像により示されているものが一般的に存在する(別掲2)。
その中には,本願商標のように,異なる複数の持ち方等によってマウスを手で持ち操作している様子を複数の平面図(画像)によって描いたものや,マウスが見えるように手を透かして描いているものが存在する(別掲2(2),(9)〜(16),(17)ア〜エ・ク〜コ,(18)〜(20))。
イ マウスとともに用いられ,マウスと需要者を共通にすることの多い商品「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」の分野において,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために,商品のウェブサイトに,「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」等の商品の上で,マウスを手で持ち,操作している様子が図又は画像により示されているものが一般的に存在する(別掲3)。
その中には,「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」等の商品の上で,マウスを手で持ち,操作している様子を複数の平面図(画像)によって描き,かつ,マウスパッド等が見えるように手を透かして描いているものが存在する(別掲3(1))。
(5)判断
ア 本願商標は,上記(2)のとおり,商品「マウス」について,1つの長方形内に,異なる3種類の持ち方でマウスを右手で操作している様子を表した3つの平面図を横並びに配してなるものであり,マウスが見えるように手を透かして描き,右手部分にごく薄い曲線を複数描いているものである。
イ 上記(4)のとおり,商品「マウス」及びマウスとともに用いられ,マウスと需要者を共通にすることの多い「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」の分野において,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために,商品のウェブサイトや包装用箱等に,マウスを手で持ち,操作している様子を示す図又は画像を用いることは,広く一般的に行われている。
ウ マウスやマウスパッド等を使用している様子を図示する方法は,多様にあり,マウスの描写,手等身体の部位の見せ方等において差異があるものの,現に,商品「マウス」及び「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」について,マウスを手で持ち操作している様子を複数の平面図(画像)によって描いたものや,マウス等が見えるように手を透かして描いているものも存在することは,上記(4)認定のとおりである。
そのうち,商品「マウス」に関するウェブサイトに掲載された図や画像の中には,本願商標と同様に,1つの長方形内に,異なる3つの持ち方によってマウスを右手で操作している様子を表した3つの平面画像を横並びに配したものがあり,これは,図と画像とで異なり,各画像が表すマウスの具体的な持ち方等において相違はあるものの,全体の構成において,本願商標に近似するものである(別掲2(10))。
また,それ以外にも,1つの四角形内に,マウスパッドの上でマウスを右手で持ち操作している様子を表した2つの平面図を配し,かつ,マウスパッドが見えるように手を透かして描いているものがあり,これは,マウスと右手の図の数が3つか2つかで異なり,マウスパッドの図の有無,色彩の有無等の相違はあるものの,1つの四角形内にマウスと手の様子を複数の平面図で表し,かつ,手を透かして描いている点において,本願商標に近似するものである(別掲3(1))。
エ 上記アないしウのとおり,商品「マウス」及びマウスとともに用いられ,マウスと需要者を共通にすることの多い商品「マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」の分野において,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために,商品のウェブサイトや包装用箱等に商品を手で持ち,操作している様子を示す図や画像を用いることは,広く一般的に行われていること,現に,商品「マウス」等について,複数の持ち方でマウスを手で持ち,操作している様子を表した平面図(画像)を複数配したものや,マウス等が見えるように手を透かして描いているものなど,本願商標に近似するものも存在することからすれば,本願商標は,上記のような商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために一般的に使用される標章に比して,需要者が特定の営業主体の商品であることを理解することができる程度に特異なものということはできず,本願商標をその指定商品中「マウス(コンピュータ周辺機器),マウスパッド,コンピュータ用リストレスト」及び当該商品が属する「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機及びその周辺機器」に使用する場合には,需要者をして,その商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するための図の一類型と理解させるものであり,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,自他商品の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
(6)小括
したがって,本願商標は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,商標法第3条第1項第6号の適用に関しては,本願商標が使用される実際の場面を十分に考慮した検討が必要であり,例えば,本願商標が,マウス等の使用上の説明を伴わず,かつ,商品包装等の全体構成の支配的な構成として,需要者等の注意を最もひく態様で表示されているような場合であれば,本願商標全体として自他商品識別機能を有する旨主張する。
しかしながら,本願商標は,上記1(5)のとおり,指定商品の分野において,商品の形状,特徴及び商品の使用方法等を表示し,説明するために一般的に使用される標章に比して,需要者が特定の営業主体の商品であることを理解することができる程度に特異なものということはできず,また,指定商品の分野における本願商標のような標章の多数の使用事例からすれば,本願商標が請求人の主張する上記方法以外により使用されることもあり得るというべきであるから,本願商標は,自他商品の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
(2)請求人は,本願商標は,指定商品の分野において,品質表示として実際に使用されている事実はなく,マウスやマウスパッド等を使用している様子を図示する方法は多様にあるから,第三者における本願商標と同様の構成要素からなる商標の選択の余地は残されており,本願商標を請求人が独占的使用をしたとしても正当な競業秩序を乱すことはない旨主張する。
しかしながら,現に,商品「マウス」等について,複数の持ち方でマウスを手で持ち,操作している様子を表した平面図(画像)を複数配したものや,マウス等が見えるように手を透かして描いているものなど,本願商標に近似するものが存在することは,上記1(5)のとおりであるから,本願商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,自他商品の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
(3)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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